*B部門入選作発表*

兼題『季:七夕』『漢:面』=全49投句(入選41句)

【特選】

一席
●行き違ふ三者面談蝉しぐれ=紅椿


◎十、ラ、久○砂、五、阿=15点
(十:望む学校と勧められる学校のズレに親子、教師三者の沈黙。窓の外から聴こえる蝉しぐれが句に膨らみを持たせている。 ラ:蝉しぐれの声が、行き違いを増長させているような。 久:ただただ騒がしいだけなのでしょう。 五:三者面談で高校を決めるのは、夏だったか?筑紫丘を子供は受けたいと言ってるが、先生が無理だと言ってるのか?そんなやり取りが想像されます。でも、作者は筑紫丘に入学出来て、今、丘ふみ句をこうやって出している。良かったねと拍手したい。)


一席
●カクテルの青き泡立ち星祭=秋波


◎砂、五、紅、資△十、ラ、雪=15点
(五:星祭には、粋な涼しい青色のカクテルを飲みたい。カラフルで良い。 紅:オシャレな、大人の七夕ですね。下戸なので、こういうのに憧れます。 資:泡も一瞬の星のひらめきと同じ,リズム感が心地良い。 十:ジンにミントの香りを加えた“青いサンゴ礁”か。星祭りとの取り合わせがいい。 ラ:海のような青でしょうか。とてもオシャレな句。)


三席
●少年に祖父の面差し盆の月=紅椿


◎香○十、久、秋△葱、砂、メ、秋=13点
(十:お盆に集まる兄弟そして家族。隔世遺伝で祖父似の子供も。 久:久々に集まった甥たちの中に見えたのでしょうか。 葱:それは「血縁」という人間関係の中にだけ起こりうる、固有の「しあわせ感」でしょう。)


【入選】

●新涼や三面鏡に背のほくろ=まさこ
○砂、五、喋、久△前、雪、資、秋=12点
(五:私の背中側の肩に大きなほくろがあるものでついつい。風呂上がりの裸姿もやや冷たそう。 久:思い出すのは手鏡を器用に持つ手ですね。自分の背中をまだまじまじと見たことがないです。)

●死者生者みんなお面の踊の輪=五六二三斎
○ま、喋、水、香、ス=10点
(ま:一緒に、そうかもしれませんね! 水:懐かしい人たちが隣に来て踊っているかもしれないんですね。)

●七夕や孤食の夜のフルコース=十志夫
○ラ、紅△ま、五、メ=7点
(ラ:このフルコースは、豪華だけれど切ないです。 ま:何を召し上がったのでしょう・・。 五:先日、亡き丘ふみ同級生Mさんのご主人I氏にばったり。子供は巣立ち1人暮らしとか。彼のことを思い出しました。天の川にいるMさんのことも。)

●亡き母のお見合ひ写真星まつり=五六二三斎
◎阿○雪△十、ラ=7点
(雪:どんな思いで見ているのでしょうか。女子と男子ではきっと見方が違うはず。 十:ひょいと出てきたおめかしした母の写真。季語との取り合わせがよい。 ラ:セピア色に褪せた写真が、目に浮かびます。)

●小鳥来るしろがねいろの譜面台=ラスカル
◎ま、雪=6点
(ま:明るく気持ちの良い、好きな句です。 雪:小鳥が譜面を作り出すような。)

●トロンボーンひかりを吹いて星祭=雪絵
◎ス△葱、ラ、資=6点
(葱:金管楽器には弱い月の光にも反射する輝きがあります、U字型の管を自在に伸び縮みさせるトロンボーンならなおさらのこと。 ラ:「ひかりを吹いて」というフレーズに心惹かれます。)

●新しき面相筆や盆芝居=葱男
○ま△五、喋、水=5点
(ま:白塗りのお顔が浮かんできます。今でも受け継がれているのですね。 五:中西君のひとり芝居でしょうか?)

●織姫の涙のしずくペルセウス=前鰤
○メ、阿△香=5点

●くまモンのお面を被る案山子かな=ラスカル
◎喋△ス、秋=5点

●新涼や能の面の明と暗=秋波
○紅△雪、水、メ=5点

●水面の小石を弾く秋立つ日=雪絵
◎前△葱、十=5点
(葱:秋の川の水の硬さ、冷たさをうまく言い表わしていると思いました。 十:ぴょんびょん跳ねる石。その水面の硬さが夏から秋への移ろいを伝えている。)

●ヒロシマや七夕電車のすれ違ひ=資料官
○十△喋、阿、秋=5点
(十:片仮名のヒロシマが原爆忌を象徴する。七夕電車に今生の幸せを思う。)

●短冊のはみ出す文字や星迎=雪絵
○資△ま、ス=4点
(資:たくさんの願いがあふれている。 ま:願い事がいっぱい、夢がありますね。)

●兵児帯のゆらりゆらりと星祭=まさこ
○雪、ス=4点
(雪:そういえば最近、兵児帯をあまり見かけなくなりました。)

●盆踊り信太の森の狐面=阿Q
△砂、ま、五、紅=4点
(ま:狐の面が妖しい、また悲しいですね。 葱:中西和久の「しのだづま考」ですね、跳ねた狐の膝が胸に付きます。 五:中西君の「しのだづま考」は二度見せてもらいました。狐面は盆踊りに無くてはならない取り合わせですね。)

●秋茜川面かすめるアクセント=秋波
◎メ=3点

●カルピスと炭酸であふ星祭=水音
○ラ、前=3点
(ラ:カルピスが織女で、炭酸が牽牛かな?)

●鏡面と鏡面の奥のひぐらし=スライトリ・マッド
◎葱=3点
(葱:残暑の厳しさとある種の「めまい感」がよく表現されています。それは「鏡面の奥のひぐらし」という言葉が誘発する音の散乱から来ています。)

●「殺」の文字匂ふ紙面や西瓜食ぶ=十志夫
◎秋=3点

●三次元となりし図面や天高し=十志夫
○葱△久=3点
(葱:私のイメージの膨らませ方は、「風立ちぬ」の掘越次郎が飛行機の設計図で紙飛行機を折り、天高く飛ばすというシーン。 久:デスクワークを続けていると秋になったことも忘れてしまいますね。)

●天使にも十二面あり秋の蚊帳=葱男
○前△紅=3点

●被爆地の路面電車に残暑あり=資料官
○香△水=3点
(水:路面電車は広島と長崎の共通項なんですね。)

●みちのくへつなぐ七夕吹流し=資料官
◎水=3点
(水:七夕の吹流しというのを実際に見たことがないので「つなぐ」の意味がよく分からないのですが、とても惹かれるお句です。)

●天の川綱引きずりし迷子犬=まさこ
○秋=2点

●七夕竹ゆつさゆつさと肩にのせ=スライトリ・マッド
△砂、喋=2点

●七夕竹ゆるるばかりの平和の字=水音
○資=2点

●七夕や巡り巡りて君と会ふ=メゴチ
△紅、阿=2点

●短冊にひらがな綴る星祭り=香久夜
○メ=2点

●表面の張力までと冷酒注ぐ=前鰤
△久、資=2点
(久:立ち飲み屋の大将がつぐコップ酒でしょうね。 資:下の枡に溢れるようにもっと注いでほしい)

●蓑虫の真つ正面はどちら側=ラスカル
○水=2点
(水:実際どちらなのでしょうね。福岡では蓑虫は絶滅したと聞きました。)

●秋雨や雨乞い巫女も面食らう=喋九厘
△阿=1点

●海の音君に届けと星祭る=砂太
△香=1点

●君還るてふ七夕である夕べ=砂太
△秋=1点

●強面も子供に弱き残暑かな=メゴチ
△久=1点
(久:どういう情景かなと考えさせますね。)

●七夕の願掛けを読む風ふらり=久郎兎
△前=1点

●帳面を捲るは軽ろし袈裟涼し=久郎兎
△前=1点

●老健の母はマドンナ星祭=紅椿
△葱=1点
(葱:「老健」に変わるもっといい言葉がないかなあ〜、惜しいなあ〜)

●CDにB面は無し八月尽=水音
△ス=1点


B部門入選作〈back number〉

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