*B部門入選作発表*


兼題『季語:苺』『漢字:汽』=全89投句(入選62句)

【特選】

一席
●短夜や汽車は汽笛を置き去りに=水音


◎秀、清、ラ○資、メ、入、し△十、や、葱、紅、五=26点
((秀:置き去りにされて、汽笛は泣いているのでしょうか。 清:夏の夜に汽笛の響だけが残る。そのときの心象風景を読んだ佳句。 ラ:何だか切ない気持ちになりました。 資:汽の字を2回登場させた50番を採るか迷ったけど,季語の選択でこちらに。 入:不思議な汽笛に惹かれました。 し:ちょっと感傷的なドラマがありますね。 十:汽笛とともに「思い出」「愛しき人」も置き去りにしたのでしょう。 や:置き去りにされ苔生す石ころ一つ。 葱:季語が動きそうな気もしますが、、。 紅:中七から下五のリズムがとても好きです。)


二席
●口に余る巨きな苺兜太読む=十五


◎ぶ○ラ、香、白△葱、秀、ぼ、入=13点
((ぶ:追悼句の極致ではない? ラ:下五の展開に意外性があります。 香:型破りな、という取り合わせ。 葱:金子兜太と巨きな苺、面白い取り合わせですね。(^。^) 秀:目が白黒するくらい巨きな苺。ごつごつとまだ暴れてる兜太の句。 ぼ:兜太の野性、エネルギーが偲ばれる。 入:迸る紅い果汁を想像しました。)


二席
●逝くときは夕焼空を汽車ぽっぽ=ぼくる


◎資、メ、喋○砂、修=13点
(資:汽車ぽっぽで決まり。)


【入選】

●夏帯や汽水にくだる淡水魚=葱男
◎久、香○秀、村△入、ぶ=12点
(香:汽水ということば、忘れてました。しかし、いい句ですね。帯の柄に涼しげな魚が、泳いでいるのでしょう。 秀:着物って、私の中にない世界なので、虚を突かれました。形もすきっとしていい句。 村:大川を着流しで逍遙している最中出会ったか。 入:夏帯の柄ゆきは鮎でしょうか? ぶ:気持ちいい。)

●ががんぼや夜汽車の窓の夢現=やんま
◎入○紅、修△葱、資、五、し=11点
( 入:シュール! 紅:夜汽車に揺られながら、うつらうつらしている様が浮かびます。季語もいいですね。 葱:なんども窓にぶつかるガガンボをずっと見つめていた、スマホなんか無い時代の夜汽車の旅。 し:寝台車に乗った思い出が甦りました。)

●少女来てワンカラットの苺摘む=やんま
◎虹、砂◯葱、水=10点
(虹:苺をダイヤモンドに見立てるなんて! 葱:上手い! 水:ワンカラットに少女の大人の女性への憧れが。)

●ぷちと鳴る小さき悔恨いちご食ぶ=水音 
◎紅○秀、砂、入△や=10点
(紅:他の句とは一味違った苺の句で、秀逸だと思います。 秀:俳句的〜〜。苺の粒を?み当てて。「悔恨」が固いなあとは、思いました。 入:とてもよくわかる音です。 や:そしてずきっと心が痛む。)

●少年に挫折の夏や遠汽笛=ぼくる
◯葱、香△十、秀、裕、紅、白=9点
(葱:アリスの「遠くで汽笛を聞きながら」は私の十八番です。(^。^) 香:ご自身の思い出でしょうか。汽笛に、力が湧いてくる感じも。 十:何の挫折か、いろいろ想像させる。秀:少年と言ってしまうと、どうしても甘いけど、青春を昭和に過ごしたものは、大いに共感してしまいます。 裕:甲子園?今どきはアメフト? 紅: 下五が素敵です。演歌好きは「夜汽車」や「汽笛」に弱いです。(笑))

●夜汽車から蒼い水母が降りて来る=ラスカル
◎村、ま○ぼ△や、砂=10点
(ま:一読魅かれました。私の夜汽車のイメージはまさにこういう感じです。 村:不思議な感覚が秀逸。 ぼ:不思議な句。このまま受け止めたい。 や:この幻想は何だろう。鍔広の夏帽子が歩いて行った。)

●夏草やスイッチバックの汽車喘ぐ=資料官
◎裕○茶、五△香、修=9点
(裕:豊肥線の立野駅を思い出しました。 茶:箱根でしょうか、擬人に。 香:スイッチバック、体験したばかりです。ディーゼルでも喘いでました!)

●万緑の動き始める汽車弁当=まさこ
◎ぼ○水、喋△資=8点
(ぼ:汽車ではなく万緑が動き始めるとは、お見事です。 水:汽車の窓の万緑がゆっくりと後ろへ。さぁお弁当を食べよう。 資:駅弁とよく言ったけど,汽車弁の響きも懐かしい。)

●朝採りの葉の逞しき苺かな=しゃが
◎修△十、ラ、入、白=7点
(修:葉に着目したことで苺がより新鮮に見えてきました。 十:美味しそう。「葉の逞しき」より「蔕(へた)逞しき」がいいような。  ラ:実ではなく葉に着目した点がユニーク。 入:案外毛羽だって固い葉ですね。)

●飾られる時逆立ちの苺かな=虹魚
◎五○ぶ△砂、水=7点
(ぶ:誰なんだ?こういう俳句を軽々と^^ 水:言われてみれば本当にその通り。)

●セロハンに青空の波路地苺=久郎兎
◎茶○十、メ=7点
(茶:映り込みへのピンポイントの着眼に。 十:空の青と苺の赤。苺パックのセロハン映る青空を「波」としたところに詩を感じる。)

●海鳴りに汽笛かぶさる五月闇=紅椿
◎し○清△ぼ=6点
(し:音の重なりが詩的でイメージも広がります。 清:海岸線を走る蒸気機関車、昭和の風景が懐かしい。 ぼ:一人旅か、旅情あり。)

●汽缶夫のかひなの皺や玉の汗=茶輪子
○久、裕△清、し=6点
(裕:最近はあまり見ない光景ですが。 清:ボイラーマンの汗には労働者としての逞しさがある。 し:汽缶夫のイメージがよくわかります。かひなの皺がリアルです。)

●苺描きクレヨンの先丸くなる=ラスカル
○虹△十、入、修=5点
(虹:かわいらしさと懐かしさ。 十:なるほど。実感ありの句。 入:赤のクレヨンはそのまま苺になりそうです。)

●苺欲しくない苛めて欲しくない=弧七
◯葱、ぶ△村=5点
(葱:その口語体チャレンジに一票! そして「苺欲しくない! 」の意外性! ぶ:新鮮!漫画のぼのぼのを読んだみたい。 村:うーん自分で作れない句。)

●いにしへの恋文辞書に苺の香=茶輪子
◎白△資、メ=5点

●麦秋の丘静寂を割く汽笛=久郎兎
○ま△清、ぼ、修=5点
(ま:すっきりとしていて、広がりと静けさと色彩をを存分に伝えてくれます。 清:取り合わせの句として風景がよく見える。静寂は<しじま>と読ませたい。 ぼ:これも景色がよく見える。)

●星涼し追憶の汽車登るかな=砂太
○清△虹、葱、五=5点
(清:若かりし頃ふたりが乗った汽車、詠者の想い出が甦る。 虹:心にじんとくる。 葱:登りけり、ではいかがでしょう?)

●汽車ポッポの絵本広げて昼寝の子=資料官
○虹△ラ、ま=4点
(虹:読んでいるうちに寝ちゃった。 ラ:機関車トーマスの夢を見ているのかも。 ま:ありますね、こういう光景。とにかくかわいい。)


●五月晴れ汽車の窓を過ぎる過去=淳一
○し、喋=4点
(し:窓を過ぎる過去、いろいろ想像させて素晴らしい表現だと思います。 葱:音数を整えて「五月晴れ過去の過ぎゆく汽車の窓」は?)

●夏木立弁当を受く汽車の窓=葱男
△虹、久、メ、入=4点
(虹:映画のワンシーン。小さなお母さんが弁当を。 入:今時お弁当売りっているのかしら、臨場感あります。)

●夏帽子抱ふ夜汽車の女かな=虹魚
○や△葱、喋=4点
(や:何か訳がありそうで気になる。 葱:ちょっと意味ありげ(^。^)

●肚にどんとフェリーの汽笛月涼し=十五
○ラ、ま=4点
(ラ:「肚にどんと」がリアルで、臨場感があります。 ま:おなかに響く汽笛がよいですね。季語がより汽笛を強調しています。)

●ふくらみし汽水かわせみ急降下=まさこ
△虹、裕、茶、入=4点
(虹:勢いと切れがある句。 裕:獲物を見つけた? 茶:中七から下五への畳み掛けに。 入:カッコイイと言うか、こんな翡翠見たい。)

●竜宮城に向かふ汽笛や風薫る=しゃが
○白△ま、香=4点
(ま:遠くに聞こえる汽笛は、そうなのかもしれません。 香:「指宿のたまて箱」ですね。)

●苺摘む母の願いを蹴飛ばして=ぶせふ
◎水=3点
(水:母娘の葛藤があるのでしょう。)

●イチゴつむ不意に振り向く妻の顔=ぶせふ
○ぼ△久=3点
(ぼ:よからぬ妄想でもしてたか? いと、おかし。)

●木苺や虚空の空の青深し=やんま
◎ 淳=3点
( 淳:虚空の空と青がマッチしています。)

●汽罐車の黒き煙や駅薄暑=資料官
◎や=3点
(や:汽罐車は今や観光の目玉である。)

●鮮血の如く熟せし苺食ふ=しゃが
△十、葱、 淳=3点
(十:鮮血の喩えにドキリとする。 葱:血の如く、だと採らなかったかも。鮮血がちょっといい!)

●夏衣や気の向くままの汽車の旅=裕
○ 淳△秀=3点
(秀:無計画の旅って、憧れました。夏こそですね。季語はもっといいのが、ありそうな。)

●庭苺摘むよ小さき膝小僧=まさこ
○十△茶=3点
(十:最後に視線を「小さき膝小僧」にフォーカスさせたのが巧み。 茶:愛らしいほのぼのとした景に。)

●野苺や禁じられたる遊びまた=ぼくる
○久△紅=3点
(紅:「♪禁じられた遊び」が聞こえてきました。)

●六月や眠りの隙間より汽笛=秀子
◎十=3点
(十:まどろみの中に汽笛が聴こえてくる、というレトリックが秀逸。)

●いいことの何もなき日や苺食ぶ=秀子
○村=2点
(村:逆説かとも読めましたが。)

●苺ジャム香る厨の至福どき=雪絵
△裕、入=2点
(裕:明るい台所、子供の弾む声が聞こえます。 入:思わずツバごっくんしました。)

●大粒の苺考妣(かうひ)に供へけり=十五
○裕=2点
(裕:ご両親の遺影が微笑んでいるような。)

●覚醒を促しつづけ蒸汽船=ぶせふ
○五=2点

●薫風や通過待ちする汽車に立ち=雪絵
○ 淳=2点

●国会中継歯間の苺つぶ=紅椿
△砂、水=2点
(水:苺粒くらいだったらいいけど。)

●釣具屋に汽笛はるかや青簾=紅椿
△ま、ぶ=2点
(ま:青簾がしんみりしがちな景を明るくしてくれて、心地よい。 ぶ:季語が決まって動かない。)

●夏の月二人を結ぶ夜汽車かな=五六二三斎
△清、メ=2点
(清:ブルートレインに乗ったふたりが月を眺めている光景。)

●一人の夜天の川なる父の汽車=砂太
△葱、白=2点
(葱:意味を伝えきれてないと思いますがとても詩性のある句。勝手に物語を付けるとすれば、ぽっぽ屋の父を亡くした息子の亡き父への慕情とか。)

●真つ先に苺ほほばるミルフィーユ=雪絵
○資=2点
(資:苺のお題にミルフィーユを登場させたのはお見事。)

●窓越しの夜汽車のブザー青林檎=十志夫
○紅=2点
(紅:青春時代の別れの場面でしょうか?甘酸っぱいです。)

●剥き出しの粒は本性苺ジャム=十志夫
○茶=2点
(茶:中七の「本性」の不可視性に。)

●苺その野性の黄色藪の中=砂太
△香=1点
(香:黄色い苺、堅くて酸っぱそう。)

●入梅雨や汽笛潤ほせ給水塔=香久夜 △喋=1点

●海の青濃き糸島の苺狩り=五六二三斎
△村=1点
(村:ローカルだが懐かしい風景。)

●炎昼や汽笛遠くに目を細む=茶輪子 △喋=1点

●銀翼の灯寂しパリの苺売=入鈴
△久=1点

●芍薬のはらはらと落つ汽缶室=入鈴
△葱=1点
(葱:こういうシュールな風合、好みです。)

●立山に夜汽車の記憶忘れ霜=秋波
△十=1点
(十:夜汽車には誰しも懐かしい思い出がある。「記憶」と「忘れ」は少し即き過ぎかも。)

●虹橋を潜り抜けたる汽船かな=清一
△ぶ=1点
(ぶ:メルヘン・ファンタジー!最高。)

●野苺や学生村のありし頃=十志夫
△ 淳=1点

●廃線の汽笛かすかに遠青嶺=修一
△し=1点
(し:残された線路に立つと聞こえてきそうですね。)

●故郷の汽船の旅の波の跡=メゴチ
△ 淳=1点

●本閉じるショートケーキは苺でしょ=秋波
△水=1点
(水:軽い表現がいい。やっぱり苺です。)

●真暗な口に真赤な苺かな=修一
△ラ=1点
(ラ:「真暗」と「真赤」の対比が鮮明。)

●LINEには秘密と絵文字苺食ぶ=秀子
△葱=1点
(葱:それに「罠」も加わりそう。)

●ランドセルの苺泥棒に恩赦=葱男
△茶=1点
(茶:「ランドセル」の提喩に。)


B部門入選作〈back number〉

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