*B部門入選作発表*

兼題『季:青嵐』『漢:数』=全54投句(入選40句)

【特選】

一席
●刈りあげし首の太さよ青嵐=まさこ


◎五○十、久、入△葱、ラ、紅、メ、君、ス=15点
(五:上手い。おそらく、草むらを束ねてざわめかすその風のスケールの大きいことなのだろう。 十:白髪鴨さんの写真を拝見すると首ががっちりとした短髪の人だったような。この句もまた五月の嵐の中、玄界の海に散った白髪鴨さんを偲ぶ句であろう。 久:青嵐を貌で表現したら散髪の刈り上げがぴったりだと思います。 葱:「季語」の本意をうまく捉えています。 ラ:野球部の少年の首を、思い浮かべました。 紅:もちろん青年の首ですよね?清々しくてたくましく、季語と合っています。 ス:青春の匂いがしますね。))


二席
★沖へ向く露座の仏や青嵐=まさこ


◎水○夏、君、ス△十、資、喋、雪=13点
(水:強い風を顔に受けて、でも、爽快感がいっぱい。 夏:これも白髪鴨さんへの哀悼の句でしょう。 ス:かなしい五月の海をふと思いました。 十:漁の安全のために小さな漁村あたりに置かれた石仏だろうしかし、この句もまた白髪鴨さんへの哀悼の句と詠むべきだろう。 資:鎌倉の大仏でしょうか。海から離れているけど,沖の方を向いている姿に青嵐を組み合わせたところに共感しました。 雪:今でも嘘であって欲しいと・・。)


二席
●拓くんの登園拒否や青あらし=紅椿


◎阿、葱、ま○水△夏、入=13点
(阿:拓君も大人になっているんだね。親御さんに青嵐が来たような。 葱:「拓くん」の具象性が大きい、実感がぐっと引き寄せられます。俳句に基石を置くにはこの「具象」がポイント。 ま:一読して、ひきつけられました。 あらし、とひらがなにしたのが、拓くんに ぴったりですね。 水:拓くん、頑張れ、って知らない子だけど。ひらがなの「あらし」がいい。 夏:小さい胸にいろんな思いがあるのでしょう。拓くんがんばれ。)


【入選】

★命数にゼロを掛けたるヨットかな=葱男
◎十、喋○紅、夏=10点
(十:白髪鴨さんの命数〈寿命〉に0を乗じて0にしてしまったヨット。鮮烈な哀悼句。 紅:現実を受け止めようとしているのでしょう。独特な表現に感心致しました。 夏:中七が胸に迫ります。)

★青嵐うら返りたる座標軸=水音
◎夏、ス○メ△雪=9点
(夏:白髪鴨さんへの追悼句と読みました、合掌。 ス:物理学者や理系人の眼にはそう見えるのかも。視点がユニーク。)

★青嵐友曳く海の玄きこと=葱男
◎君、入△五、紅、砂=9点
(君:抑制した一言一言に深い想いが感じられて。 五:白髪鴨さんの最期を衝撃的に表現している。曳いているのはヨットだが、もう、海も空もヨットも一体なのだ。「卯の花や君海原を走らせる=ご」。今ごろ、白髪鴨さんは天の海原でヨットを走らせているだろう。 紅:「玄きこと」が身にしみます。)

●根つからの算数嫌ひ雨蛙=雪絵
◎メ○ス△久、水=7点
(ス:思わず笑ってしまった。アマガエルの小ささと合ってる。 久:雨蛙を見ていると数字から解放されてホッとしますね。でも、数学になると論理で数字は脇役。早く気付けば良かったと思います。 水:自分のことかと思ってしまいました。)

●青嵐めくスクランブル交差点=資料官
○砂、ス△十、雪=6点
(ス:スクランブル交差点ってなんか孤独で季語と合う感じ。 十:切れ目なく人が交差する流れを青嵐に喩えていて景が鮮明。)

●数へをる値札のゼロや街薄暑=紅椿
◎砂△ラ、ま=5点
(ラ:ゼロの数、かなり多そうですね〈笑〉。 ま:そうそうこういうことありますよね!)

●十までは数へ園児等薔薇を過ぐ=砂太
○五△十、ま、資=5点
(五:漢字が続くので、等→らが良い。百まで数えたら生意気過ぎる(笑)。子供は勉強より、元気に遊んでほしい。 十:さりげない子供たちの行動を丁寧に描いている。〈十までは〉の〈は〉が少し理屈が感じられるので、単に〈十までを〉とした方がいいような。 ま:可愛いですね、とっても。 葱:類想、類句がありそうですが、佳作。)

★未知数の別れもあらん桐の花=葱男
○喋△五、紅、夏=5点
(五:これも白髪鴨さん追悼句?数学の好きな白髪鴨さん。君は未知数を残して天へ。 紅:淡々と詠んでおられますが、季語が効いています。 夏:突然の別れは殊のほか哀しい。)

●青嵐その身くねらす大欅=十志夫
○五、君=4点
(五:私も同じ観察をしていましたが、詠めませんでした。一物仕立てですが良いです。「青嵐木々の葉打たれ強くなる=ご」。)

●青嵐真つ直中の献血車=雪絵
○葱、資=4点
(葱:「献血車」との取り合わせが面白い。 資:献血車に青嵐の持つ希望を感じた。)

★抱きたるいのち数多やポピー畑=夏海
◎紅△五=4点
(紅: 優しさが伝わってくる、命の尊さが伝わってくる、とても素敵なお句です。 五:「数多」の句から一つ。いのちが数多というのはどういうこと?)

●一両車包みて過ぐる青嵐=砂太
◎雪△葱=4点
(雪:絵本の一頁をめくっているみたい。 葱:京都にも「京福電鉄」の名物電車が走っています。一両、二両でなんともレトロ。)

●駅弁やバランの隠す夏の数=十志夫
○砂△ラ、喋=4点
(ラ:夏の数が、いくつあるか想像したら、とても楽しい気分になりました。)

★観音の手の数かぞふ五月病=水音
○十、ま=4点
(十:千手観音の手を数えはじめたら、やはり病気と言える。そんな不可思議な行為と若者の心の病がうまく合っている。 ま:こころのもやもや晴れますように。。)

●カンバスの中より生るる青嵐=ラスカル
○ま△君、ス=4点
(ま:視覚的に美しく、また想像を掻き立てられます。 ス:どんな色づかいか見てみたい。)

★水晶の数珠のひんやり時鳥=まさこ
◎ラ△砂=4点
(ラ:数珠の「触覚」と、時鳥の「聴覚」との融合。)

●数段を上り自慢す初節句=君不去
○阿、メ=4点
(阿:そうだよ、皆褒められて成長する。)

●トロッコの素通し窓の青嵐=夏海
○入△阿、葱=4点
(阿:遠い昔の風景にであった感じです。 葱:保津峽のトロッコ電車まだ乗ったことないなあ〜。)

●走り梅雨斜めに渡る数寄屋橋=資料官
○雪△水、砂=4点
(雪:「斜めに渡る」が「走り」を想像させますね。)

●山桜桃数えるたびに違う数=秋波
○紅△久、資=4点
(紅:「ゆすらうめ」は花も実も可愛いですね。丹精こめて育てた木に実がなったのが嬉しくて、何度も数えている作者が見えてきました。 久:赤色に惑わされのかも知れませんね。)

●リハビリの母の背中に青嵐=資料官
○阿、ラ=4点
(阿:孝行出来るうちにしたいものです。 ラ:青嵐が、お母様の背中を押してくれているようです。)

●青嵐行きて落ち着く山の色=五六二三斎
◎資=3点

●会はぬ間に背丈越さるる青嵐=雪絵
○ラ△メ=3点
(ラ:子どもの成長は、本当に早いですね。)

●数学の期末の結果あん蜜に=入鈴
△阿、喋=2点
(阿:楽しいね。)

●スタートに構へる選手青嵐=ラスカル
○雪△夏=3点
(雪:今からどんなドラマがあるのか、嵐の前の一瞬の静けさを感じます。 夏:人生のスタートラインかも。頑張れ!と声をかけたい。)

★麦秋や命数法の世界観=夏海
○資△メ=3点
(資:良くわからないけど良い。)

●薄暑来るハローワークの人数多=スライトリ・マッド
◎久=3点
(久:暑、仕事がない、人多い等イライラ寸前をよく表現されていると思います。)

★青嵐くちずさみけりヘイ・ジュード=スライトリ・マッド
○久=2点
(久:世代的に青嵐はこれかなと思いますね。)

●柔道衣の少年の頬青嵐=砂太
○葱=2点
(葱:「刈りあげし首の太さよ青嵐」と同じ感覚、「柔道着」としないで「柔道衣」としたところが経験者の言葉か。)

●妣の歳数へてをれば雲の峰=十志夫
△君、入=2点
(資:良い句だと思います。盛夏であれば採ったけど。) 

★不可算の名詞数々卯波寄す=スライトリ・マッド
○水=2点
(水:不可算名詞と卯波の取り合わせが良いと思いました。白髪鴨さんの評を読みたい。)

★無限なる素数の不思議や夏に入る=君不去
○喋=2点

●青嵐きらきらポプラそびえ立つ=秋波
△阿=1点
(阿:青春の一ページに出会ったような。)

●青嵐ひときは高き辻の堂=五六二三斎
△水=1点

★数学を愛せし君よつばめ魚=五六二三斎
△ま=1点
(ま:そうでいらしたのですね。。)

●山女釣り水に流るる数え唄=メゴチ
△入=1点

●変態を一度はしたし青嵐=君不去
△久=1点
(久:青嵐は度が過ぎると変態の域になるのかも知れません。未然が美しいと思います。 葱:☆じぇじぇじぇー!ビックッタア〜!)


【無選】

●栴檀の140年の数え歌
(喋:太宰府小学校140周年に寄せて。校庭の栴檀の大木が3本、白き花が咲き誇る。)

★数珠玉や合掌の間に遊ぶ汗=久郎兎
(葱:白鴨忌、追悼句。)


★常無らず初夏の無常や数合わせ=喋九厘
(葱:白鴨忌、追悼句。)



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