*B部門入選作発表*

B部門/『季:寒紅』『漢:筆』=全48句 入選41句


【特選】

一席
●筆触れてぱつと色咲く独楽ろくろ=夏海


◎二、喋、君、百○葱、砂、資△入=19点
(君:一瞬の美しさが印象的。 葱:その一瞬を捉えて、いかにも俳句的!)


二席
●寒紅をさして小さき罪隠す=雪絵


◎水、資、メ○香△砂、秋=13点
(水:どこにでもいるような女性のちょっとした怖さ。◎◎にしたいくらい。 秋:どんな罪?隠すつもりが隠せない。)


三席
●一字書に狼の筆あばれけり=葱男


◎雪、秋○百△夏、五=10点
(葱:「鶴」という季語が入っていても「折鶴」が冬季ではないように、「狼の筆」は冬の季語ではない。でも「俳句の内側にはある」と判断して出句しました。 秋:一文字の躍動感がいい。 五:狼の毛の筆(^O^)生き生きした字が見てみたい。)


三席
●寒紅や衣紋を少し抜きぎみに=水音


◎香○小、秋△砂、二、雪=10点
(小:わかる! 秋:そこはかとない色気がいいですね。)


三席
●冬晴れの函館根室一筆に=喋九厘


◎夏、入○ス△葱、水=10点
(夏:雄大な北海道の広がりを感じます。「一筆に」が巧い! ス:雪雲の無い衛星画像ですね。発見でしたね。 葱:仕事だとしても、痛快なドライブですね! 水:雄大さを感じます。)


【入選】

●丑紅をおく指のさき曲さらふ=入鈴
○葱、五、二、資△秋=9点
(葱:艶っぽい句になりました。いい風情です。 五:三味線の稽古?粋ですね。さらっとした艶があります。 秋:何気ない指の動きに注目したところが妙味。)

●寒紅や己の心決まりけり=香久夜
◎小○水、メ、白=9点
(水:こういうことって確かにある。私にもある。それを句にできるって見習いたい。 白:女にとって装いは決意の形らしい。男が結ぶネクタイのようなものかもしれないが、やはり男には理解できない強い意志が働いているよう。 葱:きりっと男前!)

●筆初絵馬一面に志望校=資料官
◎砂、五△夏、雪、百=9点
(五:浪人の娘がいるのでついつい俳句にまで神頼みです。漢字が多いきらいはあるものの題材が良く天位にふさわしい句です。)

●寒紅や薩摩切子に酒注ぐ=資料官
○雪、澄△砂、水、香、喋=8点
(水:色彩が鮮やかな句ですね。)

●シスターの三つ編みパンや寒の紅=スライトリ・マッド
○二、雪△葱、水、君=7点
(葱:「三つ編みパン」はシスター達の手づくりなのでしょう。シスターと寒紅の落差がいい! 小:ごめんなさい三つのフレーズを重ねてイメージしてみましたが思いを理解できませんでした。)

●筆を取る水仙のある文机=香久夜
○百△小、資、雪、白=6点
(白:このような書斎のある家に住んでいるとするととてもうらやましい。) 

●書初は何と怪物幼筆=砂太
◎葱△香、ス=5点
(葱:まだほんのこどもで「書き初め」の意味もわかっていないのでしょう。いつも描いているアニメキャラを書いたのかな? ス:怪物の絵を描かれたのでしょうね。)

●寒紅のU音を発すかたちかな=葱男
◎ス○白=5点
(ス:音、色、形が連想され、よく出来た句と思います。 白:舞妓さんの紅容をU音と見た視線、「寒おすなあ」の句と同じ目線だが、U音ととらえる方が勝っていたよう。)

●寒紅や梁に柱に千社札=夏海
○五、香△葱=5点
(五:神社のお参りの風景ですか?古風な仕上がりです。 葱:なんとなく「浅草寺」を思い起こしました。下町の情緒。)

●筆はじめ硯に香るジャスミン茶=白髪鴨
◎澄△資、喋=5点
(葱:魅力的な句なのですが、「ジャスミン茶」がどう硯にからんでいるのか、もうひとつはっきりしません。)

●大寒や硬筆の芯削り込む=香久夜
○夏△五、百=4点
(夏:寒中揮毫会かな?寒さや、張り詰めた緊張感など皮膚感覚が伝わる。 五:大寒に硬筆の硬さがぴったりです。)

●ハイボール溶けゆく泡に寒の紅=君不去
○水△五、澄=4点
(水:水:寒紅ははっきりした色彩の句が多いけど、これは淡い色彩を詠んでいる点が面白い。 五:ハイボールにしたことでオミズ臭くなく洒落た雰囲気になっています。水割りやブランデーにするとオミズっぽくなります。カクテルバーだと女1人の酒かな?と感じます。)

●筆書きの庚申冬日たをやかに=スライトリ・マッド
○喋、秋=4点

●筆をもて月冴ゆ猫の尾はぴたり=入鈴
◎白△秋=4点
(白:不思議な情景。藤田嗣治の裸婦と猫の絵を思い起こしたり、ジブリのアニメを思い起こしたり…。何の関係もない要素がきれいと句におさまっているよう。)

●愛用の筆を携へ初大師=五六二三斎
○君△夏=3点

●鉛筆の芯尖りたる寒の内=雪絵
○入△ス=3点
(ス:「大寒や硬筆の芯削り込む」と同じような内容ですが、言葉の使い方がシンプルでよいと思いいただきました。)

●筆まめにいつしか惚れて雪時雨=葱男
○入△ス=3点
(ス:やっぱり筆不精より筆まめのほうがいいでしょうね。)

●雪兎ボタンの目玉に鉛筆耳=白髪鴨
○喋△君=3点

●ありがたや筆不精から寒見舞い=資料官
○君=2点

●一筆箋に恋句一句寒椿=雪絵
△小、白=2点
(白:かわいらしさが感じられる。でも作者はいずれも50代。矛盾を感じるなぁ。  葱:ここは字余りでも「一筆箋に恋句を一句寒椿」としたほうがリズムがよいように思いました。)

●色白に無ければ映えぬ寒の紅=ひら百合
○澄=2点

●絵筆持つ老体笑うな寒雀=メゴチ
△喋、君=2点

●ガリ切りし筆圧のまま初手紙=水音
○夏=2点
(夏:かつてのガリ版刷りの質感や音や匂いまで想起させられる巧さ。)

●寒紅がはんなり開き寒おすなあ=秋波
△資、白=2点
(白:寒紅の句は、男から見た女の形を愛でる句と、女から発する装い〈あるいは武装〉の意思の句に分かれていた。いずれも甲乙つけがたく、選に非常に迷った。この句は前者だが、結びの京言葉が面白い。 葱:よろしおすなあ〜。)

●寒紅やいっこ姉さん有休とる=入鈴
○ス=2点 (ス:いっこさんという固有名詞が効いている。 葱:「いっこ姉さん」という物言いが愉快。)

●寒紅を引く撫で肩のナルシスト=五六二三斎
○砂=2点

●筆圧に思ひを込めし寒見舞=メゴチ
○小=2点

●お年玉と筆書きにして明日の有り=砂太
△入=1点
(葱:「明日の有り」がいいですね、正月二日、三日あたりにお孫さんが遊びにくるのでしょう。)

●音楽に筆跡合わす冬牡丹=スライトリ・マッド
△澄=1点

●寒中の筆ペン薄く滲みおり=ひら百合
△香=1点

●寒紅で唇飾り旅立ちぬ=喋九厘
△メ=1点

●寒紅を少し濃くして愛告げず=砂太
△入=1点

●告白の罪真つ直ぐに寒の紅=五六二三斎
△小=1点

●大寒やハウス育ちの土筆かな=喋九厘
△澄=1点

●た易げに濃(だみ)筆走る初工房=夏海
△百=1点

●熱視線絵筆の先の冬景色=秋波
△メ=1点

●冬深しノートをたどる筆の音 =白髪鴨
△メ=1点


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号