*B部門入選作発表*
兼題『季語:蟇』『漢字:道』=全75投句(入選50句)
【特選】
一席
●前世を語り始める蟇=ラスカル
◎十、紅、白、裕○砂、し△久、ま、喋=19点
(十:まさにありそうな景。41番句の「蟇きみはジュラ紀を見てきたか」と対句のような。 紅:「前世」と「蟇」は合いますね。俳諧味があって、様子が目に浮かぶようです。 裕:上手い!蟇をうまくとらえていると思いました。 し:聞いてみたいです。 ま:蟇ならありそうで、夜に一人ひっそりと聴いてみたい。)
一席
●道灼けて我が棒切れのごとき影=秀子
◎葱、ラ、や、淳○十、香△久、ぼ、メ=19点
(葱:メタボでないところがむしろカッコいい?? 淳:影を棒切れと表現するのがおもしろいですね。十:自虐の句に思わず、我が身を振り返る(^_-)- ラ:「棒切れのごとき」に実感がこもっています。 や:心象であるが実像でもある。 ぼ:自虐的だが、ペーソスとユーモアあり。)
三席
●ひきがへる上座の客のごとくゐて=紅椿
◎砂、し○葱、村、ラ、メ△虹、香=16点
(し:思わず笑ってしまいました。上手い表現ですね! 葱:見た目で人を判断できませんが、態度でかそう! 村:いかにもそう見えますね。 ラ:下座ではなく上座なのですね。納得です! 虹:特等席で落着いちゃってる。)
【入選】
●ひきがへる地震列島尻の下=清一
◎ぼ○虹、紅、資、喋△十、子、茶、し=15点
(ぼ:いいね、このオーバーな表現。面白い! 虹:地震にも動じない、蟇蛙のでんとした感じがいい。 紅:慌てず、騒がずいるしかないのでしょうね。季語が効いています。 資:蟇にとっても深刻な問題。発想が面白い。 十:諧謔の句で、なるほどと思わせて面白い。 茶:どっしりとしたひきがえるの尻で地震を抑えてほしいものですが。 し:地震にも動きそうにないですね。)
●禄高の三石ほどや蟇=葱男
◎入○砂、十、秀、ぼ△白、香=13点
(十:成人が1年間に消費する量が「1石」らしいので、家族3人分ということ。 ぼ:しがないサラリーマン思わせる、哀感あり。 秀:面白い!上手い!!)
●天地無用豊後水道大夕焼=十志夫
◎喋、香○ま、ぶ△ぼ=11点
(ま:さぞや圧倒的で美しい景なのでしょう!漢字だけの表記が効果的です。 ぶ:漢字ばかりで構成された句に引っくり返ってしまいました。 ぼ:このさわやかな青春性。)
●旧道に飛脚のしるべ日雷=十志夫
◎清、虹○や△ま、ぶ=10点
(清:江戸時代の飛脚の宿場町日雷との取り合わせが良い。 虹:雷を急ぐ飛脚の姿を思わせる。当地は中仙道の本陣近く。 や:飛脚は日に何駅走るのだろう。 ま:ひたすら歩いていた昔が偲ばれます。 ぶ:日雷で一気にタイムスリップした。)
●蟇戒名の無き父の墓=資料官
◎秀○清、茶、喋△水=10点
(秀:どんな父だったのか、、その父をどんなに尊敬しているのか、よく伝わります。 清:何か曰くがありそうな父の墓、蟇だけが知っている。 茶:無信教なのかあえて戒名をおつけにならなかったのかは分かりませんが、無表情な墓石と蟇蛙との取り合せにいただきました。そういえば漢字も似ていますね。 水:墓守がいて安心。)
●番頭のやうに控へて蟇蛙=秀子
○白、水、裕△紅、し、喋=9点
(水:影で大店を支える名番頭。 裕:蟇蛙のような顔をした番頭さんがいそうです。 紅:納得です! し:番頭のやうにがいいですね。)
●蟇鳴くや夫婦喧嘩のあとの黙=十志夫
○久、村、入、ぼ△水=9点
(村:すんなり納得。 ぼ:蟇に馬鹿にされてるような、とぼけた味あり。 水:言い過ぎたかなと反省などしている時にやけに存在感のある鳴き声が。)
●父の日やあなたの道は自慢です=メゴチ
◎ま○紅△秀、村=7点
(ま:あなたの道、よいですね。このように子供に言ってもらえるお父様、すばらしいですね。紅:こう言ってもらえる、お父さまはお幸せです。面と向かっては言えなくても、句なら言えますね。
秀: 「あなたの道は」の省略にやや疑問はあるんです。 村:すっきりと言い切り敬意が。)
●江戸暑し彫り師刷り師の道具箱=香久夜
○秀△砂、十、ラ、茶=6点
(秀:「江戸暑し」に驚かされました。物できちんと押さえてあります。 十:浮世絵もそうした職人芸があってこそ、ですね。 ラ:道具箱の中には、どんな物が入っているのだろうかと想像が膨らみます。 茶:「暑し」は「熱し」へ。職人の鉄火肌を思い浮かべました。)
●近道は草の細道蟇=砂太
◎資○水△虹=6点
(資:道のリフレイン+蟇,両題を盛り込みお見事です。 水:リズムがとてもいい。 虹:そんな道、あるある。)
●蟇鳴くや半眼にして石の上=修一
○し、淳△久、ラ=6点
(し:半眼が眠そうでぼーっとしている様子でいいですね。 ラ:「半眼」がとてもリアル。)
●蟇鳴くやマナーモードの着信音=清一
◎久△茶、入、メ=6点
(茶:確かに!バイブ音に似ていますね。その発見にいただきました。)
●わが姫はつひに来ぬまま蟇=ぼくる
◎メ△紅、し、白=6点
(紅:童話に、お姫さまのキスで、王子に戻った話があったような・・。でも、この方はダメだったのですね、残念! し:それは残念でした。(笑))
●大空へのぼる石段蟇蛙=まさこ
○子、ぶ△裕=5点
(ぶ:どんな世界が展開されるのだろう? 興味津々。 裕:千と千尋の世界のようです。)
●過去生は傀儡(かいらい)の王ヒキガエル=ぶせふ
◎茶△葱、ラ=5点
(茶:ふと親指姫の蛙が思い出されました。ヒキガエルの消極的な生を如実に表していると思います。葱:見た目で人を判断できませんが、「傀儡」も「王」となればたいしたもんです。 ラ:傀儡の王であったとは!びっくりです。)
●木漏れ日のひとすじの青蟇の声=まさこ
◎ぶ△裕、メ=5点
(ぶ:音と色が織りなす美しすぎるほど印象的な俳句。 裕:緑が濃くなって、そこに蟇の声、夏を感じます。)
●跳ぶやうに見えぬ五体や蟇=虹魚
○香△砂、葱、ぼ=5点
(葱:見た目で人を判断できませんが、あの体でたまに跳ぶから怖いわ! ぼ:たしかに、たしかに。)
●なりたきはボディビルダー蟇=水音
○裕、メ△紅=5点
(裕:蟇をボディービルダーと取り合わせるのが面白い。 紅:想像するだけで楽しいです。)
●蟇のこゑ心拍数の五割増し=茶輪子
◎村○資=5点
(村:大胆な云いっぷりりに俳諧味が。 資:蛙の嫌いな人はまさにそうですね。)
●冷酒(ひや)酌むや廃れちまった男道=ぼくる
◯葱、ラ△紅=5点
(葱:「男道」、家族や友人のために動き、権力を嵩に弱い者を苛める輩を戒めるのが「男の道」 ラ:中原中也の「汚れちまった悲しみに」を踏まえての句でしょう。巧い! 紅:好みです!)
●マンションを憮然と見上ぐ蟇=ぼくる
○白△十、村、淳=5点
(十:「昔は俺の寝床があって平和だったなぁ」と蟇のぼやきが聞こえそう。 村:蟇になりきって。)
●雲の峰どの道も皆海へ出る=やんま
○虹、ま=4点
(虹:ジブリ作品のようなスケール感がある。 ま:雲も海も気持ち良く広がり、景がはっきり見えて好きです。)
●蟇きみはジュラ紀を見てきたか=水音
○清、十=4点
(清:ジュラ紀にも確か蛙の祖先が登場していた筈だ。 十:)20番句の「前世を語り始める蟇」と対句のやうな。)
●蟇鳴くや筑波三里の古道標=やんま
◎水△ぶ=4点
(水:蟇と筑波は相性が良いようで。 ぶ:油売りを連想する。)
●高原の朝の散歩を蟇覗く=香久夜
◎子=3点
●夏立つや物の怪生るる森の道=砂太
○久△や=3点
(や: 物の怪に距離感は無い、心の様故に。)
●合歓の花影絵館への道しるべ=まさこ
○子△秀=3点
(秀:「影絵館」でいただきました。季語によく合っています。)
●蟇のこゑお客のいない終列車=資料官
△入、水、裕=3点
(水:お客は自分だと主張しているかのよう。 裕:都会ではない世界ですね。)
●三毛獲りし茶の間の蟇の骸かな=修一
○茶△白=3点
(茶:「の」の畳みかけの調子が効いていると思いました。)
●寄り道をしても家路や夏の月=秀子
○や△子=3点
(や:帰る家がある幸せ。)
●炎昼や河川敷への道長し=茶輪子
△虹、淳=2点
(虹:柔らかな奥行きがある。)
●肩車梔子香る帰り道=香久夜
△清、資=2点
(清:梔子の香る道を肩車して貰った幼い頃を思い出している。 資:K音の響きが心地良い。)
●芥子咲くや旅芸人の道遠く=葱男
△淳、喋=2点
●田植え終え妻に知らせに帰る道=淳一
○入=2点
●宝島へ片道切符南風吹く=水音
△清、し=2点
(清:片道切符だから宝を持って帰れない皮肉めいた所が面白い。 し:帰る気なしですね。)
●庭いぢる妻の日暮や蟇のこゑ=十五
○淳=2点
●道をしへ消えて行方の定まらぬ=清一
△砂、資=2点
(資:(昔は砂利の山道でよく見かけたけど,久しくお目にかかったことがない。綺麗な色をしてるハンミョウに一票。)
●緑陰や石と見紛ふ道祖神=紅椿
△清、や=2点
(清:道祖神も悪霊を防いでいるうちに風化し石に返って行った。 や:古今の人々の往来を見守って今は苔むす道祖伸。)
●帰宅難民蟻の如くに道塞ぐ=秋波
△香=1点
(香:大阪北部の地震、道も歩道橋もそのようになっていました。)
●柴山に入る道消えし盆の村=修一
△や=1点
(や:過疎化だからなあ。)
●中山道大井宿本陣の夏=ぶせふ
△村=1点
(村:広い所から狭いところへ絞り込んだリズムの良さ。)
●蟇動かぬ意思の強くあり=白馬
△葱=1点
(葱:見た目で人を判断できませんが、できれば動かないでほしい!)
●ひきがえる御笠の川の主かな=喋九厘
△入=1点
●ヘアピンのやうに山道蛇苺=十五
△秀=1点
(秀: 私だったら、「やうな」としますけど・・・。)
●道草や蜻蛉生るるを待つ野池=葱男
△ま=1点
(ま:そういう瞬間を見たことがないので、じいっと見ていたくなりました。ゆったりと時が流れている時代ですね。)
●メロン抱き畦道走る女の子=ラスカル
△ぶ=1点
(ぶ:火垂るの墓に出てきそうなシーンだと思った。)
●もぎたてのトマトめがけて道の駅=資料官
△子=1点
B部門入選作〈back number〉
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