*B部門入選作発表*

B部門/『季:遅日』『漢:橋』=全43句 入選38句


【特選】

一席
●ひちりきの不意に流るる遅日かな=雪絵


◎水、資、喋、君○五、白、秋△夏=19点
(水:遅日ならではこの音にめぐり合えたと言う喜び。 資:不意に流るるという意外性に遅日がぴったり合っていると思う。 君:一瞬の静寂を感じて。 五:ひちりきの言葉自体に神秘性がありますね。「不意に流るる」がやや作為的な気もします。 秋:春と秋とでは音色も違って聞こえる。 夏:各地で藤や躑躅などの花まつりが催されていて、その一コマか。ピッタリの季節感。)


二席
●聖堂に絵硝子いくつ暮れかねる=夏海


◎雪○白、メ、入、前△五、資、ス、喋=15点
(雪:「暮れかねる」が何とも言えませんね!いつまでも見ていたい心情が伝わります。 入:こんな風に聖堂でゆっくり過ごしたいものです。 五:日永にステンドグラスは合いますね。 ス:教会のステンドグラスに日がさして・・きれいな光景ですね。)


三席
●つばめ来て肥後の石橋水放つ=資料官


◎二、ス、秋△五、水、澄、メ=13点
(ス:ツバメと通潤橋も合うし、九州新幹線の開通にもぴったりで。 秋:水面をかすめる燕。初夏到来の句。 五:通潤橋のことかな?爽やかな句ですね。 葱:この「つばめ」、新幹線とかかってる??? いずれにせよ佳句です。)


【入選】

●初夏へ水道橋をくぐりけり=葱男
◎砂○二、雪、夏△澄、ス=11点
(雪:くぐった先は、青葉若葉でしょうか?「初夏へ」がいいですね! 夏:季節の変わり目の肌感覚。 ス:どこの水道橋でしょうか?初夏やでなく初夏へとしたところがみそかな。)

●遅き日や身の丈程の辞書を繰る=スライトリ・マッド
◎葱○五、君△水、白、入=10点
(葱:「英国図書館」の中とか、そんな格調の風景を思い起こしました。 五:身の丈程の辞書って何だろう?不思議な句です。 水:どんな大きな辞書?或いは小人?心象風景?気になる。 入:どんな辞書?楽しそう。)

●この橋を渡ればアジア豆の花=葱男
○水、ス、君△二、夏、入=9点
(水:ボスポラス海峡のあの橋ですか?ロマンを感じるし、きっと日本とはちょっと違う豆の花に違いない。 ス:ボスポラスの橋でしょうか?スケールの大きな句でよいですね。 夏:ヨーロッパとアジアを繋ぐスケールの大きさが良い。 入:トルコ、イスタンブールのことでしょうか?去年パイロットとして果敢にトルコへ渡った丘23がいるよ。様々な豆の料理があるらしい。)

●帯塚や経読む人に暮遅し=砂太
◎夏○葱、秋△雪=8点
(夏:帯塚のあるお寺は吉野太夫にも縁があるとか。暮遅しがピッタリ。 葱:「帯塚」とは女性の心の象徴である「帯」に感謝し、供養するために寺に建てられた石塚だそうである。雰囲気あるーう。 秋:無心の人の影も春は優しげ。 雪:帯塚ってあるんですね。)

●春日遅々遊び呆ける雀二羽=水音
◎澄○前△二、白、秋=8点

●風紋をつぶして歩く遅日かな=水音
○雪、喋△小、入、秋、前=8点 (雪:風紋があれば、きっと私もそうしたでしょう。罪の意識を感じながらもいろんなことに思いを馳せながらね! 入:退屈せん人やと思う。 葱:佳句です。)

●曖昧のぼーるの白や日の遅く=入鈴
◎メ○ス△白、前=7点 (ス:ボールをひらがなにした訳は?なんだか不思議な感じのする句です。 葱:「曖昧の」の「の」の使い方が不思議な句。情景としては夕方のキャッチボールを思い浮かべます。)

●かけ橋の鉄路戻れと春行く日=喋九厘
◎小○メ△君=6点

●遅き日や鳥のごとくに坂下る=白髪鴨
◎入○砂=5点 (入:鳥は尾長などを想像します。 葱:「鳥のごとく」に自虐的なペーソスを感じる。)

●マダムX紅さす耳や暮遅し=スライトリ・マッド
◎白△雪、砂=5点
(白:残念ながら今回のB部門には〈自分を含めて〉評を書きたくなるような句はなかった。唯一、この句があやかしき色彩を語っていた。雪:何だか妖艶な雰囲気。)

●舞ふ桜海峡橋を風のまま=夏海
○水△五、資、澄=5点
(五:措辞の「風のまま」が決まります。上五の「舞ふ桜」が季語として相応しいか?例えば、「花片や」ではいかが?動詞を入れる意味では、元句で良いか?)

●犬も跳ねもう一巡りと遅日かな=秋波
◎前△君=4点

●スーちゃんもう春ですね終の橋=メゴチ
○葱、澄=4点
(葱:最初に一拍あればすごくいい句ですよね!「・スーちゃんもう春ですね終の橋」。)

●太鼓橋「未来」を渡る春日傘=雪絵
  ○砂△葱、夏=4点
(雪:太宰府天満宮。 葱:句のかたちが美しい。 夏:太宰府天満宮の現在・過去・未来の橋は、「振り返らずに渡って!」とガイドさんが案内してますね。)

●橋に似て友のあること誓子の忌=入鈴
○喋△小、砂=4点

●独り居の母の夕餉や暮れ遅し=資料官
○小△ス、メ=4点
(ス:去年亡くなった母の姿に重なるところがあります。)

●暮遅し豆の缶詰ふくらみぬ=葱男
○水△喋=3点
(水:えっ?なぜ膨らむ?発酵?何の豆?と?だらけですが、じっと見ていると膨らむかもしれないと思える遅日。)

●鎮魂の花の架け橋いま北へ=秋波
○小△砂=3点

●春惜しむ常盤橋より女川=水音
◎五=3点
(五:歌謡曲風ですが、橋のお題ですから、色っぽいのも良いでしょう。常磐と言えば常磐御前? 葱:これは、宗匠の云うところの「地霊」の句でしょう。)

●宝満に夢入り残る遅日かな=喋九厘
○資△君=3点
(資:早朝から山を駆け巡ったカメラマンが遅日をジンと感じている有様を思う。)

●眼鏡橋めがね曇らす花筏=五六二三斎
○資△二=3点
(資:川面の花筏をくもりと見たところに共感というより驚嘆。画家のよう。)

●あたらしき橋現れて草若葉=入鈴
○澄=2点

●暮遅し池のほとりを帰らうか=砂太
△小、前=2点
(葱:逍遥遊記、といった風情です。)

●橋渡る三代夫婦春の風=スライトリ・マッド
○二=2点

●花衣薄紅色の橋の下=秋波
△資、メ=2点

●春の海橋の向かふにぽんぽん船=メゴチ
△喋、秋=2点

●藤一輪われら美しき橋架けぬ=白髪鴨
○入=2点
(入:中句の字余りが、かえって重厚な橋を思います。)

●夕日受く島の診療所の遅日=雪絵
○夏=2点
(夏:島と遅日とは相性が良い! 葱:「夕日」と「遅日」と重なったのが惜しい。)

●遅き日のひかりメトロに差し込めり=資料官
△葱=1点
(葱:メトロに差し込む光、というのが一興。)

●仮設橋春水仙の見上げける=香久夜
△雪=1点
(雪:被災した家の庭に水仙が咲いたニュースがありましたね。何だかほっとする出来事でした。)

●絶筆は松原の海暮遅し=五六二三斎
△葱=1点
(浅学にしてどなたの絶筆のことかはわかりませんが、長谷川等伯?)

【無選】 ●ひび割れの赤き土壁に遅日かな
(葱:佳句です。)


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号