*B部門入選作発表*

B部門/『季:露草』『漢:地』=全44句 入選35句


【特選】

一席
●露草や風に微かに発電す=葱男


◎喋、白、百○五、水、夏△砂、雪、君、香、入=20点
(白:「発電す」がいいですね。思わず賢治の詩集を読み直したほど賢治の感官です。 百:なるほど 。 五:発電すると言い切るところが俳句です。光合成生物はエネルギー作ってますから、植物に発電させることも将来は可能になるかもしれませんね。 水:儚い青さが時に硬質なものを含んでいるように見えるので発電とは面白い。 夏:「発電」が面白い。 入:面白かあ!)


二席
●作兵衛の地下の絵巻や鳳仙花=雪絵


◎砂、香○葱、君、二△水、夏=14点
(雪:世界記憶遺産。 葱:「鳳仙花」にはなぜか「時代の流れ」を感じてしまいます。故郷へ向かう最終に乗った気分です。)


三席
●原爆忌地球いくつも火を焚けり=砂太


◎五、ス○雪、二△水、君=12点
(五:今回は社会派俳句が目に止まった。昔は原爆今や放射能にまみれた日本。まさしく灼熱地獄です。地球を日本にしたいところですが、兼題にならないし、地球としたことで、人類への警鐘になってますね。 ス:いろんな火が焚かれているのでしょうが、ピカドンは二度とあってはならぬものですね。 雪:ほんとに暦の上だけの立秋でした。 葱:大文字焼きの騒動を思いますね。平泉では被災地の薪で護摩を焚いたそうですが、京都はまた嫌われましたね、「京都は都やさかい、放射能てなややこしいもんは堪忍しとおくれやっしゃ〜!」とは鼻持ちならない。)


【入選】

●稻の花対馬の飛び地ありし町=五六二三斎
◎夏○ス、白△水、喋、君、二=11点
(夏:対馬と聞けば、隣国との歴史のあれやこれが思われます。更に「飛び地」となるとドラマが何本も撮れそうな・・・。 ス:九州に対馬の飛地がいくつかあるようですね。対馬のオメガ塔どうなったのかなあ? 白:ありきたりの光景をスケール大きく詠んだところが素敵です。)

●新涼や歩幅を広げ地を蹴りぬ=香久夜
◎メ、前△ス、白=8点
(ス:世界陸上の中継を連想しました。 白:体で新涼を感じているあり方に好感が持てます。)

●露草や蛇の目の傘のひらく音=夏海
○砂、資、香△二、前=8点

●つゆくさや東を向きて思ふこと=雪絵
○君、白、入△夏、二=8点
(白:東を向いて「思う」ことの含みが句の幅を広げていると感じます。 入:東北とは露草の生える地続きの作者か?露の流れゆく海だって確かに東北と繋がってます。 葱:☆「東」と置いたところがいい。震災のことだけではないのだろう。)

●露草やよこがほの瑠璃かしぐ瑠璃=入鈴
○五、秋△葱、メ、夏、二=8点
(五:小さきものの謙虚さを感じる。上から目線の政治家たちに露草を煎じて飲ませよう。 秋:露草って素朴な雑草のイメージですが、そこにも色々な表情があって。その表現力に脱帽です。 葱:少し首を傾げた女性の耳に、ぽっと青く光るイヤリングを思いました。)

●大地よりきりりと離るる赤カンナ=君不去
◎葱○喋△メ、白=7点
(葱:「と」は不要かも。「離るる」がいい。 白:カンナの凛々しい立ち姿がきれいに詠みこまれていると感じます。)

●地球儀の始まり問はむ赤蜻蛉=夏海
◎水○香△資、ス=7点
(水:地球儀の始まりを考えたこともなかったけど、赤とんぼとの取り合わせが懐かしいような。 ス:そういえばトンボさんってニックネームの先生いましたね?!)

●露草の飛び立ちさうな構へかな=葱男
◎入○百△砂=6点
(入:そういう茎立ちの構えしてますもんね。 百:蝶のような,・・・。)

●秋の蝉かの地の中で告発す=メゴチ
◎君△五、百=5点
(君:”何を”かを考えさせられます。 五:社会派の句。福島では蝉は住めないと嘆いています。地面から放射能を思い立ち、秋の蝉に結び付けた。告発するのは人間でなく、秋の蝉のような気がします。 百:放射能はどう影響するのか。)

●一石は一人一年地蔵盆=五六二三斎
○夏△葱、メ、資=5点
(夏:命を支える”食”のことなど色々考えました。地蔵盆もピッタリ。 葱:一、一、一のリズムに。)

●眼下ゆく雲に青花放り投ぐ=君不去
△五、喋、秋、二、百=5点
(五:山頂の露草。眼下の雲。これは、資料官さんの実景句か?解放感に溢れています。 秋:露草って湿地のイメージでしたが、どこに寝転んでいたのかな。 百:これも鎮魂の句でしょうか。)

●黒猫や簾の並ぶ路地の顔=秋波
◎資○前=5点

●さむし風われとともに老ひよ蛍草=白髪鴨
◎秋○葱=5点
(秋:老いを受け入れ飄々としている?寂しい?それとも自嘲気味に抗っ ている?その時の読み手の心情によって味わいが変わる句で深いと思いました。 葱:同じような心境で「めーる一行詩」にこんな句を投句しました。「夕な夕な薄れてゆくは男郎花」。)

●蝉止みて地中に幾多の命あり=香久夜
○喋△秋、白、入=5点
(白:継がれる生命のありようをうまく詠っています。翻って、生命とは継いでいくしかできない哀しさも感じます。 入:あまたと平仮名のほうが好きかも。)

●露草の水路教える素の青さ=秋波
○百、入△資=5点
(百:水のあるところねぇ。 入:さ行音いっぱいで句の雰囲気に合ってる. 葱:☆「水路教える」が発見。)

●地蔵角交番日記つくつくし=スライトリ・マッド
○雪、資=4点
(雪:「三丁目の夕日」みたいな懐かしさ。 資:鹿児島天文館の交番ですね。灰が降る残暑の頃を思い出します。)

●青花やジオラマ写真語りける=スライトリ・マッド
◎雪=3点
(雪:「青花」という言葉が、ジオラマの雰囲気を醸し出しています。)

●地を叩くサクラモンテに地の踊=葱男
○ス△雪=3点
(ス:スペインのフラメンコですか?実物見てみたいですねえ。 雪:スペインのサクラモンテ?、情熱的な踊りでしょうか。)

●露草や校舎は鉄筋耐震に=香久夜
○水△雪=3点

●蒙古斑残る少女や蛍草=スライトリ・マッド
△砂、五、喋=3点
(五:もっと点盛りしても良かったかも。今回は社会派俳句に霞んでしまった。二句一章句はかく詠むべしのヒントを貰った。蛍草→青→蒙古斑→青少年。俳句とは、類似と反対を織り混ぜて詠むものか?生と死、成功と失敗、愛と憎。そんな俳句に出会ってみたい。)

●ヴィオロンの音色うつせりうつし花 =白髪鴨
○メ=2点

●裏庭の地の恵みかな茗荷摘む=前鰤
△香、入=2点
(前:茗荷は、摘むのか、掘るのか、採るのか、よく分かりません。実際には、つまみ上げるという感じですが・・・。 入:こんなささやかな幸福が蝕まれたら、と福島の方々を思います。 葱:うちの庭でも今年はじめて茗荷の恵みがありました、20個ほど収穫しました。)

●地地ヂヂ地花火線香落ちにけり=メゴチ
○秋=2点
(秋:こういう言葉の遊び方もあるのですね。)

●露草やそつと神秘な息づかひ=資料官
○メ=2点

●天地人甲乙丙丁夏期講座=資料官
○砂=2点

●ナポレオンに被せてみたし帽子花=君不去
△前、香=2点
(葱:ちょっと、ほっこりしますね。)

●かの地まで夜汽車走りて虫の声=喋九厘
△前=1点

●原爆忌羽音地面を打つばかり=水音
△ス=1点
(ス:原爆の痛ましさが飛べない虫の羽の音に重なり、伝わってきます。)

●古城址の垣の露草忘れ貝=砂太
△秋=1点

●大胆に細かき刺し子蛍草=夏海
△葱=1点
(葱:目は細かいけど、布一面に縦横に縫ってあるのが大胆なんですね。)

●露草のぼうしさがして玉川町=入鈴
△百=1点
(百:「露草のぼうし」ってどんなんでしょう 。 葱:☆帽子花、ですからね。 資:顕微鏡で気孔をのぞく教材探しに大牟田線線路脇を歩いた。)

●露草や古里人の色薄く=砂太
△前=1点


【無選】

●地方紙の一面飾る遠花火
(葱:☆間遠い、地方の打ち上げ花火に惹かれます。)


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