*B部門入選作発表*


兼題『季:風光る』『漢:箱』=全62投句(入選43句)

【特選】

一席
●トロ箱の底に余寒の積まれをり=十志夫


◎淳、メ◯葱、な、ぼ、香△久、喋=16点
(葱:こちらは糶が終わったあとの「トロ箱」の情景かとも。いい。 な:余寒の暗さがトロ箱の底によく付いていると思いました。 ぼ:いかにも寒そう。 久:春を感じさせてくれます。)


二席
●棟上を寿ぐ唄や風光る=十志夫


◎ぼ、香◯阿、ラ、喋△メ=13点
(ぼ:平和でな風景、心がなごみます。 阿:真っ青な空が浮かびます。 ラ:聴覚と視覚との融合が巧い。)


三席
●宝箱の細きへその緒しやぼんだま=まさこ


◎喋、水◯白、五△砂、秋=12点
(水:七色に輝いていたしゃぼん玉はすぐに消えて、今や、、、〈あっ、これは我が家だけですかね〉。我が子を慈しむ母の深い情愛を感じます。 白:取り合わせが奇抜。 五:箱をこう詠むのですね。季語は雛でも良かったかも?)


【入選】

●風光るフルーツサンド分け合ふて=なを
◯十、修、砂、水△五、ラ、ぼ=11点
(十:フルーツサンドの店と言えば京都が有名。春らしい一句。 修:どのくらい若いふたりかと思う。 水:風光るとくれば、これば絶対フルーツサンドですよね。カツサンドやツナサンドじゃ風は光らない。 五:作者分かりました。なをさんでしょう。このような句が上手いなあ。 ラ:「フルーツサンド」という具体性が活きています。 ぼ:おお、ほほえましい。)

●友によく似たる箱河豚うららけし=修治
◎白、ラ◯葱△紅、喋=10点
(白: 面白いです。 ラ:あはは! 面白いです。 葱:実際そんな顔がありそうなので面白さ百倍! 紅:季語がぴったりの楽しいお句です。)

●風光る甲板に脚投げ出して=まさこ
◎阿△葱、ラ、修、な、水、秋=9点
(阿:春ですねえ。 葱:気持ちいい! ラ:開放感に満ち溢れています。 修:おだやかな波とお日さま。 な:若い女性のちょっとアンニュイな様子が浮かびました。)

●ぐいと押す母の車や風光る=砂太
◎十◯メ△久、ま=9点
(十:車椅子の母に春の到来を報らせようとする作者の思いが「ぐい」に集約されています。 水:車とは車椅子でしょうか。同じ経験があります。あの時も風が光っていました。 久:手押し車なんでしょうか。スムーズじゃないんでしょうね。)

●ふで箱のやうな新宿風光る=十志夫
◎紅、雪、秋=9点
(紅:固有名詞が効いています。それにしても「ふで箱」にたとえるなんて凄い! 雪:確かに筆箱が林立しているようですね!あえて新宿なのがいいです。)

●桃の日や箱入り娘母となる=ぼくる
◯五、紅、喋、前△雪=9点
(五:時間の経過の感慨とじんわりする幸せ感! 紅:愛情たっぷり。この赤ちゃんが今度は箱入り娘になるのでしょうね。 雪:うちの娘たちは箱の外で育ったので、なかなかこのような感慨には至らないですね〜。)

●雛壇やルーペで覗く硯箱=雪絵
◯な、秋△久、水、前、資=8点
(な:小さな小さな硯箱、良い仕事してますねぇ〜と言われそうな細工の作品なのでしょうね。 久:細かい造りなんでしょうね。 水:立派な雛壇なのでしょうね。見てみたいです。)

●思ひ出を箱ごと捨つる春の浜=紅椿
◎前◯メ△白、喋=7点
(白:泣きに来た。)

●永き日のトロ箱海を連れ来る=なを
◯十、ま△葱、紅、前=7点
(十:春を告げる魚はいろいろ。海魚ですから鰊でしょうか。 ま:トロ箱が良いですね。 葱:こちらは糶が始まる前の「トロ箱」の情景かとも。いい。 紅:「海を連れ来る」と大きく出たところがいいです。)

●淡雪や一円玉の募金箱=水音
◯雪△十、ま、資、メ=6点
(雪:一円玉が淡雪のようにも見えました。 十:淡雪と一円玉の感触が呼応しています。 葱:付かず離れず面白い取り合わせ。)

●風光る津軽平野をコトコトと=喋九厘
◯阿、淳△ぼ、香=6点
(阿:まだ雪の中。外を眺めたい。 葱:「コトコト」は列車の音でしょうか?空気感が伝わってきます。 ぼ:北国の春はまた格別。)

●風光る鉄路に若き耳をつけ=葱男
◎久、な=6点
(久:子供の遊びとしては危険だけど何故だかドキドキ。 な:キラキラした青春!素晴らしいです。)

●猫の恋開けてはならぬ宝箱=メゴチ
◎五◯資△白=6点
(五:お伽話的で愉快!メルヘンの世界! 白:何が入っているのでしょうか? 葱:「猫の恋」は今月よそで3句詠みました、ここに御披露させてください。「猫の恋二度目の巴里はホームステイ」「アルゼンチン広場は何処〈いずこ〉猫の恋」「恋猫やストッキングは色違ひ」、そうそうもう一句あった、「猫の恋三四がなくて五に肉球」。)

●文箱の褪せた手紙や春浅し=メゴチ
◎資◯久△白=6点
(資:捨てられない手紙と季語が効いている。 久:黄ばんだ達筆の手紙なのでしょうか。凛とした感じがありますね。  白:遠い遠い思い出が。)

●真新しきナースシューズや風光る=まさこ
◯修△砂、雪、水、資=6点
(修:汚れたシューズもいい。 雪:初々しいナースを思い浮かべます。 資:初々しいナースの足元と風光るの組み合わせが良い。 葱:ナイチンゲール1年生ですね。)

●千頭の春愁眠る標本箱=葱男
◯白、砂△五=5点
(白:蝶達の悲しみ。 五:蝶は、頭で数える。ごろにゃんさいの趣味と同じ人いたかな?昔なら、資料官さんだが、、。)

●誰も来ぬホームの端に風光る=メゴチ
◯淳、雪△修=5点
(雪:少し寂しげな「風光る」に惹かれました。 修:たしかに空気がちがうよね。)

●馬で行くモンゴル高原風光る=ぼくる
◎ま△淳=4点
(ま:正に風光るがぴったりの光景が浮かんできて、とても気持ちの良い句です。)

●桐箱に並ぶ江戸竿椿餅=なを
◎砂△ぼ=4点
(ぼ:きれいでおいしそう。)

●江戸川に古き橋あり風光る=白馬
△阿、前、秋=3点
(阿:どこの橋かな。)

●風光る庭いっぱいの植木鉢=水音
◯資△ラ=3点
(資:普通ある風景だけど風光るがぴったり。 ラ:やがて、色とりどりの花が咲くことでしょう。)

●風光るもうすぐ君が来る場所に=ラスカル
◎葱=3点
(葱:恋をすれば、人はいつも「光る風」のただなかに放り込まれたことを実感します。 十:待ち人への作者の気持ちがよく表れています。)

●金銀の回転木馬風光る=ラスカル
◯紅△ま=3点
(紅:饒舌過ぎないで、読み手に委ねているところが魅力です。)

●隅田川越へてスパート風光る=資料官
◯ぼ△香=3点
(ぼ:実に気持のよい句。)

●ビー玉を百個せしめて風光る=葱男
◯久△五=3点
(久:ビー玉の百個耀き。両手に余りそう。 五:懐かしいビー玉遊び。俳句はやはり郷愁ですね。)

●方丈の庭の河童や風光る=砂太
◯秋△メ=3点

●方丈の廊下に正坐風光る=修治
◯ま△阿=3点
(ま:気持ちの良い光と風を感じます。 阿:静の中に動あり。)

●みかん箱春を迎えて寂しげに=淳一
◎修=3点
(修:りんご箱は使えたけどみかんの染みが残っていたりして。)

●落椿小銭ちゃりんと賽銭箱=資料官
◯香=2点

●銀盤にスマイル軽く風光る=阿Q
◯前=2点

●高架下のブラスの響き風光る=秋波
◯ラ=2点
(ラ:「響き」が、腹の底まで伝わってきました。)

●空に舞ふイルカの巨体風光る=修治
△十、紅=2点
(十:雲の姿もいろいろ。メタファが効いています。 紅:景が浮かびます。飛沫がかかりそう。)

●ハードルを越える瞬間風光る=ラスカル
△葱、な=2点
(葱:僕はサッカーでしたが、ゴールに体ごと飛び込んだ瞬間、似たような一瞬を経験したことがあります。県大会の決勝で平和台競技場の広々としたコートでした。白髪鴨さんから繋がったパスだったと思います。ヘディングしたのですがボールにはかすらず、体だけがゴールネットに突き刺さりました、風はスローモーションで光りました。 な:こちらも青春、瞬間を切り取っていて羨ましくなります。)

●雛飾る箱階段のがたぴしと=紅椿
△阿、な=2点
(阿:毎年の行事へのうきうき感。 な:代々伝わるお雛さまでしょうか?古いものを大切にしてこられたご家族に敬意を…です。 )

●風光る木星瞬きもせずにあり=白馬
△香=1点

●猫好きの俳人に風光りくる=水音
△雪=1点
(雪:猫好きの俳人と言えば、○○○○さんですね! 葱:大木あまりさんや土肥あき子さんを思い浮かべました。女性には光るけど、男の俳人、例えば猫好きの宗匠にはどうかな、光らないなー。)

●箱崎の宮は八幡雪柳=五六二三斎
△砂=1点

●弾け飛ぶリンクの氷風光る=香久夜
△修=1点
(修:スケートの刃が見えてくるよう。葱:どうせどうせ「結弦」君のことなんでしょう?なんて焼きもちやいたりして、それともおじさんなら「真央ちゃん」のほう?)

●プロポーズされし黒髪風光る =五六二三斎
△淳=1点

●めぐる春古びた箱から雛の顔=秋波
△淳=1点


【無選】

●光風や布団を叩く音遠く
(葱:これも空気感。)

●玉手箱開けんとすれば梅香る
(葱「玉手箱開いて今年の野梅かな」、今月の兼題の候補にこんな句を詠んでいたのでびっくりしました、発想が全く同じですね。)


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