*B部門入選作発表*


兼題『季語:笹鳴』『漢字:幸』=全69投句(入選45句)

【特選】

一席
●幸せの重さはたしか冬林檎=雪絵


◎や、入○十、葱、紅、喋、香△久、清、ぶ、ま、子、水、資、ぼ、メ=25点
(や:ずしりとした幸せの実感。 十:幸せの重さを「冬林檎」とする決めつけがいい。 葱:納得させられます、これぞ俳句の心。 紅:こういう句はとんと詠めないので、感心してしまいます。 香:充実している様子がわかります。 清:幸せの重さを目に見える形にしたい詠者の試みに共感。 ぶ:うまいなぁ。この安定感。リンゴの艶とか味まで…。 ま: 赤くつややかな林檎が幸せと響き合っています。 水:面白い表現だと思う。ほどほどの幸せが幸せがいいね。 ぼ:なるほど、そうかも。)


二席
●笹鳴へ踏み込んでゆくハイヒール=紅椿


◎久、五〇葱、清、砂△秀、喋、メ、淳=16点
(久:大胆な発想に感服。 五:ストーリーの流れる句だと思う。女同士のバトルの始まり? 葱:なにかドラマがありそうな予感です。 清:鶯の声に魅せられた女が普段着のまま藪の中へ入って行く、何かドラマが始まりそうだ。 秀: 一つの形だというところがやや気になるんですが・・・。)


二席
●笹鳴や懐紙にこぼれたる黄粉=ラスカル


◎十、秀、水○ぶ、裕、ぼ△雪=16点
(十:茶会での一瞬の景を巧みに切り取っている。 秀:季語が付き過ぎず離れすぎず気持ちいいです。 水:薄黄色の粉が、笹鳴きのつたなさを思わせる。 ぶ:茶席の静寂と諧謔。 裕:初茶会でしょうか? ぼ:鶯餅の黄粉ですよね。)


【入選】

●幸せや鍋の白菜煮崩れて=秀子
◎ぶ、茶○や、修、資△十、紅、雪=15点
(ぶ:美味しそう〜!食べたい。間違いないと思う。 茶:「煮崩れ」のマイナスが団欒の幸せにつながっている。こういうの好みなんです。 や:時間を掛けて親睦深める。 修:おいしそう!すきやき、もう食べられる。 十:白菜の煮崩れに家族の「幸せの時間」の長さ<経過)>を感じる。 紅:白菜が煮崩れるほど、会話がはずんだのでしょうね。)

●笹子鳴く分校跡に碑の一つ=雪絵
◎ラ、資○五△清、入、茶、ぼ=12点
(ラ:碑」の存在感が伝わってきます。 清:分校の跡に余り知られていない句碑がぽつねんとある、ちょっぴり淋しい風景。 五:碑は何だろう?二宮尊徳か? 茶:分校がさらに廃校となってしまって寂しい限りですが、一つの石碑はそこで学んだ者たちの明日を示している。そんなストーリーが浮かびました。 ぼ:人間界は過疎化、少子化。)

●笹鳴やたしかここらに秘密基地=ぼくる
◎香〇雪△ラ、秀、砂、白、裕、喋=11点
(香:あの頃は笹鳴きなど意識してなかったでしょう。 雪:昔秘密基地を作って遊んだこと、思い出しました。 ラ:類句がありそうですが、やはり心惹かれます。 秀:昔のやんちゃ坊主たちですね。 白: 子供の頃の、懐かしい場所に行ってみた。 裕:小さい頃ダンボールで作っていました。)

●貧乏は時に幸せ日向ぼこ=やんま
◎子、淳〇砂△紅、白=10点
(紅: 説得力があります。 白: 小さい幸せこそ大事に。)

●重ね着をして幸せの乳母車=砂太
○や、清、裕、淳△子=9点
(や: 陽の射す場所に小鳥来て鳴く。 清:赤ん坊も厚着、お母さんも厚着の幸せな光景が垣間見られる。 裕:可愛い赤ちゃんが浮かびます。)

●笹鳴や二円切手を貼り足して=まさこ
◎雪○久、喋△入、茶=9点
(雪:二円切手との取り合わせ!さすがですね。 茶:ちょっとせこい、けど大事な節約が「笹鳴」にぴたりときました。)

●幸うすき日記を燃やし日記買ふ=葱男
◎白〇香、メ、淳=9点
(白: 今年こそは幸多かれと。 香:「日記」のリフレインがうまいと思います。)

●廃線の幸の文字雪もよひ=資料官
◎裕○ラ、ま△葱、紅=9点
(裕:幸福駅 懐かしいです。 ラ:無駄な言葉が一つも無く、ぴたりと決まっています。ま:雪の間から見える幸の文字、寂しさが良く出ています。 葱:「幸福駅」だとすぐに分かりました、鉄ちゃん達にとっては大きなメモリアルなのでしょうね。 紅: あの駅もついに廃線になってしまうのですね・・。)

●笹鳴や大仏の背に小さき窓=ラスカル
○資△葱、秀、ぶ、ま、水、修=8点
(資:小と大の中にある小との組み合わせが面白い。 葱:ちょっとした小さな発見ですが、うまく季語の本情に寄り添っていると思います。 秀:いいところに目をつけられましたね。 ぶ:発見のよろこび・背のだったらもっといいのかなぁ〜。 水:鎌倉の大仏を想像します。 修:笹鳴きが大きな世界への窓のよう。)

●鮟鱇鍋幸も不幸も煮込みけり=裕 
◎修○白△入、ぼ=7点
(修:美味いことは幸せです。 白:美味しいかどうかは、食べる人次第。 ぼ:腹に収まり、みんな幸せ。)

●幸不幸脱けし山棲み笹子鳴く=ぼくる
◎砂○秀、ま=7点
(秀: 羨ましい境遇です。 ま:このような境地になれるのでしょうか。季語が効いています。)

●幸ひの時手のひらの六花=まさこ
○紅、五、修△茶=7点
(紅:一瞬で溶けてしまう手のひらの雪、だからきれいなのでしょうね。「六花」が効いています。 五:雪が手のひらにあろうと今が幸せな時! 修:はかない一瞬の美。 茶:「六花」季語でいただきました。)

●笹鳴や改札ピツと無人駅=茶輪子
○入、雪△久、や、メ=7点
(雪:笹鳴きの聞こえる無人駅ですね。九州の鉄道も採算を考え無人化される 駅が増えるようです。人に優しい世の中であって欲しいのですが。 久:海ノ中道駅がそうですね。 や: 性善説に基づく設計。)

●笹鳴や乳飲児に鼻寄せてみる=茶輪子
◎葱、清△十=7点
(葱:赤ちゃんはいい匂いがしますね、純粋なものはすべて芳香を漂わせています、余計なものをすべて削ぎ落して、「ブッダ」は大人になってもいい匂いがしたそうです。 清:乳の匂いのする赤ん坊と笹子の鳴き声が仄かに共鳴している。即過ぎず離れずの秀句。 十:季語が合うかどうかですが、聴覚、触覚、嗅覚の合わせ技と考えれば納得。)

●笹鳴くや耳立てしまま猫眠る=やんま
○入、ぼ△清、ラ、香=7点
(ぼ:類句ありそうですが、上手い! 清:遠くで笹子の鳴く声が聞こえる、猫はそれが気になって熟睡出来ない、詠者もまた然り。 ラ:「耳立てしまま」に写生の眼が感じられます。 香:半分は警戒してるんですね。)

●これからの幸を数へる柚湯かな=メゴチ
○十、秀△喋、香=6点
(十:のんびり柚湯に顎までつかっていると、誰しもがそんなコトを考えたりするもの。 秀: その前向きの考え方が素敵です。 香:そうです、これからのね。)

●冬花火ひとりぼつちの幸不幸=資料官
◎ま、紅=6点
(ま:誰もひとり。冬の花火を見ると、こういう気持ちが湧いて来ます。 紅:季語が効いています。この時代、考えさせられますね。)

●幸の「ち」は命の「ち」なる柚子湯かな=葱男
◎喋△砂、五=5点
(五:少し技巧に走るキライもあるが、ユニークだ!)

●幸福の青い鳥ゐる冬日向=ぶせふ
◎メ△紅、裕=5点
(紅:ささやかな事に喜びを見つけられる人は幸せですね。 裕:日向は何もなくても幸せを感じますよね。)

●笹鳴や花舗へと抜ける寺の径=修一
○久、ぶ△資=5点
(ぶ:散策風景か?聖と俗の融合。)

●雪の精幸子の肌に棲みつきぬ=葱男
○茶△子、裕=4点
(茶:「幸子の肌」なんて冷いやりとして白く素敵な(≧∀≦) 裕:ディズニーのアナのようです。)

●笹鳴きや光の粒を撒くごとく=秀子
○白、メ=4点
(白: 美しい感触ですね。)

●えべっさん幸の字形に宝船=久郎兎
○水△十=3点
(水:幸の字形というのが発見ですね。 十:関西ならではの「えべつさん」という響きが目出度さを増幅する。)

●難民の声なき声や笹子鳴く=清一
△葱、ま、香=3点
(葱:付きすぎの感もありますが、時事句にトライする作者の意気込みに一票。 香:聞き過ごしてしまっています。)

●わき腹のたるみ少々笹子鳴く=水音
◎ぼ=3点
(ぼ:ははは、いとおかし! 笹子がひやかしているよう。)

●自転車を押す峠道笹子鳴く=修一
△ラ、五、淳=3点
(ラ:笹鳴きの声が、作者を励ましているように思えます。 五:田舎の風景である。峠道を自転車で越えるの?こういう句は好きですね。)

●笹鳴きに近づき過ぎた漢かな=清一
△や、五=2点
(や:何事も過ぎてはならじ、ほどほどに。 五:まるで私のことみたい!(笑))

●幸あれと聖樹華やぐ女学院=清一
○子=2点

●幸せさう園長先生落ち葉掻き=ぼくる
△久、砂=2点

●幸せの微かな予感年の暮れ=白馬
○子=2点

●隻眼の福達磨据ゑ幸福論=茶輪子
○水=2点
(水:達磨にもう一つ目が入りますように。)

●笹鳴きやこの世の友の増えてきし=秀子
○ラ、茶=2点
(ラ:敢えて「この世」と言ったところが面白いです。 茶:あの世に去ってしまった友の多い齢なのに、この世の友が増えるしまって幸せ。お人柄もありますね。)

●喧噪の合間合間を笹鳴けり=裕
△淳=1点

●笹鳴や銀のスプーンのお食ひ初め=まさこ
△水=1点
(水:鶯も赤ちゃんも成長していくんだよという希望。)

●笹鳴きやピアニッシモのエンディング=雪絵
△白=1点
(白: ケキョ、ケキョ-----。)

●幸問はば即答したる晦日蕎麦=紅椿
△資=1点

●幸せな犬ね毛皮の人の言ふ=紅椿
△ぶ=1点
(ぶ:ブラックジョーク?風刺がいい。)

●獣魂碑の祈りにも似て笹子鳴く=砂太
△修=1点
(修:つくづく人間の業を感じます。)

●河豚喰ふて戦争の無き幸を=砂太
△や=1点
(や:人間の業深くあれども。)

●幸ひは山のあなたの冬の雲=ぶせふ
△雪=1点
(雪:ちょっと寂しいですが・・。)

●笹鳴きや待ち人からのバイブ音=ぶせふ
△修=1点
(修:恋人は春をつれてくる。)

●水仙やただひたすらに四方の幸=五六二三斎
△ぶ=1点
(ぶ:(作者の人柄に思いを致した。信頼を覚える。)


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