*B部門入選作発表*


兼題『季語:蛇』『漢字:楽』=全76投句(入選52句)

【特選】

一席
●羅の前のめりなる神楽坂=十志夫


◎ま、ぶ、裕、資○葱、秀、ぼ、ス△や、玻、清、白=24点
(ま:和服を着て坂を歩く姿の特徴がとても良く現れています。神楽坂ならでは。 ぶ:艶っぽい句だなと思った。生き生きした女性の立ち居振る舞いが見える。神楽坂! 裕:芸者さん前のめりが素敵です。 資:なぜか涼しげに感じる坂の町。前のめりと言ったところが旨い。 葱:神楽坂の坂は好きだなあー、いろんな面白そうなお店もいっぱい、横路に入ればまたそこには違う世界が! 秀: 地名がいきています。 ぼ:粋で地名が効いている、好みです。 や: 粋な姿が自慢の姉さん。 清:神楽坂は神楽を奏すると容易に上がれるという、羅では前のめりになろうか。 白: あの 坂を下りてくるおねえさん。)


二席
●楽天家同士の会話ところてん=ラスカル


◎水、入○ま、砂、久△十、葱、玻、清、紅、し、喋、白、香=21点
(水:心太との取り合わせがいいです。ひらがな表記が効いている。 入:季語のところてんにお見事。 ま:ところてんがぴったりです、良いですね楽天家同士って。 十:「天」「てん」の音の響きに俳諧味。 葱:気楽が一番ですね、^ ^  清:突いては出るところてん会話も弾むのだろう。 紅:こちらも楽しくなりました。 し:楽天家とところてんの取り合わせが意表を突いて面白いです。 白: 何だか面白いですね。)


三席
●音楽の沁み込んでゐる髪洗ふ=秀子


◎ス、久○十、玻△ま、ラ、子、ぼ、裕=15点
(十:音楽の沁み込んでゐる、に詩を感じる。 ま:音楽を聴いてきた夜は、頭の中だけではなく、衣服にも、髪にもまつわりついている感じがしますね。 ラ:コンサートを、存分に楽しんだあとの夜ですね。 ぼ:生活感あり、情感あり。 裕:どんな髪の毛なんだろう?)


【入選】

●楽隊のひとり草笛吹きはじむ=ラスカル
◎十、秀、修○ぶ=11点
(十:演奏上のパートなのか、休憩の一コマなのか。 童話のような景。 秀:草笛がいいですよね。 ぶ:本当に音楽を楽しんでいる人たちの息抜きの時間に立ち会えた幸福。 )

●星注ぐ大地に解きて蛇の衣=やんま
◎し、茶○資、メ△ぼ=11点
(し:蛇の衣がとってもエレガントに感じます。とても詩的です。 茶:巨視的で大きな視点から小さな蛇への微視的な焦点の絞り方がよいと思います。 資:星の光を受けた蛇の衣も美しかろう。カラフルな句。 ぼ:いいねえ、この景。)

●炎天に影の疲れし辻楽士=清一
◎白○し△ラ、秀、砂、紅、ぼ=10点
(白:上野公園か?中七が佳いですね。 し:影の疲れしが上手く様子を表していると思います。本当に暑そう! ラ:本人ではなく、「影」が疲れるという発想がユニークです。 秀:中7で頂きました。 紅:中七がいいですね〜。 ぼ:中七の措辞秀逸、ペーソスあり。)

●信楽の狸の笑う青時雨=裕
○や、子、砂、修△し、メ=10点
(や:一升徳利の機嫌良きこと。 し:梅雨の鬱陶しさも狸の笑顔で吹っ飛びます。)

●少女期の畳に脱げる蛇の衣=まさこ
◎清○十、ス、茶△白=10点
(清:少女期には幾度となく脱皮する、その様子を蛇の衣に宛がった秀句。 十:こうして少女は大人になっていく。 茶:観念的ですが、こういうの好きでして。 白: 脱いでそのままほったらかし。)

●真昼間の水を渡りぬ青き蛇=秀子
◎玻〇入△十、ぶ、ス、修、久=10点
(入:綺麗な蛇やったんでしょう。 十:私も見たことがありますが、なんとも不気味な景でした。 ぶ:美しい絵画や音楽を堪能するような芸術。)

●ボッティチェリの楽園の香や昼寝覚=しゃが
◎ラ○葱△秀、清、修=8点
(ラ:その香りに、僕も浸ってみたいです! 葱:好きな世界です。 秀:いいなあとは、思うんですが、楽園の香が想像でしか感じられないのが、よわいかな。  清:詠者は夢の中でボッティチェリの絵画の中にいたのだろうか。)

●くちなはに騙されてゐる女学院=清一
○メ、白、茶△裕=7点
(白: 縄を見て蛇だと騒いでいるらしい。 裕:なんかミステリー小説のようです。 茶:女学生に群がるとしても、さらにその向こうの女学生の方が今どきは上手のようにも。)

●妻の見し蛇だんだんと長くなり=砂太
○紅、白△ま、入、茶=7点
(紅:話がだんだん大げさになっていくのですね。俳諧味があって面白いです。 白:とぐろが解けてきたのか、それともだんだん誇張してきたのか。 ま:思わず笑ってしまいましたが、よくありますね、蛇ならなおさら長く! 入:女性は特に蛇怖がりで、オーヴァーに話してしまう。 茶:妻の化身のようにも。妻、いや長いものには巻かれて置かないと。)

●つややかな眉その先に蛇の棲む=茶輪子
○ま、久△十、砂、ス=7点
(ま:そういう人、いるかもしれません。 十:だから女性は怖い<笑>)

●くちなはの喉を卵の通過中=ラスカル
○喋、水△十、ぶ=6点
(水:ちょっとシュール。 十:やや演出過多にも思うが、ダイナミックな切り取り。 ぶ:蛇が、蛇そのものが見える句だ。愉快でもある。)

●この世には男と女蛇の衣=ぶせふ
◎ぼ〇裕△水=6点
(ぼ:アダムとイブとサタンで原初スタートした。 裕:男も女も脱皮する? 水:いわくありげな男と女ばかりみたい。)

●時計より出づる楽隊明易し=紅椿
◎や○秀△ら=6点
(や:からくり時計終りまで聴く。 秀:就寝中は消音で、楽隊だけが出てくるのかな? ラ:上五中七のフレーズはとても魅力的。「明易し」より、もっとよい季語がありそうです。)

●星の夜は空とぶ夢をみる子蛇=ぼくる
◎メ○紅、し=6点
(紅:メルヘンですね〜 蛇が可愛く思えてくるから不思議です。 し:ちょうど蛇の子を見つけた話を聞きました。姿は大人の蛇と同じながらちっちゃくて可愛いらしいです。絵本のようでメルヘンチック。)

●黄昏を楽々喰らふ蚊喰鳥=水音
◎紅○清=5点
(紅:こうもりが映画に出てくるモンスターみたいに思えてくるスケール感、とても魅力的です。 清:蝙蝠は黄昏を好む、喰らうとの表現が面白い。)

●棚飾る黒楽茶碗祇園鉾=久郎兎
◎子○水=5点
(水:雅やかな感じ。)

●梅雨楽し世界に一つのワンピース=香久夜
○喋、入△葱=5点
(入:ヴェイルやなくて、ワンピースにしたところが新鮮でした。 葱:あくまで 極私的なところに共鳴します。)


●世渡りが下手で現世は蛇なのさ=ぼくる
○香△砂、紅、資=5点
(紅:納得させられました。 資:それでも蛇が好きな人はいる。面白い。)

●アスファルト凪いでながむし濡れている=水音
○ぶ△秀、入=4点
(ぶ:恐ろしいまでにクールな視線を感じる。生命の力強さも。 秀:「アスファルト」と「ながむし」を離さないほうがわかりやすいと思いますが、「ながむし濡れている」がとても好きです。)

●石垣の続く古刹や蛇の衣=砂太
○裕△や、水=4点
(裕:「古刹」に蛇の衣が似合いそうです。 や:家代々の神に仕える。 水:暑さの中に冷感がある。)

●公演の楽日はるかな夕焼雲=葱男
○ラ、子=4点
(ラ:ゆったりとした気分が感じられます。)

●分校の守護神ならん青大将=紅椿
◎香△ぼ=4点
(ぼ:確かに青大将にはそういう風格があった。 入:福岡では、青大将を 守護神って思ったことないです。)

●餡蜜や友と楽しむストレッチ=秋波
△資、修、久=3点
(資:餡蜜とストレッチの組み合わせが面白く。)

●大利根や蛇も真菰も群育つ=入鈴
○修△喋=3点

●蝸牛デクノボウをば楽しめる=ぶせふ
◎葱=3点
(葱:達観!)

●さようなら一言残し蛇の衣=五六二三斎
◎喋=3点

●水郷を風に吹かれて蛇の首=修一
○資△喋=3点
(資:水から顔を出す蛇の動きが水郷の風景に溶け込んでいる。)

●田亀と蛇AI と人格闘す=香久夜
△十、葱、水=3点
(十:昨今のAIの台頭ぶりは、まさに人類との格闘の感。 葱:視点が面白い。 水:格闘する相手もさまざまですね。)

●名も知らぬ異郷の楽器いうがとう=葱男
○ラ△ス=3点
(ラ:「異郷の楽器」と「誘蛾灯」に、取り合わせの妙が感じられます。)

●蛇のごと一つ上座へ押しやられ=十志夫
◎砂=3点

●紫陽花や写楽の謎に魅せられて=白馬
○や=2点
(や:七変化してぱつと見栄張る。)

●音楽とヨットを愛し逝ける友=五六二三斎
△葱、香=2点
(葱:白髪鴨さんへの追悼句、いただきます。)

●写楽絵の閉じた世界に風薫る=メゴチ
○清=2点
(清:写楽絵を強調する独自の世界。)

●蛇となり父愛用のイスに坐す=ぶせふ
△し、資=2点
(し:不思議な光景で好きです。)

●頬擦りし泣きいる母は蛇のやう=修一
○玻=2点

●豆蒔くや最終楽章告ぐる生=ぼくる
○香=2点

●山案山子お通り暫し高野みち=久郎兎
△ま、入=2点
(ま:山道ではよくこういう風景に出合いました。 入:神聖な蛇だったのですね、見たことないです。)

●楽園に遷りゆくひと虹立ちぬ=十志夫
△や、香=2点
(や:性善説を固く信じる。 入:ストレスフリーのお句で幸福感いっぱいになります。)

●伎楽面外し吹き出す汗拭ふ=清一
△子=1点

●蛇の目傘雨音奏で散歩道=喋九厘
△メ=1点

●饒舌な「小熊楽団」夏の星=まさこ
△玻=1点
(入:賑やか過ぎやけど、素材が素敵。)

●少年のふざけて蛇を首に巻く=資料官 △ぶ=1点 (ぶ:悪がきが人を驚かせて面白がっている風景。昭和の子供のような〜。)

●白蛇や神の使ひか舌を出し=メゴチ
△久=1点

●太陽に艶めく蛇や息潜む=しゃが
△メ=1点

●打楽器のスティックさばき送り梅雨=紅椿
△茶=1点
(茶:「送り梅雨」の季語がよく効いていて、取り合わせも上手いと思いました。)

●手のひらの火照り楽焼窯開き=茶輪子
△子=1点

●初傘を楽しみにする梅雨の朝=淳一
△茶 (茶:新品の長靴もそうですが、雨には雨の楽しみが<^_^>)

●蛇苺道草食ひし田舎道=メゴチ
△裕=1点
(裕:蛇苺、なつかしいです。 葱:兼題季語は「蛇」なので、「蛇苺」だとまた違う季語になりますのでご注意!)


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