*B部門入選作発表*


兼題『季語:銀河』『漢字:原』=全84投句(入選58句)

【特選】

一席
●靴底に草原の秋持ち帰る=十志夫


◎子、久、淳、入、メ〇ラ△ま、秋、紅、喋=21点
(ラ:靴底には土しか残っていないと思いますが、その土から「草原の秋」を感じ取る豊かな感性が、とても素敵です。 久:小さい秋を連れ帰ったんですね。種かな?虫かも知れませんね。 淳:ふと靴底を見ると秋の草が一片付いている。情緒がありますね。 ま:靴底で持ち帰ることもありますね。 紅:「草原」より「高原」かな?とも思いましたが、好きな句です。 )


二席
●釣糸を銀河へ流す夜釣かな=やんま


◎雪、ス、喋〇玻、淳、修△砂、香=17点
(雪:メルヘンですね〜。 玻:「夜釣り」で釣れる魚は夜行性。しろ気味悪く光るイメージがある。どうにも健康的でさわやかとは行かない気持ちでふと見上げた銀河に釣り糸を「流」してみる。なぜだか清らかで純粋で童心を刺激する銀河に向かって竿の先を振ってみた。「流す」という措辞にスピードとあてどのなさがあり、もうそこに戻れないような戻りたいような葛藤を見る。「そこ」そこは夢広がっていた場所の象徴だろう。 「夜釣り」と「銀河」の取り合わせが素晴らしいと感じた」佳句です。 香:星明りで釣りとは贅沢ですね。)


三席
●延延とゴビ煌煌と大銀河=ぼくる


◎や、砂、紅〇裕、修△十、水、資=16点
(や:濁りの無い透明な空。 裕:砂漠の壮大な眺めに銀河がどう映るのか見てみたいです。 十:地と天の二つの「自然」を結びつけた美しい大景。 紅:きっとこの風景を御覧になったのでしょうね。うらやましい! 水:特大の光景が見事です。ゴビ砂漠で銀河を見てみたい。リズムが良いです。 資:延と煌が中国的であり,スケールの大きな句となっている。)


【入選】

●銀漢やおはじきにある波模様=雪絵
◎秀、水〇ス△や、十、葱、入=12点
(秀:波と銀漢はよく合っていますし、またその「波」がおはじきの模様だというのが、ちょっと離れていて、いい感じです。 水:おはじきの模様をよくぞ見出したって感じですね。涼し気であり、流れであり、光っています。 や:虹もある。 十:)トリビアルな視点の目新しさ。 葱:やや既視感あり、ですが、さすがに上手い。)

●妻よりもうんと泣き虫銀河澄む=清一
〇秀、砂、葱△や、香、入、メ、ス、喋=12点
(秀:なんとチャーミング。ちょっと面白すぎるんかな? 葱:最近、涙もろくなっていることを自覚しています、「共感できること」がそれだけたくさんあるのは、やはり、年月の積み重ね、ということにしておきましょう。 や:男涙も近頃見られっ放しなしぞ。 香:奥様を亡くされた方でしょうか、明るい句で救われます。)

●遺伝子の記憶に銀河うずを巻く=ぶせふ
◎裕〇子、清、メ、秋=11点
(裕:太古の歴史を感じます。 清:遺伝子に蓄えられた記憶、その中に銀河の形状も含まれているとのSF的な句であるのが面白い。面白い句だ。ただ私なら「に」でなく「や」と切れを入れたい所だ。 秋:塩基配列の螺旋のことですね。銀河のように無限で美しい。)

●新涼や原稿用紙の罫の青=まさこ
◎資〇久、水△秀、十、砂、メ=11点
(資:青の万年筆を使うとぴったり。 久:青色はさあ書き始めようという気分にさせてくれます。清々しくさせてくれる句です。 水:秋を感じたとき、原稿用紙の青い罫が目に入る。 秀:きちんと物で表現しているのが、気持ちいい。 十:)罫が何故「青い」かはFAXの際に読み取らない効率性からなのだか、作者はそんな理屈ではなく「新涼」を感じるという。)

●へその緒の入りし小箱や銀河の尾=まさこ
◎香、五〇ぶ、入△資=11点
(五:大きな景とへその緒の入った小箱!これぞ俳句! 香:へその緒を銀河の尾とは、素敵な発想です。 ぶ:家にも自分のへその緒の入った箱がある。子供の頃よく見たものだ。。。干からびたへその緒と銀河の尾が記憶を繋ぐ。)

●ゑのころの原つぱのび太くんがゐる=秀子
〇雪、秋、ス△葱、ラ、ぼ、風、紅=11点
(秋:「のび太くん」がいい。 葱:CMで頭に刷り込まれた風景かも。 ラ:とても楽しい句。きっと、ドラえもんもいますね! ぼ:どこにでもある草、どこにでもゐる子。 風:ドラえもんの主要キャラクター、のび太、ジャイアン、スネ夫と差し換えても成立してしまうのが残念。そしてなぜのび太を選択したのだろうか? 子供達が遊べる空き地が消えてよりジャイアン的ないじめっ子もきえたよえな気がします。現在ではスネ夫的いじめっ子が主流か。 紅:いそうですね、のび太くん。)

●銀漢や家売る同意印を押す=白馬
◎十〇や、ま△ぶ、風、修=10点
(十:「売る」「押す」という行為(動詞)が、作者が今置かれている色々な状況(形容詞)を想起させる。 や:  何度こんな目を経ての今日。 ま:同意印、いろいろな深い想いが銀漢と響き合います。 ぶ:なんという切実感。銀漢が胸に迫ってくる。 風:好きな句ですが内外が少し気になって△選。)

●島時間ひといき止まる天の川=葱男
〇ぶ、裕、久△や、清=8点
(ぶ:島の時間はとてもゆっくりだろう〜。しかしその時間すら天の川は止めてしまう。気の遠くなるようななつか しさ。 裕:絶対こういう時間てあると思います。 久:よくは理解できない句なのですが、何故か惹かれます。なんくるないさ、なのか。島時間も止まってしまうほどの雄大で悠々とした天の川と言うことかな? や:旅の続きの夢の途中に。 清:詠者は石垣島などで満天の空に浮かぶ天の川を見上げている。そこでは時間の経過もニュートン時間でなく島特有のベルグソンの時間なのだ。島時間が面白い。)

●銀漢や手帖に言葉書き散らし=秀子
◎玻〇資△ラ、修=7点
(玻:「天の川」という季語でなく「銀漢」という季語を敢えて斡旋したのだろうか?そうだとするとあまりにも動かしようのない季語の斡旋である。書き散らした言葉は銀の光を浴び、空を無数の光で取り巻くような想いをもったものであろう。「手帖」という常用外漢字のを使ったのも意図であろうか。急に「書き散らした」言葉たちが、ただならぬ大切な想いを孕んだ心情の吐露に姿を変えてゆくではないか。十七音に無駄がないうえに平明でありながら訴えかけてくる佳句です。 ラ:銀漢のあまたなる星と、書き散らした多くの文字とが共鳴しているように思います。)

●羽根落とす鴉原爆忌の夕日=砂太
◎秋〇十△葱、ま=7点
(秋:赤と黒の対比が鮮烈。鴉は何を表すのでしょうか、吉?凶? 十:不条理な取り合わせに妙な納得感。 葱:事実の重みを感じさせる句です。 ま:鴉がとても効いています。)

●足元の静かに濡れて天の川=紅椿
◎葱〇砂△秀=6点
(葱:詠み手は裸足で夜の砂浜に出て星をながめているのだろう、優しく温かいさざ波が足を濡らしている。 秀:濡れている自分の足元を詠まれたので、「天の川」という大きな季語がくっきりと浮かび上がりました。)

●父遠し銀河あかるく流るるも=砂太
〇秀、水、入=6点
(秀:父はもういないけど、なんと明るい銀河!明るいから、より、さみしい。 水:「流るるも」が効いていて、切々とした感情が良く伝わります。)

●天の川声に惚れたと云ふをんな=五六二三斎
〇ぼ△子、ぶ、紅=5点
(ぼ:いいね! きっと織女のようないい女だ。 ぶ:凄い男性がいるのだろう〜。低音の魅力か。云ふをんなが生きている。 紅:私も声に弱いので・・。)

●甲板のベンチにごろ寝天の川=修一
〇ラ、紅△久=5点
(ラ:とても気持ちよさそう。そのまま、熟睡してしまったりして<笑> 紅:気持ちよさそうです。 久:自分の周り以外は闇、さぞかし星降るようで、一度は経験してみたいです。)

●銀漢の岸に佇むスナフキン=ラスカル
〇葱△ま、裕、紅=5点
(葱:スナフキン、いかにも銀河のほとりに座ってギターを弾いてそうですね。 ま:スナフキン好きとしては見逃せません、そこに居るのがふさわしいです。 裕:スナフキンに似合います。 紅:スナフキンは銀漢の岸が似合います。)

●銀漢や回り始めるLP盤=ラスカル
〇清、雪△十=5点
(清:昭和の匂いのするLP盤、渦巻き銀河の回っている光景と重なる。面白い句。十:LP盤の動きに宇宙(惑星)の公転自転が浮かんでくる。)

●草原の波打つてゐる秋没日=紅椿
◎ま△ぼ、メ=5点
(ま:とても美しい景です。金色に染まった草原、風の音を聞きながら、体中に秋を感じ何を想っておられるのでしょう。 ぼ:阿蘇か、はたまたモンゴルか。)

●天の川翼端灯を櫂にして=秋波
〇五△秀、葱=4点
(五:飛行機から見る天の川。まるで、飛行機が船頭役?綺麗な句である。秀:中7の「翼端灯」がもう少し、柔らかく表現できたら・・・。 葱:「翼端灯」という言葉を知りませんが、その翼の灯が「櫂」のようだ、という比喩に惹かれました。)



●学校も会社も嫌ひ天の川=玻璃
〇ぼ△十、砂=4点
(ぼ:詩人は組織になじめない。 十:わかるなぁ、この感じ<笑>)

●銀漢や魚の焼ける宇宙船=ぶせふ
〇喋△葱、五=4点
(葱:それが本当に実行されたことがあるのか、寡聞にして知りませんが、事実なら面白い! 五:宇宙船での焼き魚!日本人宇宙飛行士の活躍を祈りたい。)

●銀河濃し夜行バスの子見送れり=資料官
△清、ま、水、入=4点
(清:墓参りに田舎に帰っていた我が子を、夜行バスで見送るシーンである。私も体験したが星がやたらと綺麗だった。共感の一句。 ま:ご両親の想いに同感です。 水:都会では見られない賑やかな銀河が寂しさを紛らわしてくれる。)

●銀漢や思い出せない夢の前=修一
〇や△裕、水=4点
(や: 夢そのものも一瞬に消えている。 裕:日常の実感と、壮大な銀漢の取り合わせが面白い。 水:夢を思い出せないのではなく、その前を思い出せないという。もやもやしながら見上げたら銀漢が、)

●トゥシューズのりぼん付け替へ天の川=まさこ
◎ラ△ス=4点
(ラ:そのりぼんが、ひらひらと空に吸われて、天の川に変わってゆくような幻想を覚えました。)

●華麗なるワルツで下る天の川=水音 〇喋△清=3点 (清:あたかも牽牛と織女がワルツを踊りながら川を下って行く様子が良く出ている。楽しい句だ。)

●原子雲川で襁褓を洗ひをり=修一
◎ぶ=3点
(ぶ:忘れてはならない光景だと思う。経験者だろうか?それとも平和への強い意志をお持ちの作者か?激しく共感する。)

●原子炉は凶器となりて蚯蚓鳴く=白馬
◎清=3点
(清:メルトダウンした原子炉内部の状態は未だに分からない。一方蚯蚓は実際には鳴かない。他方放射能は無味・無臭・無色で掴まえ処のないものである。凶器なる鋭い言葉に圧倒された。佳句だ。)

●草原に眠る野馬や銀河濃き=ぼくる
〇十△修=3点
(十:まるで東山魁夷の絵のようだ。)

●杯掲ぐ君ら待ちゐる銀漢へ=ぼくる
◎修=3点


●火の鳥の羽ばたいてゆく天の川=ラスカル
◎ぼ=3点
(ぼ:おお懐かしや! 手塚治虫「火の鳥」シリーズ、一大ロマン。)

●湖に落つるがごとし天の川=五六二三斎
〇淳△裕=3点
(裕:湖に落ちるというのがいいです。)

●およそ二年ぶりのsex天の川=風牙
〇五=2点
(五:作者は大体見当がつく。問題提起句も丘ふみは採るぞ!)

●風渡る銀河に向けて真帆方帆=やんま
〇資=2点

●原稿の締め切り迫る百日紅=清一
〇子=2点

●原人は火を手懐けて流れ星=秀子
△ぶ、喋=2点
(ぶ:「原始人間ギャートルズ」という漫画を思い出す。俳句はこういうとんでもない記憶を思い出せる。)

●交点を問ふきみのをり天の川=玻璃
△十、香=2点
(十:硬い数学用語を上手に人事語に置き換えている。 香:「交点」。堅い言葉ながら、ロマンチックで魅力を感じました。)

●自爆やらテロやら聞こゆ原爆忌=水音
〇香=2点
(香:恐ろしい世の中になってきた。)

●芒原バックミラーを逆走す=十志夫
〇メ=2点

●草原を秋めく風が吹き通す=淳一
△子、ラ=2点
(ラ:「恋猫の恋する猫で押し通す 永田耕衣」を思い出しました。)

●壮大な銀河を教わり我を知る=淳一
〇香=2点
(香:大きな宇宙と、小さな人間の存在の対比がおもしろいです。)

●点滴の妻の寝姿天の川=砂太
△久、ス=2点
(久:詠み手が何故そう思ったのかよくは分かりませんが点滴の一滴一滴が星明かりに見えたのかも知れませんね。)

●遥々と筑紫国原赤トンボ=資料官
△五、雪=2点
(五::筑紫丘高校校歌一番の冒頭部分!さあ、だれが作者か?<笑> 雪:校歌の一節ですね。少なくはなったけど、まだまだこのような風景見られます。)

●東山銀河は見えずフルムーン=子白
〇風=2点
(風:俳句は報告と思っている僕には俳句は報告だと思っているのでこういう俳句は好みです。)

●わたくしの原風景は向日葵?=喋九厘
〇風=2点
(風:内容的には面白いのですが断定して欲しかったです。)

●天の川あれから秋田の赤トンボ=喋九厘
△資=1点
(資:あああ,良いな。)

●天の川空蝉一つ天を向く=秋波
△久=1点
(久:捕まえようとしてそっと手に取るまでは分からなかったのでしょう。)

●海原に島影遠く秋の波=メゴチ
△淳=1点

●川原にて草刈る人は雨の中=子白
△淳=1点

●キャンプファイア消えて銀河の溢れけり=裕
△雪=1点

●原発の処理に尽きせぬ残暑かな=清一
△秋=1点

●終戦日海原に舟漂えり=裕 △紅=1点 (紅:これから日本はどこへ行くのでしょう・・。)

●すすき原私を待つてくれる人=五六二三斎
△玻=1点
(玻:秋のすすきを詠っている。やっと、落ち着いた人が「私」を待っているのか、人に疲れて柔らかいすすきの原を包容力のあるひとの例えに使ったのだろうか。なんだかこう何かを応援したくなるいじらしさを感じました。「待ってくれる」出来る、出来ないでいうといままでそれを出来る人がいなかったのかもしれない。子供は何事も待てないという。作者は「大人」を求めているのだろう。共感をもって「わかります」と言いたい。)

●寝ころべば銀河溢るるハワイの夜=香久夜
△ぼ=1点
(ぼ:ハワイアンが聞こえて来そう。)

●白風や原孝之の生化学=ぶせふ
△雪=1点
(雪:どんな授業でしょうか。ちょっと受けたい気も・・。)

●ハマナスや北の原野に紅の咲く=香久夜
△子=1点

●原坊の見守るサザンばつたんこ
△五=1点
(五:原がこの句を採らずして何とする!原坊に比べるとほぼ無名(笑)でも、Wikipediaで載ってるのです。誰かの褒め殺しのせいで、、。)

●松原にほほ過ぐ風や秋に入る=雪絵
△淳=1点

●みくじ引けば「待ち人来る」天の川=雪絵
△秋=1点


B部門入選作〈back number〉

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