*B部門入選作発表*


兼題『季:コスモス』『漢:引』=全69投句(入選54句)

【特選】

一席
●コスモスに紙飛行機の潜り込む=ラスカル


◎久、資、雪○淳、ワ△十、喋、五、ぼ=17点
(久:コスモスの花の下は密林です。魑魅魍魎としたその世界を一度詠んで見たかったです。流石です。資:コスモスの小道具として紙飛行機はぴったり。 雪:絵本の一頁みたい!グライダー句も好きでしたが。 十:爽秋の一景。下五の「潜り込む」に納得。 五:ありそうな光景だが、コスモスと紙飛行機の対比の妙。  ぼ:かわいいですね、子供が見える。)


二席
●顎引いてピストル待つ児秋の空=十志夫


◎五○理、ラ、香、秋△久、砂=13点
(五:季語が少し甘いかと思いましたが、子供の遊びの光景をよく捉えている。 香:秋:運動会は今も昔も変わらない。一瞬の緊張感を捉えて見事です。 久:顎を引いてとよく先生から言われましたね。 ラ:「顎引いて」が、とてもリアルです。 秋:運動会は今も昔も変わらない。一瞬の緊張感を捉えて見事です。)


三席
●秋の潮引き切り壱岐の六地蔵=砂太


◎秋○五、ぼ△葱、水、紅=10点
(秋:秋の陽射しを浴びた鄙びた風景が浮かびます。 五:はらほげ地蔵。行った者には分かる光景。 ぼ:いい景ですね、i音がリズミカル。 葱:既視感あり。 水:「引き切り」で、はらほげ地蔵が寂しそうです。 紅:検索して「壱岐の六地蔵」を初めて知りました。実物を見てみたいです。 )


三席
●綱引きの赤紐行き来鰯雲=久郎兎


◎水、入○雪、ス=10点
(水:綱の赤い紐に着眼したところでいただきました。 雪:中心の赤い目印の紐。沖縄の大綱引きの映像を思い出しました )


三席
●閉ざされし引込み線や花芒=資料官


◎ラ○白、久△香、砂、遼=10点
( ラ:情景が、鮮明に目に浮かびます。 白:廃線となった輸送用線路と芒。嘗ての興隆が今は-----。 久:線路の上を閉ざされているなら何かいけない空間のようで、昔が懐かしくもあり何だか寂しい。)


【入選】

●秋桜のおんなとおんなのひかき傷 =スビキワァ
◎香、ス○葱△五=9点
(香:面白いような怖いような。 葱:竹内まりあの「けんかをやめて」を思い出しました、ちょっと歌謡曲っぽい表現が逆に新鮮です。 五:この俳味。なかなかの詠み手!)

●コスモスや喪服の人の急ぎ足=ラスカル
○十、ぼ△理、淳、久、遼、ワ=9点
(十:ひと仕事を終えてからの葬儀への出席なのでしょうか。 ぼ:妙齢の婦人に違いない、ドラマあり。 久:コスモスって菊の次に葬式に似合いますね。)

●引き時の思案あれこれ虫の夜=紅椿
○資、ま△五、砂、雪、秋、ぼ=9点
(資:会社辞めるか続けるか。そんなときの虫の声。ま:いろいろ考えておられるご様子がひしひしと伝わってきます。 五:恋の駆け引き?私は駆け引きしません。 雪:誰にもいつかはこんな時がくるのでしょう。もう遠くない将来かも。 信:引き際の見事な人もいるけれど、やっぱりあれこれ揺れるのが人情。 ぼ:責任を全うすべきか、後進に道を譲るべきか、さて。)

●おぼつかぬアンヨの先の秋桜=香久夜
◎ま○英、砂△久=8点
(ま:可愛くて仕方がないという作者のお気持ちが溢れています。 久:転けてもコスモスがクッションになって受け止めてくれそう。 )

●引力のはたらく岬雁渡し=葱男
◎修○十、香△雪=8点
(修:岬ってこんな感じもする!手だれの句。 十:秋の雁の渡来を「岬の引力」だとする大胆な表現。 香:不思議な引力ですね。 雪:そういえば潮の満ち引きは、月の引力でしたね。自然界は不思議なことばかりです。)

●風吹けばコスモスばかり空ばかり=弧七
○理、資、ス△秋、ぼ=8点
(資:3回出てくる「ば」(サンバ)のリズム感が良い。 秋:コスモスの群生地に立つとその通り。 ぼ:シンプルで気持のいい句。)

●泣きべそに道理引っ込む栗の毬=秋波
◎紅○入△喋、ま、ワ=8点
(紅:理屈ではなく、じいちゃん、ばあちゃんは孫に弱いものです。面白い季語を使われましたね。 ま:栗の毬が、やんちゃな感じとぴったりですね。)

●強引な脚色ですね七竃=葱男
◎喋○五△十、ス=7点
(五:愉快な句。上手い。 十:「テレビドラマ」の筋書きとも「日常事」とも取れるが、この場合は散文調が効いている。)

●秋桜は濃い色が好き栗も好き=秋波
◎ワ○信、資=7点
(資:季重ではあるが下五に思わず笑ってしまう。)

●爽やかの知らぬ明日にノコを引く=スビキワァ
◎十○喋△遼=7点
(十:「を」にも「が」にも「や」にも変りうる上五の独特な「の」の言い回しが句を重層なものにしている。句意が幾通りにも広がって難解だが、不思議な世界。)

●父の手のゆりかごのごと秋桜=紅椿
◎英○メ△香、秋=7点
(メ:あの温もりが懐かしい。 香:安心感。思い出からでしょうか。 秋:やさしく揺れるコスモス。)      

●引き潮の砂に文字書く遠き秋=雪絵
◎理○砂△白、ス=7点
(白:海辺育ち。昔好きだった人の名を。)

●人の世は陰恋しがる秋桜=弧七
○紅、入△修、久、資=7点
(紅:うまく鑑賞できませんが、上五.中七に惹かれました。 修:秋桜に陽でなく陰を配したイミシンな句。 久:コスモスって陰が似合いますね。世間は陰が好きと解釈してはいけないのでしょうね。他に深い意味がありそう。)

●あきざくらベッドサイドは白ばかり=水音
○修、雪、遼=6点
(修:あきざくらあんがい傍若無人かも。 雪:入院のベッドでしょうか?せめてコスモスを飾って華やかに。 遼:(物悲しい色の対比ですね。)

●コスモスや歯磨きはひざまくらして=修一
◎葱△十、水、入=6点
(葱:俳句でこんなに100%恋愛の句はそう見ない、自己表現の根本のところには必ずこのようなパルピテーションがあるはずです、「芸術」であるはずの「俳句」もこのように「爆発」してほしい。 十:なんとも羨ましい。 水:かわいらしい幼児の姿。)

●こすもすやりぼんで括る友の文=まさこ
○水△ラ、雪、ス=6点
(水:限りなくおばさんの好きなピンクの雰囲気ですが、私もピンク大好きなので。 ラ:「友」ではなく、どうやら「恋人」のようですね〜<笑>。 雪:大切な友達の手紙なんですね。)

●大津波引きて残りぬ捨子花=白馬
○水△修、五、秋=5点
(水:彼岸花を「捨子花」としたことで、いただきました。 修:曼珠沙華ではだめですか? 五:捨子花が決まっている。震災を思い出し、悲しさ残る。)

●こすもすの風に「イエス」と応えをり=雪絵
◎ぼ○信=5点
(ぼ:なんとも幸せそう、神に「イエス」ですね、これは。)

●コスモスや去年ひとりで立てたのに=修一
○ま、遼△葱=5点
(ま:近しい方でしょうね、お気持ちお察しします。 遼:時間の持つ重みが実感として伝わってきます。 葱:なんとももの哀しいところに「コスモス」との相性を感じました。) 

●コスモスや来世はきつと虫になる=水音
◎遼△理、ワ=5点
(遼:コスモスにずっと近いところへ、強い「憧れ」を感じます。)

●引き技に漏るるため息九月場所=十志夫
◎信○紅=5点
(紅:観客のため息が聞こえてきそうです。)

●放課後の尾を引く影に赤とんぼ=秋波
○メ△信、英、淳=5点
(メ:影と赤とんぼって合いますねえ。)

●コスモスや子らの手を振る小海線=資料官
◎白△葱=4点
(白:小海線・コスモス・子ら の取り合わせが好きです。 葱:K音のリズム。)

●空の下目が合ったんだコスモスと=信頭火
◎砂△ラ=4点
(ラ:純粋な心が感じられます。)

●長き夜に引用文と闘へり=久郎兎
◎メ△ワ=4点
(メ:最近の忙しさを思い出しました。)

●逢引のさなかコスモスふんぢやつた=葱男
△修、久、メ=3点
(修:逢引って踏まれたコスモスのイメージかもね。 久:よく踏みつけてしまい独特の匂いが漂うんです。逢い引きは他のところが良さそう。 メ:このあとの展開が気になる。)

●秋桜猫背になりて呼び止むる=久郎兎
○喋△五=3点
(五:コスモスの方も猫背になっているのが愉快。)

●コスモスと一緒に昼寝高野川=信頭火
○ラ△葱=3点
(ラ:気持ちよさそう♪ 葱:気持ち良さそう〜。)

●コスモスと見上ぐる峡の空深き=ぼくる
○白△ま=3点
(白:コスモスの咲く野辺に寝そべって何かを想っている。「と」と「峡」が佳い。 ま:なにげない景なのですが、空深きに想いが込められていますね。)

●コスモスの群れて露天の湯の匂ひ=砂太
○淳△メ=3点
(メ:露天風呂に行きたくなりました。)

●コスモスや谷の向こうの太鼓の音=香久夜
○修△入=3点
(修:風でなく音で広い谷が見えてくる。)

●秋麗に引導渡す噴火かな=水音
○香△紅=3点
(香:大変なことになりました。自然のおそろしさをまざまざと見せつけられました。 紅:不幸な事が起きてしまいましたね。「秋麗」が辛いです。)

●引き戸あけ水面の月にほんのりと=英心
◎淳=3点

●秋草を訊けば応ふる生き字引=十志夫
△香、ま=2点
(ま:なんでも応えてくれる人が側にいると幸せですね。)

●一壺欲しコスモスの紺手に余し=砂太
△葱、水=2点
(葱:上五の漢詩調に格調を感じます。 水:◎にも○にもしたかったのですが、紺がわかりませんでした。)

●グライダー秋桜畑を揺らしをり=スライトリ・マッド
△信、英=2点

●秋桜の紅白ぼかし天碧く=喋九厘
△資、英=2点
(資:手前のコスモスを大きくぼかして青空に焦点を合わせているところが面白い。)

●まなざしは陽のようであれ秋桜=弧七
○葱=2点
(葱:若き熱と、その奥底に深い優しさを感じます。)

●秋深し牛に引かれて宮参り=喋九厘
△淳=1点

●コスモスが好きだと云ふを思い出す=淳一
△メ=1点
(メ:楽しい思い出だったんでしょうか。)

●コスモスやあの日あの時美しき人=白馬
△理=1点

●コスモスや背筋のばせばひこうき雲=資料官
△ラ=1点
(ラ:ユーミンの「ひこうき雲」が聴こえてくるような。)

●コスモスや「花子とアン」の了りける=ぼくる
△入=1点

●残暑より引きて曳きやる祭かな=香久夜
△英=1点

●自転車で上る坂道秋桜=雪絵
△信=1点

●千の風ゆれてほのかに秋桜=英心
△白=1点
(白:父母の御霊か、他の懐かしい人の千の風か。ほのかに-----。)

●空高く君は引力振り向ける=五六二三斎
△喋=1点

●引き際のみごとな人や初紅葉=ぼくる
△白=1点
(白:潔い退職者。政治家もそうであれば。)   

●放課後の甘美な記憶秋ざくら=ラスカル
△紅=1点
(紅:青春していたのでしょうね。)


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