*B部門入選作発表*

兼題『季:黄落』『漢:石』=全57投句(入選44句)

【特選】

一席
●紅葉かつ散るつぎはぎの石畳=紅椿


◎ラ、ま、雪○久△資、砂、五=14点
(ラ:「かつ散る」と「つぎはぎ」が、共鳴しています。 ま:つぎはぎの石畳が素敵です。 雪:かつ散る紅葉には、つぎはぎが似合う! 久:葱男さんの紹介で同窓生と行った銀閣寺の近くのお寺を思い出しました。夏に行った時、青いモミジが石畳に張り付いていて秋は素晴らしいのではと思いました。 五:この季語を使い詠まれたことに敬服の人位。)


二席
●石ぬちに眠れるマリア蔦紅葉=葱男


○馬、水、資、雪、メ、ス△喋=13点
(水:蔦紅葉の鮮やかさが静けさを際立たせています。 雪:石に彫られたマリア像?蔦紅葉がいい。)


三席
●石に棲む未知の数式秋気満つ=葱男


◎馬、前、ス○十△久=12点
(十:ピラミッドのような古代遺跡に書かれた数字なのか。神々しい数の羅列。 久:見えないものとの格闘ですね。科学が発達しても見えないものがたくさんあります。放射能もね。人生もそうだと思います。逆に全部見えたら生きられないけど。)


三席
●樟の実や幾千の名の子安石=雪絵


◎水、香○秋、前△喋、五=12点
(水:物寂しい晩秋の句の中で一番喜びを感じる句でした。 五:宇美八幡宮の子安石?)


三席
●ゆうくりとつまづく石や暮れの秋=メゴチ


◎紅、喋○久、修、砂=12点
(紅:確かに石につまずく時はスローモーションのような動きになりますね、発見がすばらしいです。そして季語が効いています。 久:ゆっくりした時間の流れですね。主眼が人ではなく石であり、秋の暮れではなく暮れの秋、ゆっくりではなくゆうくり、達人の句ではないでしょうか。)


【入選】

●黄落や珈琲豆の専門店=ラスカル
○修、ぼ、紅△資、ま、メ=9点
(ぼ:シャンソン出そうな、おしゃれな句。 紅:色の対比が鮮明。そして良い香りがし、店構えも見えてきます。 ま:視覚、嗅覚的に鮮明です。)

●黄落や大学ノートにカント論=雪絵
◎ぼ○ラ△葱、紅、砂、ス=9点
(ぼ:黄落が引き出す、青春の回想。 ラ:ご自分の、学生の頃のノートでしょうか。 葱:大学のキャンパスには「黄落」がよく似合う。)

●好きな石詰めしポケット秋の山=スライトリ・マッド
◎久、五○雪=8点
(久:ポケットの膨らみを山と直接表現しないで、さりげなく紅葉の山と結んでるところがいいです。 五:懐かしいひとりぼっちの山登り。その石が今も机の上に。 雪:子供の頃って、大人では考えられないような物を集めたりします石もその一つかな?)

●黄落や倖せですかと妻に問ふ=十志夫
○ま、香△馬、紅、メ=7点
(ま:一番気になっていたお句です。奥さまはなんと答えられたのでしょう。)

●黄落のベンチに開く電子辞書=ラスカル
○五△久、ま、香、雪=6点
(五:現代の大学キャンパスに。新感覚句になった。 久:自然現象とハイテクを組み合わせたところがいいです。 ま:一句浮かんだのでしょうね。 雪:今どき本ではなく、電子辞書だったり、パソコンだったり、ですかね。)

●黄落を焦眉としたり水を買ふ=砂太
○水、喋、メ=6点
(水:水を買ふがずっこける感じでおもしろい。 葱:「水を買ふ」の重い実感。)

●母屋へと続く飛石こぼれ萩=紅椿
○資、ま△水=5点
(ま:秋らしく美しい景が目に浮かびます。)

●コスモスが大好き石のほとけたち=ぼくる
○五△葱、水、砂=5点
(五:コスモスの花は昔から日本にあったとは思えない。おそらく明治以降か?ということは仏たちは、明治以降好きになったのだろう。コスモスが仏たちを生き返らせた。生命感に溢れる句。 葱:童話や絵本の世界。中島潔にありそう。)

●千手なる銀杏黄葉の佛たち=五六二三斎
◎秋○紅=5点
(秋:全身黄色く色づいた銀杏は確かに輝いて見える。 紅:「銀杏黄葉」を見事に使いこなしていて、勉強になりました。)

●残る虫石燈籠の兵黙す=香久夜
○メ△秋、五、前=5点
(五:知覧の句の作者か?)

●廃屋の土間に石臼ゆず匂ふ=修治
◎砂○ラ=5点
(ラ:視覚と嗅覚の融合。)

●石段に本読む人や黄落期=雪絵
◎修△ラ=4点
(修:屋外の読書はこんな明るい黄葉のなかで。 ラ:まさしく、「読書の秋」ですね。)

●黄落に逆らふ一葉我見たり=久郎兎
◎メ△前=4点

●黄落や駅に伝言板の失せ=ラスカル
○葱△ぼ、ス=4点
(葱:昭和のぬくもりが一つ消えた。 ローカル線の無人駅でしょうか、携帯の時代ですもんね、もう「伝言板」からは物語が生まれないなあ。)

●黄落やオールドブラックジョーふと唇に=ぼくる
◎葱△ラ=4点
(葱:字余りがかえって気持ち良いような・・・、ついついメロディを口ずさんでしまいますね。 ラ:「オールドブラックジョー」の曲調が、黄落にぴったり。)

●黄落や甲斐なき思い消えやらず=秋波
○香、前=4点

●秋うらら石窯のピザ焼ける香に=まさこ
○砂△ラ=3点
(ラ:石窯のピザ、とても美味しそうです!)

●石佛の鼻から鼻へ秋の蝶=資料官
△十、香、秋=3点
(十:野仏または五百羅漢を移り渡る蝶。「花から花」でなく「鼻から鼻」といったところに俳諧味。 秋:春なら花から花。遊び心?)

●石焼の芋差し出して友来る=十志夫
○葱△ま=3点
(葱:友の来訪にもうひとつ喜びがプラスされた気分。 ま:お友達との温かな関係が伝わってきます。)

●色無き風腎臓の石動きけり=まさこ
○秋△修=3点
(秋:季語がいい。結石は転げまわる痛さと聞きますが、それをも客観視する作者の目。)

●黄落や居眠りと云ふ名人芸=葱男
△香、喋、秋=3点

●黄落や結婚線はいづこへと=水音
○喋△雪=3点
(雪:ジョークと受け取りましたが・・?)

●黄落や世界遺産の森の中=ぼくる
◎資=3点
(資:おそらく世界自然遺産の中の黄落,大自然の営みを感じる。)

●黄落やテレフォンカードの切れる音=資料官
○ス△ぼ=3点 (ぼ:何かドラマを感じます。)

●盤石の中継ぎ押さへ神の留守 =十志夫
△水、紅、前=3点

●北京秋天貝はいつしか石となる=水音
◎十=3点
(十:悠久の時の流れと北京の秋の空が相俟って雄大な句となっている。)

●石橋を叩いて渡る秋の風=喋九厘
○馬=2点

●碑は憶良なりけり古都の秋=砂太
○ぼ=2点 (ぼ:憶良の碑は正に秋にふさわしい。)

●刈田にも百万石の自負見たり=久郎兎
△馬、資=2点
(資:百万石の自負が良い。)

●黄落へ転びて母と子の笑顔=砂太
△修、馬=2点

●黄落やビー玉捜す一人っ子=白馬
△十、ぼ=2点
(十:兄弟姉妹のいない一人っ子の寂しさが、「黄落」「ビー玉」に滲み出ている。 ぼ:哀愁あり、映画の一シーンを見るような。)

●はとバスの半日遊覧黄落期=資料官
○十=2点
(十:とりたてて大仰な事は言っていないが、今日的な景をさらりと表現している佳句。)

●模擬店の雑多な匂ひ黄落す=紅椿
△修、雪=2点
(雪:学園祭の光景ですね。久しく行ってないので、懐かしさも少し。)

●秋雨や渇かぬ愁い墓石群=メゴチ
△久=1点
(久:乾ききれない何か後ろ髪を引かれる感じを受けました。博多弁で「しるしい」ものがあります。)

●秋深し石動駅を通過せり=前鰤
△ス=1点

●黄落に埋もれてビーグル犬駆ける=白馬
△十=1点
(十:しばしば見かける景だが、一句一章で一気に詠んだ勢い。)

●黄落や歩こう会の人等過ぐ=修治
△資=1点
(資:元気な年寄り達の語らいの声が聞こえそう,葉と人が交錯する風景。)

●震ふ声石焼〜き芋と街巡る=久郎兎
△葱=1点
(葱:「〜」がしてやったり、って感じです。)


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