*B部門入選作発表*
兼題『季:寒椿』『漢:白』=全60投句(入選45句)
【特選】
一席
●腕白に老いてゆきます赤マフラー=十志夫
◎雪◯葱、砂、ぼ、紅、水△久、ラ=15点
(雪:その意気! 葱:「赤」という攻撃的な衣装が似合う「おじさん」の意気に、とても感じるものがありました、見習いたいものです。 ぼ:頑張れ、老人パワー。 紅:「三匹のおっさん」みたいですね。「赤」が効いています。これも◎にしたかったです。 水:いいですねぇ。いつまでも颯爽としていて欲しい。 久:少年画報の世界。昔と変わらないのがいいです。 ラ:作者がどなたなのか、発表が楽しみです〈笑〉)
二席
●尼寺の余白に寒の椿かな=葱男
◎香、久、馬◯資△砂、奈、メ=14点
(久:尼寺の持つ寛容なところを余白と表しているところがいいです。 奈:尼寺は質素。苔がよくにあう。しかし、そこに寒椿があれば、彼女たちをどんなに喜ばすことだろう。 資:尼寺の余白,ここに惹かれました。)
三席
●寒椿暗がり坂を花街へ=水音
◎五◯十、久△ま、ぼ、喋、奈、阿、馬=13点
(五:今回の句で傑出した出来栄えです。寒椿は、女性の紅を想像します。暗がり坂には、後ろめたい男の気持ちがある。これは、丘ふみの歴史に残る名句だと、思いました。 十:「暗がり坂」を調べたら泉鏡花が名付けた金沢の坂とか。今も昔も人眼をしのんで通う歓楽街への路。 久:紅色が誘うのでしょうか。 ま:泉鏡花が命名したとか。風情があり素敵です。 ぼ:おお、艶っぽいこと! 奈:花街にいくまでの寒椿の美しさに惹かれた。)
【入選】
●白息のぶつかつてゐる会話かな=ラスカル
◎淳◯喋、雪、奈△砂、修、紅=12点
(雪:二人向かい合って話している様子が、よくわかります。 奈:喧嘩しているわけではない。ちょっと近づきすぎた。ぶつからないようにするにはお互いの口を塞ぐしかない。はあ、方法はいろいろあるけど。 修:これからランニング?寒そうな朝だ。 紅:漫画のふきだしをみるようで、楽しいです。)
●閉まりたるままの茶室や冬椿=修治
◯ま、ぼ、水、資、馬△久=11点
(ま:以前はお茶事が盛んだったのでしょう。 ぼ:モノクロームに寒椿の紅が鮮烈。 水:動きのない寒々とした景に椿があることがうれしい。 久:主役が椿に変わってしまいましたが寂しさを和らげてくれてますね。 葱:静謐と衰微を感じる句です、「閉まりたるままの」がやや口語的な雰囲気がするのが残念。)
●葉牡丹や白磁の中の唐子の絵=雪絵
◎十◯砂、香、メ△資=10点
(十:「白磁」の措辞により葉牡丹や唐子の彩が鮮やかに浮かび上がってくる。)
●笹子鳴く腕白どもの秘密基地=ぼくる
◎水◯ま、久△十、紅=9点
(水:寒くても外で遊びたがる男の子たち どんなところに潜り込んでいるんでしょうか。 ま:季語と腕白どもがぴったり、明るい気分になります。 久:昔を思い出させてくれますね。笹子は意味があったのですね。単なる地名と思っていました。笹子トンネル。 十:テーマとしては多く詠まれてきた素材ですが、「腕白」で戴きました。 紅:季語がいいですね。まだ寒いのでしょうが、子供は元気です。)
●八代の海の光や晩白柚=修治
◯十、紅△葱、ま、水、香、雪=9点
(十:光溢れるなだらかな坂に広がる晩白柚の木々。自然から享ける恵みいっぱいの大景。 紅:「白」から「晩白柚」が出てくるなんて、郷土愛でしょうか。壮観な景色が浮かんできました。 葱:「晩白柚=バンペイユ」を調べて△に取り直した句です。「八代」には様々な幻影や悲話が隠されていりようです、その「地霊」もまた、句の深みに。 ま:早春の光が美しいのでしょうね。晩白柚がまた良いです。)
●白地図に夜汽車走らせ寝正月=資料官
◎紅、喋◯阿=8点
(紅:とても好きな句。つい「愛の終着駅」を口ずさんでしまいました。つつましくも幸せな、お正月風景です。)
●寒椿紅きままつと落ちし宵=白馬
◎メ◯ラ、阿=7点
(ラ:「紅きままつと落ち」が、切ないです。)
●出航の朝の白飯寒明くる=まさこ
◎ラ△修、ぼ、紅、五=7点
(ラ:白飯から、豊かな湯気が立っているのが見えます。 修:おにぎりの白が見えてきます。 ぼ:男っぽい句、「はい、お代り!」。 紅:明るい明日が待っているようです。 五:これも、昔の戦争を想起します。)
●すんなりと開かぬ小窓や寒椿=雪絵
◎ま◯修、奈=7点
(ま:静かな景ですが、この家の歴史を想像させてくれ魅かれます。 修:めったに行かない死角に咲いていそう。 奈:小窓だから、少しの力で開きそうなのに、なかなか開かない。もしかしたら開け方を間違っているのかもしれない。そとの寒椿がみたいのとで、余計に焦る。)
●立札の筆文字かすれ白鳥来=ラスカル
◯葱△十、水、香、資=6点
(葱:背景には降りしきる雪の空が見えます。 十:何十年と風雪に耐えてきた立看板でしょう。餌やりのおじさんの後ろ姿が見えるやう。)
●雪かきを終へて血液真白なる=水音
◎奈◯五△香=6点
(奈:冷え切った身体〈雪かきしたらから暑いのかな〉の内部が真っ白だという発想の面白さ。血液が白なら、臓器も白だし、もう、人間ですらなくって、自然と一体化してしまうような不思議さを覚えた。五:血液まで真白くなる雪かき。九州のヤワには分からない辛さです。)
●家々の白壁光る冬日和=修治
◎阿◯淳=5点
●雪月や白山羊さんから手紙来る=葱男
◎ぼ◯雪=5点
(ぼ:心が、ほんわかして来ます。 雪:メルヘンですね〜。黒山羊さん、食べないで!)
●寒椿おしゃれして行くクラス会=資料官
◎修△ぼ=4点
(修:寒椿が効いています。 ぼ:初恋の人に逢えるんだ、きっと。)
●白地図に春旅先の点結ぶ=久郎兎
◎砂△葱=4点
(葱:いかにも春ですねえ〜、うきうきとした気分になりました。)
●片手には白き花束雪催=雪絵
◎資=3点
(資:献花でしょうか見舞いの花か,雪催との組み合わせが絶妙。)
●寒椿ま白き朝にふるえをり=メゴチ
◯淳△ラ=3点
(ラ:寒椿も、かなり寒そうですね。)
●玄白の鼻に皺あり寒椿=奈々
◎葱=3点
(葱:取り合わせの妙、杉田玄白の肖像画と椿、なかな詫びた品格があります。)
●蕭白の狂へる山河寒鴉=葱男
◯喋△五=3点
(五:蕭白が出てきて、アイデア賞でしょう。)
●白壁を巡らす園舎おにはそと=紅椿
△ま、水、雪=3点
(ま:今白壁は珍しいですね。中の元気な笑い顔が目に浮かびます。 葱:お寺が経営する幼稚園でしょうか?)
●白き野に紅一点の寒椿=喋九厘
◯淳△メ=3点
●大人との差は歴然と寒椿=五六二三斎
△奈、メ=2点
(奈:歴然としているが、負けたと思わせない一句。素敵。)
●寒椿腹は見せぬと平戸武士=喋九厘
◯五=2点
(五:これまた古風でいいなあ。小説になりそう。)
●吟行や白一面の野を誇り=砂太
◯香=2点
●九十の初のカラオケ紅椿=まさこ
◯ラ=2点
(ラ:どんな曲を歌われたのか、色々と想像してとても楽しい気分になりました。)
●彩は陽に香は風に在り白牡丹=十志夫
◯メ=2点
(資:良い句と思いましたが,類想句を思い出しごめんなさいです。)
●白息の運動場のハイタッチ=紅椿
△雪、ラ=2点
(ラ:厳しい寒さなど、子供たちは何のその! 葱:レッドソックス、上原の影響でしょうか、若さ溢れる句で気持ちいい。)
●白葱の輪切りの甘さあと2分=香久夜
◯修=2点
(修:臨場感作りがうまい。)
●幼子の駆け寄る庭や寒椿=香久夜
△淳=1点
●親潮のアクアパッツァや鱈白子=水音
△喋=1点
●寒椿赤き柔肌白帽子=メゴチ
△資=1点
(資:やわはだを色々想像するが,白帽子で締めたところが良い。)
●寒椿垣根手触る下校道=久郎兎
△砂=1点
●寒椿遥かに海の見ゆる園=ぼくる
△修=1点
(修:景が締まって感じられます。)
●従順に生きたき時も寒椿=紅椿
△五=1点
(五:寒椿には、従順が似合う。「も」か?「の」か?ごろにゃんさいは、後者がいいと思います。)
●白雪の脊振目掛けて鬼ごつこ=五六二三斎
△阿=1点
●白息の吹き出るホーム列作る=香久夜
△淳=1点
●ストロボの白き輪白き輪にかぶら=奈々
△葱=1点
(葱:作者は「句またがり」を楽しんでいるようです。「かぶら」の存在感がいい、確かに蕪は薄切りにする「千枚漬け」が印象的な大きな正円を惹起させてくれます。)
●早春の暮れ残りたる白き花=まさこ
△阿=1点
●断崖の寒椿誰彼知らず=久郎兎
△十=1点
(十:句のギクシャク感が独特の味を醸し出している。それが狙いだと思いますが、「断崖の誰彼知らぬ寒椿」とした方が句意がより鮮明のやうな。)
●病む窓に雀伴う眼白かな=砂太
△喋=1点
●腰痛の句友日向の寒椿=砂太
△久=1点
(久:痛さを和らげるものが後に2つ続きますね。)
【無選】
●白魚の危ふさ一途なりし日の
(葱:もう少しで△でした、ちょっとふたつに分かれてしまったか。)
B部門入選作〈back number〉
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