*B部門入選作発表*


兼題『季語:龍天に登る』『漢:水』=全72投句(入選55句)

【特選】

一席
●麗らかや水辺に大中小の靴=十志夫


◎雪○ま、資、メ、ス、香△や、ラ、英、水、風=18点
(雪:子供たちにも嬉しい春ですね。大中小がかわいい! ま:微笑ましい、幸せなご家族ですね。 資:カラフルな風景の中の大中小の靴に色々な発想が広がり面白い。 香:大小でなく、中も入って、賑やかさ、兄弟かしら?と楽しくなります。 ラ:「大中小」から、色々な三人が想像出来て、楽しいです。 英:田舎の小川でしょうか。 水:親子か兄弟か、麗らかな日に歓声が満ちる。 風:水も温んで靴を脱いで家族で何かしているのはわかりますがもう一つ景がはっきりせず△。でも、気持ちの良い春の句ですよね。)


二席
●春光を溜めて手桶の水揺るる=十志夫


◎子、淳○英、ス△紅、ぼ、秋=13点
(淳:情景描写が巧みですね。 英:「ゆうくり」が本当にゆっくり感がありますね。 お彼岸のお墓参りの様子が眼に浮かびます。ぼ:手堅い、ザ俳句という感じ。)


三席
●笹舟のたゆたふ水辺春の風邪=紅椿


◎ラ○ま、雪、喋△る、資、五=12点
(ラ:「たゆたふ」と「春の風邪」が照応しています。 ま:美しい景と季語が合っていて、風邪もこういう風に表現できたら素敵ですね。 雪:笹舟の不安定さ、春の風邪の感じです。 る:けだるい感じが伝わるが、ノスタルジーも<つまり、現代の句ではないような> 資:良くわからないけど春の風邪がなぜか合っている。 五:春の風邪がいい!)


三席
●機織のもも色作務衣水温む=雪絵


◎る○十、砂、風△資、ぼ、五=12点
(る:女性の作務衣の句は珍しいかも。明るさいっぱいの健康的な気持ちも伝わる。 十:いまどきの眉目秀麗の女機織師なのでしょうか。「もも色作務衣」が如何にも春の趣きを感じさせる。 風:染め物が終わって水温む季節は機織工が忙しくなるのでしょうか。 ぼ:好きですねえ、こういう日本的風景。 五:桃色がユニーク!水温むが動かない!)


三席
●竜天へ登る北斗を階として=砂太


◎葱、水○白、紅△る、十=12点
(葱:壮大で強く美しい。 水:景の大きさがいいですね。 白:七つの星を一段づつ。そして何処かに消えた。 紅:大きな景ですね〜!夜を題材にしているのが新鮮です。 る:空想で作るにしても、このくらいのスケール感が必要なのでは。ただし、夜だとどうなのか?)


【入選】

●四分音符ゆうくり流る春の水=メゴチ
◎ス、五○淳△や、ラ、英=11点
(淳:「ゆうくり」が本当にゆっくり感がありますね。 五:兼題を上手く料理したなあ!と感動! ラ:「おたまじゃくし」だとは思いますが、実際に音符が流れていたらシュール。 英:春のうららの隅田川〜♪♪♪〜)

●水墨の達磨見つめる春夜かな=子白
◎喋○十、秋△葱、香、五=10点
(十:達磨「が」なのか、達磨「を」なのかで句意が違ってくる。作者の思いは「達磨を」だと思いますが、「達磨が」で頂いた。達磨が見つめている春夜の「朧」は、その水墨画を見ている作者の「朧」でもあるという二重構造に読める。 余談ですが、句中に「かな」という文語を使う場合は、「見つめる」は「見つむる」としたほうが。 葱:作者の心の中は分りませんが、人生にはこんな時間が必要なのかも。 五:いい春夜です。)

●すぐそこに賀茂の水音青き踏む=るな
◎砂、紅○風△水、五=10点
(水:ああ、美しい水音。 紅:京都ならではの上品さ、荘厳さが感じられて、惹かれました。 風:◎最後まで迷いました。「加茂の水」がもう一つはっきりわからず「加茂川」の省略形でしょうか?司馬遼太郎の小説にも「加茂の水」とあるので良いかなとも思いましたがう〜んと悩んだすえやはりこの省略形は厳しいかなと。 五:青き踏むは、雪国にぴったし!)

●春雨の波紋優しき水溜まり=久郎兎
◎資○や、淳△葱、白、砂=10点
(資:優しい波紋,春ですねえという句。 淳:静寂の中の小雨ですね。葱:こちらの波紋は穏やかで心安らぎます。 白:その前は大降りでした。)

●ロケットの島の岬や龍天に=スライトリ・マッド
◎香○英△葱、る、ま、久=9点
(英:なるほど、ロケットと龍か、上手いなあ。 葱:つき過ぎかもしれませんが、日常から遠く離れているもの同士の取り合わせはピタリときました。 る:種子島?現代との対比になって良いかと。 ま:この島には龍が見えると感じます。 久: 龍そのものですね。すんなりって感じです。)

●鳥の目のしかと捉ゆる春の水=スライトリ・マッド
◎秋○五△十、英=7点
(十:獲物を捉えようと狙う瞬間の景。深閑とした緑の中の澄んだ水の様子が見えてきます。 五:正統派の句! 英:上からの目線を下から見てる〜。)

●泣きじやくりながら天へと登る龍=ラスカル
○メ、五△英、久、雪=7点
(五:上手い! 英:どしゃ降りですか。 久:龍の性格とは程遠いので面白いです。 雪:龍の気持ちそのものを詠んだ句。おもしろいと思いました。)

●水色の干菓子残れりお中日=風牙
◎白○ラ、資=7点
(白: お供えのお菓子は、子供たちが引いて行った。何故これが残ったのか。 ラ:そう言われてみると、暖色より寒色の方が残るような気がします。)

●水切りのほうれん草の鋭さよ=香久夜
◎十○久△葱、や=7点
(十:ほうれん草を茹でた後に水分を絞ると確かに刃物のように尖る。こんなユニークな俳句は見たことありません。 久:以前からその鋭さが気になっていました。 葱:新鮮なものは手が切れそうなぐらいですね。)

●花の夜や命の水の酒五勺=ぼくる
○子△英、水、紅、五=6点
(英:静かなお花見ですね。 水:咲いては五勺、満開で五勺、散っては五勺、、、なんてね。 五:五勺がいい!)

●龍天に白き帆船曳きながら=まさこ
○葱、香△英、喋=6点
(葱:「千と千尋」の「ハク」を思い起こしました、あたかも龍の尾からは白煙が曳かれてゆくよう、とても絵画的なイメージが膨らみます。 英:青い空に白いすじ雲が昇って行くのが見えるようです。)

●竜天に登るかなざわ鼓門=資料官
○水、雪△子、五=6点
(水:なるほどね。 雪:今一番、活気のある駅でしょうね!この鼓門、実物見たいです。 五:鼓門って初耳!)

●龍天へ遠富士浮かぶ相模灘=ぼくる
○る、ス△英、ま=6点
(る:こういう季語の場合、やはり「見えるモノ」がないと辛いと思う。これは日本的な大景で良いかと。 英:景色が眼に浮かびます。 ま:地元でもあり雄大な景がくっきりと目に浮かびます。)

●逆しまに水面に向かい散る桜=白馬
○喋△英、久、五=5点
(英:綺麗ですね。 久:「向かい」が桜の運命を表しているようでいいです。 五:「逆しま」が良いと思う。)

●淋しさをすべて携え龍天に=白馬
○メ、ぼ△英=5点
(ぼ:孤独でやさしい龍、物語性あり。 英:新しいスタートを切りましょう!)

●水色のホース絡まる春愁=まさこ
◎風○る=5点
(風:絡まったホース直すの面倒くさいですよね。春愁なら尚更に。「水色」が「秋意」との違いを印象づけている気がします。 る:絡んだらほぐせば良い。春愁とはその程度のもの。)

●水の春少女は大人になりました=葱男
◎ぼ○白=5点
(ぼ:さわやかなエロスあり。原初を思わせる。 白:素直に素直に。)

●ゆう子の句つかめば春の水のやう=葱男
○砂△雪、メ、五=5点
(五:正木ゆう子いいなあ!)

●竜天に登る左官は競艇へ=風牙
○紅△白、資、五=5点
(紅:突っ込み所満載の楽しいお句ですね、想像が広がります。 白:対照が面白いです。 資:竜天はなかなか難しい。この句が一番面白かった。 五:諧謔の妙!)

●龍天に昇れば出たき一人旅=水音
○子、や△五=5点
(五:大きい句!)

●口元のほくろの肥大龍天に=紅椿
○久△十、ぼ=4点
(久:気になりますね。そこから何かが舞い上がっているようで。 十:面白い視点。ただし兼題季語の「龍天に」が動くかも。「四月馬鹿<万愚節>」あたりの可笑しみが合うやうな? ぼ:面白い取り合わせ。 )

●透く魚を箸に捕へて水は春=砂太
◎英、△秋=4点
(英:白魚ですね。)

●大地には穴ぼこ多し龍天に=やんま
◎久△水=4点
(久:発想がいいですね。実際の地形と人間の世界の凸凹。 水:うう〜ん どう読んだらいいんだろ。わからないままに、、)

●龍天に登りて地図を開きけり=ラスカル
○ぼ△メ、風=4点
(ぼ:とぼけた味ありますね。 風:この季語は旅を予感させる句多いですよね。で天に登った竜の視線で地図を見下ろしているという感じですね。)

●竜天に昇る影見ゆ雨上がり=雪絵
○風△英=4点
(風:その通りと言えばその通りなんですがギリギリ季語の説明ではなく韻文として成立してるかなと思います。折角中七で切れているので下五にもう一工夫できそうな気もします。 英:短いスコールの後の空、虹でもあがってきそうですね。)

●竜天に昇るといへどわが気鬱=秋波
○水△英、雪=4点
(水:満ち満ちる生命力を前に気鬱はつらい。逆接がおもしろい。 英:エネルギー補充どころか吸い取られましたか?)

●竜天に昇るや地図にないところ=秋波
○ラ△久、ス=4点
(ラ:それは、メルヘンの国かもしれません。 久:現実でないことを表現するのに実なる地図を使ったところがいいです。)


●コンビニの跡にコンビニ龍天に=紅椿
△葱、白、ま、五=4点
(葱:現代俳句における「諧謔」、アイロニー、ペーソスとはこんなかたちかもしれない。 白: 春の一風景。 ま:古い時代の季語と現代の日本の姿ですが、響き合いますね。 五:諧謔の句!)

●逢ひに行く近江の人や水の春=ぼくる
◎ま=3点
(ま:どんな方でしょう、想像が膨らみます。季語が効いていますね。)

●鯉のひれ水紋描く日永かな=雪絵
△子、喋、風=3点
(風:ゆったりと泳ぐ大鯉でしょうか日永な感じします。意味的にも文法的にも上五、中七で切れてはいないのですが声に出してみるとなんとなくぶつ切りな感じがしてしまうのが残念。)

●水門にゐる春嶺の遠くあり=風牙
△英、砂、五=3点
(英:景色が見えます。 五:近くありの方が良かったような?)

●水色の空にちりばむ花蕾=香久夜
△英、淳、ス=3点
(英:見上げた視線の先が私にも見えるようです。)

●水温む温泉卵おみやげに=まさこ
◎や=3点

●南阿蘇水の生まれる里さくら=資料官
△英、香、五=3点
(英:清々しい感じが素敵です。 五:南阿蘇は雪絵さん句?)

●水の波紋岸の波紋や白魚漁=砂太
○葱△る=3点
(葱:「波紋」のリフレインが美しい、そして少し切ない。 る:類想はあるかもしれないが、リフレインが快い。)

●水光と遊ぶ山の子雪解風=水音
△喋、香=2点

●春の水全ての國を呼び覚ます=五六二三斎
△淳、ス=2点

●春を連れ越から加賀へ水の音=喋九厘
△秋、五=2点
(五:雪国の水句最高!)

●水清き春一番のキャンディーズ=喋九厘
△英、五=2点
(英:私も好きな歌です。 五:滑稽と懐かしさ兼ね備える。)

●香り立つ色鮮やかなり黄水仙=英心
△淳=1点

●銀ブラの若き思ひ出水温む=メゴチ
△子=1点

●桜道空と水との縁レース=秋波
△英=1点
(英:綺麗な写真でも見るようです。)

●水辺にもウグイス鳴きて気もそぞろ=子白
△英=1点
(英:わくわくするような春ですね。)

●鉄橋だ富山平野は水の春=資料官
△風=1点
(風:○選で採りたかっかったです。一句は「竜天」からと考えて泣く泣く△。◎選で採っても良かったくらい好きな句です。)

●龍天に大王烏賊は空へ跳ぶ=水音
△英=1点
(英:おお〜スケールでっかい!)


●龍天に昇る洗車の水弾き=十志夫
△砂=1点

●龍天に上る東南角の部屋=五六二三斎
△紅=1点

●龍天に登る途上の富士見かな=葱男
△英=1点
(英:少し高い所から富士山を見ておられるのかな?)

●龍天に昇る日和や誕生日=るな
△ラ=1点
(ラ:誕生日、おめでとうございます!)

●湾曲す水の流れや花筏=やんま
△メ=1点


B部門入選作〈back number〉

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