*B部門入選作発表*


兼題『季語:小春』『漢字:守』=全73投句(入選52句)

【特選】

一席
●教室に小春の匂ひつけて入る=清一


◎秋○水、淳、メ、五△葱、ぶ、ま、砂、玻=16点
(水:休み時間に思い切り走り回ったのでしょう。満足そうな子どもたち。五:小春を教室に運ぶ教師!いいですね! 葱:女子高生や女子大生を想像してしまうのは私だけ?? ぶ:若い女性教師だったら最高にいいな〜、でもおそらく人気の初老の教授だろうな? ま:昼休みの終わった午後の教室を思い浮かべました、にぎやかですね。)


二席
●鍵開かぬ父のトランク神の留守=まさこ


◎や、久○秀、ぶ、秋△十、裕=14点
(や:墓場へ持っていった秘密がある? ぶ:推理小説か面白いドラマの始まりが期待できるなと思った。 十:季語との取り合わせが上手い。 裕:我が家もそういうトランクあります。)


二席
●小春日のからりと揚がるパンの耳=紅椿


◎雪○や、砂△十、清、水、淳、茶、ぼ、五=14点
(雪:ピタリと決まってますね!どこか懐かしさも・・。 や:なんと気持ちの良い日だろう。 十:美味しそう。<笑> 清:小春だからこその「からり」との措辞が効いている。 水:さぞからりと揚がることでしょう。 茶:子どものころ揚げたパンの耳に砂糖をまぶし食べた記憶が!ささやかな幸せが「小春日」にピッタリきました。 ぼ:うまいんだなあ、これが。 五:こんな小さな景も詠んでみたい。)


【入選】

●守護神は梟人も村も老い=秀子
◎ス○白、ま、砂、ぼ△資=12点
(白:侘しい山村。梟はじっと見守る。 ま:いろいろ引き継がれてきたものが、だんだん途絶えていくのでしょうか。 ぼ:梟のため息が聞こえそう。 資:限界集落にも梟がいる。)

●電話帳なき電話ボックス神の留守=雪絵
◎秀、水、香○葱△ラ=12点
(水:その電話はどこに繋がるのだろう。 香:真の心の叫びを話せる電話。 葱:「電話ボックス」、今は観光客ぐらいしか使っていないかもしれませんね、季語がうまい! ラ:即き過ぎかもしれませんが、ぴたりと決まっています。)

●観音の手のひらほどの小春かな=葱男
◎清、紅○五、メ△裕=11点
(清:7観音様に取っては小春はほんのちょっとの安らぎの一コマ、その表現がユニークな秀句。 紅:この手のひらの大きさは?たぶんほどほどでしょうね。気持ちが和みます。 五:小春とはそんなものだ。観音さまのちょっとしたお慈悲? 裕:観音様の胸三寸の天気なんですね。)

●小春日や死ぬのにちょうどいい日とか=ぶせふ
◎玻○喋△子、水、修、ぼ、五、久=11点
(水:軽く言ってくれましたね。小春日ならではですね。 ぼ:そう、いい日旅立ちだ。 五:諧謔の句。)

●小春日やスワンボートの息づかひ=雪絵
◎修○葱、ラ、茶、玻=11点
(葱:小春日和の池に浮かぶスワンボート、「息づかい」に若いふたりの明るい未来を感じます。 ラ:「息づかい」という措辞が秀逸。 茶:ボート自身の息づかいというより、一生懸命楽しそうに漕いでいる乗船者の息づかいが聞こえてきました。)

●墓守は我が代までよ柿落葉=紅椿
◎資○水、喋、香△茶、久=11点
(資:やはり墓じまいを考えておかねば。あざやかな柿落葉が効いている。 水:柿落葉など豊かな色が見えるのに、寂しい景。 茶:お墓の片隅にはたいてい柿の木があるように思います。ちゃんと柿の木が見守ってくれます(^^))

●居眠りの頬杖外れ小六月=裕
◎砂○修、資△清、ぶ=9点
(清:小春日の日だまりに、頬杖が外れる日常の風景。 ぶ:語呂もいいし諧謔味が効いている。)

●小春日を散らす硝子のモニュメント=まさこ
◎十○ラ、雪△葱、玻=9点
(十:中7の「散らす」が効いている。景鮮明。 葱:きらきらと輝く光が美しい! ラ:「硝子のモニュメント」が詩的で、お洒落な句。)

●熱燗や守る誓ひの何も無し=やんま
◎子、ぼ△白=7点
(ぼ:融通無礙、真の自由に達した。 白:酒さえあれば、何も要らない。)

●江ノ電が小春日和を連れて来る=ラスカル
○秀、紅△葱、喋、雪=7点
(紅:上級者の方のお句でしょうね。上手すぎです。 葱:いい気持ちで、つい、うとうとしそうです。)

●小春日やアスパラガスは壜の中=秀子
○十、ぶ、修△玻=7点
(十:流行りのジャーサラダ。ホンワカした幸せな朝の食卓風景。 ぶ:キッチン風景を詠んで巧みだなぁと思った。壜という漢字がアスパラガスと好対照。)

●小春日や母のコロッケ天こ盛り=裕
◎茶○淳△ま、ス=7点
(茶:アットホームで幸福な食卓の一面。一つおよばれしたいなあ。ま:今でもお母様はたくさん作ってくださるのですね。あつあつ、美味しそう。)

●守護札に金色の帯雪もよひ=ラスカル
○や、秀、雪△紅=7点
(や:白い雪に金色がぴかりと光る。 紅:言われてみれば・・。観察力に脱帽です。)

●砂時計に時戻したき小春かな=水音
◎ぶ○葱、茶=7点
(ぶ:(一読して激しく共感した。おそらく作者は時間を操れる人だろう^^。 葱:砂を戻すと、時間も元にもどるといいですね。 茶:字あまりが思いの強さとして表現されていると思いました。)

●にやむにやむと猫の寝言や神の留守=ラスカル
◎裕○清△砂、ス=7点
(裕:「にやむにやむ」がいいです。 清:猫はよく寝るから寝子だが、その割にめったに寝言は言わない。しかし神無月にはよく言うようだ。)

●芋虫も蛇も横切る小春かな=修一
◎白○久△香=6点
(白: うらうらの感じがよく出ていますね。)

●それぞれに小春日和の居場所かな=ぶせふ
◎メ○ぼ△淳=6点
(ぼ:これでいい、人は皆、落ち着くべき所に落ち着く。)

●初雪や看守の胸に金バッジ=白馬
◎ラ○十△紅=6点
(ラ:きらきらと輝く金バッジが、印象鮮明です。 十:謹厳実直な看守の胸に誇らしげに輝くバッジと、牢獄の中の囚人たちの暗い生活というアイロニー。 紅:非日常の事なので、とても新鮮でした。)

●神の留守ボンレスハムを厚く切り=紅椿
○ス△喋、香、ぼ=5点
(香:お宅の神か。 ぼ:神って、かみさん?)

●留守電のこゑのせはしき師走かな=資料官
○秋△や、清、ラ=5点
(や: 返信も留守電となりお互い様に。 清:お坊さんが忙しなく走るから師走と言うが、近頃はスマホを持つお坊さんも増えそれに、留守電が頻繁に入って来るようだ。 ラ:やや「理」が入っていますが、実感のこもった句。)

●思ひ出は小春の湖を輝かす=雪絵
◎ま△秀=4点
(ま:思い出がきらきらと湧き上がって穏やかな時間をお過ごしの様子がみえます。)

●三吉がくつろいでゐる小春かな=ぼくる
○紅△裕、修=4点
(紅:遊び心がいっぱいです。「王将」の坂田三吉と小春ですよね! 裕:なんとなく頂きました。 )

●峠茶屋留守もる神の大欅=茶輪子
◎五△や=4点
(五:大欅が神の留守の守り神ですね。 や:ここにも一本ご神木あり。)

●守るべきものも守らず柿を剥く=ぶせふ
○白、玻=4点
(白:平和憲法どこ吹く風。柿食うのは誰?)

●野菜直売猫が番する小春かな=資料官
○子△砂、雪=4点

●小春日に猫の爪切る白寿かな=清一
△秀、白、ラ、秋=4点
(白: 深爪されて猫飛び上がる。 ラ:白寿の方への敬意が感じられます。)

●あんこジャムのやうな顔なり小春よし=水音
○ス△喋=3点

●小春日や猫の居場所の自在にて=やんま
○子△秋=3点

●小春日や猫は毛を舐め飽きぬらし=秋波
○久△資=3点

●小春日や広き書斎の古書の山=資料官
◎淳=3点
(淳:小春日の情景が目に浮かびます。)

●狛犬の阿吽や守り時雨道=久郎兎
◎喋=3点

●二駅の支線見守る宵の月=秋波
○裕△や=3点
(裕:支線がどんどん廃止され淋しいですよね。 や:金町柴又寅さんの駅。)

●子守唄少し擦り切れ寒日和=秀子
○裕△茶=3点
(裕:古いSP盤でしょうか。 茶:声なのでしょうか。歌詞なのでしょうか。いずれにせよ伝統、伝承は掠れつつもいいものです。)

●尼寺を守る土塀や寒椿=葱男
△子、ぶ=2点
(ぶ:背筋がしゃんとするお句だと感じた。目に椿の色が鮮やか。)

●落葉焚きばあばの嗄れた子守唄=秋波
△修、メ=2点

●終わらざる占守島(シュムシュ)や霧と浜菊の黄=修一
○ま=2点
(ま:祖父が占守で亡くなっており、母にとってやはり、終わっていません。)

●九条は専守防衛冬麗=白馬
△十、久=2点
(十:「冬麗」の俳諧味が効いている。)

●小春日や寄り添う猫の耳と鼻=白馬
△ス、メ=2点

●難民の母子にはとほき小春かな=ぼくる
○香=2点

●暇さうなガードマン立つ小春かな=十志夫
△水、淳=2点
(水:小春日のガードマンは体から力が抜けていて、より暇そうにみえるのでしょうね。)

●蜜柑朽つごとく御守磨減りぬ=弧七
○資=2点

●守夫君こっち寒くないと夢枕=喋九厘
△資、五=2点
(資:守の字はふと守夫君を思い出す。1999年12月16日から17年も経過した。 五:井上守夫くんは亡くなって20年になるか?まさかここに彼の名が!)

●小春日やバツクミラーの中に君=玻璃
○清=2点
(清:詠者は横に奥さんを乗せ、後部座席に「君」を乗せているのだろうか。その「君」とどのような関係か気になる。)

●大筒に撃たれし天守冬の陣=五六二三斎
△香=1点
(香:真田丸もいよいよ最終段階。)

●小春日や笑み絶やさずに石地蔵=やんま
△秋=1点

●小春日や採用通知待つ娘=裕
△メ=1点

●小春日やシーツの白さまぶしけれ=メゴチ
△子=1点

●小春日や谷中銀座は谷の中=十志夫
△ま=1点
(ま:もとは谷だったのですね。)

●裸木に守るべきもの無かりけり=十志夫
△雪=1点


B部門入選作〈back number〉

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