*B部門入選作発表*


兼題『季語:三日』『漢字:和』=全79投句(入選54句)

【特選】

一席
●春隣和綴じの本の赤き糸=水音


◎秀、ぶ、ぼ、ま、ス、香○ラ△し、紅、智、子=24点
(秀:「赤い糸」がいいな。 ぶ:目に鮮やかな赤い糸。書かれている本の内容まで伝わってくる。 ぼ:赤き糸は恋にもつながる。いかにも春が近い。 ま:やわらかな和紙と赤い糸がやさしく春を待つ感じがよく表れています。 香:赤い糸の温かさが、この句を作っているんですね。 ラ:「赤き糸」が印象鮮明です。 し:どんな本だったのかしらと想像します。 紅:目に浮かびますね、赤い糸が・・。 智:父の蔵書にありました。和紙の柔らかい生成りと朱色、優しい色合いを懐かしく思い出しました。)


二席
●冬日和宙を吸ひ込む河馬の鼻=清一


◎し、雪、白、メ○ぼ△ぶ、ま、資、喋=18点
(し:思わず納得。季語とも合って面白いです。 雪:「宙を吸ひ込む河馬」納得です。 白: 中七&下五がとても面白いです。 ぼ:人を食った面白さあり。 ぶ:のどかな動物園を描いてユーモラス。 ま: 穏やかな冬の日、河馬を観察している作者を想像しています。 資:鼻の穴も大きいけど句のスケールも大きい。)


三席
●平和の字大きく子らの筆始=清一


◎砂、紅、茶△久、五、雪、子=13点
(紅:平明ですが、元気で、明るい未来を感じます。 茶:そのまま「大きく」育ってほしいです。 五:平和と来て、子供に託したところがいい!)


【入選】

●托鉢の異人和尚や初御空=しゃが
◎喋○子、裕、白△葱、ぶ、ス=12点
(裕:(浅草辺りでありそうな感じです。 白: 中 七が佳いですね。 葱:80年代、オショー・ラジニーシにはまった時代がありました。 ぶ:面白い視点で正月のめでたさを詠んで成功していると思う。)

●妻と老ひ三日静かな時を受く=砂太
◎久○し、葱、茶△淳、資、メ=12点
(久:受動的なところに余韻があります。 し:将来の理想像です。 葱:しみじみとしますねえー、もう、金婚の次は60年のダイヤモンド婚ですね。 茶:「時を受く」水入らずで睦まじく、焦らずささやかな夫婦像が見えました。 資:リタイアすると三日の緊張感もなくなる。妙に納得感。)

●竈猫三和土に降りて髭ぴんと=白馬
◎資○清、茶△ス、喋、裕=10点
(資:楽しい季語の句,初耳の三和土と組み合わせて新鮮。 清:三和土に餌でもおいてあるのかちょっと力んで在り付く所が良い。 茶:「炬燵で丸くなっているばかりではないんだにゃ。」って言ってそうです。 裕:獲物を探す準備でしょうか。)

●空淡き大和まほろば冬雲雀=やんま
◎子○紅、智、メ=9点
(紅:穏やかなゆったりとした景に惹かれました。 智:まるで絵葉書のような光景が目に浮かびます。)

●鳶笛の時計回りや寒日和=紅椿
○清、ま、入、白△水=9点
(清:鳶も冬の晴れ間には調子よくぴーひょろろと鳴く。時計回りの習性があるかどうかは分からない。 ま:聴覚と視覚と触覚、と鮮やかな景が浮かびます。 白:冬の青空が大きく見える句ですね。 水:いつも時計回りなんでしょうか。今まで気にしたことなかった。)

●抽斗にジョーカー戻る三日かな=紅椿
◎十、清○ス△メ=9点
(十:遊び疲れて仕舞う「トランプ」。「ジョーカー」で象徴した点が巧み。 清:正月をのんびり過ごしていた詠者がいよいよ明日から出勤。それを抽斗のジョーカーに喩えた所が佳句である。)

●冬凪や昭和の人と括られて=秀子
◎葱○十、久、水=9点
(葱:嬉しいような、悲しいような。 十:確かに昭和生まれには30代から90代までいる。若い人には心外なのでしょう。 水:括られることに諦観が見えます。)

●風花や和菓子屋覗く舞妓さん=ぼくる
○ラ、五、修△淳、資=8点
(ラ:美しい舞妓さんの横顔が見えます。 五:ありそうな風景だ! 修:きれいな光景、風まで感じられます。 資:想像するだけでも綺麗な風景。)

●文庫本手に馴染みゐる三日かな=雪絵
○し、香、入△秀、茶=8点
(し:私も実感のある句です。 香:やっとのって来たのにもう三日、明日は仕事が、、、。秀: 持ち歩くうちに手に馴染み・・・。 茶:旅先でしょうか。自分の場合は本より酒杯が馴染むところですが。<笑>)

●雪合戦に交じつてゐたる和尚かな=ラスカル
○ぼ、久、雪△葱、香=8点
(ぼ:ここにも一人良寛さん。 雪:なかなか見られない光景ですね〜。 葱:村に馴染みのお寺あり。 香:和尚さんが出てきてビックリです。)

●尾道や三日の露地に迷い入る=香久夜
○ぶ△秀、喋、水、入、裕=7点
(ぶ:大林宣彦監督の尾道三部作を見ているような氣分になった。 秀:「尾道や」という形がそれでよかったのか、やや疑問。 水:三日の路地をちょっと考えてしまいました。 裕:観光地の三日って静かなのでしょうか?)

●遠富士も少し見飽きし三日かな=資料官
◎修○砂△秀、ぼ=7点
(修:ゆったりした大きな景です。 秀: the俳句! ぼ:このシニカルな味は捨てがたい。)

●ブラックの珈琲にする三日かな=裕
○資、雪、修△ま=7点
(雪:気を引き締めて明日から仕事!ですか。修:何もかも美味しいものは食べ厭きたんですね。 ま:同感です。三日ですね。)

●待春の指輪のやうな和菓子かな=ラスカル
◎入○智△雪=6点
(智:老舗の菓匠に並ぶ和菓子はまるで宝石のような美しさです。 雪:一体どんな形でしょうか?)

●夫婦まだ相和してゐる三日かな=ぼくる
○秀、水△淳、白=6点
(秀:俳諧味。 水:「まだ」がとても実感できます。 白: 明日からは、またどうなることやら。)

●味噌和へにしてみたき草春近し=秀子
○ラ、ス△葱、清=6点
(ラ:どんな草なのか、想像が広がります。 葱:本当に食べられるものなのかは知らない。 清:春の七草には早いが、少し芽生えた草を味噌和えにとの女性ならではの句。)

●三日はや性善説を捨てさりぬ=やんま
○秀△葱、砂、ま、メ=6点
(秀:かなしいですよね。 葱:皮肉が効いていますね。 ま:人が集まると、何か起こりますね。) 

●酒蔵の暗き三和土や隙間風=雪絵
◎裕△清、修=5点
(裕:酒蔵の土間は暗いですよね。 清:ちょっと即過ぎの感もあるが酒蔵の様子をよく表している。 修:むかしの酒蔵がリアルです。)

●大寒に沿ふや和箪笥軋む音=秋波
◎淳○ぶ=5点
(淳:寒い日に箪笥の軋む音が響いています。 ぶ:時間を止めているような旧家の空気の重さまで感じる。)

●繋がらぬ襷に涙する三日=五六二三斎
○香△し、葱、入=5点
(香:途中棄権?悔しい思いが伝わります。 し:毎年のドラマですね。 葱:箱根かあー。)

●まだ三日帰京の吾子のもう三日=智雪
◎五○ま=5点
(五:東京から、子供さんはどこかに転勤なのだろうか?面白い句である。 ま:まだともう、切ない母心ですね。)

●ミシン踏む昭和の母のちゃんちゃこ=やんま
○喋△砂、五、香=5点
(五:ノスタルジーに一票! 香:お母さんの思い出はちゃんちゃんこなんですね。)

●三日はや永久の形に眠る猫=秀子
◎智△十、葱=5点
(智:飼い猫の、何時もの場所で同じ形に足を折、気持ち良さそうに寝ている姿が思い浮かびます。 十:言われてみれば、猫の眠る様子には一生動かないような長閑さが。 葱:猫もさすがに元旦、二日は興奮していたのでしょう。)

●リビングに和を設ひて初硯=智雪
○五△十、ぶ、紅=5点
(五:洋風を和風に変えての初硯!上手い! 十:「和を設ひて」が眼目。景が浮かびます。※「設ひて」「設へて」どちらが正しいのかな? ぶ:現在のお正月に伝統を楽しむ人の心がうれしい。  紅:雰囲気があります。)

●ルパンはや徘徊しだす三日かな=水音
○紅、裕=4点
(紅:ルパン、大好きです!元旦からでも徘徊しそうですが・・。 裕:ルパンとは、悪がきのことでしょうか?)

●五本目のレンタルビデオ三日かな=茶輪子
◎ラ△雪=4点
(ラ:「五本目の」が、妙にリアルです。 雪:やはり退屈な3日間でもあります、お正月は。)

●藹藹と和やかなるは初日の出=喋九厘
○資△茶=3点
(資:めでたい気持ちにさせてくれる。 茶:「藹藹と」によりアイウエオ順1番をゲット!おめでたい。)

●ウイスキービール甘酒はや三日=水音
△砂、ラ、修=3点
(ラ:季語3つですが、敢えて狙ってのことでしょう<笑> 修:酒三昧とはうらやましい。口調もいい。)

●寒の明ワインの深紅和紙に透く=まさこ
◎水=3点
(水:和紙はボトルのラベルでしょうか。ほんのりとした紅が寒明けとマッチしている。)

●傘寿なる三日酒中にて終へる=砂太
△葱、ラ、水=3点
(葱:作者がもろ分かりですね。^_^  ラ:・傘寿、おめでとうございます! 水:肝臓を労りましょう。)

●眠る山昭和の夢を見てをらむ=ラスカル
○喋△久=3点

●はや三日朝湯朝酒いい女将=ぼくる
○葱△白=3点
(葱: 葱:最後が一番いい! 白:女将→女房かと思いましたが。)

●上がり手は平和(ピンフ)ドライチ四方の春=葱男
△十、ぼ=2点
(十:俳諧味。高めが出れば三色がついたのかも。この程度の上がりなら4人とも平和裡。 ぼ:平和三色なら◎です<笑>。)

●くっついて離れぬ血筋三日かな=ぶせふ
○十=2点
(十:お孫さんでしょうか。「血筋」という大仰な措辞がいい。)



●施設より一時帰宅の三日かな=修一
△清、ぼ=2点
(清:普段施設入っている親が、正月の三日間だけ家に帰って来た様子、私も経験済み。 ぼ:身につまされます。)

●霜の夜や和式便所のLED=資料官
○淳=2点

●初恋の甘味儚き和三盆=智雪
△裕、白=2点
(裕:西洋ものと違う和三盆の甘さ。 白: この味-----。)

●初孫に小梅の匂ひ和三盆=葱男
△智、香=2点
(智:産まれたばかりの赤ちゃんの甘酸っぱい匂いを思い出しました。 香:お孫さん、おめでとうございます。小梅で赤ちゃんの可愛さが表れています。和三盆も爽やかそうですね。)

●舞ひ降りしつがひの凍鶴平和なり=メゴチ
○淳=2点

●松過ぎの和服着て行くクラス会=資料官
○砂=2点

●もう一度札並べたし三日の夜=香久夜
△紅、茶=2点
(紅:お孫さんが帰ってしまったのでしょうね。楽しかった分、寂しいですよね。 茶:骨牌か花札でしょう。まさか札束!(笑)負けっぱなしの口惜しさかはたまた単純に遊び足りないのか。いずれにせよ共感を呼びました。)

●和の一字総てを包む雪の国=久郎兎
○メ=2点

●鳶の声和む公園春近し=五六二三斎
○子=2点

●駅伝に飽きて居眠る三日かな=裕
△五=1点
(五:駅伝は長い!でも、面白い!)

●母好みに大納言炊く三日かな=しゃが
△智=1点
(智:今迄母が炊いてくれていた小豆、いつの間にか私が上手に炊けるようになりました。)

●晴れの日も三日ぼうずで雪が降る=淳一
△し=1点
(し:三日ぼうずは天気もだったのですね。)

●福寿草のレジ横にある和菓子店=雪絵
△入=1点

●三日経てばみんな忘れて寒の木瓜=白馬
△ス=1点

●楪の末広がりぬ三日かな=五六二三斎
△修=1点
(修:目出たさがよく伝わってきます。)

●和菓子屋のま白き暖簾冴え冴えと=まさこ
△子=1点

●和ダンスの傷を数へて春隣り=メゴチ
△久=1点


B部門入選作〈back number〉

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