*B部門入選作発表*


兼題『季語:ショール(肩掛け)』『漢字:鉄』=全86投句(入選65句)

【特選】

一席
●角打ちの漁師ショールの頬被り=砂太


◎葱、ラ、裕○秀、十、し△淳、喋=17点
(葱:極太の詠みっぷりはお見事、こんなに男臭いショールは初めてです。 ラ:男性が使うショールの句は、初見です! 裕:真っ黒に焼けて、ごつごつした手で酒を立ち飲みする海の男が、ショールを頬かむりしているアンバランスさがいいです。 秀:映画でしか見たことのない景色ですが、一つの世界がリアルに描かれていると思いました。 十:寒々しい漁師町の酒屋のカウンターで飲む孤独な男の姿が浮かぶ。 し:漁師にショール、角打ちで、、、面白すぎる!)


二席
●極貧に生きて桃色ショールかな=やんま


◎子、玻○久、ま、修△葱、し=14点
(久:やけくそのピンクかと思わせるところがにくい。 ま:テレビでこういう光景を見ますが、鮮やかなだけに訴えかけられます。 修:「この世界の片隅に」のリンさん思い出しました。 葱:桃色が切なくていぢらしい。 し:どのような人生であろうとも女性の美しさを失わず生きたいものです。)


二席
●鉄棒の端にマフラー結はへあり=ラスカル


◎修○雪、茶、玻△秀、ス、子、虹、秋=14点

(修:ものに語らせる。いろいろ想像できます。すばらしいです。 雪:今まで鉄棒で遊んでいた子の忘れ物でしょうか?それとも、マフラーを外して鉄棒を頑張ってる?! 茶:「結び」とかではなく「結はへ」とすることで、ほのぼのとした感じの演出となっているように思いました。 秀:子供の頃、そんなことしてましたよね。リアル。 虹:あばれはっちゃくの世界。)


【入選】

●冬ざれの鉄条網や基地の島=雪絵
◎ス、ぼ○清、香△秀、水、修=13点
(ぼ:沖縄ですね。何とも重い句。 秀:句としては、やや既視感。でも、ちゃんと受け止めねばならないことですね。 清:沖縄の基地だろう。寒々とした鉄条網の中は日本の領土でありながら治外法権と言う矛盾。 修:富士の上空も日本ではないんだって!知らなかった。)

●D51は鉄の塊風花す=秀子
◎紅、香○葱△虹、雪、ぶ、秋=12点
(香:硬い鉄と消えそうな風花の対比、そして、走るD51の釜の熱さと雪の冷たさの対比が面白いですね。紅:ニュースで、D51を見たばかりでしたので、とても共感できました。季語がぴったりです。 葱:中七の言い切りと「風花す」が圧的な光景を映像化します。 虹:汽車と風花の取り合わせにドラマ。 ぶ:季語との取り合わせに取らざるを得なかった。)

●鉄瓶に家督の重さ炭をつぐ=十志夫
◎村、茶○ス△久、紅、ぶ、玻=12点
(村:鉄瓶と炭がいかにもとその重たさを訴える。 茶:鉄の硬さ、炭の色を重さに収れんさせ、家督を巧く定義しているように思いました。 久:茶道の世界でしょうか。炭の入れ方継ぎ方、作法のいろいろ、お金もかかります。 紅:落ち着きのある、 重厚なお句で、惹かれました。 ぶ:私も長男です!)

●鉄切りの音焦げてをり雪催=十志夫
◎ま○村、茶△葱、ス、ぶ、修=11点
(ま:音焦げてをりがお上手ですね。 茶:「音焦げて」の聴覚と嗅覚の融合に!(^^)! 葱:季語の斡旋がおみごと! 村:あの臭いが陰鬱な空模様の中に迫る。 ぶ:頑固おやじのいい仕事!w 修:冬だから匂いが際立つのかな。)

●ストールを巻いて銀座の人となる=十志夫
◎久○や△子、ラ、紅、ぶ、五=10点
(久:まちこまきなんでしょうね。一流の街を歩くには神経使いますね。 や:この瞬間ぴかっと光ったワタクシ誕生。 ラ:浮き浮きした気分が伝わってきます。 紅:銀座のクラブのママさんでしょうか?ドラマ性があります。<黒い手帳を持っていたりして。。> ぶ:一生縁はないと思うが、粋だねぇ〜)

●ガード下カランと凍つる鉄パイプ=葱男
○秀、ぶ、水△村、砂、玻=9点
(秀:ややブツブツ切れているような気もしますが、ガード下って、異空間のようで、魅力的です。 ぶ:見える!寒い!  水:「カラン」と凍てると聞けばカランと凍てるんだと思う。 村:長年放置されさび付いた鉄パイプが見える。)

●寒月へ吠ゆ独房の鉄格子=ぼくる
◎秋○村、水、玻=9点
(秋:作りすぎの気はしましたが何ともドラマチック。映画の1シーンのよう。 村:軽々しく鑑賞できない句。 水:寒月、独房、鉄格子と心底寒々とした光景です。)

●肩掛けやほつれ毛にある白きもの=ぶせふ
◎五、メ△虹、ぼ=8点
(虹:哀愁。 ぼ:人生を感じさせる。ここはショールではなく肩掛けだ。)

●凩や煙立たない鉄の街=五六二三斎
◎水〇ぶ、裕△虹=8点
(水:「煙立たない」が何とも寒々としている。 ぶ:なんだか小説を読んだ ような氣になった。 虹:煙立たない鉄の街、小説のよう。 裕:地方によくある寂しい光景です。)

●地下鉄へ落葉ころころ吹かれ落つ=雪絵
○子、秋、資△清、喋=8点
(資:ころころが良い。人もころころ転がりそうだ。 清:ころころのオノマトペが落葉の地下に落ちてゆく様子をよく表している。 秋:誰もが知っている風景なのに俳句にすると妙に新鮮。乾いた音や風の冷たさも伝わる。)

●鉄瓶のでんと居座る雪の宿=紅椿
○淳、ラ△虹、雪、五、ぼ=8点
(ラ:鉄瓶の存在感が際立っています。 虹:「でんと居座る」の存在感。 ぼ:またぞろ冬の旅に行きたくなった。)

●ストーブに焼(く)べる鉄道唱歌かな=葱男
◎喋〇五△清、水=7点
(清:蒸気機関車に石炭を焼べる光景鉄道唱歌が思わず飛び出す。 水:あまり歌われなくなったのを「ストーブに焼べる」としたのが効いている。)

●にび色の空を欺く緋のショール=秋波
◎し○雪△や、虹=7点
(し:色の選び方が上手いと思います。 雪:どんより曇った日だからこそ、緋のショールを!ですね。中七がいい。 や:曇天にせめても心は明るくと。 虹:「欺く」はやや強いが面白い。)

●時雨るるや鉄のオブジェに瑕二つ=茶輪子
◎秀○ま△メ=6点
(秀:いい句ですね。評を書くのが野暮なくらい。 ま:鉄のオブジェには味があります、そのうえ瑕があったらなお。)

●ショールもて守らむ君がマッチの火=紅椿
◎虹〇ぼ△秀=6点
(虹:冬ならではのメルヘン。 ぼ:いいねえ、このシーン。よか男には、よか女あり。 秀:う〜〜ん、甘い!ショールに火が移ってしまいますよ。)

●芒原一直線の鉄路かな=修一
○子、香△十、裕=6点
(十:景鮮明です。 裕:ありそうでない光景ですよね。)

●冬晴れの鉄腕アトム空高く=喋九厘
◎雪○ス△葱=6点
(雪:何だかスカッと明るい気分になりました! 葱:愉快、愉快!)

●肩掛けをひよいと乗せ行く割烹着=雪絵
◎砂○淳=5点

●地平線へ延びる鉄路や冬の星=裕
◎清△ま、メ=5点
(清:シベリア鉄道であろうか。地平線への真っ直ぐな鉄路が浮かぶ佳句である。 ま:どこか大陸でしょうね、大きな景が見えます、行ってみたい。)

●鉄柵に無言の鴉吊るし柿=久郎兎
○砂、裕△し=5点
(裕:恨めしそうに柿をみている烏が面白い。 し:シュールな絵画を想像しました。)

●鉄棒の匂いや校庭冬ざるる=香久夜
○虹、メ△し=5点
(虹:鉄棒の匂いとは懐かしい。 し:私もこの匂いとても記憶に残っています。鉄棒が苦手で特訓させられたからかな。)

●何や彼や一巻きにして赤ショール=入鈴
○や、五△ス=5点
(や:首を絞めつけませんように。)

●ふる里へ向かふ鉄路や冬帽子=清一
○喋△雪、砂、メ=5点
(雪:お里帰りですね。女性の一人旅の雰囲気。)

●赤信号君のショールに手を伸ばし=ぶせふ
◎淳△し=4点
(淳:ちょっとしたさりげない優しさが良いですね。 し:初々しさのある素敵な恋句ですね。)

●風花や鉄瓶滾る隠れ里=やんま
◎資△村=4点
(資:風花と滾る鉄瓶を並べたところが妙。 村:形よいがやや情緒的か。)

●傷口に鉄の味する神の留守=水音
○紅△玻、香=4点
(紅: 確かにそうですね。神の留守にはめをはずして、怪我などしたのでしょうか。)

●国境は鉄橋にあり革衣=水音
○秋△十、ぶ=4点
(秋:鉄橋は人と人を分けるものにも繋ぐものにもなる。ドラマがありそうな句。 十:たびだひTVに登場する中国と北朝鮮の国境の橋のことでしょうか。革衣は警備兵。 ぶ:憧れる、、、なんとかスタンというような国を思った。)

●ショール巻く尼僧と出合ふ先斗町=清一
○ラ、久=4点
(ラ:「先斗町」がいいですね! 久:無さそうな光景だけど、もしあったらと思わせるところが面白い。)

●ストールを翼展ぐるやうにして=虹魚
○十△砂、茶=4点
(十:景が浮かんでくる秀句。下五の「やうにして」の散文調が気になり、動詞で切れを入れて言い切ったほうがいいように思いました。 茶:ついエーゲ海に捧ぐを思い出し(^J^))

●鉄ちゃんと言われて雪の列車待つ=白馬
○紅、し=4点
(紅:景がすぐに立ち上がりました。とても好きな句です。 し:なんだか可愛い。)

●鉄瓶に湯気立ちそぞろ口ゆるむ=秋波
〇メ、資=4点

●店仕舞終へてシヨールの女将かな=虹魚
◎や△五=4点
(や:普段の顔に即変身、どちらも自分の顔ながら。)

●すぐ乾く稚の涙や鉄道歌=砂太
○虹△や=3点
(虹:すぐ乾く、がいい。 や:移ろい易すき心の様は幼児期から。)

●地平まで続く鉄塔雪晴るる=ぼくる
○砂△ぶ=3点
(ぶ:眩しい!北海道の風景か?)

●鉄火丼の赤き山脈石蕗の花=ラスカル
◎十=3点
(十:丼に盛られた鮪を「赤き山脈」とした比喩が巧み。「石蕗の花」までが丼の中のツマの形容に思えてくる。)

●鉄橋に行き交ふ列車寒の月=十五
○清△や=3点
(清:このような風景は日本でよく見かける。寒月の季語が効いている。 や:ゴトンゴトンの音響も寒し。)

●鉄針の滲む刺青冬の蝶=しゃが
◎ぶ=3点
(ぶ:壺振りの姐さんとか、鬼龍院花子の生涯の夏目雅子が目に浮かんでしまった!)

●廃駅舎鉄路の向かふ冬の虹=メゴチ
○喋△秋=3点

●冬ショール母のにほひのもう僅か=秀子
〇ぼ△紅=3点
(ぼ:ショールとともに心優しさも引き継がれた。 紅:ほろりと来ました。)

●居酒屋に鉄斎の絵や時雨くる=ラスカル
△水、し=2点
(し:渋い居酒屋いいですね。)

●襟巻きのほかほか嬉しバスを待つ=香久夜
〇修=2点
(修:襟巻の良さを思い出しました。)

●肩掛けをしたまま孫の肩たたき=白馬
△喋、裕=2点
(裕:ほのぼのとしています。)

●大陸を跨ぐ鉄橋牡蠣喰らふ=葱男
△ラ、ぶ=2点
(ラ:スケールの大きな句。 ぶ:スケールが大きい!)

●廃線の鉄路錆しや枯葉舞ふ=メゴチ
△淳、資=2点
(資:廃止したばっかりの初めての冬,やがてその風景も無くなってしまう。)

●初雪に肩掛けの列八卦置き=久郎兎
△葱、資=2点
(葱:都会の片隅の情景でしょうか?幸薄そうな水商売の女たちを思いました。)

●うなじ見せ若草色のショールかな=しゃが
△裕=1点
(裕:素敵な着物を着ている感じがします)

●肩掛けに顔を潜らす幼き子=淳一
△子=1点

●枯芝を統べ鈍色の鉄亜鈴=秀子
△村=1点
(村:面白い見方で統べに納得。)

●寒晴れや国鉄生まれの古電車=資料官
△久=1点
(久:全体一色塗装のあのなつかしい電車、絶滅危惧種、わかりやすくてお世話になりました。)

●狐火や鉄の味する血をすすり=ぶせふ
△十=1点
(十:血に鉄の味はやや常套とも思いましたが、「傷口に鉄の味する神の留守」と迷ってこちらを頂きました。)

●黒ショール演技巧者のエキストラ=水音
△香=1点

●ショールして急告の訃を回しけり=十五
△資=1点
(資:電話やメールでないところが時代を感じる。)

●スマホ繰る優先席の赤ショール=白馬
△清=1点
(清:赤ショールを纏った老婦人が見事にスマホを操る。)

●それはそれで形見のショールぎゅっと巻く=入鈴
△ま=1点
(ま:ユーモラスに心境が語られていてひかれました。)

●箪笥より見つかる母のショールかな=五六二三斎
△修=1点
(修:実家の空気匂い郷愁を感じます。)

●鉄錆の効や黒豆箸映る=久郎兎
△ぶ=1点
(ぶ:台所俳句の絶品だなぁ)

●鉄鍋のぬくもり求め大根煮る=メゴチ
△久=1点
(久:安上がりな方法でなんだかいい。)

●鉄棒に下午の男ら木の葉散る=十五
△茶=1点
(茶:「下午の」の言い回しが突き放した感じでよいと思います。)

●冬帝や鉄分サプリのつぶ数多=茶輪子
△ま=1点
(ま:寒々とした感じが良く現れています。)

●西鉄のまた泣き所冬の霧=五六二三斎
△香=1点
(香:そうなんですか、、、)

●ひと日終へ箱に納まる白ショール=紅椿
△ぼ=1点
(ぼ:清楚なたたずまいが浮かびます。)

●見上ぐればショールの母の眼の赤き=修一
△淳=1点


B部門入選作〈back number〉

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