*B部門入選作発表*


兼題『季語:泉』『漢字:青』=全74投句(入選句)

【特選】

一席
●泉より汲む一瓶の青き森=葱男


◎十、久、紅、水、雪、秋〇清、ぶ、し、ま△秀、喋、茶=29点
(十:瓶の中に「新緑の森」を汲む、という表現が斬新。 紅:詩心満載です。感激しました。 水:汲むのが青き森だという。詩ですね。 清:森の泉で汲む一瓶の中に泉の魂が宿る。 し:ー瓶のなかに森を汲んだイメージが美しいです。 ぶ:森好きのわたしとしては外せない一句。見事に掬ったものだ。 ま:泉の水は森の水でしたね、大切なことを思い出させていただきました。 秀:この甘さは好きです。 茶:瓶を森とみる世界観に惹かれます。)


二席
●青葉みな薄墨色となる水面=ラスカル


◎子○し、資、メ、水、五△や、資、砂、紅、雪、白=19点
(し:美しい映像をみているようです。 水:木が茂って影となった水面でしょうか、薄墨色がいい。 五:水面に映る青葉は色が確かにモノクロに変わるような? や:森深くして湖を秘す、郭公が鳴き継いでいる。 資:水面に写る青葉の色を良く捉えている。 白: 静かな夕べの湖面。ひとりの宿。)


三席
●子羊の鼓動のごとく泉湧く=水音


◎ラ、裕、香〇紅、葱△十、し、秋=16点
(ラ:「子羊の鼓動のごとく」という比喩がお見事! 裕:子羊が息を切らしているような光景、面白いです。 香:子羊の鼓動、、なるほどと思いました。 葱:翡翠の矢印か、子羊の鼓動か、天位を迷いました。 十:比喩の鼓動の主を「子羊」としたところに詩がある。 し:たとえが不思議と泉と合っていています。)


三席
●病葉や青の時代のピカソの眼=清一


◎秀、白○智、ぶ、ま、雪△メ、紅=16点
(秀: よくぞ、「眼」まで、言われた! 白: 青葉の中の少しの枯葉。ピカソはそんな些細なことに眼を見張った。  智:ピカソの青は病んでいるように物悲しく見えますが、病んで色付いた赤や黄色の葉にも潜んでいるのですね。 ぶ:ピカソの目も一朝一夕にでかくなったのではないのですね?w ま:季語が効いています。ピカソの目に注目したところが深いです。)


【入選】

●木漏れ日の柄杓に踊る泉かな=紅椿
◎資、茶○十、喋、水、淳△秀=15点
(資:絶妙の写生。微妙な木洩れ日に輝く泉の動きを良く捉えている。 茶:観察とレトリックのしっかりした佳句だと思います。「柄杓」の見立てがいいです。 十:柄杓の中を小さな「泉」ととらえたレトリックの巧さ。 水:キラキラと木漏れ日が揺れる様がまぶしいくらい。 秀:「柄杓」の具象で焦点がはっきり。)

●勇みつつ帰る子の手の青蛙=砂太
◎淳○久△智、資、裕、水、秋、修=11点
(智:幼い頃、用水路の鮮やかな青蛙を選んでそっと両手で握って帰り、庭に放すと茶色くなっていて、びっくりした事を思い出しました。 資:嬉しそうに蛙を握り締めて帰る子の顔が浮かぶ。 裕:蝦蟇ガエルは無理ですが、青蛙なら大丈夫。 水:幼い男の子の得意そうな顔。半分乾いた蛙(嗚呼) 修:蛙もたいへんだ。)

●大空の真中より湧く泉かな=ラスカル
◎ま、喋○玻、修△五=11点
(ま:空から湧く!その表現に感服しました。美しい景ですね。 修:泉に明るい空が映ってるんですね。 五:景が大きい!)

●どこまでも青き空なり晶子の忌=やんま
○秀、玻、五、修△ぼ、葱、香=11点
(秀: 晶子の大きさと孤独とが、「どこまでも青き空」で伝わりました。 五:与謝野晶子の忌日。青き空は晶子の理想か? 修:「どこまでも」に実感あり。 ぼ:そうなんだ、晶子の本領本質は。 葱:与謝野晶子の歌には原始の女性の本源的な魅力を感じます。)

●夕闇をなほ深くする青き薔薇=秋波
○秀、清、資、淳△玻、久、葱=11点
(秀:「なほ深く」でいただきました。 清:青薔薇は人工的な薔薇、その特殊な色合いが夕闇をさらに深くする。 資:中七になほ深くすると置いたので,青い薔薇が効いている。 葱:青き薔薇自体がもうポエム。)

●翡翠は青き矢印漁れり=秀子
◎ス、葱△十、ぶ、砂=9点
(葱:「矢印」にやられました! 十:「青き矢印」が秀逸。「漁(すなど)れり」はやや説明ぽいので取合せ(名詞)にしたほうがいいかも。 ぶ:翡翠の一閃をこのように巧みに表現できるとは。)

●窓越しの海の青さや日雷=まさこ
◎清○資、香△紅、ス=9点
(清:海の傍の宿にいる詠者が晴れた日に雷光を垣間見る。景の良く分かる秀句。 資:これは列車の窓からの写生だろう。日本海側か。)

●妖精の気分泉に足濡らし=秀子
◎砂〇ス、雪△子、葱=9点
(葱:足湯とは、えらい違い)^o^()

●京町家奧の厠の青蛙=清一
○ぼ、子、香△智、喋=8点
(ぼ:雅にして、とぼけた味あり。面白い。 香:青蛙がいると、清潔感がでます。 智:友人の家にあった吊り手水を思い出しました。踏み石も苔むしていました。懐かしい風景です。)

●グラナダの夕日を抄ふ泉かな=しゃが
◎ぼ○智、ラ△ま=8点
(ぼ:ロマンあり。スケールを買います。 智:アルハンブラ宮殿のヘネラリフェを思い出しました。 ラ:「グラナダ」という地名が利いています。 ま:日本の景色とは違った情緒があり、感動的なのでしょうね。)

●青嵐左周りに馬駆ける=水音
○ぼ、喋△ぶ、久、雪=7点
(ぼ:さっそうとしていいね。好みです。 ぶ:駆け抜ける馬のエネルギーが映し出されている・左馬は縁起がいい。)

●カーナビの行きつ戻りつ青田道=清一
◎修○久△や、淳=7点
(修:一面の青田が見えて、巧み。 や:想定外の迷路状態。)

●鳴神や青鮫の這ふ二面記事=茶輪子
◎ぶ、玻△裕=7点
(ぶ:俳句というよりダリの絵画みたいだと思う。おそらく高得点w 裕:鳴神と青鮫の取り合わせが面白いです。)

●うら若き巫女が歌詠む青葉の夜=ぼくる
○砂、子、白=6点
(白:5・7・5の名調子。中七が効いていますね。 )

●星の夜を映して泉渾渾と=ぼくる
◎し○メ△喋=6点
(し:とても詩的で美しいです。)

●野仏の顔の苔むす泉かな=雪絵
○や△清、智、し、香=6点
(や:古くより枯れる事の無い清水を野仏が見守っている。清:野原の泉、その傍らには苔むした石仏。泉で顔を洗って上げたくなる。 智:おかっぱ頭の幼な子が一心に拝んでいる姿が浮かびました。 し:こういう情景大好きです。 香:細い涌き水を皆が仏さまにかけるのでしょう。)

●青時雨父より好きな男現る=葱男
◎や△ぼ、茶=5点
(や:女性なら恋人、男なら赤ひげ先生。 ぼ:「なぬ、なぬ」と、身を乗り出したくなる。 茶:娘の父としては微妙なところですが、「嵐を呼ぶ男」に攫われるよりはましかも。幸せになってほしいものです。)

●陽を浴びてはしゃぐ葉裏や青嵐=秋波
◎メ〇裕=5点
(裕:葉裏がはしゃぐのが面白いです。)

●ひんやりと野菜の浮かぶ泉かな=資料官
○や、ス△修=5点
(や:この名水は土地人が独占使用している。 修:トマトやスイカも浮かんでいそう。)

●目ばかりが目立つあかんぼ青葉梟=水音
○砂△ま、雪、白=5点
(ま:あかちゃんとふくろうの目と両方とも可愛いですね。 白: ど んな赤ん坊でも目に特徴がある。青葉梟との取り合わせが佳いですね。)

●紫陽花の青へ助走の七日間=五六二三斎
△メ、裕、ス、葱=4点
(裕:紫陽花は最後に青になるのですか? 葱:早緑から青への変化、種類や土壌にも関係あるのでしょうが、千変万化の青紫が美しい花ですね。)

●雲を生み泉を宿し山は夏=ぼくる
○茶、秋=4点
(茶:上中は常套的な感じもしましたが、下五の「は」が効いていると思いました。)

●冷やさるる牛の機嫌や泉川=砂太
○茶△ぶ、葱=4点
(茶:牛は泉で、読み手は御句で癒されました。飲むという能動が見事に受動に置き換えられていると思いました。 ぶ:古き日本の情景が生き生きとよみがえってると思う。実景ならぜひ見に行きたい。 葱:そんな時代にいちど戻ってみたい。)

●マングローブの根に沸く泉夕あかね=まさこ
○ラ△香、修=4点
(ラ:情景が、目にくっきりと浮かんできます。 香:南国のきれいな川にこんこんと水が涌いてる情景? 修:冷たい泉とはかぎらないのですね。)

●青田まで応援団の声ひびく=ラスカル
△ぼ、水、五=3点
(ぼ:健やかで、平和な景。 水:風に乗って遠くから聞こえる声が青田を揺らしているよう。 五:田舎の小学校の運動会か?)

●写真展への急な階段青紅葉=まさこ
○葱△秀=3点
(葱:モダンな情景とリアリティ。 秀:なぜだかとてもリアル。)

●サウダーデの意味知るファドや青時雨=しゃが
◎智=3点
(智:萌え立つ若葉から落ちる水滴のように、宿命を歌っていてもファドには前向きな力を感じます。)

●しのぶれど枯れることなき泉かな=智雪
○紅△玻=3点

●地に泉空に雲巻き水還る=やんま
◎五=3点
(五:景が大きい!水の循環を認識する!)

●鋼光りの青き残像蜥蜴去る=秀子
○秋△ラ=3点
(ラ:残像が目に焼き付くほど、美しい蜥蜴だったのですね。)

●ナップサックの青き行列雲の峰=雪絵
△ラ、ま、資=3点
(ラ:ナップサックの「青」と雲の峰の「白」の、色の対比が鮮明です。 ま:色彩が鮮やかで、広がりのある爽やかな作品です。 資:青の横の動きと白の縦の動きの組み合わせが絵画的。)

●泉へと青空色のポリタンク=紅椿
△ラ、し=2点
(ラ:単なる「青」ではなく、「青空色」と表現したところが魅力的です。 し:森の中の青空色のポリタンクというちょっと違和感のある取り合わせが面白いです。)

●地下鉄の出口上がれば青嵐=裕
△清、淳=2点
(清:地下鉄から地上に上がると思い掛けなく嵐が吹き荒れていた。)

●秘境ぞと思ふ泉に仏あり=久郎兎
○白=2点
(白: 山奥に湧く泉の岸辺に一体の仏。ずっと昔の人が作ったのだ。)

●迸る阿蘇の泉のご神体=五六二三斎
○裕=2点
(裕:早く阿蘇の活気が復活してほしいものです。)

●本棚に詩もなき高三青葉冷=茶輪子
△久、秋=2点

●若葉風青き頭の駆け抜けぬ=白馬
○十=2点
(十:五分刈の子供か、運動部員のランニングか、青年住職か。まさにいろいろな想像が「駆けぬける」。)

●青山河道なき道を抜けてくる=裕
△清=1点
(清:道らしきものもない一面の緑で覆われた山中を抜ける。)

●青時雨四阿に子の見え隠れ=雪絵
△十=1点
(十:戯れて親から隠れようとしているのだろうか。家族団らんの休日の楽しい一景と読んだ。)

●青空を待つ砂浜に虹現る=しゃが
△淳=1点

●青蔦の伸びゆく先の窓深し=葱男
△メ=1点

●嘉例川コンコンと湧く泉かな=喋九厘
△五=1点
(五:嘉例川とは、霧島山系の川と知る!)

●神宮の泉清しく石揺らす=香久夜
△子=1点

●空青しテッペンカケタカ時鳥=やんま
△ス=1点

●どの家も薔薇を咲かせて空青し=修一
△砂=1点

●光るコイン弁財天の泉透く=資料官
△や=1点
(や:コインは神様であると思う年金生活。)

●噴水やおかつぱあたまの母のかほ=修一
△白=1点
(白: 噴水の頂点の形が、写真で見た母のおかっぱみたいだ。懐かしい母。 )

●南阿蘇泉あふるる里の駅=資料官
△水=1点
(水:泉は今も湧きつづけている。泉は希望ですね。)

●薮内の悲し泉に敵の声=久郎兎
△茶=1点
(茶:「悲し泉」の語感、音感がいいです。軍記物のような古典的世界観を感じました。)

●夕凪や青空見えぬ国に居て=裕
△玻=1点

●をさな子とあそぶ噴水かくれんぼ=修一 △子=1点


B部門入選作〈back number〉

創刊号 2号 3号 4号 5号 6号 7号 8号 9号 10号 11号 12号 13号 14号 15号 16号 17号 18号 19号 20号 21号 22号 23号 24号 25号 26号 27号 28号 29号 30号 31号 32号 33号 34号 35号 36号 37号 38号 39号 40号 41号 42号 43号 44号 45号 46号 47号 48号 49号 50号 51号 52号 53号 54号 55号 56号 57号 58号 59号 60号 61号 62号 63号 64号 65号 66号 67号 68号 69号 70号 71号 72号 73号 74号 75号 76号 77号 78号 79号 80号 81号 82号 83号 84号 85号 86号 87号 88号 89号 90号 91号 92号 93号 94号 95号 96号 97号 98号 99号 100号 101号 102号 103号 104号 105号 106号 107号 108号 109号 110号 111号 112号 113号 114号 115号 116号 117号 118号 119号 120号 121号 122号 123号 124号 125号 126号 127号 128号 129号 130号 131号 132号 133号 134号 135号 136号 137号 138号 139号 140号 141号 142号 143号 144号 145号 146号 147号 148号 149号 150号 151号 152号 153号