*B部門入選作発表*

「兼題季語:麦の秋」「兼題漢字:青」*全45投句(入選38句)


【特選】

一席
● ぎしぎしと大地の軋む麦の秋=水音


◎喋、君○夏、久、澄△白、五=14点
(君:音の面白さにひかれました。 夏:世界中で天変地異、経済の異変、日本は口蹄疫禍が続き、今年は辛い初夏です。 久:軋ませているのが何か、多分麦穂の中に体を潜めたら聞こえてくるものかもしれませんね。 白:夏へ動く大地のきしみを擬音で描いたのがよかった。躍動を軋みと受け取る感性もいい。 五:新しい感覚。)


一席
●鳥瞰の古地図とひと日麦の秋=君不去


◎雪、メ○水、資、香△入、二=14点
(雪:鳥瞰図、しかも古地図が季語にぴったり!)


三席
●脚高き青水無月の浮御堂=葱男


◎入、水○二、君△雪=11点
(水:美しい。 君:端正で美しい。)


三席
●道祖神同じ背丈に麦の秋=君不去


○砂、水、喋△葱、雪、二、香、五=11点
(水:麦にも色々種類があって、これはどれくらいの高さんだろう? 葱:おそらく中七の表現に惹かれたのでしょう。 五:昔の田舎風景。良いのだが、新鮮味がやや劣る。)


三席
●麦秋や糸引飴の糸の先=夏海


◎砂○雪、資、メ△水、二=11点
(雪:穂先と飴の糸、すごい観察です。 水:糸の先の尖りと麦の禾のとがりでしょうか。)


【入選】

●青梅や葉陰に大き意志の有り=君不去
◎澄○百、香△白、メ=9点
(百:将来がある季節。 白:大きな意思を青梅に見出した作者の視線がおもしろい。ただ、「青梅」には何でも代入できる弱さがあるようだ。)

●百人のスクラムの部歌青葉風=五六二三斎
◎夏○入△砂、水、ス=8点
(夏:部歌と青葉風が良く響き合っています。 水:でっかいむさくるしい男たちが爽やかに見えて図かな。 ス:全員で最後に歌うんですね?壮観!)

●何知らぬ顔をして青唐辛子=資料官
○入、五△水、白、喋=7点
(五:最近の私の研究と関係ある句。青唐辛子に活性酸素を発生させる薬を注入すると、赤唐辛子に。赤い色素おそらくリコピンは、活性酸素を防ぐ色素なのです。 水:よく情景がわからないけど青唐辛子がきいてるかな。 白:青唐辛子の表情をうまく読んでいる。平凡な日常句だが惹かれるものを感じた。)

●麦秋や牧師が帰る村の道=砂太
◎葱、ス△夏=7点
(葱:麦秋と牧師、緑なす田園の午後。季節も風景も人の心も美しい。 ス:絵になる光景ですね。)

●麦の秋むかし庄屋といふ邸=雪絵
○葱、百、ス△久=7点
(葱:今の代なら官僚かJPか。 百:ありそうで表現されなかった風景。 ス:今でも立派なお家なんでしょうね。 久:絵になりそうな情景ですね。)

●青葉風田んぼ時々漁の日々=水音
◎五△葱、百、喋=6点
(五:島の暮らしか?斬新な句。 葱:つまりは半農半漁ですね。いい生活形式だ。 百:「田んぼ時々」がいい。)

●確執の青の時代や薔薇に問ふ=久郎兎
○白、澄△資、香=6点
(白:若きピカソにもし青の時代と薔薇の時代がなければ、あれほどの芸術は育たなかったろう。)

●青鷺のつばさアンダンテイーノ吾も=入鈴
◎白○砂=5点
(白:語られない言葉をさりげなく語っているうまさ。最後に「吾も」と入れるときの作者の心情が伝わってくる。)

●青枇杷や高速艇の影遠く=夏海
○ス△二、資、メ=5点
(ス:鹿児島の風景にも似ています。)

●己が影濃し麦秋の中にして=砂太
○久、五△夏=5点
(久:夏至に向かって影が短く濃くなるのを見る余裕がまだある暑さ厳しくない初夏を感じさせてくれます。 五:砂太先生句?老境はこの自信が必要だ。砂太先生句でなければ単なる自惚れの却下句です。)

●畦道をそろりとそろり麦の秋=喋九厘
◎久△君=4点
(久:マムシが出るのが怖いから足で地面を踏み鳴らしたり棒で草むらを叩いたりした子供時代を思い出させてくれます。そろりそろりとではないところが、一旦止まった感じがよく出ていていいですね。)

●海と空青の境目キスを待つ=メゴチ
◎二△入=4点
(葱:「キス」って魚の鱚かあ〜、びっくったあ〜。 白:キスを待つという結びは面白いのだが少しかわいらしすぎる。海と空の境目にはもっと別のものを見てほしい気がして選外。)

●かぜ青しねずみがねこのパイつくる=スライトリ・マッド
○二、喋=4点
(葱:想像力がないのか、イメージが全く湧いてきませんでした。)

●太陽がいつぱいそして青蜥蜴=葱男
○白△百、五=4点
(白:最後の青蜥蜴がよく分からないものの、太陽との対置がおもしろい。今夜DVDを借りて帰ろうかな。 百:蜥蜴好き。 五:斡旋の青蜥蜴が良い。)

●麦秋や母に手を添へ父のもと=資料官
◎香△君=4点
(葱:映像に欲しいシーンですね!)

●麦秋を割って鉄路は港へと=水音
○雪△香、君=4点
(雪:筑後平野もこんな風景です。)

●ラリックの櫛のうす青小紫陽花=スライトリ・マッド
○夏△砂、資=4点
(夏:ラリックのガラス、良いですよね。定番の香水瓶でなくて「櫛」なのが一層良い。)

●陶の里隠す山の辺麦の秋=夏海
◎資=3点

●木刀を少女差しをり麦の秋==スライトリ・マッド
△雪、喋、メ=3点

●麦の秋父母亡き里のふと恋し=砂太
◎百=3点
(百:そういう年になってきます。)

●青蔦や推理小説読み耽る=雪絵
△砂、ス=2点
(ス:ツタと読書合いますね。)

●謝謝你青島麦酒弐拾元=資料官
○葱=2点
(葱:安売りの宣伝でしょうか?)

●樋は満ちてやれ麦秋と急かす雨=久郎兎
○君=2点

●麦秋の色する猫は十八キロ=入鈴
△葱、ス=2点
(葱:18kgはすごい!! だっこできない!! ス:メタボ猫だ〜@@)

●薔薇に問ふ青と蒼との色位相=白髪鴨
○メ=2点

●La vie青の時代と五月闇=白髪鴨
△二=2点

●金色の大波渡る麦の秋=香久夜
△久、澄=2点
(久:金麦→ビールかな?大波の麦の穂を撫でると痛そう。)

●青白き馬の馳せる夢あり明け易き=白髪鴨
△久=1点
(久:明け方の夢のようで、とりとめがないのですが、△を入れました。)

●青空を気ままに泳げぬ鯉のぼり=メゴチ
△澄=1点

●からからから絵馬打ち合はす青葉風=雪絵
△夏=1点
(葱:爽やかで乾いた風が薫ります。)

●中庭の時計を隠す青若葉=香久夜
△百=1点
(百:景色が変わります。)

●飛行雲たちまち流す青嵐=香久夜
△澄=1点

●麦の秋雲雀の降下追ひし子ら=久郎兎
△入=1点


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