*B部門入選作発表*


兼題『季語:土筆』『漢字:出』=全77投句(入選58句)

【特選】

一席
●山笑ふ出土の壺に耳二つ=ラスカル


◎葱○十、秀、雪、水、香△ぶ、清、ま、紅、砂=18点
(葱:壺に顔が描いてあって笑っているようですね。おおらかで時空も超える気持ち良さがあります。 十:把手を耳と言いとめた俳諧味。 秀: 両方に取っ手のある壺を「耳二つ」と表現され、季語にぴったり。 雪:縄文か弥生か?耳という表現が面白いです。 水:壺の耳が笑うのを聞いているみたい。 香:ぴったりの季語。 ぶ:季語の工夫がもう少しあればとおもった。 清:持ち手が二つある土器であるから縄文のものであろうか、山もすっかり春の装いである。 ま:どんな壺でしょう、いつ頃のと想像がひろがります。 紅:発掘で見つかった壺。きれいな形で発見されて良かったですね。古代へのロマンです。)


二席
●プーさんはいつもの出窓ひな祭り=葱男


◎紅、砂、修○ラ、茶△水=14点
(紅:ずっと昔から一緒にいるプーさん。彼もこの家の歴史を見続けているのでしょう。幸せな光景です。 ラ:可愛いです♪ つい採らされてしまう<笑>。 修:めづらしい句。遊び方も違う人形、ふたつを並べるだけでもおもしろいです。 茶:お雛様と違いいつも出ずっぱりのプーさんも、この日だけは主役の座を譲っているのですね。着眼がユニークです。 水:プーさんもひな祭りに参加したいでしょうね。)


三席
●爺いつも後出しのぐう山笑ふ=やんま


◎水○ま、茶△十、秀、し、砂、香、ス=13点
(水:パーしか出さないお孫さん。爺のやさしさに◎ ま:おもわず微笑んでしまいました。 茶:最初はグー!なのにテンポが遅れていつもやり直し。山も笑うわけですね。(^J^) 十:自虐の句で微笑ましい景が浮かぶ。「山笑ふ」の本意は華やかさであって諧謔ではないので一考の余地あり。 秀: 孫に負けてあげてるのか、勝ちたいのか。 し:「後出しのぐう」がかわいい。)


三席
●瞑想の出湯の猿や春の雪=紅椿


◎ぶ、裕、ぼ〇ま△資、修=13点
(ぶ:ユーモアもあり、絵心もあり、あったかい! 裕:羨ましい限りです。私もあやかりたい。 ぼ:いい絵ですね〜。とぼけた味もあり。 ま:テレビでよく見かけますが、瞑想と言い切ったところが良いですね。 資:温泉に入る猿は瞑想にふけっているとは面白い発見。「出で湯」か「いで湯」の方が良いと思う。 修:瞑想という断言がたのしい。)


【入選】

●淡雪やペコちやん永久に舌出して=ラスカル
◎雪、ス○水△葱、秀、紅=11点
(雪:思わずペコちゃんを検索しました。見ているようで見ていなかったペコちゃんの舌(笑)  儚い淡雪と対照的。 水:ペコちゃんの舌に目をつけるなんて◎ だけど、淡雪がしっくりこなかったので○。 葱:作者の顔が浮かんでくる作品です。分かっちゃいるけどやめられない、という選句ですね。 秀:心惹かれるんですが、どうしても、鳥居真理子の「福助のお辞儀は永遠に雪がふる」を思います。 紅:ペコちゃんはよく詠まれていますが、採らされてしまいます。)

●やはらかく我を締め出す春の闇=秀子
◎十、清○智△葱、裕、雪=11点
(十:観念のようでいて、〈やはらかく〉で実感のともなう句に。 清:春の宵は何となく落ち着かなくて外に出て仕舞う、心の闇に誘われているのかも知れない。 智:暖かい春の夜、冬籠りを解かれて楽しい気分になります。柔らかく締め出すという表現が面白い。 葱:なんとなく「手練れた」感じもありますが、「締め出す」がいいんですよね、どういいんだか、よく分かりませんが、、。 裕:無我になることが減った現代、こんな体験したいです。 雪:「やはらかく」で春をイメージ!うまい表現ですね。)

●出汁巻の卵ふつくら草青む=スライトリ・マッド
○や、修△十、ぶ、ま、ラ、水、資=10点
(や:春ですよ、お弁当持って外に出ましょう。 修:おいしそうです。 十:楽しいピクニックの雰囲気が出ている。 ぶ:とってもおいしそう〜。 ま:玉子の黄色と、緑、色彩が美しく、美味しそうです。 ラ:黄色と緑色の対比が美しく、とても美味しそう♪ 水:黄色と早緑がとても春らしい。 資:ふつくらと青むが春の雰囲気を醸し出している。)

●愛犬の名を教へ合ふ土筆かな=紅椿
○葱、ラ△秀、し、茶、久=8点
(葱:早朝の犬の散歩、間に犬が入るとすぐ仲良くなれるんだと思いますねえー、趣味嗜好が一緒だろうし。ディズニーの「わんわん物語」のパターンですね^ ^。 秀:とても素直でいいですよね。 ラ:ほのぼのとした気持ちになりました。 し:犬の散歩の風景に土筆が合います。 茶:土手の風景を説明にならず捉え表現されていると思います。)

●青空を大地に吸い込む土筆かな=メゴチ
◎し、香△智、ス=8点
(し:土筆からこのようにイメージができるのがすごいです。 香:こういう表現ができるんですね。青空を吸い込むって、大きいですね。 智:青空を大地に吸い込む、力強い春の芽吹きを感じます。)

●土筆野の一本づつの孤独かな=清一
◎ま○紅△葱、久、智=8点
(ま:顔を下げて土筆を見ると、そんな感じに一本づつ独立して立っていますね。紅:この感性は素晴らしいです! 葱:ちとカッコよすぎるけど、ここは言い切りましょう。 智:群生する土筆の一本に視点を落とし孤独を捉えている。人も同じですね。)

●つくしんぼそっとおひさまかかえこむ=香久夜
◎資△裕、し、ぼ、久、メ=8点
(資:小さな土筆だけどスケールが大きな句。 裕:春の暖かさ、柔らかさを感じます。 し:かわいい絵本のようです。 ぼ:やさしさあふる。)

●連れ合いがまた前に出る土筆摘み=修一
◎や○し、久=7点
(や:興味ある程若いと言うが行動力またしかり。 し:「また前に出る」というのが好きです!)

●風天の歩みを止めし筆の花=葱男
◎智〇資△雪、子=7点
(智:歩きながら土筆をみつけ、立ち止まって見入ってしまう。きっと笑みが溢れているにちがいない。 資:まさに寅さんですね。「土筆これからどうするひとりぽつん」という渥美清の句があります。 雪:寅さんはいつも土手で寝そべっているイメージでしたね。)

●見送りは島を総出や卒業子=紅椿
○雪、ぼ△秀、や、ス=7点
(雪:離島の風景でしょうか、画像で見た覚えがあります。頑張れ!という気持ちになりました。 ぼ:情景が目に浮かぶ。 秀:昭和の景色だと思いました。 や:人生は放浪である「ぼくる」さん的世界。)

●わり算の出来ぬ関係雛の夜=裕
◎五○砂、ス=7点
(五:艶めかしい雛の夜である。)

●スキップのうまくできないつくしんぼ=まさこ
○メ、五△水、砂=6点
(五:スキップというと懐かしい幼稚園の頃を思い出す。 水:微笑ましい光景。川の土手かな。)

●土筆出て吾子は近江の人となる=水音
◎茶○ぶ△淳=6点
(茶:お嬢さんのお嫁入でしょうか。じわり淡々とした春愁をうかがいました。 ぶ:切ない親心に感動した。近江がいいと思う。)

●つくしんぼ摘んで故郷遠くせり=秀子
◎久○淳△智=6点
(久:土筆が時空を繋いでくれているようでいいですね。 智:遠い昔、弟と土筆を摘んだ、場所も時間も遥かになりました。)

●遠き日にさそはれて摘むつくしかな=弧七
○紅、修△清、メ=6点
(紅:子供の頃はよく摘んでいた土筆。その頃を思い出しながら摘んでいる作者が見えるようです。 修:わたしも近所で摘んでみました。 清:幼き頃友に誘われてつくし摘みに行った記憶が甦る。)

●いつせいに尿(ばり)する子らや土筆出づ=ぼくる
◎秀○砂=5点
(秀:こんな句を読むと元気が出てきます。)

●お握りの丸と三角土筆ん坊=やんま
○資、五△香=5点
(資:遠足の弁当風景,○と△土筆ん坊のリズム感が良い。 五:明るいピクニックである。)

●絵手紙の土筆がすくと背伸びする=メゴチ
◎淳△子=4点
(淳:絵手紙の土筆が背伸びするっておもしろいですね。)

●思ひ出をコピー機にかけ春うらら=秀子
○し△淳、メ=4点
(し:ハッピーな気持ちになりますね。)

●筆の花いっき呵成のエネルギー=ぶせふ
◎メ△修=4点
(修:頭を低くしてみると有るはあるは、いっきに出てくるみたい。)

●ベーグルのチーズはみ出す余寒かな=雪絵
○十、裕=4点
(十:俳句の骨法を心得た手練れの句。 裕:日本より、ニューヨーク辺りが似合いそうです。)

●星空を早く見たくて蛇出づる=清一
○香△ラ、ぼ=4点
(香:ユーモアがあってたのしいです。 ラ:青空ではなく、星空なのですね! ぼ:こう詠まれると、蛇も可愛くなる。)

●湧き出づる手水は春の音なして=雪絵
○智、修=4点
(智:水が温んだ春の手水は柔らかい音がする気がしますね。)

●出立に結いし黒髪匂う梅=智雪
○子△葱=3点
(葱:あとで拾い直した句。「結ひし黒髪匂ふ梅」ですか。)

●春愁の詩的部分を抽出す=ラスカル
○ス△清=3点
(清:ふと春の愁いが過ぎる時詩が生まれるのだろう。)

●すずさんがやって来さうな土筆かな=ぼくる
○葱△ぶ=3点
(葱:これは採らねばバチがあたる!北條すずさんですよね。野草を摘んで楽しそうに料理してましたよね、う〜、いまでも愛おしくて泣ける〜〜。 ぶ:漫画のようで面白いw)

●土筆生ふトロッコ列車のとおりみち=資料官
◎ラ=3点
(ラ:メルヘンの国へ続いているような。)

●つくしんぼ見つけられずに夕鴉=しゃが
○久△雪=3点
(雪:同じ経験をしましたが句になりませんでした。下五の夕鴉が効いてますね。)

●つくづくし追ひつ追はれつつんのめる=修一
○清△資=3点
(清:子らがつくし摘みに戯れている景が浮かぶ。 資:鬼ごっこの風景かな。土筆を踏みつけなかった。)

●坪庭や陶の河童と土筆んぼ=砂太
◎子=3点

●嵐呼ぶ屋根の出入りや恋の猫=葱男
○清=2点
(清:恋猫等の甲高い鳴き声がまるで嵐のようだ。)

●朧夜や砥石をさがす出刃包丁=水音
○や=2点
(や:さてさて何を始めるのか、朧夜の出刃包丁。)

●思い出を抱きたる母や大野焼=裕
○ぶ=2点
(ぶ:ドラマを感じた。もしかしたら、認知症を患っておられる母上かとも…)

●昆布出汁にほろほろ揺れる白き肌=香久夜
○裕=2点
(裕:白き肌は何か気になります。)

●春泥や心閉ざして目出し帽=やんま
○裕=2点
(裕:春なのに…と言う感じですね。)

●地虫出づルーマニアより友来たる=しゃが
△や、ぼ=2点
(や: 思わぬところより珍客あり。 ぼ:面白い取り合わせ、かつ、ダイナミック。)

●土筆採り袴取り賃先払ひ=久郎兎
△茶、五=2点
(茶:それでも、取って欲しい。いや、ホントは取らせてあげるのよ。お孫さん?にお駄賃を払ってでも、経験させてあげたい事柄ですね。 五:袴取り賃とは愉快!)

??どんどんと問題解けるつくしんぼ=五六二三斎
○秀=2点
(秀: 愉快で気持ちのいい句。)

●夕やみの色の次第につくづくし=弧七
  ○ぼ=2点
(ぼ:溶け合う自然。)

●離任の日土筆の浴びし夕陽かな=茶輪子
○淳=2点

●あぜ道の土ほつこりやつくしんぼ=雪絵
△修=1点
(修:のどかな田舎が想い浮かびます。)

●裏山は宝の山よ土筆摘む=スライトリ・マッド
△香=1点

●塊を掘り出すやうに畑起こす=ぶせふ
△五=1点
(五:畑起こしは苦労も多いことだろう。)

●木津川を通勤電車つくし摘む=修一
△ぶ=1点
(ぶ:寅さんが出てきそうだと思った。)

●静けさや外出た途端息白し=淳一
△子=1点

●出航やミモザの花のゆさゆさと=まさこ
△ラ=1点
(ラ:ミモザの花が、祝福してくれているようです。)

●春愁に出店覗きて息一つ=智雪
△や=1点
(や: 眼前の下界と愁いに漂う内面と。)

●土筆摘む外人一家都府楼址=砂太
△茶=1点
(茶: 観光客でしょうか?お決まりの名勝ではなく、こんな風情を一家で味わって日本の風情を楽しんでもらえたらいいなと思いました。)

●土筆野ややがて消えゆく筑紫郡=資料官
△紅=1点
(紅:合併で、市になるのでしょうか?そして土筆野もやがて・・。)

●つくしんぼ丘の校舎は二階建て=資料官
△ま=1点
(ま:下から見上げると、木造の古い校舎があるのですね。懐かしい景です。)

●出かけるとお膳にメモや風光る=裕
△淳=1点

●手づくりの小鉢つくしの卵とじ=茶輪子
△十=1点
(十:〈つくしの卵とじ〉は食べたことがないけれど、おいしそう。)

●日の出荘お散歩道のふきのとう=喋九厘
△子=1点

●留学の出船霞みし脊振山=久郎兎
△五=1点
(五:脊振山が出てくると弱い。)


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