*B部門入選作発表*


兼題『季語:汗』『漢字:猫』=全投句(入選句)

【特選】

一席
●夕端居猫はいつもの距離保ち=紅椿


◎し、秀、雪、ま○葱、ラ、ぼ、メ△資、秋=22点
(し:この距離感分かります! 秀: こういう距離感はいいですね。私はまだ、子供なのか、くっつき過ぎたり、離れすぎたりしてしまいますけどね。 ま:猫の性格というか姿がうまく表現されていますね。 雪:大人な猫!?そうではなくてもそう見える、面白いとらえ方です。 葱:ほどよい距離を置きたいものです、人間関係も。 ラ:「いつもの距離」という措辞が巧い! ぼ:なるほど、日常風景を切り取っておかしみあり。)


二席
●猫の背をそっと押しやり三尺寝=水音


◎資、秋○や、し、清、裕△茶、ま=16点
(秋:飼い主と猫の交流が浮かびます。何とも優しくユーモラス。 や: 風に道あり、共存共楽。 し:猫と昼寝ている様子がほのぼのしていいですね。 清:詠者の傍らで寛ぐ猫、だが三尺寝には邪魔な存在。 裕:夏の三尺寝らしい。 茶:眠くても「そっと」優しい三尺寝です。 ま:そっと、に愛情がありますね、よく分かる景です。)


三席
●石に座し石の声聞く寺の猫=砂太


◎葱、メ〇秋、五△十、喋、ラ、ぶ=14点
(葱:無季であることが一瞬気づかないほどいかにも俳句的世界。 五:寺の猫が良い! 十:無季だけれども、さすが「寺の猫」だけに悟りの様子が伝わる。 ラ:高僧の生まれ変わりのような猫ちゃん。 ぶ:禅画を見るような深い悟りに至る思い。)


三席
●夏あざみ猫の額に向う傷=ラスカル


◎や、喋○水、ま、香△十、砂=14点
(や:勲章誇るしたたか者なり。 水:時々見かける歴戦の傷を持つ雄猫。夏薊がいい。 ま:ちょっとあばれんぼう君でしょうか。季語が効いています。 十:猫の恋のなごりだろうか。 香:何か気に食わぬことがあったのでしょう。)


三席
●虹消えてふところの猫重くなる=ラスカル


◎茶○し、秀、紅、ぶ△葱、ぼ、ま=14点
(茶:綺麗なものにとらわれている間はまだよいのですが、「猫」は生活の象徴でしょうか。 し:不思議な情景ですが、実感がこもっているように思います。 秀: 感覚の句ですね。 紅:こういう感覚的な句は詠めないので、憧れます。 ぶ:そういわれたらそうとしか思えないw 葱:うむむ、、、。 ぼ:現実に戻った感覚を巧みに表現。 ま:なんだかとても実感があります。)


【入選】

●揚花火ぴくりと長き猫のひげ=まさこ
◎裕○雪、ぶ、清、茶△秀、香=13点
(裕:花火を見た猫の反応が面白いです。 雪:猫を飼ったことがないので、きっとそうなんだろうな、と。 ぶ:なんというか猫が好きなんだろうなぁ〜と羨ましくなった。 清:花火の轟音が鳴る度に猫の髭が踊る、ユーモアのある句。 茶:「動く」ではなく「長き」とした点で「ぴくりと」が効果的に。さすがです。 秀:私が昔飼っていた犬は花火の音が怖くて、逃げていましたが、このコは髭をピクリと動かすくらい。 香:花火の音に猫もビックリしたんでしょう。)

●汗涼し少女のままの笑ひ声=まさこ
◎子、ぼ○や、修△砂、白、裕=13点
(ぼ: 心も涼しい人なんだ。会ってみたくなる。 や:少し汚れて気づかずにいる。 白: 中七が佳いですね。 裕:素敵な女性を勝手に思い描いています。)

●木下闇赤くざらりと猫の舌=秋波
◎ぶ、香○ス△や、雪=10点
(ぶ:猫が生きていて不気味なエネルギー。 香:季語と-ざらりがとても雰囲気をもりあげている。 や:天然クーラー弱冷房とぞ。)

●夜の秋や土踏まぬまま猫は老い=秀子
○ラ、砂、水、メ、茶=10点
(ラ:室内飼いだと、そういうことになりますね。 気が付きませんでした! 水:「や」は必要なのかな。家の中で一生を終わる猫に対しての複雑な気持ち。 茶:高層マンションなどで飼う家猫の切なさの刹那ですね。)

●梅干せば猫は髭から眠りをり=十志夫
○水、白、裕△秀、喋=8点
(水:髭は最後まで起きているのかと。梅雨明け直後の酷暑に死んだように寝るの でしょう。 白:中七が面白いですね。 裕:なんかわからないけど面白いです。 秀:梅筵の端っこで、猫も寝ているのかもしれません。)

●一日の終りの汗を畑にやる=ぶせふ
◎紅○喋、ま=7点
(紅:詩心満点です。労働の汗は尊いですね。 ま: 一日の終わりの汗、とても素敵な表現ですね。お疲れ様でした。。)

●背の「1」の背負ひし汗の重さかな=十志夫
◎砂○葱、白=7点
(葱:上手いなあー! 白:甲子園出場なったか。この汗は一生の宝。)

●汗隠し祇園囃子の雅かな=香久夜
○砂、修△子、メ=6点

●芋の葉の影黒猫となりにけり=修一
◎ラ△十、喋、ス=6点
(ラ:影が黒猫になる! スゴイ発想です! 十:芋の葉が「黒猫」になったのではなく、影によって普通の猫が「黒猫」になったと読んだ。)

●片陰を行く猫の尾のピンと立ち=白馬
○雪△や、紅、淳、五=6点
(雪:猫も人と同じように陰を行くんですね。 や:尾は口ほどにものを言うとか。 紅:颯爽とした猫の姿が見えてきます。 五:片陰は涼しくて猫も嬉しそう!)

●猫の尾のくるんぷるんと星涼し=茶輪子
◎清、ス=6点
(清:猫が尾っぽをくるんぷるんと震わせて、星と交信しているような幻想的な光景が面白い。)

●吾輩は猫の駅長夏休み=資料官
◎五○紅△葱=6点
(五:リズムが良いし、夏らしい句になり、吾輩も満足。 紅:夏休みで、猫の駅長さんも大忙しなのでしょう。 葱:休み、とってもらえましたかあー?)

●汗かいて魂はすもものにほひ=秀子
○ぼ△葱、雪、秋=5点
(ぼ:よく分からない、故に、魅かれる句。 葱:すもも、とは意外! 秋:李は酸桃とも書くのですね。面白い取合せです。)

●イエスの汗拭ふマリアの若きかな=ぼくる
◎白○子=5点 (白:イエスの誕生。若き母親。)

●お狐のお面に匿す婀娜な汗=葱男
△し、資、ぼ、白、修=5点
(し:とても妖艶なお狐さんですね。 ぼ:おお、色っぽい。「お」は櫂未知子先生に叱られるかも。 白:婀娜なと言うところが良いですね。)

●惜敗の拭ふ汗とも涙とも=雪絵
○資、秋△水=5点
(秋:青春! 水:たしかに。甲子園がはじまります。)

●玉の汗湯上がりの帰路渡る風=久郎兎 ◎淳○子=5点
(淳:湯上りの風は気持ちが良いですね。)

●梅雨の月タイヤで猫が爪をとぐ=修一
○ス△十、ラ、砂=5点
(十:何かが起こりそうな気配。  ラ:タイヤで爪を研ぐというのは珍しい。)

●寝転べば猫の目線の夏薊=秋波
○資△し、水、メ=5点
(し:なるほど、夏薊も一回り大きく見えそう。)

●青芝やブランチに猫紛れ込む=しゃが
◎十△裕=4点
(十:景が見えます。下五が巧み。 裕:匂いにひかれてきたんでしょうね。)

●岩清水つと汗忘る一合目=久郎兎
○淳△秋、五=4点
(五:汗も引く涼しさ!)

●尾曲がりの猫のいる坂夾竹桃=資料官
△し、秀、雪、ス=4点
(し:夾竹桃が効いていますね。 秀:長崎には尾が曲がった猫が多いんですよ。坂の町だし、これは私の故郷長崎の句! 雪:長崎特有の猫ですね。以前、亀山社中跡に行った時に、坂の右に左に猫がいたのを覚えています。)

●玉の汗明日のジョーも力石も=ぼくる
○五△ラ、淳=4点
(五:あの漫画の迫力は凄い! ラ:ジョーと力石に敬意を表して一票。)

●日盛りや礼拝堂へ消へし猫=水音
○秀△紅、香=4点
(秀:季語が上手いと思いました。 紅:着眼点が良いだけに、ミスが勿体ないです。消へし→消えし ですね。 香:涼しい所を探すのが得意!)

●試合果つ汗も涙も一緒くた=紅椿
◎修=3点

●涼しさや自動車下の猫世界=茶輪子
○十△子=3点
(十:面白い。猫の井戸端会議。)

●そこここに猫夕暮の三丁目=ぼくる
△や、十、ぶ=3点
(や: 勝手気ままにテリトリー行く。 十:つげ義春の世界のような。 ぶ:漫画を読んだような懐かしさ。)

●猫舌は父親譲り冷奴=やんま
△清、裕、ま=3点
(清:熱いものが苦手な詠者、父親と同じように好物は冷奴だ。 裕:弟がそうです。 ま: お母様は違いましたか。)

●夕立やピクと震える猫のヒゲ=メゴチ
○淳△香=3点
(香:こちらの猫のヒゲも、いただきました。雷が鳴った?)

●黒猫とビクトリアンの夏邸 =しゃが
△ぼ、清=2点
(ぼ:おしゃれな句、黒猫にも風格が。 清:ビクトリア朝の邸に棲む黒猫、禁欲的な黒のイメージそのものだ。)

●鷺草に猫の横目の日暮かな=砂太
△メ、清=2点
(清:鷺草の美しい花が気になる猫だが、もう家に帰る時間だ。)

●飛石を伝ふ少女の汗匂ふ=清一
△淳、五=2点
(五:景が見える。夏らしい。)

●猫じゃらし思い思いの物思ひ=ぶせふ
○喋―2点

●猫用の爪切を置き夕端居=ラスカル
△十、水=2点
(十:作者と愛猫のまったりとした夕べが浮かぶ。)

●半眼で眠る大猫熊(パンダ)の涼しさよ=十志夫
○香=2点
(香:木陰でぐっすり寝てる様子が、涼しさよ-でよくわかります。)

●夕端居見かけぬ猫の来てをりぬ=秀子
○十=2点
(十:猫にはそうした無遠慮さがある。飼い主は「猫用の爪切を置き夕端居」の作者かも<笑>)

●汗にじむラジオ体操出欠簿=資料官
△紅=1点
(紅:子供の頃を思い出しました。今も出欠簿はあるのでしょうか?)

●汗の顔池にうつれる藻刈かな=修一
△ス=1点

●汗を拭く農婦の腰のしゃんとして=白馬
△淳=1点

●家路まで中間地点汗拭ふ=五六二三斎
△資=1点

●家元の舞の合間の汗拭ひ=しゃが
△ぶ=1点
(ぶ:日本の伝統の中に今も息づいている人々の動き。)

●遠雷やねまる黒猫眼のひかり=清一
△茶=1点
(茶:「ねまる」がよく効いていると思いました。)


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号 113号 114号 115号 116号 117号 118号 119号 120号 121号 122号 123号 124号 125号 126号 127号 128号 129号 130号 131号 132号 133号 134号 135号 136号 137号 138号 139号 140号 141号 142号 143号 144号 145号 146号 147号 148号 149号 150号 151号 152号 153号 154号 155号