*B部門入選作発表*
兼題『季語:風船』『漢字:融』=全82投句(入選57句)
【特選】
一席
●かすむ日や金融街のキッチンカー=資料官
◎秀、紅、秋○茶、ま、村△十、や、ぶ、水=19点
(秀:「融」はとても難しかったけど、摩天楼の街のキッチンカー。ちょっと切ない。 紅:現代的、かつ都会的で、とても惹かれました。 茶:最近よく見かけます。お昼時モノトーンの街が華やいできました。 ま: Kakikiの頭韻でいただきましや。畳みかけも金融街にぴったりだと思います。 村:不透明な金融と昼飯のアンマッチの面白さ。 十:超近代的な景と「霞」との取り合わせの魅力。 や:絶品なるかなこのカツカレー。 ぶ:融のお題を得て私も作り始めたが、こういう取り合わせができるとは思いつきもしませんでした。)
二席
●産土の訛り膨らむ紙風船=清一
◎葱、水、資○白、秋△茶、村、喋=16点
(葱:中七が上手いなあ〜! 水:昔懐かしい紙風船に故郷の訛りが詰まっていると考えるのがすてき。 資:紙風船も訛りで膨らませるとは面白い。 白: 故郷の想い出がいっぱい詰まっている。 茶:二段切れは微妙ですがギリギリOKの妙に。 村:郷愁感じる。)
二席
●天井に風船一つ無人駅=清一
◎虹、喋○砂、秀、雪、水△十、茶=16点
(虹:ぽつんとした感じが一句の中で共鳴している。 秀:映画っぽい。 雪:うっかりして放されてしまったままの風船。無人駅が一層寂しげです。 水:町から帰ってきた子どもがこの駅で降りた。天井にはしゃぐ声も残っていそう。 十:如何にもありそうな景です。 茶:「春光に融けをり沖の漁舟」が「さび」なら、こちらは「わび」の句かなと。)
【入選】
●春光に融けをり沖の漁舟=ぼくる
◎や、茶、ま、香△葱、紅、修=15点
(や:地平眩しく銀波弾けり。 茶:一幅の水墨画を思わせる「さび」のある大きな句だと思いました。 ま:まぶしい光と風に包まれた景が明るいですね。 香:キラキラした眩しい海がみえます。 葱:類句はありそうですが、佳句であることは間違いなし! 紅:小さな舟なんでしょうね。海のキラキラ感が見えてきます。)
●風船を売る風船のやうな顔=ラスカル
○砂、紅、水△白、葱、清、久、ぶ、し、入=13点
(紅:思わず、吹き出しそうになりました。 水:どんな顔か想像すると楽しい。きっと絵本の中の人。白: 夜店の面白い断面。 葱:笑っちゃいます(^。^) 清:風船屋など最近見かけないがこんな顔だったかも。 ぶ:軽くて絶妙な面白み。 し:思わず笑いました。どんな顔なんでしょう。)
●風船や人それぞれの紐を持つ=十五
◎十、清○ま、資△虹=11点
(十:「それぞれの紐をもつ」は含蓄のある表現。 清:人は皆見えない風船を手に持っているといった象徴的な佳句。 ま:それぞれの紐、巧い表現ですね。 虹:一人につき一本の紐。)
●地平線に融ける砂漠や朧月=裕
◎白、村○子△水、香=10点
(白:そんな光景に出会ってみたい。 村:スケールの大きな句でエキゾチック。 香:平山郁夫の絵のよう。)
●椿より椿へ小鳥融け入りぬ=砂太
◎雪○葱、ま△十、久、ス=10点
(雪:鳥の様子が手に取るようにわかります。「融」を使ったいい表現だと思います。 葱:「椿より椿へ」がいい。 十:花から花へホバリングしながら移る姿が浮かびます。 ま: 融けいるのですね、確かにそうですね。)
●沈黙へ融けゆくピアノの音朧=しゃが
○十、や、秋△虹、修、ス=9点
(十:静寂の中にピアノの音が解けていくという表現が巧み。 や:弦張りつめて聴衆黙せり。 虹:音に着目した佳句。)
●風船やわたしの息の浮かびたる=修一
◎入○久、紅、メ=9点
(紅:言われてみるとそうですね〜。)
●風船を持てば迷子の心地して=秀子
○久、入△葱、や、村、ぶ、五=9点
(葱:子供のころに遊園地で親にはぐれた記憶があるのかな? や:徘徊小父さん笑顔満面。 村:ちょっとそんな時は楽しい。 ぶ:こう詠まれるとこうしか思えなくなる痛快さ。)
●風船へ父かろがろと肩車=紅椿
◎砂○喋、し△資=8点
(し:ほのぼのとした風景で好きです。)
●花街へ融けゆく影や月おぼろ=ぼくる
○清、ぶ、五△メ=7点
(清:花街へ出入りする人影は霞んだ春の月のようだ。 ぶ:おそらくは男の如何ともしがたい風景を巧みに詠まれたなと感心しました。)
●風船の逃ぐるがごとく父逝けり=虹魚
○白、村、香△雪=7点
(白: 理想的なPPK。 村:子供想いの父だったかも。 香:あっけなく逝かれた?しかし、風船にたとえたところに、作者の心の大きさがうかがえます。 雪:ご冥福をお祈りします。)
●風船を放つ小さき罪悪感=雪絵
◎修△白、葱、清、五=7点
(修:とても繊細な心が感じられました。 白:意図的に放したが。 葱:何かのイベントでしょうか? その後の責任、取れませんもんね。 清:確かに風船を放つときは一寸躊躇うね。)
●鉄塊の融けて坩堝に涅槃雪=白馬
◎ぶ、ス=6点
(ぶ:葱男さんに忘れられたのも幸運だったのではないかと思うけどw、ものすごく印象に残る句です)
●風船のキリンは首で鳴きにけり=十志夫
○虹、ス△清、秋=6点
(虹:キュル、キュルという首をひねる音が聞こえる。 清:キリンの風船は最近見かけないけどそう言えば首の所で鳴いたような。)
●青空を融け出してくる初音かな=紅椿
○茶、裕△喋=5点
(茶:「融」の兼題は難しいなと思案していましたが、さらりとこんな風に詠むことができたらと。 裕:初音が一層さわやかに聞こえます。)
●赤い風船割れて絵本の中に居る=しゃが
○秀、雪△ぶ=5点
(秀:絵本の中に入っちゃったんですか?やや甘ですが、好きです。 雪:現実と物語が一緒になったような・・。旨い表現ですね。 ぶ:大切な子どもを育てておられるのだらうなぁ〜。)
●淡雪と融け合ふ君の目尻かな=しゃが
◎メ△久、香=5点
(香:寂しい涙を救ってくれる?)
●イコールの謎融けてゆく春の夢=葱男
○や、五△十=5点
(や:平衡感覚取り戻す宵。 十:数学的なものではなく、人生的な=<イコール>でしょうね。)
●二合半(こなから)に融け合ふふたり木の芽時=十五
◎五○喋=5点
●風船とアンパンマンとじじが好き=ぼくる
△十、白、秀、ま、資=5点
(十:願望がだいぶ入っているかも<笑> 白: とても微笑ましい。 秀:甘甘だけど、わかりますよ。 ま:可愛い〜。じじになりたい。 資:可愛いお孫さんですね。)
●風船は打たれて悲しみ吐き出せり=白馬
○修、ス△香=5点
(香:吐き出すことが救いに。)
●風船を吸ひ込む空へ手をかざす=メゴチ
○清、し△ス=5点
(清:風船を吸い込む所には何らかの力が働いているのだろう。 し:風船を吸い込む空という表現が素晴らしい。)
●朧夜やをんなこゝろの融解点=清一
○虹△裕、メ=4点
(虹:うちの山の神。 裕:意味深ですね。)
●誕生日の風船抱き児は夢へ=水音
○裕△紅、し=4点
(裕:一歳の誕生日 という感じです。 紅:かわいいです。 し:情景が可愛いです。)
●罰ゲーム用の風船膨らます=ラスカル
○葱△十、砂=4点
(葱:「罰ゲーム」でいっぺんにストーリーが広がりました。 十:諧謔句。自分をいたぶる風船を自分で膨らましている可笑しさ。)
●風船の影ゆらゆらとついてくる=秀子
◎し△雪=4点
(し:風船の影というのがいいですね。ついてくるというのも面白いです。)
●融通の効かぬ夢なり霾れり=やんま
○香△十、入=4点
(香:霾る、難しい字です。 十:もう少しでいい思いが出来るのに目覚めてしまった夢でしょうね。)
●朧夜の入浴剤の融ける音=まさこ
△十、葱、し=3点
(十:まったり感が伝わってきます。 葱:ブクブクっと、シュワシュワっと消えて無くなる入浴剤の朧。 し:入浴剤の融ける音、確かにしますね。)
●かざす手に融けるがごとく花明り=水音
○メ△虹=3点
(虹:小と大の対比がいい。)
●兄弟に風船二つ空見上ぐ=香久夜
○資△子=3点
●対島へと風船は行く手を離れ=砂太
○ぶ△五=3点
(ぶ:同様の設定は他にもみられたけれど、対馬がとてもいいと思った。)
●七色の風船上げるブライダル=五六二三斎
◎子=3点
●逃げ水や融通無碍にほど遠く=ぶせふ
△や、紅、資=3点
(や:丸い世の中四角に生きる。 紅:季語の斡旋がお上手だと思いました。)
●風船に結ぶ願ひの海を越ゆ=葱男
◎裕=3点
(裕:空に飛ばす風船がいつもどこに行くか気になっています。)
●風船のあふれし空や印象派=葱男
○子△茶=3点
(茶: モネの睡蓮が風船となって空にあふれ出す。そんな印象の句ですね。)
●風船の中に風船ピエロの夢=まさこ
○十△葱=3点
(十:大小を重ねて空気を入れるのでしょうね。「ピエロの夢」に不思議な魅力を感じます。 葱:句に仕掛けられた不思議なレトリック!)
●風船を割りたき心秘め眺む=香久夜
○修△村=3点
(村:そんなにややこしい心理状態では無いでしょうが。)
●融資係の背中温めて春日差し=秀子
◎久=3点
●融点の右側にゐて春の風=雪絵
△裕、メ、秋=3点
(裕:よくわからないけど、惹かれました。)
●紙風船人見知りする子のほつぺ=資料官
△雪、ま=2点
(ま:季語と赤ちゃんですがつき過ぎず良い距離感で、可愛らしい。)
●つり銭に添へて風船渡さるる=十志夫
△砂、秀=2点
(秀:子供の頃は嬉しかった。今もかな。)
●紺碧の空へ叩きし紙風船=やんま
△入=1点
●「融(とおる)」舞ふ曽祖父在りし春の宵=虹魚
△喋=1点
●ハト型の風船白し鎮魂歌=雪絵
△裕=1点
(裕:平和の祈りを感じます。)
●春の雪想ひ出融かし消へゆけり=メゴチ
△子=1点
●風船が空に弾んでゐたりけり=ラスカル
△砂=1点
●風船に迫る針あり刻一刻=ぶせふ
△葱=1点
(葱:子供のころに見ていたテレビ番組のゲームを思い起こしました。模型の汽車の先に針が付いていて、汽車がレールを一周する度にドキドキしたものです。)
●風船の少し萎んでやはらかく=虹魚
△修=1点
●ふるさとの空を風船ながれゆく=修一
△子=1点
●ぺしゃんこの風船色の濃く赤く=茶輪子
△水=1点
●ミッキーの風船ゆらり夜のメトロ=資料官
△秀=1点
●融雪に雁木忘れし人の笑み=久郎兎
△秋=1点
●雪融けや日溜り雀零れたる=裕
○入=1点
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