*B部門入選作発表*


兼題『季:冬銀河』『漢:歳』=全69投句(入選55句)

【特選】

一席
●歳晩や開けつ放しの町工場=紅椿


◎十、久、水、修○ぼ、淳△信、白=18点
(十:我が街は工場地域ですが、今年の年末は遅くまで機械を動かしていたところが多かった。押し詰まった慌ただしさが上手く出ている。 久:景気のいい昔を思い出しました。 水:年の暮れの下町の様子が見えます。 修:仕事に追われ必死なんだ。音まで聞こえてきそう。 ぼ:三丁目の夕日、好みです。 淳:閑散とした雰囲気が伝わってきますね。 白:まだ仕事納めが出来ない小企業。厳しい。)


二席
●漆黒の海に落ちたる冬銀河=久郎兎


◎弧○香、英、メ△ラ、白、資、紅、喋、子、ス=16点
(ラ:東山魁夷の絵のようです。 白:ずっと遠くの海の果てに。 葱:情景に迫力がありますね。 資:光がない星が良く見える世界を旨く描いている。)


三席
●周波数合はせてゐたり冬銀河=ラスカル


◎信、雪○ま、ス△ぼ、五、十、喋、弧=15点
(雪:無線でしょうか?ロマンを感じます。 ま:遠くのどんな人と出会うのでしょう、夢がありますね。 ぼ:さてスピリチャルな世界へ、うまく繋がるか。 五:ハム無線?冬銀河を眺めながら、遠い遠い見知らぬ人と知己になる。男のロマンだ。 十:星と周波数との取り合わせは時々見かけるが、やはりピッタリ合う。 弧:何気ない行いですが、宇宙の存在を感じられるときです。)


【入選】

●寒紅をさして百歳退院す=十志夫
○砂、葱、資、ま、修△ラ、信、香、紅=14点
(葱:こちらが元気をもらいました。 資:おめでたい! ラ:やや報告的ですが、何はともあれ、めでたいです! ま:素敵!どうぞお元気で。 紅:おめでとうございます。いつまでもお元気で。)

●からつぽの鳥籠揺らぐ冬銀河=ラスカル
○ぼ、淳、雪、水、紅、メ△ス=13点
( ぼ:鳥は銀河へ? 淳:なんだか寂しいですね。 雪:いなくなった鳥が蘇ってきたような不思議な感覚。 水:冷え冷えとした雰囲気。)

●歳月のふつふつふつと冬至の湯=紅椿
◎ぼ、五△砂、ま、子=9点
(ぼ:乗り越えて来た過去があっての今。深い境涯句。 五:よくぞ生きけり!この60年! ま:とても共感できます。)

●歳晩やme, too と書くメッセージ=五六二三斎
◎砂○ラ、喋△葱、信=9点
(ラ:「me, too 」という措辞、俳句では初見です。 葱:「共感の意」を示すことは愛情の大きな第一歩ですよね。)

●ジャズ弾きの叩く鍵盤冬銀河=雪絵
◎資、ス△砂、五、修=9点
(五:星に願いを!ジャズと星は相性いいなあ!)

●塾の子の渡船に眠る寒昴=スライトリ・マッド
○久、信、弧△雪、ま=8点 (久:居眠りしている島の子なのかな。わずかな時間、星と共にと言うことでしょうか。 ま:頑張っているこんな子供もいるのですね、寒昴が明るく照らしています。)

●冬銀河描きし画布より鈴の音=ラスカル
○十、白、水、弧=8点
  (十:ジングルベルが鳴り、トナカイに乗ったサンタが飛び出してくるよう。 白:楽しい句ですね。サンタさんがもうじき現れる。 水:幻想的です 。 弧:予定調和的でなく、冬銀河も生きていると感じました。)

●草万里ゴビへ流るる冬銀河=ぼくる
◎白○葱△砂、修=7点
(白:雄大!実体験ですね。 葱:壮大で気持ちいいですなあ〜!)

●母いづこ億光年の冬銀河=鳳彩
◎英○修△水、喋=7点

●歳晩のライブ・スタンディング・オベーション=ぼくる
◎ラ○五△葱=6点
(ラ:サザンオールスターズのライブかもしれません。 五:ライブの感動が伝わってくる。 葱:お祭り騒ぎの年末ですね!)

●冬銀河先逝く人の美しく=砂太
○紅、白、英=6点
(白:中七が−−−−−。)

●蓬莱に夢を託して歳用意=英心
◎香○子△資=6点
(英:ここでの蓬莱とは、蓬莱絵絹のことで、昔、稲わらがなかった高野山で〆縄のかわりにする為につくられた干支の切絵のことです。)

●夜汽車てふドラマありけり冬銀河=資料官
◎喋○砂△香=6点

●歳時記のカバーのほつれ竜の玉=雪絵
○資△十、久、ま=5点
(十:使い古した歳時記が目に浮かびます。 久:糊の塊なのかと思いましたがどうでしょう。 ま:季語の斡旋がとても良いと思います。)

●獏たちの遊ぶ公園冬銀河=葱男
◎紅△久、雪=5点
(紅:発想が豊かで、想像の翼が広がります。 久:誰もいない夜の公園の本当の主役かな?)

●大鍋にしなる乾麺冬の星=紅椿
○十△雪、修=4点
(十:熱湯の中を泳ぐ麺の情景が浮びます。手許の「麺」から「冬の星」への飛び具合も大胆。)

●大広間ただ一人居る冬銀河=信頭火
◎淳△メ=4点
(淳:寂しさが伝わってきますね。)

●海鼠腸(このわた)や百三歳の日野原氏=水音
◎葱△ぼ=4点
(葱:面白い! よくまあ、あの、日本の宝「日野原先生」を「海鼠腸(このわた)」に取り合わせましたよねえー! 大体、失礼なんとちゃう?  ぼ:面白い取り合わせ。)

●歳の瀬や翁這うよに墓掃除=香久夜
○久、子△英=4点
(久:這うように、がいいですね。婆さんでは感じが出ないかも知れませんね。)

●歳晩の蝋燭の火に極まりぬ=葱男
◎子=3点

●冴え冴えと三日月凍る冬銀河=英心
◎メ=3点

●歳の暮人の流れに逆らひて=メゴチ
○ス△紅=3点

●一人聴く小田和正や冬銀河=水音
○ラ△ま=3点
(ラ:なるほど! 季語がぴたりと決まりました。 ま:私と同じ人がいらして嬉しいです!)

●ウヰスキーヴォイスに揺るる冬銀河=葱男
○五=2点
(五:冬銀河を孤独の男がウヰスキーを片手に眺める。男のロマン極まれり!)

●還らざる声今近し冬銀河=弧七
△ぼ、十=2点
(ぼ:しみじみと、温かい。 十:「還らざる声」を「拉致被害者」と想定すると、冬銀河の輝きが切ない。)

●歳末のバス北帰行アナウンス=久郎兎
○雪=2点
(雪:慌ただしい年末の帰省光景ですね。北帰行がいい!)

●歳晩の街に和洋の灯りをり=十志夫
△ラ、五=2点
(ラ:和洋の灯りを、色々と想像してしまいました。 五:日本らしいクリスマス風景!)

●歳の瀬に為すこともなく為す俳句=子白
○信=2点

●歯茎にね塩ぬったよな冬の星=信頭火
○喋=2点

●ひたむきに涸れて流るる冬銀河=十志夫
△白、メ=2点
(白:銀河の中の星も蒸発するように消えてゆく。)

●冬銀河エントロピーは増大す=白馬
△弧、メ=2点

●故クの方角なせる冬銀河=鳳彩
○香=2点

●ワインより丁子(ちょうじ)のかをり冬銀河=水音
○葱=2点
(葱:ホットワインですね、よろしいなあ〜)

●岩風呂の湯気の向かふの冬銀河=メゴチ
△淳=1点
(淳:冬っていう感じが滲み出ていますね。)

●君怒らすことまた言ひて歳の暮=スライトリ・マッド
△資=1点
(資:よくわかる。口は災いの元。)

●暗闇に透き通るよな冬銀河=淳一
△英=1点

●鼓を高く打ち鳴らし歳明けにけり=砂太
△弧=1点

●歳晩のアメ横ぶらり通り抜け=資料官
△淳=1点
(淳:師走の雰囲気が出ていますね。)

●心臓の震ひ集ふや冬銀河=弧七
△ス=1点

●追憶の数々やさし冬銀河=ぼくる
△子=1点

●歳の瀬や遺りし宝の多きこと=香久夜
△英=1点

●庭の木の枝末に宿る冬の星=鳳彩
△水=1点

●一人づつ大正の人冬銀河=五六二三斎
△久=1点
(久:実感です。長生きしていただきたい。)

●冬銀河涙の粒が浮いている=スライトリ・マッド
△水=1点

●ロス抜けて沙漠の峠冬銀河=久郎兎
△葱=1点
(葱:景が大きくて気持ちいい、「ロス」の具体性がポイント。)

●宝満の東の空に冬銀河=喋九厘
△淳=1点
(淳:情景が浮かびます。)

●餅を買い橙飾りの歳の市=喋九厘
△香=1点


B部門入選作〈back number〉

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