*B部門入選作発表*

兼題「木枯」「幸」*全47投句(入選35句)


【特選】

一席
●幸せのかたちのあらば冬林檎=雪絵


◎水、ス、秋○砂、資、夏、君△五、メ、二=20点
(水:既視感のある句なのですが、納得できる。 資:冬林檎という言葉自体に幸せを感じます。そのとおり。 夏:本当に、林檎の赤さや丸さや香りは「幸せ」の形かも! 五:林檎には確かに幸せが潜んでいる。)


二席
●木枯らしや ガード下から 国訛り=阿吽


◎砂、メ○葱、君、秋△雪、夏、白=13点
(葱:都会の裏町の青春が17文字の中に象徴的に描かれています。 君:啄木の歌が浮かんできます。 白:先日、二六斎宗匠と上野駅を訪れました。変わったところもあり、全然変わってないところもありましたが、この句から上野駅を連想しました。類句がありそうな気もしますが、何だか素直に冬の街をイメージできました。ただスペースはいらないように思います。)


三席
●形無き幸見ゆる日や木守柿=君不去


◎百、前○砂△資、喋、夏=11点
(百:形あるやん。)


三席
●幸運と蜜柑をつめる旅鞄=水音


◎五○百、秋△喋、夏、白、メ=11点
(五:ボンボヤージ。よき旅でありますように。飯田龍太の句みたい。 百:柿も蜜柑も幸せになります。 白:果物を食べなくなって十年以上になると思う。子供の頃、10個近く食べていた蜜柑だが、今は見るだけで口中に唾が溢れてくる。可愛さで選んだ句です。)


三席
●木枯のあとさき子豚ねむりけり=葱男


◎喋○水、夏、五△砂、秋=11点
(夏:気持ちがほっこりする句です。 五:何だか童話の中に居るような錯覚を起こす句。非日常の子豚を使ったのが成功の秘訣か?)


【入選】

●一葉の幸せ探し冬紅葉=メゴチ
◎二○前△阿、久、君=8点

●凩を犬が咥へて走りをり=スライトリ・マッド
○葱、メ、二△砂、白=8点
(葱:中七の措辞に犬のたくましさがよく表現されています。白:表現はとても巧い。巧すぎて、ある意味で評価を飛び越えています。視線が尖り過ぎているような気もします。)

●マフラーにチェック模様の幸ありき=葱男
◎久○阿、雪△五=8点
(久:チェック生地のつなぎ目を見たのでしょうか。チェック柄で「幸」の文字を書いたのですが、なかなか上手くいきません。頭では理解できるのですが。 雪:マフラーがあたたかいのは「幸」が織り込まれているから! 五:バーバリーでなくてもチェックには幸あり。愉しさかも。)

●「幸」の字は枷の形や熊手買ふ=夏海
○久、白△水、百、二=7点
(久:なるほどと思いました。 白:幸の字は枷の形をしているか? それとも幸福の概念が枷となると言っているのか? しかし結局は熊手を買うという、何だか落語の落ちのような洒脱さが面白い表現です。 百:どこかで聞いたような。葱:「枷」の形がいかにも皮肉で面白い着想ですが、やや強引な感あり。)

●木枯しにテールランプ逐ひ寂寥=久郎兎
○喋、白△葱、阿、秋=7点
(白:下句の「寂寥」がとても尖ったパロールになっています。この突っ張った感官が凩を引き立てている様子を感じさせます。 葱:最後の「寂寥」がずっしりと居座っている。)

●凩やハスキーボイスの赤き口=雪絵
◎白○ス△水、喋=7点
(白:官能的であると同時にとてもピュアな句になっていると思います。凩の無機質と赤き口のエロティシズムの対比が絶妙なバランスになっているのでしょう。ちなみに私のイメージの「赤き口」は、マリリン・モンロー、ミア・ファーロー、マリア・カラスです。古いですね…。)

●木枯しの二年坂下女車夫=夏海
○雪、五△ス、資、君=7点
(雪:人待ち顔の女性の顔が浮かびます。 五:明治のレトロな感じがある。女車夫という非日常にストーリーが生じ、佳句になりました。)

●冬麗華甲の幸を得て集ふ=砂太
◎資、君△二=7点
(資:華甲という言葉をはじめて知った。まさにそのとおり。 君:麗と華の二文字で幸い感が増しています。)

●廃線の今も幸福と雪の駅=喋九厘
○阿△砂、水、百、前=6点
(資:句集の前鰤さんの写真はまだ汽車が走っていました。 百:幸福駅廃線なんですか。)

●凩や駅まで駆けるハイヒール=水音
◎夏△資、雪=5点
(夏:しっかりと仕事ができそうな若い女性が見えてきます。応援したくなりますね。)

●幸運なおつちよこちよいよ石蕗の花=五六二三斎
○喋△久、ス=4点

●幸せを秤にかくる神の留守=雪絵
○水、メ=4点
(水:神様のお留守になんていうことを!)

●凩に負けず足立区加平店=五六二三斎
◎葱=3点
(葱:旧い文字の「加平」が「足立区」との相性の良さ抜群でよく効いています。)

●木枯らしに向かひて叫ぶもういいかい=メゴチ
◎雪=3点
(雪:子供のころはどんなに寒くても外で遊んだものです。これは鬼ごっこかな!? 葱:☆モチーフが良いので中七の推敲でぐっと良くなる感。「叫ぶ」が少し強いような気がします。「かくれんぼ」をもっと前面に。)

●渋ぬけて柿屋に宿る山の幸=秋波
○百△前=3点
(百:柿屋って、、、、。)

●天からの木枯し聞いて大銀杏=喋九厘
◎阿=3点

●もひと押しおしくらまんじゅう木枯へ=君不去
○久△五=3点
(久:もうひと押し→もひと押し、としているところ、参考になりました。 五:昨日、子供たちが公園でたくさん遊んでいて、おしくらまんじゅうを思い出した。誰もやってなかったなあ。)

●幸便で託す言の葉冬ぬくし=スライトリ・マッド
○資=2点
(資:「で」が気になったが,幸便という言葉をうまく使ったと思う。)

●凩や地軸傾度は極大値=白髪鴨
○ス=2点

●木枯らしや山の光りと磨崖仏=砂太
○前=2点

●幸せをつかむしあわせ仏手柑=水音 ○二=2点

●トルストイ開けば幸といふ字あり=秋波
△久、二=2点

●冬満月照る海のあそこ幸せだ=スライトリ・マッド
△君、百=2点
(百:山のあなたじゃなくて 。)

●幸運の兆しかな冬椿咲く=香久夜
△葱=1点
(葱:なんということのないような句ですが、確かな実感を感じます。)

●凩のあちらの渦に連れ去らる=香久夜
△メ=1点

●凩の人吹き散らすメガビジョン=夏海
△雪=1点

●凩や重機川掘る音煙=砂太
△葱=1点
(葱:川煙りが見えるよう。)

●木枯やジョギングびとはカラフルに=君不去
△秋=1点

●こがらしや東京駅もとほり抜け=資料官
△ス=1点

●雪来るか幸福駅に汽車の声=資料官
△前=1点
(資:記念句集の前鰤さんの写真は素晴らしかった。昔の感動が甦って来た。)


【無選】

●聖路加に 木枯しの吹く 鐘や鳴る
(葱:☆もうすぐクリスマスですね。)


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号