*B部門入選作発表*


兼題『季語:春落葉』『漢字:惜』=全83投句(入選60句)

【特選】

一席
●内股で歩く鴉や春落葉=しゃが


◎久、や、ま、入、裕〇ぶ、紅△葱、ぼ、喋=22点
(や:きっと女性の鴉だね。 ま:あの強そうな鴉が内股!なんともおかしみのある味わいが佳いですね。 裕:よく見てますね…。 ぶ:こんな鴉を見てみたい。季語との掛け合いが面白い。 紅:楽しい発見ですね。見てみたいです。 葱:いつもは悪役のカラスが「内股」だというのが愉快! ぼ:なるほど、これも発見だ。)


二席
●土を踏む音のやはらか春落葉=秀子


◎清、メ〇十、し、資、修、喋、智=18点
(清:土に還る落葉を踏むやわらかな大地、生命の営みを詠んだ秀句。 十:音もやはらか、気分もやはらか。 し:春はいろいろな芽が大地からでて、土もやわらかくなっている気がします。 修:納得です。 智:新芽が覆った土の上、春の落ち葉はカサコソ音立てず柔らかいのです。)


三席
●惜春やいつもの奥のカウンター=五六二三斎


◎ラ○葱、砂、玻、ま、裕△子、雪、ぼ=16点
(ラ:いつもの席が、一番落ち着きますね。 葱::一人でカウンターでウヰスキーを傾ける、来し方の懐かしい思い出を反芻するようにグラスを傾ける。話相手のバーテンさんがいい仕事をするのでしょうね。大人! ま:どんな物語があるのでしょう、想像が膨らみます。 裕:指定席なんですね。 雪:一人でしみじみ、ですか? ぼ:やや、ナルシズムあるも、男の憂愁悪くない。)


【入選】

●わが余命惜しや楽しや春落葉=ぼくる
◎秀、修、弧○入△や、砂、ぶ=14点
(秀:中七がなんとまあチャーミング! 修:すばらしい開き直り!ストレートな物言い。 弧:季語に込められた万感が胸に迫りました。 や: 一回切りの命を如何に尽くすや。 ぶ:こういう年の重ね方がしたいと思う。)

●うらおもてうらうらおもて春落葉=雪絵
◎資○紅、弧△十、玻、香=10点
(資:リズム感があり,秋の落葉にはない明るさを感じる。 紅:春落葉ならではの措辞で、お見事です。 十:平仮名を重ねて葉の柔らかい散り際を描いている。★うらを見せ おもてを見せて 散るもみじ(良寛) が思い浮かぶ。 香:言葉遊びかと思った。)

●グランドの春落葉まで大フライ=資料官
◎雪○入、ぼ△葱、久=9点
(雪:大きくて気持ちのいい句ですね。大フライが効いてます。 ぼ:大らかで楽しい句。 葱:「春落葉」が外野だということはちゃんと整備されていないグラウンドでの草野球の光景を思いました。観戦してる方も気楽にのどかに春の柔らかな日差しを愉しんでいる様子が見えます。)

●春落葉受けちんまりと道祖神=ぼくる
◎葱、香△し、雪、弧=9点
(葱:ちんまりと、で良かった^ ^、あまり大きいと引きますよね。 し:里山の長閑な景色ですね。ちんまりがかわいい。 雪:田舎の田畑の光景が浮かびます。)

●惜春の最中に詰める餡子かな=ラスカル
◎ぶ○や、十△喋=8点
(ぶ:文句なく面白い。唾がわくし、氣持ちがビンビン伝わってくる。 や:無性に餡子 ものが欲しくなる時がある。 十:取り合わせの句だが、微妙に響きあっている。)

●惜別の駅舎に見たり初燕=やんま
◎淳○智△ぶ、し、紅=8点
(淳:別れた人を惜しんでいる時にふと目にした光景が上手く描写されていますね。 智:進学か、就職か、燕も前途を祝福しているようです。 ぶ:人生のドラマ、倉本聡のワンシーンみたい。 し:別れがあれば出会いがありますね。初燕が前向きな気持ちにさせます。 紅:寂しさの中に希望を感じます。)

●春惜しむカップの縁に紅移し=秀子
◎智○砂△葱、や、玻=8点
(智:春愁の午後にコーヒーを飲みながら頬づえをつく女。カシニョールの描く女のよう。葱:色っぽさもあり、オシャレな句。 や:紅茶かなあ珈琲かなあ。)

●新緑や惜しみなく声使ひきり=秀子
◎十、喋〇茶=7点
(十:鳥の囀りともスポーツ大会の歓声ともとれる。いずれにしても「使ひきり」の措辞が秀逸。 茶:「惜しみなく」と「使ひきり」が重なり過ぎのような気もしましたが、それぐらい声高らかに♪ 葱:大好きな土肥あき子さんの「ダンスして朧月夜を使ひきる」を思い出しました。)

●空き箱にほのとチョコの香春惜しむ=ラスカル
◎砂△紅、茶、修=6点
(紅:バレンタインデーにもらったチョコでしょうか? 茶:食いしん坊さん万歳*\(^o^)/* 修:からっとした感じ。)

●大島を仕立て直すや春落葉=裕
○子、ぶ△五、弧=6点
(五:大島紬は夏の着物か?上手い対比である。 ぶ:正統であり、誠実であり、着実な姿勢に感動する。)

●惜春やあふるる水に貝洗ふ=まさこ
○し、雪△葱、淳=6点
(し:何気ない情景を素敵な句にしていると思います。季語が効いていると思います。 雪:日々の暮らしの中に見る惜春ですね。「あふるる水」がいい。 葱:水を扱うのが嬉しい春です。夏場になると貝類はちと怖いので旬の春に存分にアサリやハマグリを食べておきたいものです。)

●摘草の母子に日ざし惜しみなき=ぼくる
◎茶○ま△智=6点
(茶:少なくなりつつある風潮の中、尊くも慈しむべき光景。 ま:優しい時間が流れていました、なつかしい。智:ふんわりと柔らかく暖かい句です。)

●砥の粉色の鳩の落雁春惜しむ=ラスカル
○雪△秀、砂、ま、資=6点
(雪:「砥の粉色」初めて知りました!「鳩の落雁」惜春にぴったりです。 秀:「砥の粉色」でいただきました。字面的に鳩と雁が出てくるのが、ちょっとうるさいかな。 ま:鳩の落雁はよく見かけますが、砥の粉色が新鮮です。 資:鎌倉の豊島屋で売っている落雁でしょうか。)

●花惜しむ手締めのあとの寮歌かな=葱男
◎五、ぼ=6点
(五:寮歌を歌う大学もある。旧制高校の1年放校経験者も最年少で86才となる。 ぼ:いいね! 全くの個人的好みで頂きます。)

●放課後の長き補習や春落葉=清一
○葱△や、十、砂、ぶ=6点
(葱:あの子はいないしなあ〜、なんて余計な事を考えながら。ほぼ時間の無駄^ ^) や: 春は憂いの季節でもある。 十:「春落葉」から試験の失敗(赤点)を想像する。 ぶ:ため息が聞こえてくるようだ。教師も生徒も自然も。)

●見てみられ触れてふれられ春惜しむ=ぶせふ
○メ、五、玻=6点
(五:面白い対比の句なので頂いた。恋の句とも取れる。)

●雨止みて音符なき歌春落葉=入鈴
◎し△メ、弧=5点
(し:美しいですね。どんな歌か想像させます。 弧:「音符」は「楽譜」だとより良いように感じました。)

●惜春のらせん階段かけ登る=まさこ
◎玻〇智=5点
(智:季節の移り変わりはいつも駆け足でやって来るのですね。)

●春落葉ひとひら窓に張り付きて=白馬
◎淳○子=5点

●柔き苔の上にも春落葉降る=智雪
○久、修△入=5点
(修:「降る」はなくてもいいのでは?やさしい感じです。)
●穴ぼこの丸と三角春落葉=やんま
△メ、ラ、ま、資=4点
(ラ:丸はよくありますが、三角は珍しいですね。 ま:秋とは違う春らしさの感じられる落ち葉の景ですね。 資:A音のリズム感が良く,明るい句。)

●惜しみなくただ惜しみなく花吹雪=紅椿
◎子△淳=4点

●亀鳴いて過ぎたる日々を惜しみけり=紅椿
○秀、ぼ△喋=4点
(秀: 亀が鳴いてくれるのを、どれほど待たれましたか? ぼ:全ては夢か幻か。)

●惜春の砂浜に足取られゐて=雪絵
△秀、五、入、淳=4点
(秀: このささやかなことが、惜春ににあっている。 五:砂浜を一人散歩している。春愁から抜け出せるか?)

●春惜しむ風の囁き陽の匂ひ=智雪
○資△子、メ=4点
(資:耳と鼻で春を惜しんでいる。)

●春落葉一枚毎の物思ひ=智雪
○秀、ラ=4点
(秀: 春落葉の静けさがでていると思いました。 ラ:「一枚毎の」というレトリックが巧みです。)

●春落葉おほふ職員駐車場=修一
○久、弧=4点
(弧:人が少なく手入れの届かない様子が目に浮かびます。)

●古里に猫バスありて春惜しむ=メゴチ
○清、喋=4点
(清:宮崎の懐かしいトトロの風景で猫バスのなかで春を惜しんでいる。)

●ぼんやりと連休の窓春惜しむ=五六二三
△ラ、ま、し、紅=4点
(ラ:ぼんやりと過ごす時間も、たまにはいいですね。 ま:こういう連休の過ごし方もありますね、わたしも。 し:大渋滞のニュースとは打って変わってのんびりでいいですね。 紅:私もぼんやりと連休を過ごしている一人です。)

●青き目の大道芸や春惜しむ=やんま
○清△裕=3点
(清:青い目の大道芸人と来ると数学者のピーターフランクルを思い出す。彼も日本へ来て長いが日本の春を惜しんだことだろう。 裕:最近横浜でも多いです。)

●あざやかな世代交代樟落葉=資料官
○五△入=3点
(五:楠落葉の世代交代は確かに鮮やか!ストレートフラッシュ!)

●花屑の混じりてゐたる春落葉=修一
◎紅=3点
(紅:季重なりを恐れずに、見事に詠まれていて、目に浮かびます。)

●春落葉不時着までの時間あり=白馬
○メ△裕=3点

●春落葉箒は子等の刀なり=秋波
△久、ラ、修=3点
(ラ:「春落葉」と「箒」はやや即き過ぎですが、郷愁が感じられます。 修:無邪気な幼子を想像しました。 裕:春は地味な不時着ですよね。)

●風の来て春惜しむもの幾萬ぞ=砂太
○香=2点

●庫裏からの湯気のたつぷり春落葉=紅椿
△五、雪=2点
(五:寺院の庫裡から夕餉の支度の湯気。楠落ち葉が舞う。 雪:たっぷりの湯気から、忙しそうな様子が見えますね。)

●惜別の桜吹雪や命継ぐ=喋九厘
△清、香=2点
(清:桜吹雪の季節の中で新たなる命の繋がりがなされる景が浮かぶ。)

●空色の飛び出す絵本や春惜しむ=秋波
○や=2点
(や:だから立ち読みが止められない。)

●パスポート切れ列島の春惜む=清一
○茶=2点
(茶:惜春の情と期限切れの残念との取り合せにいただきました。)

●春落葉来世を遠き事として=砂太
△玻、香=2点

●ハンバーガー頬ばって春惜しみけり=裕
○ラ=2点
(ラ:「ケンタッキーのおぢさんと春惜しみけり 辻桃子」のオマージュでしょうか。)

●耳澄ませば鼓笛の音や春惜しむ=雪絵
△清、修=2点
(清:夏祭りの練習の光景だろうか、その鼓笛の音で余計に惜春の情が湧いて来る。 修:もう夏の足音が聞こえている?)

●串揚げのまだ十二本春惜しむ=茶輪子
△十=1点
(十:「串揚げの十四五本や春惜しむ」としたら、子規の句を思わせ、さらに俳諧味が増したかも(笑)

●惜命の尼ぞせつなき花の冷=葱男
△裕=1点
(裕:なんとなく春なのに…と言う感じがします。)

●シャコンヌはニヘ変ロ澄み春落葉=弧七
△ぼ=1点
(ぼ:春落葉がいかにも相応しい感じ。)

●借景はスカイツリーや春落葉=しゃが
△清=1点
(清:現代日本のバベルの塔スカイツリーその回りに春落葉が降りしきる。)

●惜別を薫風宥む峠駅=久郎兎
△智=1点
(智:別れは悲しいんだけど、それだけでは無いんですね。)

●遠き地の惜しまれし人春に逝く=淳一
△子=1点

●鳩一羽舞い降りて来て春惜しむ=ぶせふ
△淳=1点

●春惜しみけり十五回目の忌の花篭=まさこ
△茶=1点
(茶:何度季節が巡っても帰らぬ人への追悼の気持ちは変わりなく。)

●春落葉資源ごみの日忘れけり=茶輪子
△久=1点

●春落葉利休最期の茶を立てし=清一
△秀=1点
(秀:歴史的なことは、知りませんが、物語としても季語がよくついていると思います。)

●風雨来(らい)籠りて春を惜しみけり=砂太
△茶=1点
(茶:上五の措辞にいただきました。)

●まなざしに触れてよろこぶ春落葉=ぶせふ
△資=1点


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