*B部門入選作発表*


112号にして「丘ふみ」史上初の快挙! 紅椿さん、三光独占です!!


兼題『季:時雨』『漢:化』=全56投句(入選44句)

【特選】

一席
●七五三いまも羽化してゐるところ=紅椿


◎砂、ま、喋○馬、ス△十、水=15点
(ま:羽化とは上手に表現されていますね。 十:7歳ともなると女の子の白い項は色っぽい。これからますます磨かれていく。)


一席
●橋の名の薄れてゐたる初しぐれ=紅椿


◎五、葱○資、秋、ス△二、雪、久=15点
(五:時雨で橋の名前が霞んで見える。傑作になった。どんな橋か?想像するのも楽しい。 葱:宗匠が言うところの完成型でしょうか。 く:墓碑を考えたことがありますが、橋のほうがいいですね。)


三席
●未消化のままの遠い日冬の虹=紅椿


◎馬、阿○ま、メ△修、資、香=13点
(ま:思い当ります私も。冬の虹で救われますね。 修:いい思い出なんだ。色々想像します。 資:遠い日のことが鮮やかな虹の様によみがえる様が伝わってくる。)


【入選】

●醤油屋に北山時雨忍び入ル=葱男
◎資、香○五△水、ま、紅、ぼ=12点
(資:片仮名のルが京都らしくて良い。 五:「ル」を使ったことで、明治の京都の醤油屋さんの雰囲気あり。 紅:固有名詞が効いています。「入ル」の表記も新鮮です。 ぼ:日本的情緒纏綿。)

●しぐるるや箸一本の見つからぬ=十志夫
◎久○雪、紅、香△喋=10点
(久:なんとも切ない。博多弁の「しるしか」は標準語では何でしょうね。 雪:私も何度しぐれたことやら。 紅:すごく共感しました。よく箸を一本だけどこかに失くすのです。季語と合っています。)

●気紛れな子の来訪や夕時雨=雪絵
○ラ、修、久、秋△前=9点
(ラ:お子様も、時雨も、気まぐれにやって来ますね。 修:夕時雨で親の心配が伝わる。 久:時雨のことを子と言ってるのかも知れませんね。)

●佃煮をほぐしてゐたる時雨かな=ラスカル
○久、紅△五、十、二、阿、前=9点
(久:時雨煮を思い出しました。ザクザクっとした感じでちょっと辛くなります。 紅:何でもない事を句にできる力量を感じました。 五:寒くなってきて、佃煮がくっついている。寒さを増すかのような時雨が。 十:時雨という兼題で「時雨煮」が浮かび、「佃煮をほぐす」という措辞が浮かんだのでしょうか。そんな筋道が窺えて面白い。)

●貝の骨波のかたちにしぐれをり=葱男
○十、二△水、馬、紅、阿=8点
(十:西東三鬼の「秋の暮大魚の骨を海が引く」が思い浮かびます。貝の骨とは巻貝か? 難解で全てを鑑賞しきれませんが不思議な魅力を感じる句。 紅:うまく鑑賞できないのですが、声に出して読むととても味わいがあります。)

●九十の朝の化粧や冬桜=まさこ
◎雪△十、修、資、メ、ス=8点
(雪:服を着替えるように、化粧も身だしなみの一つなのでしょう。凜とした九十歳の姿が見えます。 十:卒寿になっても女であり続ける可愛いお婆ちゃん。 修:朝、がいい。凛とした上品さは冬桜からくる? 資:お年寄りの化粧をほのめくように咲く冬桜と言い切ったところが良い。)

●擂鉢の傾斜ゆるやか夕時雨=ラスカル
◎水○十、雪△喋=8点
(水:夕餉の仕度時の、ちょっと湿り気のある暖かい厨の様子が浮かびます。ゆるやかな傾斜がいいですね。 十:擂鉢の傾斜に作者が何を見たかはよく分かりませんが、ゆるやかだと思った事だけは確か。こうした不可思議で不条理な句が好き。 雪:何でもない日常の小さな発見。時雨の中、帰ってくる人のことを考えながら。)

●渋滞のストップランプ時雨来る=雪絵
◎ス○葱△砂、ラ=7点
(葱:心の苛立ちと焦りが上手く表現されています。 ラ:印象鮮明な句です。)

●冬の梅化粧を知らぬ修道女=ぼくる
◎紅○香△雪、前=7点
(紅:季語の斡旋が巧みで、印象的なお句でした。 二:俗です。)

●烏天狗に化けて案山子の立ち枯るる=砂太
◎秋△葱、香、阿=6点
(葱:襤褸のごとく面白く。)

●時雨るるやタンゴを踊ることもなく=葱男
◎十、ぼ=6点
(十:中七から下五の句またがり「踊ることもなく」の後に「聴いてゐる」と続きそう。静かな雨の午後は、紅茶とタンゴのリズムが似合います。 ぼ:人生の哀感がにじむ。)

●時雨やみひと色増すや散歩道=香久夜
◎メ○前△秋=6点
(葱:しっくりとした良い感じ。)

●背に紅葉三面鏡の肌化粧=久郎兎
◎前○ぼ△メ=6点
(ぼ:艶なるかな、当季じゃないがいただきます。)

●しぐるるや印刷所よりモーター音=ラスカル
◎修○ぼ=5点
(修:時雨の日は音が近い。けなげなモーター。 ぼ:昭和の下町風景、なつかしや。)

●しぐるるや馴染で埋まる立ち呑屋=ぼくる
◎ラ○修=5点
(ラ:こういう雰囲気、好きです♪ 修:となりの奴とぎゅうぎゅうで温いんだ。いいな。 葱:実感が湧いて来ます。 二:俗です。)

●初時雨きりん買ふ夢抱きをり=スライトリ・マッド
◎二○砂=5点

●日矢渡る那之津渚の冬化粧=砂太
○五、資△秋=5点
(五:作者はきっと白髪鴨さんのことを思い出しているに違いない。 資:吟行句でしょうか。博多湾の光を鋭く捉えている。)

●風化する城跡またぎ冬銀河=秋波
○阿△五、砂、メ=5点
(五:城跡に見る冬銀河。きれいな句になりました。歴史へのロマン溢れる句。)

●化粧落としひと日を終ふる花八手=雪絵
○メ△馬、ス=4点

●化粧する鏡の中に忘れ花=白馬
○ま△久、ぼ=4点
(ま:情緒のある句ですね、いろいろな感情が想像できます。 久:実際の花じゃなく心のでしょうか。 ぼ:忘れ花に見られているやうな。)

●時雨るるや一つの傘に老夫婦=修治
△香、ぼ、秋、阿=4点
(ぼ:おー、何としあわせな!)

●時雨るるや玉依姫の居留守かな=喋九厘
○水△雪=3点
(水:居留守が面白いですね。居留守を使われた魂はどこへ行けばいいの?)

●冬眠を待つ亀の背に化学式=前鰤
○葱△二=3点
(葱:ベンゼン核かあー、おもしろ〜。)

●繁華街の裏に石櫃しぐれけり=修治
○ラ△五=3点
(ラ:「石櫃」の存在感が際立っています。 五:何故、繁華街の裏に石櫃があるんだろう?実景句の発見は良いです。)

●冬鴎しらしらしらと時化の海=まさこ
○喋△紅=3点
(紅:中七が独創的で好きでした。観音開きを避けるために、上五は「冬鳥や」くらいでよいのでは? 葱:「観音開き」とは上五、下五に体言を置くことで、俳句作法のセオリーとしては一般的には避けるように指導されることが多い。)

●海坂の北窓塞ぐ汝が化身=五六二三斎
○水=2点
(水:北窓を塞げはかの国もきっとぬくぬくしてるって思いたい。)

●化学式毀れ川面に冬の虹=十志夫
○二=2点

●片時雨夢は東京コレクション=五六二三斎
△葱、資=2点
(葱:少女の淡い憧れでしょうか、「片時雨」が夢の儚さを暗示しているようです。 資:来春がんばりましょう。)

●句友あり京に時雨の酒を酌む=ぼくる
△ラ、馬=2点
(ラ:僕も、一緒に酒を飲みたくなりました。)

●玄海の海底深く時雨かな=喋九厘
○砂=2点

●時雨傘秘密はいつも守られず=水音
△砂、ス=2点

●時雨虹別れを告げる父の笑み=まさこ
○馬=2点

●軒下に時雨がくれしお八つかな=久郎兎
○喋=2点

●風呂吹の湯気がくすぐる初化粧=久郎兎
○前=2点

●凩や根も葉もありて温暖化=水音
△ま=1点
(ま:確かにそうですね。)

●小夜時雨尾灯相手のモノローグ=秋波
△修=1点
(修:尾灯がよく見えます。一人っきりなんだ。 葱:ハザードランプが語りかけてくるようです。)

●しぐるるや水兵リーベ化学式=スライトリ・マッド
△喋=1点

●時化の海ずつと見つめる木の葉髪=五六二三斎
△久=1点
(久:切なすぎでどうしたらいいのか分かりません。)

●化けて出る狸とならむ紅葉の夜=砂太
△葱=1点
(葱:ユーモアのある句、童話やアニメの楽しさに通じる。 二:俗です。)

●冬紅葉現地ガイドの厚化粧=資料官
△ま=1点

●割り落せば日の丸と化す寒卵=十志夫
△ラ=1点
(ラ:黄身の色が濃いのですね。美味しそうです!)


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