*B部門入選作発表*


兼題『野焼:』『漢:未』=全73投句(入選句)

【特選】

一席
●里長のまなこ鋭き野焼かな=紅椿


◎る、ラ、ぼ、白○五、葱△英、風、ス=19点
(る:目の付けどころと、そこだけに絞った点が良いですね! ラ:「里長」の存在感が際立っています。 白:火事にならないように、じっと見つめる眼。目の付け所が良かったですね。ぼ:背筋がしゃんとする引き締まった句。  五:野焼きには危険が付き物で、里長のおじいさんの眼光鋭いのがいい。 葱:「村長」ではなく「里長」という言葉が眼目。 風:一読で景の見える俳句。)


二席
●人生は未完でよろし花の酒=ぼくる


◎英○秋、白△葱、砂、喋、久、雪、や=13点
(葱:心情的に共感します。 秋:おおらかさがいい。 白:何となく、どこかで出会ったような。デジャブかも-----。 久:我が身には捨てがたい句です。 雪:まさに人生訓。お酒があればもっとよい!? や:いつだって遣り掛けなのが人生、夢は山野を駆け巡る。)


三席
●ふつふつと野焼の夜の静もりぬ=十志夫


◎風、弧○る、秋、ス=12点
(風:僕の好きな俳句は作者が何かを語る俳句ではなく季語が勝手に詩の世界を立ち上げてくれる俳句です。「野焼」の本意の一つである「再生」が「静かな夜」に既に始まっているのが良くわかり、一言も触れられていない昼間の野焼の激しさまで見えてきます。 る:祝祭のような昂りがだんだんと冷めてゆく感じを、上手く表現されていると思います。)


三席
●野焼きあと地蔵六体風の中=まさこ


◎葱、淳○資、香△久、雪=12点
(葱:座五が決まった! 使いたくなる言葉だけど、なかなか「風」で決めるのは難しい。 淳:いやあ、いいですね。 久:地蔵が黒焦げになるなんて罰当たりで有り得ない、山火事ではと思った。)


【入選】

●野火果てて骨となりたる三輪車=十志夫
◎秋○修、淳、や△る、久=11点
(秋:三輪車というのが何か複雑な思いを掻き立てられて。ドキリとさせられた句です。 修:そうなんだ、燃えたら白い骨になる。 淳:三輪車が骨になるって、よく考え付きますね。 や:もう意思を果たし尽くした、ただの鉄塊がここに。 る:そんなこともあるでしょうし、物語性も感じます。 久:見廻りして火をつけるだろうに残念。死体でなくてよかった。)

●未来てふ一粒の飴水温む=葱男
◎水○ま、ス△砂、風、資=10点
(水:未来を飴に見立てたところが良いですね。季語によっていっそう明るい未来が見えます。 ま:希望が持てて良かったです。 風:あまりとらないタイプの句ですがこれは気持ち良いですね。)

●重なれる未読の本や春時雨=雪絵
○風、久△葱、修、淳、香、や=9点
(風:「未」の兼題から一句は○選とるつもりだったので僕の好きな即物的なこの句を。積読の俳句はたくさんあるとは思いますが「春時雨」が効果的で良い雰囲気です。 久:この状況が一生続かないことを祈ります。 葱:季語が効いています。 修:未読の本、では少し緩い感じだが、よく分かる。 や:出かけたいのだがこの雨、心はそぞろ読書も捗らず。)

●末黒野を駈くる一羽の穴兎=スライトリ・マッド
◎修、久△ま、秋、白=9点
(修:生き物の発見。これは胸を突く指摘です! ま:見てみたい景です。 久:背景がマッチしているのかわかりませんが兎登場で◎。 白:あぁ吃驚した。焼き焦げになるところだった。)

●山を焼き野を焼く生活(たつき)祈あり=ぼくる
◎資○紅△英、喋、葱、風=9点
(紅:下五が温かい。 葱:大地と自然に根ざした真っ当な俳句ですね。 風:下五が僕には少し重い感じがして○選以上ではとれず、上12音に「祈」は含まれているように思います。)

●節分草透けては水となる未明=るな
◎喋、や△紅、資=8点
(や:水も空気も透き通る早春。 紅:うまく鑑賞できないのですが、きれいなお句ですね。)

●鳥雲にわが初恋の未然形=紅椿
○五、葱、ま△十、ス=8点
(五:上手い!素晴らしい比喩! 葱:これも、実感! ま:未然形がぴったりですね。 十:「飛梅やでつかい夢は未然形」と迷ってこちらに。「恋」の忘れ物は何年過ぎても気になります。)

●ナナハンの煙すり抜く阿蘇野焼=雪絵
◎ス○や△五、風、水=8点
(や:まともに風を受けて阿蘇を疾走する快感。 五:ナナハンで野焼きの中を突っ走る!いいなあ! 風:テレビのニュースなどでよく見る光景ですね。野焼の景、バイクの音と立体的で動きのある景がはっきりと見えました。 水:全国屈指のライダー達の聖地ですものね。雄大な風景が見える。)

●末黒野にゐるごめんねと言ひたくて=風牙
◎ま○十△砂、ぼ=7点
(ま:胸が痛くなります。 十:今となっては燃え尽きてしまった「恋の末黒野」が切ない。 ぼ:黒々と広がっている後悔。)

●少年の放ちたる野火赫赫と=修一
○喋、水、白△ラ=7点
(水:少年のもつ生命力ですね。 白:若い躍動感と大きな赫い火。中七が佳いです。 ラ:少年の未来を、赫赫と照らしているのかもしれません。)

●霾るや未必の故意といふ類句=十志夫
○砂、紅、ぼ△白=7点
(紅:ここで「未必の故意」が出てこようとは! ぼ:なるほど、そうかもねえ。 白:CO2もPM2.5も人間の未必の故意ですね。黄砂は自然環境でしょうか?)

●爪先にまで野火這はす女かな=るな
◎香△五、紅、久=6点
(五:怖い女ですな。 紅:エロスを感じます。 久:コントロールのきかない火を女の情念としたのがいいです。)

●遠き野火命あるもの野を下る=久郎兎
◎五○香△弧=6点
(五:命あるものって動物たちのこと?秀句です。)

●とほき日の恋のごとくに野火消ゆる=ラスカル
○子、雪△葱、風=6点
(雪:消えるのはちょっと寂しいなぁ。 葱:実感! 風:野火を何かに例えた俳句は多くありましたがその中で一番共感できたので。)

●野火見ゆるマクドナルドの二階より=ラスカル
○十、ぼ△葱、風=6点
(十:マクドナルドの都会性と野焼の風土性という意外な取り合わせ。 葱:具体性の選びかたが上手い。 ぼ:面白い、皮肉が効いている。 風:一読目は上五の「見ゆる」の連体形をそのまま読んで野火の見えるマクドナルドの二階よりで「より」の続きがあるような感じでしたが連体形の終止使用かなと。なんかリアリティがあって好きです。) 

●野焼してのち坊がつる賛歌かな=水音 
  ◎十○弧△修=6点
(十:あらためてYouTubeで聴いてみました。 ♪人みな花に酔うときも/残雪恋し山に入り♪ 修:野焼きの目的それは始まりなんだ。) 

●節分は過去と未来の分かれ道=英心
◎メ○水=5点
(水:面白い発想だと思いました。)

●未知は夢過去とて春の夢ならん=久郎兎
◎子、紅△秋=5点
(紅:理屈抜きで大好きです。)

●未来図に二重に描く春の虹=葱男
◎雪△子、水=5点
(雪:明るい未来を想像させます。「二重に描く」で◎、決まりです! 水:明るい未来。)

●ああ嗚呼と阿蘇に遊びて野焼きかな=喋九厘
◎砂△ま=4点
(ま:目の前で見た感動が伝わります。)

●飛梅やでつかい夢は未然形=水音 
△葱、ま、紅、メ=4点
(葱:でつかい、がいい気持ち。 紅:季語が効いていますね。)


●火を放つ人みな老いぬ野火走る=風牙
○修△五、や=4点
(修:自分の放った火に用心しないとね。 五:野焼きを行う人たちは皆年老いた人ばかり。 や:関東では渡良瀬水地の野焼あり、担当役員もみな老いた。)

●詩心の未だ目覚めぬ浅き春=雪絵
○子△十=3点
(十:詩心<俳句心>も春の到来が待ち遠しい、とは言い得ている。)

●戦国の武将のごとく野火猛る=ラスカル
△英、五、雪=3点
(五:喩えがいいですね。)

●旅の人未知の道聞く梅の花=子白
○メ△喋=3点

●天空に業火放ちて野焼かな=やんま
△淳、香、白=3点
(白:&nbs p;大きな野火です。人の業も燃やして欲しい。)

●猫柳綿毛の先の未来かな=メゴチ
○英△十=3点
(十:猫柳の触感は赤子のそれと似ていますね。まさに未来に向かっている。)

●野火走るをとこの貌を照らしては=るな
○弧△ラ=3点
(ラ:臨場感があります。)

●野火果つる忘れぬために憎みけり=葱男
○久△る=3点
(久:火繋がりの怨念でしょうか。おそろしや。 る:そういうポリシーは好きではありませんが、この季語には合ってしまうんですよね・・・。)

●野焼きあと身の内にまだ残るもの=まさこ
○ラ△る=3点
(ラ:身のうちに、まだ、くすぶっているようですね。 る:「煙たさに愁ひ残して野焼かな」と同じような気分でしょう。燻る感じの・・・。)

●行く先は未定のままにねぎぼうず=まさこ
○砂△弧=3点

●紅いのは野焼のせいよと言ひし君=秋波
○英=2点

●畦野焼農夫と農婦両端に=白馬
△葱、水=2点
(葱:写生が効いています。 水:情景がはっきりと浮かびます。)

●油絵の赤き山肌夕野焼=資料官
△風、香=2点
(風:野焼を前にして直接キャンバスに描き込んだのでしょうか。野焼をモチーフにした抽象画のような気がします。炎の激しさが伝わってきます。)

●未だ来ぬ未来忘れて百合鴎=子白
○資=2点

●春節や女好きなる未熟者=子白
△五、葱=2点
(五:女好きで未熟者?あり得ない面白さあり。 葱:ややもすると俗になるところ、季語が上手い!)

●友を呼ぶ間に野火迫る足の先=砂太
○る=2点
(る:臨場感があって良いと思います。)

●何もかも忘れるごとき野焼かな=淳一
△ぼ、ス=2点
(ぼ:焼き尽くされてすっきり。)

●野火走り新幹線の止まりたる=資料官
○ラ=2点
(ラ:「走る」と「止まる」の対比ですね♪)

●野火走る遠く遥かに筑波山=やんま
○淳=2点
(淳:筑波山の雄大さが伝わります。)

●野を焼くやパッチワークの阿蘇五岳=資料官
△葱、メ=2点
(葱:比喩が面白い。)

●春立つや未読メールをサクサクと=紅椿
○雪=2点
(雪:今日から春!気持ちも一新に。)

●ビル街に野焼の煙届きたる=修一
△ラ、淳=2点
(ラ:現代の野焼ですね。)

●未完成シンフォニーなる春の夢=五六二三斎
△子、葱=2点
(葱:そうなんですか!)

●南から未然必然と春一番=喋九厘
  ○メ=2点

●明王のなめつくしたり野焼かな=英心
○喋=2点

●海風に豊漁願う野焼かな=秋波
△五=1点
(五:野焼きと豊漁が離れていて面白い。)

●煙たさに愁ひ残して焼野かな=メゴチ △る=1点
(る:その通りだと思います。)

●轟音に燃ゆる手と手の野焼かな=五六二三斎
△資=1点

●寒き日に未整理の箱ふと眺め=淳一
△修=1点
(修:散文調?なんだか気だるい感じ。)

●早春の国会危うき未来かな=白馬
△久=1点
(久:危ない危ない。)

●広野原野焼の跡の土竜山=白馬
△ぼ=1点
(ぼ:土竜は無事だったかなあ。心優しい句。)

●未発表駄作並べて春浅し=メゴチ
△子=1点

●未来ある人に囁く春の月=五六二三斎
△メ=1点

●未来から春が来たりて筑後川=喋九厘
△弧=1点

●山焼きや詩心飲みこむ風と色=砂太
△秋=1点


B部門入選作〈back number〉

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