＊Ｂ部門入選作発表＊

Ｂ部門／『季：陽炎』『漢：草』＝全４６句 入選３６句


【特選】

一席
●陽炎や石のきつねの動き出す＝雪絵

◎葱、夏、水、君、二、ス○砂△喋＝２１点
（君：不安定で不可思議な感覚に惹かれました。　葱：具体性を詠んで震災の大きさと怖さを暗示できた句だと思いました。　夏：夢と現の境目らしくて面白い。　水：陽炎の妖しい感じ。）


二席
●言の葉の強さ空しさ草朧＝君不去

◎五、メ、ス○資、ス△白、百＝１５点


三席
●春待ちて草の命もいとおしく＝喋九厘

◎澄○資、君△夏、香、秋、メ＝１１点
（秋：その通り。）


【入選】

●春泥や爪先立ちて草野球＝水音
◎小、雪○白△葱、前＝１０点
（葱：なんか女々しい草野球だけど、ほほえましいですね。ちがうか、爪先立つのは観戦している女の子かな？）

●鬱々と巡らす目を射て草萌える＝秋波
◎百○前、メ△砂、白＝９点
（白：句としての完成度は分からないが、今の自分の心境に共鳴するものがあった。）

●まなざしもくもりたる日々草青む＝白髪鴨
○水、前△小、秋、雪、メ＝８点
（水：山焼きをしても、すぐに草が芽吹く。生命力に力づけられる。）

●草まくら流離の鷹も鳩となり＝白髪鴨
◎秋○夏△水、君＝７点
（秋：のんびり気楽な一人旅ならやさしくなれるということでしょうか。　夏：鷹鳩となるような穏やかな日和は、寒さが辛かった避難所暮らしの人々にも優しいことだろうと。）

●イチニッサン準備体操春の草＝雪絵
○夏、二△砂、白＝６点
（夏：人々と一緒に、雑草も準備体操。これからは庭の草取りに追われます。命のパワーをもらって幸せとも言えますが。　白：「準備体操」ではなく、「ラヂオ体操」だったら、○だったのになあ〜。 ）

●かげろふの月光溶かしそそのかす＝ひら百合
◎喋○五△資＝６点

●陽炎や瓦礫のなかの幽霊船＝葱男
○香△資、前、秋、雪＝６点
（香:壊れた家の屋根に乗り上げてる光景が、津波の凄さを見せつけてました。　秋：ビルの上に船がのっている映像もありました。陽炎が非現実感をうまく表現していると思いました。）

●茎立ちの草に問はるる子の去就＝砂太
○水、香△二、ス＝６点
（水：子どものことをいつまでも心配してしまう親心が季語でよく表されいる。）

●摘草や犬の鼻面土の色＝スライトリ・マッド
○砂、百△夏、前＝６点

●陽炎やあの町はきっとそこにある＝水音
◎白△葱、喋＝５点
（白：震災を意識した句かもしれないが、それ以上に詩的感動を感じる。わずか数行しか知らないデーメルの詩句にも似た感動を。　 葱：「消えるもの」と「消えないもの」があります。）

●陽炎や揺れているのは私かな＝資料官
◎砂○雪＝５点

●春雷や山川草木立ちあがれ＝夏海
○小、澄△ス＝５点

●もどかしき白煙の先陽炎ひぬ＝香久夜
◎前△水、君＝５点

●料峭や草摘み暮らす人の知恵＝水音
◎香○白＝５点
（香:厳しい春寒の季語なんですね。深い趣を感じます。　白：達人の生なのだろうか。清らかさを感じる。ところで「料峭」という季語、初めて知ったのだが、誰か語源を教えてください。 ）

●愛深し日本列島かぎろへど＝葱男
○澄△香、百＝４点

●糸遊や今いきいきと生き処＝ひら百合
◎資△夏＝４点
（資：陽炎を糸遊と詠んで「い」の繰り返しが巧みと思いました。生きるの「い」，いのちの「い」。）

●瓜坊のドスンと落ちて草霞む＝スライトリ・マッド
○君△葱、喋＝４点
（葱：動物園？）

●陽炎や紙を通さぬα線＝夏海
○雪、百＝４点

●草の芽やままごとの器もごちそうに＝小夜女
○秋、二＝４点

●捨てられてはうれん草の紅悲し＝資料官
○葱△香、澄＝４点
（葱：これも「はうれん草」という具体性のなかに被災の悲しみをよく伝えていると思いました。）

●陽炎の生ある限り希望あり＝喋九厘
○メ△澄＝３点

●草の花命冥加を言へる人＝夏海
○五△資＝３点 （葱：「草の花」は「秋」ですね。）

●三陸の波に呑まれし春の草＝前鰤
○小△雪＝３点

●座りこんで草摘む妻に日の香る＝砂太
○葱△小＝３点
（葱：距離感がいい。永年の夫婦関係、いろいろある分、愛おしいですね。小：全体的に暗い句が多い中ほっこりさせられました。）

●泥の海手ずから草を掘り分ける＝香久夜
○秋△小＝３点

●陽炎の伸びゆく空へスローガン＝五六二三斎
△砂、二＝２点

●草まくら旅にしあれよ風光る＝白髪鴨
△水、澄＝２点

●下町の狭きマンション草の絮＝五六二三斎
○ス＝２点 （葱：「草の絮」は「秋」の季語です。）

●亡き友の陽炎ごしの笑い顔＝メゴチ
○喋＝２点

●若草や災禍に生れし女の子＝雪絵
○喋＝２点

●陽炎に瓦礫土くれ現とは＝君不去
△百＝１点

●コンビニのパック草餅これで良し＝資料官
△君＝１点

●セシウムの雨かとおもふ草朧＝葱男
△ス＝１点


【入選】

●おごそかに震度９越え草萌えよ
（葱：「おごそかに」の使い方がちがうんじゃないか、句の意味が判断できなかった句です。国語辞典では「おごそかに＝気持ちが引き締まるぐらい重々しい様子」とあります。）


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