*B部門入選作発表*

B部門/『季:茸』『漢:砂』=全46句(入選34句)


【特選】

一席
●砂時計の誤差ほどのこと温め酒=夏海


◎香、百、資○砂、水、君、雪、前、二△白=22点
(百:なんの誤差かわかりませんが・・・ 。 資:大酒飲めば無病息災もないということでしょうか。 水:ほんの些細なことが小骨のように喉に引っかかって、、でもたいしたことではないと。 白:この誤差は大きなものであるとともにうつろう誤差です。誤差というよりも「差異」の感覚が非日常を象徴し、それがさらに下の句の日常へと重なる面白さを感じます。)


二席
●六感はこめかみにあり月夜茸=葱男


◎メ、雪、澄、白○夏、百、資△前、二=20点
(雪:納得させられる句。 白:下の句にはいろいろな季語をもってこれるのでしょうが、月夜茸であることが凄みになってますね。作者のsix senceは何を感じているのでしょうか。A部門、B部門を通じて今月のトップ賞でしょう。  夏:「こめかみ」が面白い。 百:こめかみがいい。 資:食用茸に似たあやしげな毒キノコの句がありましたがピンと来たのはこちら。虫の知らせは月夜茸ということか。)


三席
●砂洲に佇つ鷺の一二歩冬近し=砂太


◎秋、二○喋、メ、百、入=14点
(秋:絵になる風景です。 百:いかにも寒そう 。 入:鷺は留鳥なので、厳しい冬でなければと願います。 葱:☆俳句です。)


【入選】

●長き夜や返さぬままの砂時計=資料官
○水、香、入、雪△砂、夏、メ、君、前=13点
(水:長き夜は、返しそびれた思いを引きずる長き年月なのですね。 入:ドラマ?あるいはドロボー? 葱:☆ちょっといい。)

●こぼれ萩風にうつろふ砂絵かな=秋波
◎前○喋、白△五、メ=9点
(白:萩も砂絵もここでははかなさを語っているようです。秋の憂鬱がモノクロ写真のように見えてきます。まるで高校生のような拙さですが、その感覚は好きです。 五:砂絵句を候補に考えていたのに完成せず。なかなかいい感じですね。何故、砂絵が風に移ろうのか?もしかしたら、こぼれ萩の咲いてるところが砂地かもしれません。 葱:☆「光悦寺」の萩が浮かびました、佳句。)

●あらばしり銀の砂太の立ちまよふ=入鈴
○葱、香、ス△五、資=8点
(葱:「砂太」先生を句にした大胆さと思いきりの良さに感服しました。 ス:砂太先生のことですか?! 五:砂太先生の酔狂を表現したものか?銀は砂太先生の白髪と砂の色の銀を懸けているのか?部長の句でしょうか? 資:いぶし銀の砂太センセも新酒にあっては敵いません。)

●非常ベル鳴らしてみたし笑茸=水音
◎砂○五△葱、香=7点
(五:ちょっと危ない感覚を笑茸でくい止めた。人間の衝動を上手く表現している。 葱:悪戯心は「俳句」にどう馴染んでゆけるのでしょう。)

●イトカワの砂の粒より秋の声=スライトリ・マッド
◎水△砂、香、前=6点
(水:大宇宙の中の極小の砂粒の対比。宇宙が秋色に染まっているかのよう。 葱:☆ロマンあり。)

●くさびらやテントの夜の真暗闇=葱男
◎ス△五、百、入=6点
(ス:きのこと夜のテントとよく合ってます。 五:くさびら句は2句とも採用しました。掲句は、陰湿な茸のイメージです。 百:茸狩りにテントはやってみた。 入:わかるわかる、マタンゴとか〜〜。)

●砂時計林檎は紅き海にあり=秋波
◎夏○白△二=6点
(夏:林檎の収穫風景か?林檎風呂か?良い香りがしてくる。 白:小松左京の「果てしなき時の流れの果てに」を髣髴としました。因果律と時間流を突破した感のある句ですね。)

●月夜茸真つ逆さまに墜ちる夢=五六二三斎
○夏△砂、水、雪、白=6点
(夏:夢の感覚に覚えあり!怖いですね。 雪:写真で見ると不気味な感じのする茸ですね。 白:月夜茸の妖しさがうまくはまっています。悪夢はいろいろ見ましたが、幸いにしてまだ堕ちる夢だけは見たことがありません。 )

●招かれし砂太先生萬年青の實=五六二三斎
○葱、君、雪=6点
(五:「祝俳句界デビュー」。 君:おめでとうございます!! 雪:おめでとうございます。萬年青、しかもその実、まさに砂太先生ですね。 葱:俳句は基本、「挨拶句」です。)

●名人の手のひら厚し茸を狩る=夏海
◎葱△秋、君、二=6点
(葱:ちょっと上手すぎるのが難点ですが。 秋:年季の入った手の強さと温かさが伝わります。これはやっぱり松茸なんでしょうねえ。)

●秋の暮れ届かぬものは星の砂=ひら百合
○メ、澄△喋=5点

●角砂糖の三角五角後の月=夏海
○資△水、雪、白=5点
(資:角角とリズム感が心地よい。 白:ほんの指先ほどの大きさの異形を見る視線が、何か不安定な感情を生み出しているようです。どこか心の中の異形をみているような…。 葱:☆「三角の角砂糖」がやや疑問だけど、リズムの出てくる俳句ですね。)

●蹴りつけし毒の茸の煙吐く=砂太
○五△葱、君、ス=5点
(五:毒茸を詠むのは難しいことです。敢えて挑戦してくれたことを評価したい。煙を吐く、まさしく毒々しい。 葱:いいなあ〜、骨太の写生。 ス:毒キノコの逆襲か?!)

●砂蒸し風呂かほを抜け行く秋の風=資料官
○秋、二△澄=5点
(秋:いい旅、いい気分。)

●旅先も定時に目覚むきのこ汁=雪絵
○秋、ス△入=5点
(秋:日常を離れてもいつもの癖ってでるもの。苦笑しながらも茸汁に ほっこりする場面が目に浮ぶようです。 ス:女性の句でしょうかね? 入:こんな旅って少し可哀想だが、救いはきのこ汁か?)

●きのこスープひようたんつぎも入れてます=スライトリ・マッド
△葱、喋、澄、二=4点
(葱:あはは、愉快、愉快!)

●くさびらはもりのいろをしているよ=白髪鴨
◎五△夏=4点
(五:字足りずの句。新しい可能性、挑戦に◎。生物学的には茸は森の色をしていません。森の色は光合成生物の緑色のことでしょう。従属栄養生物の茸が緑色をしてないにも拘わらず、森の色をしていると断定したところに俳句があります。それは、森の動物或いは小人の色かもしれません。)

●神宮や砂利道撫づる落葉掻=雪絵
◎君△ス=4点
(君:”撫づる”で決まりました。 ス:砂利道の掃除は、そう、撫でるようにですね。)

●秋行けり瑠璃色の砂時計より=五六二三斎
○砂△資=3点
(葱:☆「瑠璃色」の他の色でためしてみたくなりました。)

●茸の香義手操りてオムレット=香久夜
△秋、入、二=3点
(入:こんなことが既にできるの?元気が出ます。 )

●砂時計さらさらさらと秋暮るる=白髪鴨
◎喋=3点
(葱:☆感覚がいい。ただ、中七全部では音が流れすぎるか。)

●爽やぎて母白砂に子らを待つ=香久夜
○前=2点

●砂遊びだあれもいない暮の秋=メゴチ
△水、澄=2点

●猫はしる糸萩の砂こぼれけり=秋波
△香、百=2点
(百:「糸萩の砂」ってなんだかわかりませんが。)

●みちのくの秘湯のゆふけ茸飯=資料官
○澄=2点

●もみづるや抽斗にある星の砂=水音
△夏、百=2点
(百:ダイヤモンドだよね 。)

●砂の城忘れ去られて秋の暮=メゴチ
△資=1点

●玉砂利に下駄をすくわれ秋気配=喋九厘
△メ=1点

●万妖祭砂に書かれし文字は消ゆ=葱男
△秋=1点

●ぽんぽんの菊良かりしに白き砂=入鈴
△喋=1点

●松茸のパックはみ出す道の駅=雪絵
△ス=1点
(ス:先日行った指宿の道の駅で同様の光景を@@。バラの花でしたが。)


【無選】

●アリスの迷いキノコの片方青虫かな
(葱:☆楽しい。)

●ちびまるこおよそ伝説松茸飯
(葱:☆ははは、アニメの国、にっぽんです。)

●身のうちに電気流るる茸狩
(葱:☆読みかえすごとに何か新しさが垣間見える。


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