*B部門入選作発表*
兼題『季:春の夢』『漢:前』=全60投句(入選43句)
【特選】
一席
●前掛の男結びや桜鯛=紅椿
◯葱、ま、砂、修、香、秋、喋、久、資△雪=19点
(葱:祝い事の宴に旦那みずから腕をふるっているのでしょう、かっこいい! ま:明るいイケメンが浮かんできます。 修:粋だね! 秋:さぞや鯛もりっぱなのでしょう。気合が入る。 久:気合いの入った女の人を思わせます。気合いとかの言葉を使わずにさりげなく詠んだのがいいですね。 資:男の料理のめでたさをきっぱりと。)
二席
●点描の点のひとつや春の夢=水音
◎葱、十、雪、秋、久◯修△メ=18点
(葱:点のひとつひとつが「夢」だなんて、素敵な発想ですね、われわれ物質も分子を拡大してみれば希薄な「夢」の塊みたいなものですもんね。 十:点描画を描き出す一つ一つのドット。そんなおぼろな儚さが「春の夢」のイメージに重なる。 秋:うたかたの夢。普段の生活いえ人生も点描みたいなものかも。 久:スーラの絵だったと思うけどパステルカラーの点の集合の絵を思い出しました。 修:宇宙的視点というべきか。)
三席
●前歴の要らぬ暮らしや木の芽風=十志夫
◎ま、ぼ、砂、メ△紅、水=14点
(ま:穏やかに暮らしていらっしゃるご様子がうかがわれます。 ぼ:おお、このさわやかな境地よ! 紅:定年を迎えられたのでしょうか。安堵感と一抹の寂しさ・・。)
三席
●春の夢蒼き地球を手のひらに=まさこ
◎ラ、資◯淳、砂、雪、メ=14点
(ラ:スケールの大きさに、心惹かれます。 資:これぞほんまの春の夢,スケールが大きい句ですね。)
【入選】
●手前より動き始むる春の山=十志夫
◯五、ぼ、紅、秋、水△ま、香=12点
(五:どこの山でしょうか?信州なら分かりやすい。ただ、関東の群馬、栃木の山などもそうでしょう。 ぼ:上手いなあ。 紅:奥行きが感じられて、目に浮かびます。 秋:遠くの山々はまだ雪を残している風景でしょうか。 水:毎日山並みを眺めていて本当にそうだと感じます。 ま:芽吹きの勢いを感じさせてくれます。)
●さめやらぬ春の悪夢や原発忌=ぼくる
◎修、香◯白△阿=9点
(修:うーーん。明るくて生の歓びを感じさせてくれるのがどっちかというと好きだけど…採ってしまった。この方の場合悪夢は〈原発〉なんだ。 白:あれから「もう」いや「まだ」三年。一日も早く平穏な日々が戻りますように。)
●通されて男頷く雛の前=砂太
◯淳、ラ、香△白、久=8点
(ラ:朴訥な青年を想像しました。 白:うんうんなるほど。 久:女性上位を感じますね。)
●前ばかり見ているこけし震災忌=秋波
◎白◯紅△五、修、久=8点
(白:じっと動かず表情も変えぬこけしが震災地を見ている。 紅:読者のとり方で、いろいろに解釈できる面白いお句だと思います。 五:こけしというと、資料官さんのお父上のコレクションのことが思い出されますね。百号記念誌の写真です。 修:玄侑さんの小説を思い出します。水が見れない。 久:発想がいいです。こけしが向いているのは前と決めつけるのがユニーク。 葱:鑑賞すればするほど深い句であるような、こけしの産地は東北のイメージが強いです。)
●春の夢困つたやうに笑ひをり=修治
◯佳、メ△十、淳、雪=7点
(佳:困った笑いの主は何となくチャーミングです。含み笑いとか苦笑いとか笑いの表現はいろいろありますが困ったやうな笑いは既成語にはない微妙感があります。 十:春の夢を「繕い笑い」のようであると表現(取り合わせ)。実感である。)
●気の早い桜一枝食前酒(アペリチフ)=秋波
◎五◯資△ラ=6点
(五:お洒落な句ですね。しかも、季節の先取りに少し躊躇う心配りの気の早い桜一枝。素晴らしい句です。 ラ:「アペリチフ」が、お洒落。 葱:一枝咲いているだけでも飲みたいですね。)
●小前田と大前田居る新入生=白馬
◎佳◯葱△ま=6点
(佳:例えば「大久保と小久保居る」では面白くないです。「おまえだ」「おおまえだ」という名前が絶妙だと思いました。
やんちゃな中学生をイメージしました。 葱:これは思いつかない、実景ですかね? ま:すごい!私はどちらの名前も初めてです。楽しい句ですね。)
●すれ違ひざまの鼓動や春の夢=紅椿
◯ラ、久△砂、秋=6点
(ラ:それはきっと、恋の予感! 久:春の瞬間の妙を前々から作れないか考えていましたが、鼓動はいいですね。 秋:何にときめいたの?)
●野仏の杏仁形や春の夢=秋波
◯五、水△喋、資=6点
(五:野仏の柔らかな顔に包まれて見る春の夢。幸せな季節。 水:野仏様の目にズームして春の夢と取り合わせたところがいいです。)
●春の夢心残して目覚めけり=雪絵
◯十、佳△淳、紅=6点
(十:夢うつつとは春眠の特徴。身体が覚めても意識は夢の中にある。 佳:夢はいつも心残り。それも春の夢ならなおのことです。 紅:よい夢だったのでしょうね。でもすぐに忘れてしまうんですよね〜。)
●悪いことしてきたやうな春の夢=佳世子
◎紅◯白△淳=6点
(紅:「春の夢」の本質を突いている、俳諧味のあるお句だと思います。 白:そんな気のする夢ってありますね。)
●筍やいざ前掛けに気合い入れ=久郎兎
◎喋△修、秋=5点
(修:大きな包丁ピッカピカって感じ。)
●縦書きの便箋前略ねこやなぎ=資料官
◯ま、雪△砂=5点
(ま:前略には縦書きが似合いますね。)
●膨らみや春セーターの前のほう=佳世子
◯喋、阿△白=5点
(白:思い切った句ですね。)
●亀鳴くやスピード違反といふ前科=十志夫
△葱、ま、水、メ=4点
(葱:パトカーのサイレンの音が遠くに聞こえるようです。 ま:前科なのですね、発想がお見事です。)
●一つのベンチに一人の男春の夢=修治
◯葱△ぼ、佳=4点
(葱:どんな人間にもひとりにひとつ「夢」があるんだなあ〜。 ぼ:何だろう、惹き付けるものあり。 佳:ベンチを独り占めしている男の夢は、案外ゴージャスかもしれず。)
●朧なる夢は桜に抱かるる=久郎兎
◎阿=3点
●銀翼の曳く雲の尾や春の夢=葱男
◎水=3点
(水:まさに春の夢。)
●三寒と四温の前で正座する=メゴチ
△五、十、喋=3点
(五:三寒と四温のぶつかり合いのことでしょうか?上手い言い方です。 十:今年ほど気候の変動が激しかった年もない。出掛けようか、それとも家にとどまろうかと逡巡する様子が「正座する」に表われている。)
●六十の坂を越えても春の夢=五六二三斎
◎淳=3点
●あけぼのや夜汽車は春の夢の中=資料官
△ぼ、喋=2点
(ぼ:詩情あり。)
●割烹着姿の母や春の夢=ラスカル
△砂、香=2点
●十七にタイムスリップ春の夢=雪絵
△修、メ=2点
(修:十五よりなんか色彩を感じます。)
●末つ子の一丁前に卒園す=紅椿
△ぼ、白=2点
(ぼ:嬉しさがにじみでてる。 白:中七が面白いです。)
●前世はネコ科ヒト属春の塵=水音
◯十=2点
(十:自分自身を「ヒト」である前に「猫」と称する大胆さ。「春の塵」の季語によって、ごろごろとしている日常が垣間見える。)
●蛇行して桜前線上りけり=雪絵
△ラ、水=2点
(ラ:「蛇行して」という表現がユニーク。)
●つかの間の桜と過ごす春の夢=淳一
◯阿=2点
●雛の前友の深さを思ひけり=砂太
△秋、阿=2点
●前庭の朧の海になりにけり=まさこ
△葱、十=2点
(葱:春雨がずっと降り続いているのでしょうか?物思いに耽っている佳人の姿が目に浮かびます。 十:春先の庭は芽吹きを前にして何もかもが無秩序な状態になる。まさに朧の海とは言い得て妙。)
●前向きな返事待ちます養花天=五六二三斎
◯ぼ=2点
(ぼ:俳味あり、季語もぴったり。)
●前を行く乙女の姿春めいて=淳一
△久、阿=2点
(久:常に良い方向であることを感じさせますね。)
●いくつもの卒業の歌アルタ前=葱男
△資=1点
(資:卒業生であふれる新宿東口でしょうか。輝きがある。)
●越前を分け入りてあり竹人形=阿Q
△資=1点
(資:永平寺のそばの山の中まで行かれたのでしょうか。立派な人形。)
●皇居前広場横から春一番=資料官
△佳=1点
(佳:ジョギング風景かもしれませんが、走者と言わないところが良かったと思います。)
●半世紀前の日記や風朧=まさこ
△ラ=1点
(ラ:「朧」が即き過ぎかもしれませんが、「半世紀前」という具体性がよいと思います。)
●ブータンの寺半眼の春の夢=葱男
△雪=1点
●前髪を綺麗に揃へ入学す=五六二三斎
△香=1点
●身一つで生きるも死ぬも春の夢=阿Q
△五=1点
(五:初老の覚悟みたいなものを感じる。綺麗に死にたい。でも、生きたい。そんな年齢になってきました。)
●夢の中に友の来てゐる春の朝=砂太
△佳=1点
(佳:夢の中にはまだ友がいるのかどうか?夢と現を行き来する友のような感じがします。)
【無選】
●天空に城そびえたつ春の夢
(葱:「竹田城」、観光客に荒らされて大変ですね。)
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