*B部門入選作発表*

兼題「飾売」「歌」*全55投句(入選44句)


【特選】

一席
●コロッケの匂いのとなり飾売=水音


◎五、雪、夏○紅、ラ、百△砂、久、君、白、ス=20点
(五:油で揚げる店はスーパーなどの外で営業が多い。その隣の飾売。観察が秀逸。 雪:商店街の年末の賑わい。さまざまな音、匂い!伝わります。 夏:「ハレ」と「ケ」の共存がとても面白い。 ラ:肉屋の隣なのでしょうか。庶民的な味わいがあります。  百:商店街の飾売の様子が間接的に表現されているので、、。 白:映像に+匂ひがともなって面白い句です。 ス:生活感あふれる光景。柳橋〈博多〉の市場はあるのだろうか?)


二席
●托鉢僧立ちさだまりて飾売=夏海


◎砂、香、喋、君△五、二=14点
(香:きりりと身の引き締まる情景です。 君:僧と飾売の対比が面白くて。 五:年末になると昔は托鉢僧をよく見かけた。飾売の隣に立つ僧。年末の姿を示す「立ちさだまりて」が効いている。惜しむらくは、字余り。)


三席
●地下街を青空へ抜け飾売=夏海


◎久、白○砂△十、メ、二、資、前=13点
(久:ところ狭しと階段に即席露店が続いてるのがよくわかります。 白:地下街から青空へ抜けるという感性、すごいですね〜。私の場合、どうしても閉じ込められてしまします。 十:迷路のような地下街を出て、ぱっと開ける空。そして年の暮れの賑わい。歳晩の雰囲気がよく出ている。 資:クリスマスから迎春ムードへの時間の流れをうまく表現している。)


【入選】

●歌姫の眼力天までカロルの夜=秋波
◎十○メ、前、白△水=10点
(十:教会で歌う黒人女性?の迫力が伝わってくる。 白:「眼力」が効いてます。 葱:不謹慎にもレディ・ガガを思い浮かべました^^;)

●祖母ちゃんが縄編むと云ふ飾売=秋波
○十、砂、香、ラ△雪、水=10点
(十:「これって、機械で編むの?」 「いえいえ、お祖母ちゃんが丹精籠めて編んでます」 そんなやりとりが聞こえてきそう。 香:ばあちゃん達はしっかり仕事してるんですね。 ラ:おばあちゃんが縄を編み、その孫が、売っているのかもしれません。 )

●歌舞伎座の柿(こけら)待つ路地飾売=阿Q
◎資○葱、雪△紅、君=9点
(資:勘三郎なき来春の歌舞伎座の柿落としに飾売を重ね合わせた旨さ。 葱:勘三郎さんの無念がダブルイメージされます。ある意味追悼句。)

●勘三郎歌舞きて逝けり冬の雷=雪絵
◎紅○夏△砂、香、ス、満=9点
(紅:勘三郎さんの死は本当にショックでした。大きな業績を残し、駆け抜けるように逝ってしまいました。兼題「歌」を上手に入れて、季語も決まっています。 夏:魅力的な役者でした。まだ若いのに、惜しいなあ。 香:衝撃でしたねえ。稽古の厳しさには驚きました。 満:今年は、本当に沢山の偉人 がなくなり、伝え叱る大きな存在を亡くしこれからの日本に不安を感じました。 ス:歌舞くがうまく使われてて、勘三郎に追悼。 葱:☆これほど早い死が惜しまれる役者もそうはいない。円熟したあとの芸も観てみたかった。「阿Q」さんは「酒呑み」じゃないから心配ないでしょう。)

●恋歌を数ふる遊び玉子酒=夏海
○メ、喋、満△阿、水、白=9点
(満:玉子酒で女の子の節句を思い出し、若き頃の甘酸っぱい薄ピンク色の可愛らしい思いを思い出しました。 阿:ゆるりと時間が過ぎてゆく、雪の夜でしょうか。 白:どこがいいのかよく分からないけど、なんかすんなり入ってきました。)

●冬麗や孤独を盾にまた歌ふ=葱男
◎メ、前、満=9点
(満:人生何度でもやり直せるさ、簡単には死なないと歌っているよう。)

●海の底鯨の歌にわれは寝ぬ =白髪鴨
◎百、ス△香、満=8点
(百:もう身近には存在しないような鯨だけれど 、季語なんですよね。不思議なことに感応してしまう。 ス:私もクジラの歌きいてみたいです。 満:高知のよさこい節に出てきそうな、力強さとク ジラの大きな姿に尊敬や感謝や親しみを感じます。 香:寝ぬ?寝ん? 葱:☆「寝ぬ=いぬ」、雰囲気ありますね、「われは」が少し強いのかな?「われ」以外に何かないかなあ??)

●返す笹戴く笹や飾売=砂太
○久、君△五、紅、二、白=8点
(久:戎さんをよくを表していますね。 五:飾売の季語の本質をうまく詠んでいる。 白:平凡な描写が非凡な絵になっていく…。)

●枯野来て時代の歌を分かち合ふ=葱男
○紅、水△久、メ、二、君=8点
(水:枯野とはこれまで歩いてきた道。)

●口笛は冬空に告ぐ革命歌=葱男
◎水○ス△ラ、二=7点
(水:キーンと張り詰めたような強さが口笛と冬空と革命歌をつないでいる。 ス:今じゃ初音ミクも歌ってますが、我が国の政治の為体ぶりと来たら・・。 ラ:「革命歌」に対して、「告ぐ」という一語が決まっています。)

●羊歯を売る高校生の白き息=秋波
○香、水△君、百=6点
(香:いい風景ですね。息白しとか、白き息を吐くと動詞にした方が力強いと思いましたがどうでしょう。 水:息の白がウラジロの白と重なる。 葱:☆女子であってほしい。 百:冬のアルバイト。)

●裏山のふくろふ歌ふ子守唄=スライトリ・マッド
○十、五△紅=5点
(十:言われてみれば、ふくろふの鳴き声はまさに子守唄の趣き。「ウ音」の重なりがリズムを良くしている。 五:夜行性のふくろうの子守唄。わが家の裏山にもふくろうが住んでいる。う音の3回リフレインが良い。 葱:童謡みたいな感じ。)

●三色の歌舞伎緞帳年暮るる=スライトリ・マッド
◎葱△雪、夏=5点
(葱:この1年は私達「昭和27年生まれ」組にとっては特別な1年でした。まさに三色の緞帳が一旦降りた歳晩です。 夏:父を亡くしても健気に舞台を努める勘九郎を思いました。)

●師の逝きてまた路地の声飾売=阿Q
○葱、前△喋=5点
(葱:「路地の声」がいい、哀感が募ります。「芸人に哀愁のあり半コート 葱」)

●煤逃げの鼻歌サザンであるらしき=水音
○夏△葱、十、ラ=5点
(夏:サザンの鼻歌とは、同世代人かな?大掃除を自分はサボってる?!共感できますね。 葱:真冬なのに「真夏の果実」? 十:あるらしき、とあるから旦那の鼻歌を聞く妻の思いだろうか。そんな歌声に惚れたのも今はむかし? ラ:「煤逃げ」と「サザン」のミスマッチが面白いです。)

●雪深く石炭眠る歌志内=喋九厘
○阿、ス△十=5点
(阿:産炭地のかつての賑わいが懐かしくなり句でした。 ス:歌のつく地名一つ覚えました。 資:私のイメージでは,石炭掘りつくされ人もいなくなったさびれた歌志内。 十:閉鉱してから二十年以上もたち、しんしんと降る雪の下に眠っているのは石炭だけではなく、そこに生活していた人々の思いなども。 葱:☆しみじみといい句だなあ〜。)

●注連縄の葉つき橙孫の顔=久郎兎
○喋、満=4点
(満:お孫さんに会える嬉しそうなじぃじの顔が浮かびます。)

●西新のリヤカー部隊飾売=雪絵
◎阿△資=4点
(阿:リヤカー部隊のおばちゃんの顔、声が聞こえてきました。 資:想像で作らざるを得なかったけど一番リアルに思い出された風景。)

●人波の果てて今さら飾売=君不去
○久△百、前=4点
(久:大晦日の午後に売れ残ると辛いね。 百:やはり人ごみの中で買いたい 。)

●リヤカーの店開きたり飾売=前鰤
◎ラ△香=4点
(ラ:リヤカーから荷物を降ろさず、そのまま店開きしているという点が面白いです。 香:開きたる?)

●飾売生死をかけてまえうしろ=喋九厘
○五△満=3点
(五:飾売の生死とは思いたくない。作者の生死のことだろう。新年を無事に過ごせるのかを暗に示しているのだろう。 満:混みますものね…わかります。。。)

●師の声によく似た啖呵の飾売=阿Q
△久、ラ、資=3点
(ラ:「師の声によく似た」というフレーズに惹かれます。「啖呵」はやや言いすぎかもしれません。「口上」の方がよいと思います。 資:特定はできないが色々な先生方の声が甦ってくる。 葱:☆「啖呵の」の「の」が無ければ○でした。佳句。)

●宵戎財布に問ひて福の笹=久郎兎
○資△前=3点
(資:十日えびすの前夜だと正月も過ぎ財布も厳しい。実感。)

●飾売の真横にうごく黒目玉=十志夫
○白=2点
(白:素敵な目線です。でも「の」はいらないんじゃないかな〜。)

●旧制の校歌朗らか冬の山=五六二三斎
○雪=2点

●コイン入れ求む農家の注連飾=スライトリ・マッド
△砂、百=2点
(百:こういう売り方もあるんですね。 葱:これも現代の風景。)

●静かなる歌声しみる冬の夜=メゴチ
○阿=2点
(阿:なかなかこういう夜を過ごせなくなっています。)

●博多弁いろは歌留多のじようもんさん=雪絵
△葱、二=2点
(葱:「じようもんさん」という言葉は博多独特のものなんですか?)

●鼻歌で寒威宥めて風呂通い=久郎兎
○資=2点

●蒲団干す鼻歌叩き籠めにけり=十志夫
△葱、夏=2点
(葱:とにかく「面白〜い!」)

●マンション用ばかり都会の飾売=水音
○百=2点
(百:小さくていいんです。)

●飾売り飾られハレの押し車=ひら百合
△ス=1点
(ス:民俗学的句ですね?!)

●飾売る少女の笑みや福よ来い=君不去
△メ=1点

●吉日は注連縄売も賑はへり=資料官
△五=1点
(五:吉日に注連縄を買う。良き風習だ。)

●暮れ飾りひがしとにしと赤に碧=ひら百合
△喋=1点

●墨染や十八世紀の飾売=白髪鴨
△喋=1点

●賑わいの歌い納めや年の暮れ=メゴチ
△阿=1点
(阿:紅白なのか、カラオケなのか年末はやはり歌で閉まります。 葱:旧仮名だと「賑わひの歌ひ納めや年の暮」)

●初謡博多塀越す宮の内=砂太
△二=1点

●ふる里や歌合戦の大晦日=喋九厘
△阿=1点
(阿:そうです、紅白は故郷で見るものです。でも、このごろは全く見ていない。知らない歌手ばかり。歌ばかり。紅白は郷愁だったのかもしれません。)

●リヤカーの部隊に混じる飾売=五六二三斎
△雪=1点

●臘梅に似たる歌手の卵かな=白髪鴨
△夏=1点


【無選】

●思い込め見栄張り大の飾買う
(葱:☆素直で若々しい句です。旧仮名だと「思ひ」「買ふ」)

●ともしびや歌声喫茶にクリスマス
(葱:「歌声喫茶の」ではどうでしょう?)

●わらべ歌広めし人逝く冬夕焼
(葱:後半が少しバタバタした感じがします、「わらべ歌広めし人や年の逝く」とか。)


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