*B部門入選作発表*


兼題『季語:菜の花』『漢:風』=全73投句(入選52句)

【特選】

一席
●ランナーの肘の直角風光る=ラスカル


◎五、雪、ス○十、る、メ、砂△修、ま、紅、英、久=22点
(五:短距離走? 十:「肘の直角」の切り取りが見事。 雪:肘とは!目の付け所が新鮮でした。 る:確かに直角に近いと思うのですが、その点に着目された句を知りません。 修:まじめな、清潔な感じがいいです。 ま:季語がきいていますね。 紅:清々しい汗が見えてきました。 久:新入生かな。律儀なフォームが新鮮ですね。)


二席
●菜の花の背丈に沿うて安房の海=十志夫


◎る、ま、紅、砂○メ、葱△資、秋=18点
(る:菜の花の高さをきちんと言われた点が良いと思いますし、この地名でスケール感が倍増。 ま:中七がとても良いですし、景がはっきりと見え好きな句です。 紅:行ったことはありませんが、素敵な景を想像できました。 葱:中七の修辞が上手い、実際の風景がイメージの中で具体化されました。 秋:黄色と青のコントラスト。空の明るさまで浮かんで絵画的。)


三席
●菜の花やスローテンポのハーモニカ=秋波


◎メ、ラ、淳、久△ス=13点
(ラ:郷愁を感じます。「三丁目の夕日」の世界ですね。 淳:春のゆるやかな季節感が伝わりますね。 久:小学1年生が奏でるのを思い出しました。))


三席
●花菜咲くモノクロ写真の女子部員=スライトリ・マッド


◎十、喋、葱○白△修、水=13点
(十:「モノクロ写真」には、その時代、青春、若さ、初恋の全てが内包されている。 葱:ま、こういうのに一番おじさんたちは弱い*^◯^* 白:ずっと昔の部活を偲んでいる。 修:遠いむかしも元気な女子だったことでしょう。 水:高校生の頃菜の花を見るためだけに延々西鉄電車に乗って、女子部員全員で出かけたのを思い出しました。菜の花といえばあの日の光景です。)


【入選】

●風呂銭とタオル一枚春の月=紅椿
◎修、子○雪、久△ぼ、葱=12点
(修:さっぱりしたマイペースの人、愁い?湯上りに発泡酒のんでしあわせです。 雪:懐かしい、昭和な光景。 久:桶と石鹸を忘れていませんかと言いたくなるほど軽いなあ。 ぼ:懐かしきかな、昭和。 葱:帰りに自販機で買う缶ビール代は持っていたい。)

●上履の廊下かろやか花菜風=葱男
◎資、風○秋△五、弧、ぼ=11点
(風:校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下でしょうか景がはっきりしているので◎。 五:思い出に浸る。 ぼ:気持ちのよい句。 秋:昔ながらの木造校舎の水拭き廊下を思い出します。)

●花菜風絡めてパスタ巻き取りぬ=ラスカル
○る、ぼ、雪、ス△ま、葱、風=11点
(る:こんなお洒落なピクニックも良いですね。 ぼ:兼題二つをみごとに巻き取った。 雪:菜の花の見えるテラス席での食事でしょうか?素敵なひととき! 葱: 菜の花と白身魚のクリームパスタなんてありそう。赤いケッパーとかきかして! 風:菜の花にパスタの句は付き過ぎとの意見もあろうかと思いますがそれ程気になりませんでした。テラス席での食事もあるので内外も問題ないですし。ただ下五「巻き取りぬ」パスタはショートパスタなんかもありますが一般的には巻き取るイメージがあるので不要かなとも思います。)

●草餅や風の噂のふたつみつ=紅椿
○ぼ、風△十、る、メ、喋、ま、雪=10点
(ぼ:そこはかとなく望郷の思いが。 風:殆ど慣用句てきな下12音ですが上五草餅が非常に効果的だと思います。 十:人の生き死に、孫ができた、友の引退など・・・etcが届く。草餅の味とともに遠い記憶も甦ってくる。 る:庶民的な世間話でしょうね。舞台が縁側だったりすると面白いです。)

●鯛茶漬け島には広き花菜畑=砂太
◎ぼ○修、紅△喋、ま、葱=10点
(ぼ:いい気持ち!、おまけに美味い! 修:何というぜいたく。菜の花の向こうの海まで見えてくる。 紅:取り合わせが絶妙ですね。中七の「は」がちょっと気になりました。 葱:島の暮らしと風景がみえるようです。)

●金継ぎの碗に珈琲風光る=スライトリ・マッド
◎水○ラ△る、葱=7点
(水:室内の暗さ、外の明るさ、珈琲の香、渋い金の輝き、、コーヒーが飲みたくなりました。 ラ:リッチな感じ。珈琲の銘柄は何だろう?と、想像が広がります。 る:こういうカップでこんな季節に外で飲むコーヒーは美味しいことでしょう。 葱:つい最近、富司純子の主演した「紅雲町珈琲屋こよみ」というNHKのドラマで、相手役の橋本功が金継ぎの茶碗で珈琲を飲む場面がありましたね。)

●菜の花や時計はいつも二時五分=水音
○十、五、ま△ス=7点
(十:この「二時五分」って何だろうか? 東北大震災は2時46分、江頭は2時50分。調べたらRKKラジオに「2時5分一寸一服」という長寿番組がある。とにかく不思議な句。 五:花時計の黄色は2時05分の位置? ま:大切な思い出の時間でしょうか。)

●花菜風只今通過駅無人=十志夫
○英、秋△喋、葱、子=7点
(葱: オール漢字の句は観念的な機知俳句になりがちですが、珍しく一景がくっきりと浮かび上がりました。 秋:名もない田舎の、でも温かい風景。旅情を誘われる。) 

●幼な子の春の風切る三輪車=子白
○修、水△砂、淳=6点
(修:得意そうな生き生きした顔。 水:男の子ですね。数年後はチャリンコ暴走族確定。先が楽しみです。)

●野馬(やば)駆くる大草原や風光る=ぼくる
◎英○紅△秋=6点
(紅:大きな景で、気持ちがいいです。)

●屋上の鉄道神社風光る=紅椿
○ラ△五、水、英=5点 
(ラ:デパートの屋上に、小さな遊園地があった頃を思い出しました。 五:新幹線JRシティ博多の屋上には、鉄道神社あり! 水:博多駅の屋上ですね。一度行ってみたいと思ってます。)

●菜の花や向岸よりぬるき風=るな
○弧、淳△ラ=5点
閉じ込められているのは蝶ではなく、私が蝶によって夢という籠に閉じ込められているのかもしれません。 淳:「向岸より」がいいですね。 ラ:「ぬるき」に、実感があります。)

●春の風リメイクしたるランドセル=まさこ
○白、久△砂=5点
(白: 3年生位かな。 久:小学3年生くらいかな。買い替えでの嬉しさが伝わります。)

●はつらつと農学校の花菜畑=資料官
◎秋△風=4点
(秋:若々しさや元気が伝わります。 風:元気があって良いですよね。好きな句です。)

●花菜雨便りは昨日着きました=弧七
○風△白、紅=4点
(風:これも理屈抜き、季語とそれ以外の関係が切れた上で尚且つ季語が効果的です。特選候補。 白: 楽しい句、それとも悲しい句。 紅:ドラマを感じる、とても気になるお句でした。)

●老犬の夢春風は過ぎにけり=弧七
○ス△白、子=4点
(白: この気持ち分かります。)

●風描く人ひとり居る池の端=白馬
○葱△ぼ=3点
(葱:多分、画学生か老画家がスケッチしている情景でしょう。ひとり、という形容が意味するところがややぼやけているようにも思いますが、上五の簡潔な修辞に惹かれました。ぼ:風描くがお見事、池の漣が見えて来ます。)

●風眩し体操選手の見る地平=水音
○砂△葱=3点
(葱:何回も回転したり捻ったりしてみる宙空からの地平はどんなものでしょう? 高みまで行き着くことのできたアスリートだけが感得する世界、この目でもって見てみたいものです。)

●きんぽうげ風のベクトル軌跡かな=スライトリ・マッド
○資△白=3点
(白:中七・下五が好きです。)

●新緑の風を泳げや鯉のぼり=喋九厘
○英△子=3点


●惜別の寄せ書き滲み風光る=メゴチ
◎白=3点
(白:退職?。希望。)

●チューリップ新幹線の風抜けた=資料官
○水△ス=3点
(水:砺波を思い浮かべます。「風抜けた」がとてもいいです。 )

●菜の花の黄の大海へ船出かな=喋九厘
◎弧=3点

●菜の花や植物園のゲート前=五六二三斎
○資△風=3点
(風:菜の花は広大な菜の花畑をイメージさせる句が多いなか花壇やプランター程度の規模という感じで新鮮でした。これから植物園へ入園するという期待感も感じさせます。)

●菜の花や仏を巡る野辺の道=秋波
○子△五=3点
(五:四国のお遍路さん?いいね!)

●寝そべればこくりこくりと花菜風=風牙
○喋△る=3点
(る:心地良さでいただきました。)

●花菜風抹茶ソフトへ匙二つ=まさこ
○喋△資=3点

●磯風に転がつてゆく春帽子=雪絵
○淳=2点
(淳:コロコロと帽子が転がっています。)

●長生きを友に約束風車=五六二三斎
△雪、葱=2点
(雪:悲しい別れでしたね。風車がより一層、やるせない気持ちにさせます。 葱: いいですね、そんな約束を微笑みながらできる友がいるというのは。)

●夏館シシリア風といふサラダ=十志夫
△ラ、資=2点
(ラ:「といふ」表現が、やや説明的ですが、とても美味しそう♪) 


●菜の花に苦さを求む屋台席=久郎兎
○子=2点

●菜の花を目指す旅なり筑後川=水音
○五=2点
(五:雄大な景観!)

●菜花畑ずっと続けば故郷に出る=白馬
○弧=2点

●口風琴(ハモニカ)を吹くおじいさん春の鴨=風牙
△メ、修=2点
(修:ちょっと淋しい感じもするけど、強い人。)

●春の風仏の頬に艶やかに=秋波
△淳、久=2点
(久:何が頬を艶やかにさせているのか、そばの赤い花かな。)

●映画館出でて無口や花菜風=修一
△十=1点
(十:映画館からの帰途の花菜風が映画の余韻をより増幅させている。地方都市<?>ならでは。)

●単結び父のネクタイ風光る=五六二三斎
△風=1点
(風:シングルノット=単結びの和訳には多少疑問は残ります。意味的には切れてませんが上五、中七と三段切れぽいぶつ切り感が残念ですがそれでも△。ネクタイと風光るは響きあっていると思います。)

●鳥風や窓に模型の海賊船=雪絵
△紅=1点
(紅:季語がいいですね。)

●菜の花の黄や処女性を失はず=葱男
△メ=1点

●菜の花や一斉に切るシャッター音=風牙
△水=1点
(水:菜の花畑の向こうにどんな列車が現れたのだろう、、、)

●菜の花やただただそこに菜の花よ!=喋九厘
△葱=1点
(葱:その風景に圧倒されてる気持ちがよく出ています。)

●菜の花やワイパー細く音をたて=まさこ
△十=1点
(十:「細い音」の修辞でいただいた。)

●花よ鳥よ風よ今しも昼の月=るな
△砂=1点

●春が来しあの時と同じ風匂ふ=淳一
△久=1点
(久:匂いで思い出すことありますね。)

●むせかえる藤のかほりに風そよぎ=英心
△淳=1点

●紫の風来て藤棚開きかな=砂太
△英=1点

●メール待つ花菜の苦味茹でこぼし=香久夜
△る、秋=1点
(る:この季語でなくても良いかなとも思ったものの、「苦味」が効いているようでもあり。。)

●夕爾生家ありし菜の花あかりかな=るな
△ラ=1点
(ラ:即き過ぎかもしれませんが、やはり心惹かれます。)


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