*B部門入選作発表*

「兼題季語:踊」「兼題漢字:平」*全45投句(入選40句)


【特選】

一席
● 灯の波を寄せて山鹿の盆踊=雪絵


◎水○五、香、ス△砂、夏、前、二=13点
(水:実際に見たことは無いけれどとっても綺麗らしいですね。 五:山鹿行灯踊句が多くありましたが、この句は灯籠の灯の動きが出ていました。色、音、動きのどこに焦点を当てるかでしょうね。 ス:山鹿のお祭り見てみたいです。 葱:「金色の千人踊灯さるる」と同じ作者でしょうか? 好きな句ですが、どちらかひとつということで。)


二席
●終電のベンチに残る踊笠 =白髪鴨


◎メ、百○夏△水、入、五、雪=12点
(百:祭りの後のなんとか。 夏:こんな風景、きっとあるでしょう! 水:モノクロのシーンに笠だけがカラーで見える。 五:着眼点は良いのですが、類句はありそう。盆踊りに電車に乗って参加するというのが無理な設定か?東京では当たり前なのか? 雪:これも都会の盆踊りなら、こんな光景も?)


三席
●葉の陰の天下泰平なる南瓜=水音


◎砂、雪○入△久、メ、百=11点
(雪:近頃は畑のかぼちゃを見かけなくなりましたが、まさにその通り! 久:うちも緑色の南瓜が大きくなりつつあります。 葱:ゴーヤも天下大平でかわゆいですね。そう言えば「苦瓜」は確か、秋の季語でした。 百:かぼちゃってそんな感じですよね 。)


三席
●平均台の上の青春花カンナ=雪絵


◎資○葱、砂、水、二=11点
(葱:「花カンナ」の「花」に惹かれました。 水:体操部の人?比喩的表現?私はいつも平均台の上にいるような気がしてます。)


三席
●流木を焚いて踊の輪となりぬ=葱男


◎入、ス○夏、澄△百=11点
(ス:浜辺の光景かな。 夏:潮騒が聞こえるようで、踊りの輪が見えてきます。 澄:素敵ですね。 百:昔からの人間の営みを見るよう・・・。)


【入選】

●踊子の打ち合わす手の細き反り=雪絵
○資、五、香、前△百=9点
(五:小さなところに視点が行きましたね。普段と違う手の細き反りは神秘的でもある。エロスもある。 葱:〈反り返り〉は何にしても、なかなかセクシーなものですね、あは。 百:暗闇に白い手が浮き上がるよう。)

●神の山踊太鼓の亜空間=白髪鴨
○資、澄、前、秋△小=9点
(澄:私も聴いてみたいです。 秋:踊太鼓の響きで現実から乖離した世界へワープ。 小:その中を泳いでみたい。)

●水引の花を踊らせ千曲風=君不去
◎香○二△水、夏、ス=8点
(水:きれいです。 ス:水引草の可憐な感じとマッチしてますね。)

●踊子や宵のつくばの脚見えて=入鈴
◎五△喋、資、君、二=7点
(五:つくばと来ればいりりんさんでしょうか?ポエジーのある句です。つくばの脚とは裾野のことでしょう。いりりんさんならではの一句いい句です。俳句は実景に限りますね。そういう自分も実景句ばっかしを詠んでませんが・・。)

●源平を競ふ海峡花火かな=五六二三斎
◎澄△資、メ、ス、秋=7点
(澄:壮大な感じです〜。 ス:関門海峡の花火見てみたいなあ。 秋:つわもの共がゆめの跡。)

●仕事着のままビル街の盆踊り=夏海
○雪、百△久、砂、ス=7点
(雪:都会ならではの盆踊りですね! 百:お仕事遅くまでご苦労様です。 久:軽く踊らないと汗かいても知らんけんね、経験あり。 葱:テレビのニュースで見ました。みんななかなか楽しそうでしたね。 ス:仕事帰りの盆踊りってあるんですね。)

●天平の撥鏤(てんぴょうのばちる)の色に赤とんぼ=夏海
◎喋、二△白=7点
(白:撥鏤とはそも何だ? ネットで見たその写真には時の重みを加えた朱が彩られていた。撥鏤と赤とんぼの対比もそれで納得。 )

●ひっそりと不登校児いる盆踊り=水音
◎白、小△香=7点
(白:光線から少し外れた薄闇にその子は小さく手を動かしながら立っていた。背景の端に夜店の照明が鋭い星を点す。そんなモノクロームの写真を見ているようでした。 小:哀しくもホットする句ですね。)

●無為徒食となりて踊りし地蔵盆=砂太
○喋、君△入、白、資=7点
(白:人生は終わらない。生きている限り人は無為にはなれない。さらに死をすらも人は行為する。)

●平和とはカレーの匂ひ終戦忌=水音
○砂、メ△久、雪=6点
(久:SBの粉カレーかな?)

●べべを着て紅少し引く盆踊=砂太
◎葱○白△秋=6点
(葱:「べべ」で踊子の大体の年令が推測できます。11〜15才くらいでしょうか?「踊り」はすべて「無心」をその本意とします。「舞」という字は神の前で羽飾りをつけた巫女さんが無心に踊るの形象に由来しています。 白:子供にとって、夜、外に出ることが許される数少ない機会。本当にどきどきしたものだが、その終わったときの白々さも、期待と同様に大きく写ったものだ。 秋:祭りの夜のひとつの典型。今も昔も変わりません。 )

●盆踊り輪の向こうから父の顔=メゴチ
○久、入、小=6点
(久:知ってる人がいたら踊りにくいもんです。 小:詠まれたのは実際のお父様なのでしょうが、私には亡き父の思い出がよぎりしんみりとなりました。)

●廃線の駅跡こよひ踊りの輪=資料官
○百、秋△君=5点
(百:お仕事遅くまでご苦労様です。 秋:ローカルなひなびた感じがいい。)

●平仮名を枯れ木で書きて熱き砂=久郎兎
○小、メ△秋=5点
(秋:浜辺の甲羅干しも今夏は閉口したの・・・。)

●平成を父として生き秋の水=五六二三斎
○葱、喋△君=5点
(葱:「秋の水」はちょっこし綺麗すぎるようにも思いますが、平成二十二年でお子さんもちょうど二十歳ぐらいだと、辻褄が合いました。)

●あとずさりして手をポンと打つ踊=葱男
○久△五、二=4点
(久:河内音頭かな?河内おとこ節かもね。後ずさるのはいつも左足、1、2、3、4。 五:中原道夫の句を思い出します。)

●戦争も平和も詠う葉月かな=入鈴
◎前△小=4点

●七夕や平助筆の墨含み=スライトリ・マッド
△砂、喋、夏、雪=4点
(葱:筑紫に「平助筆復古堂」という手づくりの筆があるそうで。 先月の「銀河高原ビール」もそうですが、俳人によっては固有名詞は使い方を疑問視する人もいるようです。)

●平衡感ぐらり揺らぎぬ原爆忌=君不去
◎秋○水、雪=4点
(秋:平穏な日常の危うさと尊さ。合掌。 水:ぐらりが効いている。 雪:すべてのものが揺らいだ原爆だったんでしょうね。)

●焼け砂の先で澄ました水平線=秋波
◎久△前=4点
(久:地球の果てはいつもクールですね。荒野の地平線も。)

●昆虫の惑星なる地球盆踊り=スライトリ・マッド
◎夏=3点
(夏:地球の王者は昆虫かもしれません!人間は謙虚にならなくては。 葱:虫が踊っているイメージが見えました。)

●手踊りのヒヤミカチ節ひやひやひや=スライトリ・マッド
◎君=3点
(君:勢いに、そのまま踊りだしそうです)

●ナイターの灯りざわめく平和台=資料官
○ス△五=3点
(ス:平和台球場なつかしか〜。 五:平和台ナイターの末路を思い出す。西鉄が弱くなりはじめて、ナイターがガラガラになっていた頃を思い出す。酔っ払いが荒れてました。ノスタルジーの句ですね。)

●秋旱地平遥かに戦音=砂太
△水、白=2点
(水:無機質な感じが救いの無さを増幅してる。 白:ざわわ、ざわわ、さとうきび畑…。その向こうから聞こえてくる鋼の音を実感する。憎悪の論理を人間は乗り越えられるのだろうか? )

●踊りましょう少し秋色かかしクン=喋九厘
○白=2点
(白:昭和の口調で、あっけらかんとしたパロールが小気味いい。)

●金色の千人踊灯さるる=五六二三斎
△葱、澄=2点
(山鹿の灯籠踊ですね、さぞかし幻想的なもでしょう。一度は観てみたい盆踊りです。)

●平和の子踊る手足の祖父ゆずり=入鈴
△香、前=2点

●盆踊り果てて袂の内の漠=夏海
○君=2点
(君:祭りのあとの寂しさでしょうか。 葱:「漠」がやや漠然としました。具体性があれば戴いた句です。)

●秋立ちてみずほ踊るや和風の美=喋九厘
△香=1点

●顔照らし火の粉が踊る盆の夜=秋波
△メ=1点

●原爆忌平和の語り部シワ増える=メゴチ
△小=1点

●好物と義母(はは)に供えし金平糖=秋波
△喋=1点

●他とわれと灯籠踊り笛ひそか =白髪鴨
△澄=1点

●露草や切なき平和一滴=メゴチ
△入=1点

●盆踊りベリーダンスも台上に=君不去
△澄=1点


【無選】

●貫禄のあぁ太平洋高気圧
(葱:でかい! 動かない! 暑苦しい! なるほどと唸るような貫禄です。)


B部門入選作〈back number〉

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