*B部門入選作発表*


兼題『季語:蛙の目借時』『漢字:怪』=全85投句(入選67句)

【特選】

一席
●消しゴムのぽくんと折れて目借時=ラスカル


◎葱、水、雪、ま、ス、香○や、ぶ、メ、ぼ△十、砂、喋=29点
(葱:「ぽくん」がよく出てくるもんですね!それが才能か! 水:そう、目借時にはぽくんと折れる。 雪:「ぽくん」確かに!ぴたりの感覚ですね。 ま:ぽくんと折れて、が言い得て妙ですね。 香:ぽくんと折れて がいいですね。 や:昼の部終夜の思索へ。 ぶ:ぽくんという擬音で実感がこもっている。 ぼ:ぽくん のオノマトペが秀逸。 十:「ぽくん」のオノマトペが新鮮ですが、季語があっているかは微妙。)


二席
●秒針の音の消へゆく目借時=まさこ


◎資、修、メ○十、や、虹△裕、ぶ、し=18点
(資:読んでいて眠りを誘う静かな句。 修:的確にして実感ありです。 十:聴覚から睡魔をうまく表現しています。 や:睡魔に負けて頬杖崩す。 虹:気が遠くなる。 裕:実感句ですね。 ぶ:たしかにたしかに。 し:ゆっくり眠りに落ちる情景がいいです。)


三席
●シアターの闇の柔らか目借時=秀子


◎十、村、紅○資、ま△茶=14点
(十:闇の柔らか、が秀逸です。 村:上五中七が素直に肯え季語がぴったり。 紅:中七がお見事です。季語も付かず離れずで、秀逸だと思います。 資:闇の柔らかが心地良くて。 ま:闇の柔らかが、佳い表現でまた季語と合っていますね。 茶:取り合せが難しいと感じた季語ですが、しっくりきました。)


【入選】

●ゴンドラの櫂の伸びゆく目借時=葱男
◎五○村、水、し、香△虹、ス=13点
(五:ゴンドラの櫂の曲線!目が回りそう。ゆったりとベネチアの時は流れる。 村:たゆたゆと運河を心豊かに旅人として。 水:ゆらりゆらり揺られて気持ちよくなった瞬間櫂が長くなった。 し:ー水の中の櫂のゆっくりとした動きが目借時と合っていていい情景ですね。 香:ディズニーシーのゴンドラも気持ちよかった。 孫は一発でウトウトでした。 水の中の櫂のゆっくりとした動きが目借時と合っていていい情景ですね。 虹:眠たそう。)

●神主の祝詞蛙の目借時=雪絵
○裕、紅、久△十、や、修、喋、五、ス=12点
(裕:この光景よくわかります。 紅:あるある感で頂きました。神主さんの声が聞こえてきそうです。 十:確かに。 や:意味不明にて声の高らか。 修:あのもぐもぐ感。 五:神主の祝詞は眠気を誘う。)

●一本の髭剃り残し目借時=ラスカル
◎秀○葱、秋△十、ぼ、香=10点
(秀:剃り残した髭が一本ぴよーーんと立ってるって、まさしく「目借時」。 葱:なんか情けなくていいε-(´∀`; )  秋:うっかりともぼんやりとも。 十:「目借時」の雰囲気がでています。 ぼ:何だかペーソスあり、おかしみあり。 香:のんびり眠い感じがよくでてる。)

●紙のない会議蛙の目借時=資料官
○十、ラ△虹、村、水、紅、久=9点
(十:紙もなければ、最近は椅子も無く立ったままの会議も。ラ:紙のない会議、いかにも現代的。 虹:紙をいじることもできず。 村:紙になれた世代人としてはなんか不安な心理。 水:ディスプレイを見て手を動かさないと、、、。 紅:これからの会議は紙も不要なんでしょうね。いたずら書きなんてできませんね。)

●五時限目の古文蛙の目借時=資料官
○ぶ、久△葱、清、修、村、し=9点
(ぶ:有無を言わせぬ的確さ。 葱:蛙の目借時、を全部入れた努力を買います。 清:古文の時間が五時間目にあると確かに眠い。 修:数三、物理ただ眠かった。 村:高校時代の古文教師をすっと思い出させてもらいました。 し:うわ〜眠くて耐えられないやつですね。)

●新聞に切り抜きの穴目借時=ラスカル
◎ぶ○清、雪△葱、修=9点
(ぶ:俳句って面白いなぁって思わせる俳句。 清:ぼっと切り抜いていると思わず必要な所も切り取って仕舞う。 葱:新聞を開いてみたら切り抜きの穴、怒る気にもならず何か間の抜けた感情が湧き起こりますね。 修:何を読んだのやら、その感じが穴によく表現されています。)

●怪し火にしっぽのありて春の闇=しゃが
◎裕○秋△秀、久、ぼ=8点
(裕:怪し火は狸? 秋:炎をしっぽと見立てたところが妙。 秀:怪し火だから、あり得ます。 ぼ:そんな時代もありました。)

●怪文書に国滞る霾ぐもり=十五
◎茶△葱、十、清、ラ、ま=8点
(茶:困ったもんだの国会運営。「霾ぐもり」は季節ものですが、こちらは年中ですね。 葱:この国の政治に心底嫌気がさしてきました。 十:政治の世界はなんでもあり、というのが怖いですね。 清:怪文書と言うよりも改ざん文書だろうがはっきりさせないと信用がた落ち。 ラ:現代世相を鋭く風刺。 ま:本当にどうなっているのでしょうね!)

●出口なきメビウスの帯目借時=清一
◎久○水、し△や=8点
(水:ゆらりゆらり揺られて気持ちよくなった瞬間櫂が長くなった。 し:メビウスの帯が面白い取り合わせだと思います! や:円も楕円も永久の回転。)

●夕暮の谷の怪しさ赤楝蛇(やまかがし)=砂太
○修、喋、香△紅、ぶ=8点
(修:暮れてゆく山はこわい。実感です。 香:やまかがし、写真を見るとホントにこわそうな赤ですね。紅:逢魔が時の景が見えるようです。「やまかがし」ってこんな字を書くのですね、勉強になりました。 ぶ:蛇に縁のある私には外せませんでした。)

●怪童と呼ばれし男夏の雲=十志夫 
◎淳○村△雪=6点
(村:西鉄ライオンズの中西太しかいないなあ。)  

●怪腕の投げしボールに風光る=メゴチ
◎清○虹△香=6点
(清:大谷の活躍は素晴らしい怪腕に風光るがぴったり填まる佳句。 虹:うちの坊主の目指す ところ。 香:大谷くんのボールだ。「ボールや」だとどうですか?)

●白日傘うごめく妖怪ロードかな=十志夫
◎ラ○資△香=6点
(ラ:「うごめく」という一語が利いています。 資:境港あたりの風景か。うごめく白日傘が怪しげでもある。 香:お天気よくて、明るい妖怪ロードですね。)

●めかり時襖の虎の目が動く=秋波
○メ、ス△水、雪=6点
(水:あるかも。)

●怪しげな屋台のメニュー夏は来ぬ=秀子
○砂△葱、十、ぶ=5点
(葱:夏は来ぬ、がベストかどうか?夏はものが腐りやすいので衛生面にご注意! 十:怪しげなところがまた魅力でもありますね。 ぶ:作者も怪しい。)

●朧夜や怪しきバーのシネラリア=ぼくる
◎や○茶=5点
(や:怪しと言えば酒の混濁。 茶:「シネラリア」知らなんだ(笑)。BAR好きの自分としてはこんなお店はぜひ一度です。)

●怪獣たちの棲む島へ漕ぐ月朧=しゃが
○ス△秀、水、ぼ=5点
(秀:ジェラシックパーク!!! 水:絵本の一ページのよう。 ぼ:ファンタジー、可愛い怪獣が居そう。)

●鏡中のものの怪目覚む朧の夜=水音
○秀、雪△し=5点
(秀:「鏡中」とは上手い! 雪:朧夜ならではの幻想の世界。ぞくっと感あり。 し:怖〜いですね。)

●山桜怪しき夢の枕辺に=五六二三斎
◎子○修=5点
(修:まるで能を観ているようです。)

●怪気炎あぐる一団街おぼろ=紅椿
○五△村、裕=4点
(五:春おぼろの飲み会か?老人たちの怪気炎か?元気な老人たち! 村:周りは迷惑きわまりないがそうなりたい気分納得。 裕:最近の世相を詠まれているようです。)

●怪獣の二足歩行や春満月=雪絵
○秀、紅=4点
(秀:ゴジラ? 紅:影絵のような怪獣が見えてきました。)

●怪腕のはふる白球樟若葉=まさこ
△資、砂、雪、ぶ=4点
(資:草野球をイメージ。楠若葉が瑞々しい。 雪:今思い浮かぶのは大谷選手ですね。 ぶ:季語が効いていて爽やか。)

●歳時記の朱き書込み目借時=十志夫
○清△や、メ=4点
(清:歳時記の朱き書き込みが詠者の俳句に対する思い入れの表れだが同時に眠くなるときでもある。 や:一時ありし気の迷いなど。)

●父さんが怪獣になるピクニック=虹魚
△葱、ま、淳、秋=4点
(葱:こんな時は子供がヒーロー役! ま:かわいいし、楽しくておもわずにっこりです。 秋:はしゃぐお父さんの姿が見えるよう。)

●花束は猫ほど重く目借時=秀子
○ラ△ぶ、ス=4点
(ラ:猫ほどなら、それほど重くない感じ。 ぶ:もしかしたら退職された方の句かなと思った。)

●ゆく春や永遠に怪しきふたりなり=葱男
○子△資、五=4点
(五:怪しきふたり?そう思われて良いではないか?堂々と生きよ!)

●夢覚ますスマホの地鳴り目借り時=香久夜
△清、ラ、秋、し=4点
(清:詠者は何か夢想していてスマホの地鳴りで目が覚めた。 ラ:「地鳴り」という大袈裟な表現が可笑しい。 秋:あるある! し:気持ちいい夢が一気に覚めます。)

●青葉若葉一山色を得て怪し=砂太
○淳△ま=3点
(ま:色を得て怪し、と表現がお見事です。)

●阿蘇からの妖怪忍び萌える木々=喋九厘
◎秋=3点
(秋:噴火にも地震にもめげず芽吹く木々。自然の逞しさとスケールを感じます。)

●オカリナのかえるの合唱目借時=修一
○喋△ラ=3点
(ラ:具体的な曲名を挙げている点がよいと思います。)

●朧夜や「天井桟敷」の怪演談=清一
◎し=3点
(清:「天井桟敷」は故寺山修司の劇団名。 し:実際に舞台を観たかった。劇団創立時のメンバー募集の広告が「怪優奇優侏儒巨人美少女等募集」だったそうで、まさに兼題怪にぴったりの句材ですね!!)

●怪人の声ろうろうと春の闇=紅椿
○葱△子=3点
(葱:二十面相ですね。)

●怪僧の遺しし文や目借時=茶輪子
△子、秀、メ=3点
(秀: 怪僧と言えば、ラスプーチン?弓削の道鏡?)

●怪童の行く末思ふ夏隣=白馬
△十、砂、淳=3点
(十:怪童は尾崎、怪物は江川と松坂。神童と言われた私も今年は古稀となります(笑))

●七人が決闘やめる目借時=水音
◎喋=3点

●花咲くや林檎怪人ぞぞぞぞぞ=喋九厘
◎虹=3点
(虹:何だかよくわからない句だが「ぞぞぞぞぞ」に憑依されて特選。)

●「ひばり」でも聴くか蛙の目借時=ぼくる
◎砂=3点

●目借時突然妻にどやされて=白馬
◎ぼ=3点
(ぼ:浮気の妄想にでも浸っていたか、いとおかし。)

●目借時汀を泳ぐヌートリア=修一
○ま△し=3点
(ま:ヌートリアが季語にぴったりです。 し:とぼけた顔でかわいいのに特定外来生物なんですね。)

●丘の上の怪人集ふ春の夜=メゴチ
○五=2点
(五:丘の上に集う怪人たち!同窓会を思わせる。)

●おぼろ月笹揺れ匂う怪し夜=秋波
○子=2点

●三回忌母と目が合う目借時=裕
○淳=2点

●散髪の済みぬ蛙の目借時=十五
△十、修=2点
(十:雰囲気伝わります。 修:この気持ちよさ、リラックス感伝わりました。)

●素の我やだらりとろりと目借時=ぼくる
○茶=2点
(茶:中七の措辞でいただきました。)

●二上がりの調子合わない目借時=裕
○ぼ=2点
(ぼ:古風で、艶っぽい目借時だ。)

●葱坊主怪人二十面相か=ぶせふ
△葱、喋=2点
(葱:私への挨拶句としていただきました。(^。^))

●ほんたうのワタシ蛙の目借時=ぶせふ
△紅、メ=2点
(紅::想像が膨らみます。)

●見比べるピザ屋のチラシ目借時=紅椿
△十、茶=2点
(十:斬新な取り合わせで感心しました。 茶:季語との取り合せは微妙かなと思いましたが、頼むわけでもないのについ見比べてしまいます。)

●物の怪に手を振っている春の暮=裕
○砂=2点

●物の怪の消えたるそこに蝌蚪の国=清一
○裕=2点
(裕:物の怪の正体は「蝌蚪?」)

●磯遊びラグーンの中の怪魚かな=メゴチ
△修=1点
(修:童心に還ったよう。)

●怪魚なり幼子叫ぶ磯遊び=久郎兎
△秋=1点
(秋:子どもにとってはどんな魚も怪魚。喜んでるのか怖がってるのか。それを見ている大人はきっと面白がってる。)

●怪人の微笑む客間春の闇=虹魚
△裕=1点
(裕:どんな客間?)

●谺するオカリナの音目借時=修一
△資=1点

●躑躅の背怪獣のリュックひょこひょこと=香久夜
△久=1点

●積ん読の月刊誌殖ゆ目借時=十五
△茶=1点
(茶:積読なら購読をやめてはと自身思いながらも。目ではなく、手を借りたい(笑))

●手からスマホ滑り落つる目借時=資料官
△修=1点
(修:この破調が内容にぴったり。)

●花水木しげって爽快妖怪ロード=秋波
△修=1点
(修:遊び心がすばらしい。)

●春の日に蛙の目見つめにらめっこ=淳一
△修=1点
(修:この余裕楽しいです。)

●人妻と出会ふ蛙の目借時=やんま
△虹=1点
(虹:となりの芝生。)

●やはらかな陽射しの包む目借り時=五六二三斎
△淳=1点

●ランチ時半ば蛙の目借時=久郎兎 △五=1点
(五:最近、昼ご飯を食べると眠くてしょうがない。皆さんも同じ悩みを持たれているのか?)

●龍神の瀧へ出る径轟きぬ=やんま
△子=1点
(葱:「怪の径の怪!」


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