*B部門入選作発表*


兼題『季語:パリ祭』『漢字:記』=全投句(入選句)

【特選】

一席
●口紅は鳩の血の色巴里祭=秀子


◎紅、五、砂、葱 ○十、水、資=18点
(紅:平和の象徴の「鳩」と革命に付き物の「血」、それが「口紅」の色だなんて・・。発想豊かなお句ですね〜!五:革命には血が流れる。平和の象徴の鳩の血も必要ということか?葱:フランス人、鳩食べるし、口紅がまた、妙齢のパリジェンヌを想起させてくれますね。十:十:口紅が鳩料理にむしゃぶりつく美人の唇を思わせるという。いかにも巴里という句。 水:血なまぐさい革命を想起させます。)


二席
●億年の記憶を吐ける海月かな=清一


◎ス、秀、ぶ、ま ○弧 △十、ぼ、メ=17点
(秀:発想に驚かされたが、でも、納得できる。ぶ:生命の不思議と言葉の不思議がうまくたゆとうていると思う ま:5億年前の地層に海月の仲間の化石があるそうですね。中七が海月を巧く表しておられますね。(海月大好きです。)弧:生きることは記憶を吐くことであって、個の記憶だけでなく種の記憶を吐いているのですね。十:簡略化された原始的な姿で浮遊する「海月」は、まさに何かを吐いているようだ。ぼ: そういう神秘性ありますねえ。)


三席
●竹皮を脱ぐや被爆をつづる手記=十志夫


○雪、ぶ、ぼ、ま、葱、入 △水、白、久=15点
(ぶ:原爆の記憶を風化させない人の努力が、季語により更に際立たせている。 ま:季語が巧く手記と響き合っていて、胸に迫ります。葱:考えると恐ろしいような比喩とも、ショッキングな句です。水:この季語をどう解釈して良いのか分からなかった。白: 核兵器とは、きれいさっぱり訣別しよう。久:竹皮はその状況が分かりませんが、慎重にと言うことなのでしょうか。)


【入選】

●梅雨晴間日記ことさら大きな字
◎入○砂、秀、ラ、茶 △メ、雪=13点=五六二三斎
(秀:「ことさら大きな字」で、嬉しさがよくわかる ラ:ことさら大きな文字を書いて、気分を明るくしているのでしょう。茶:なかなか天気も気分も晴れやかになれない梅雨の時期の合間を上手く詠めていると感心いたしました。)

1●偽名にて記す宿帳蛍の夜=風牙
◎ぼ ○香、白 △茶、ぶ、葱、久=11点
(ぼ: 愛人と一緒か。ちょっとミステリアスなドラマあり。白: 何やら秘密めいて。茶:儚い逢瀬と蛍との取り合わせでいただきました。ぶ:不倫の匂い漂う句に季語が付きすぎている感もあるが 、ドラマチック 葱:人間の「負」の部分に照準することもまた文学。久:ミステリードラマの密会の宿を思いだしました。)

●シャガールの空飛ぶ二人パリー祭=ぼくる
◎ラ ○裕、紅 △雪、ぶ、葱、清=11点
(ラ:自分も一緒に、空を飛んでいるような気分になりました。 裕:シャガールの絵がマッチしているような… 紅:こちらは明るいパリー祭で、読み手も楽しくなります。ぶ:有名なシャガールの絵にとてもパリ祭は似合うと思う。類句を恐れず作られたと思う 葱:オッサレ〜〜!^^ 清:シュールなシャガールの絵がパリー祭の雰囲気とマッチしている。)

●使わないグラスを磨く巴里祭=水音
◎メ、久 ○ス △裕、秀、ぼ=11点
(久:やっぱり日本人にとってパリ祭は遠い存在、年一回の感じがよく表されています。裕:祭りのときはこういう感じってありますよね ぼ: そこはかとないペーソスあり。)

●またひとつ記憶消す母菖蒲月=雪絵
◎茶○喋、葱、入△白、子=11点
(茶:群生する菖蒲がひとつまたひとつと萎れていく姿との哀切を感じました。 葱:よくぞこの季語を持ってきたな、とその感性に感服です。 白:介護をした経験から、良く分かります。)

●花屋より水流れ来る巴里祭=ラスカル
◎水 ○雪、香、秀=9点
(水:流れ来る水が流血を思わせるからなのか、この句に惹かれます。秀:リアルだし、季語によく合っている。)

●名画座の饐えた記憶や巴里祭=十志夫
○水、メ、清 △雪、白、ま=9点
(水:高校時代のセンターシネマを思い出す。清:昭和の時代に見た仏映画その懐かしい記憶の数々。白:若かりし頃の切ない思い出が-----。ま:覚えがあります!古い小さな名画座で見たフランス映画と映画館の匂いに。)

●老いらくの恋に乾杯巴里祭=ぼくる
◎白、清 ○五=8点
(白: いいね、いいね♪ 清:歳を取っても青春、巴里祭ともなれば恋の炎が燃える。五:フランス人は恋に寛容なのか?)

●無愛想な父の日記や沙羅の花=まさこ
◎資△裕、香、砂、入=7点
(資:晩年の父の日記は空白が増え無愛想になってきたことを思い出した。裕:無愛想でも結構胸に沁みますよね)

●カタクリの記念切手で古里へ=子白
◎喋 ○茶 △ス=6点
(茶:「で」が不思議な古里への思いを演出しているように思いました。)

●緑陰の一部となりて記念の樹=紅椿
○ぶ、ま △水、秀=6点
(ぶ:夏の日のまぶしさと緑陰のやさしさ。そこにまた人の暮らしの記憶が重ねられている ま:長い歴史を感じさせてくれます。どんな記念だったのでしょう、想像が膨らみます。秀:記念樹が育って、影をなす木々の一部だというのは、 なかなかいいですね。)

●絵日記の中巨大化すカブトムシ=茶輪子
◎弧 ○白 △紅=6点
(弧:子供の感覚は、ときに人間の本来的なものの見方を思い出させますね。白:子供の絵日記。好きな対象は巨大化する。紅:夏休みの絵日記の中では、カブトムシは必ず「巨大化」しています。)

●薄れゆく恋の記憶よ合歓の花=ぼくる
◎香 △資、清=5点
(香:合歓の花、はかなさが似合います。清:誰しも青春時代があった合歓の花を見る度に思い出す恋の記憶。)

●記念日を二人で汲みし新茶かな=紅椿
◎十 ○ぼ=5点
(十:何の記念日かは云っていないが、あっさりとした表現の中から年配夫婦のほのぼのとした空気が伝わってくる秀句。ぼ: 仲のよい老夫婦。)



●コルク栓すぽんと抜ける巴里祭=雪絵
○紅 △十、ま、清=5点
(紅:脱力系の所が好きです。十:巴里だからワインというのはやや即きすぎだが、オノマトペが効いた不思議な感覚の句。ま:季語と近すぎず遠すぎず気持ち良く詠まれていると思います。清:ワインの栓が次々と抜けて祝う光景がよく出ている。)

●胎児から記憶消し去る半夏生=葱男
○秀 △十、紅、裕=5点
(秀:かなり恐ろしいけど、季語によくついている。十:「胎児」が斬新。「消し去る」は「片白草」の葉の白さの比喩だろう。紅:ちょっと怖いですが、季語が効いていますね。裕:興味を持って頂きました)

●手品師は双子の姉妹パリー祭=葱男
◎雪 △五、久=5点
(五:双子の姉妹の美しさが伝わってくる。久:妄想や狂喜などの異次元空間を感じさせます。)

●記紀万葉忍べば降るる木の葉雨=子白
○メ、裕=4点
(裕:明日香辺りでしょうか?)

●梅雨の闇この静けさの或る記憶=砂太
△弧、風、ま、葱=4点
(ま:いろいろな闇がありますが、梅雨の闇に覚えがるのですね。こういうことありますね。葱:その人にしか分からない、他人に語りようもない記憶があります。)

●巴里祭や楽譜の柄の包装紙=ラスカル
△風、茶、砂、喋=4点

●半夏生タッチペンにて名を記し=秀子
○風 △資、葱=4点
(葱:なんだか心もとないような、そんな、現代のIT関連のあれこれ。)



●不如帰山路を契る方丈記=白馬
○喋、子=4点

●記しおく寂しさや青鷺のこゑ=入鈴
○弧 △香=3点

●記るすべき一行汗の滴りぬ=ぶせふ
○久 △子=3点
(久:たった一行書くのにも汗。汗っかきには分かります。)

●白海月を数へし記憶乗船券=まさこ
○十△入=3点
(十:作者は「海月」を数えながら何処に向かおうとしたのか。掲句が「月の舟の乗船券を渡さるる」(金子敦)を踏まえているのなら合点はいく。)

●滝行やご上人様死すと記す=ぶせふ
○五 △子=3点
(五:ストーリーのある句だ!)

●義母(はは)記す合歓の花の句仏前に=香久夜
◎子=3点

●パリ祭少女は薄く紅を引き=まさこ
◎裕=3点
(裕:祭りデビューの初々しさが素敵です)

●巴里祭パサージユ果つる先の雨=茶輪子
○資△入=3点

●パリ祭や絵の看板の岸恵子=葱男
○ラ △砂=3点
(ラ:「絵の看板」に語らせているところがよいと思います。)

●巴里祭やトリコロールの赤は右=資料官
○清 △ラ=3点
(清:パリー祭で三色旗の特に赤(博愛)が目立ち、閃いている様子がよく出ている。ラ:「赤は右」というのは、ひとつの発見ですね!)

●吹き降りやヘ音記号の群青忌=入鈴
○ス △茶=3点
(茶:正直、自分の知識では繋がらない記号でしたが、なんとなく(笑))

●青汁に甘味ほんのり巴里祭=紅椿
○久=2点
(久:革命の厳しさとご褒美でしょうか。)

●鰻食ふ笑顔まちまち記念写真=香久夜
○風=2点
(風:写真の中の鰻で眼前に鰻がないので季語として働くかどうかは疑問で◎には推せず。)

●夏至の街平穏なるや地方記者=久郎兎
△風、ス=2点
(風:三段切れで意味をイマイチ掴めません。「なりや」とせず「なるや」と連体形に「や」を接続させた意味も掴めませんでした。「夏至」「平穏」「地方記者」の単語は響きあっていると思います。)

●夏線路ゆらりゆらりと旅日記=喋九厘
○子=2点

●パリ祭男は夢を見て眠る=砂太
△五、ぶ=2点
(五:パリ祭の日には、男のロマンの夢を見せてあげたい! ぶ:フランスにゆきたし〜あまりにも遠し・・っていう憧れがよく出ていると思う)

●黒髪の髪留古りぬ巴里祭=秀子
△ラ=1点
(ラ:和風と洋風のミスマッチが面白いです。)

●古書店を出でて画廊へ巴里祭=ラスカル
△紅=1点
(紅:「画廊へ」で巴里祭らしくなりました。)

●父の日や三年日記も力尽き=資料官
△ぼ=1点
(ぼ: いかにもありそうで、おかしい。)

●夏の星灯して一行日記かな=水音
△弧=1点

●のろのろとまいまいのごと日記書く=メゴチ
△喋=1点

●パリ祭へ行きたし海は夏霞=砂太
△弧=1点

●巴里祭やリヨン駅からミストラル=資料官
△喋=1点

●風鈴の記憶辿りし窓辺かな=清一
△メ=1点

●身の軽き大道芸人巴里祭=雪絵
△水=1点
(水:これはお祭りの巴里祭ですね。)



●夜濯や「小さな日記」の高音部=十志夫
△ス=1点

●隣国の投票に揺れパリー祭=水音
△香=1点

●パリ祭や久しぶりなるナポレオン=白馬
△ラ=1点
(ラ:この「ナポレオン」は、人物ではなく洋酒ですね♪)


B部門入選作〈back number〉

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