*B部門入選作発表*


兼題『運動会』『漢字:空』=全92投句(入選61句)

【特選】

一席
●紙相撲病児四人の運動会=秋波


◎ま、香○資、雪、水、し、茶△遊、朱、ス=19点
(ま:そういう子らもいますね。みんな頑張っていて明るい。みんなが元気に大人になってほしい。。  香:想像しただけでも心打たれます。 茶:本当は外でめいいっぱい体を動かしたい。だから、せめて。救済の詠ですね。  資:紙相撲から運動会へ発想を飛ばすのは見事。 雪:早く良くなれ! し:こういう運動会応援したいです。 遊:先生や親の立場か、思い出なのだろうか…リアル。 水:ちょっと寂しいけれど楽しい運動会。 朱:病院内の子供に視点を持って来ると言う意外性とその子供達の表情まで見えるなと思いました。)


二席
●野分あと手紙をひらくやうに空=ラスカル


◎智、村、虹、ス○葱、十△清、喋=18点
(智:手紙をひらくってどんな風に‥分からないけど惹かれました。 虹:比喩が切なくもただ美しいばかり。葱:台風のあとの空が開けた様子を、上手い比喩ですね! 村:比喩が新鮮。十:中7の比喩が秀逸。 清:野分のあとの空の表現としてはユニーク。)


三席
●秋空を傾け騎馬戦崩れけり=十志夫

 
◎や、朱○裕、秋、ぼ△智、ラ、資=15点
(朱:人が傾くではなく空が傾くとは上手い一句ですね。 や:男子の本懐ここに果たせり。 裕:騎馬が崩れる感じを騎乗の人が見ているのが面白いです。 秋:騎馬戦の勢いや歓声まで感じられる。 ぼ:巧みに兼題二つ詠み込み、迫力あり。 智:騎馬の上から見た空。勇壮ですね。 ラ:「秋空を傾け」に迫力が感じられますが、類句があるかも。 資:実質的にお題二つをカバー。)


【入選】

●かりがねや空似のひとと行き違ふ=葱男
◎秋○智、遊、五、茶△資、朱=13点
(秋:誰だと思ったのかな。季語もいい。 智:世の中には自分に似た人が三人居ると言う‥。  遊:よくある風景ではあるが、季語のあっせんによって緊迫感と滑稽味が増していると思う。 茶:区別がつきにくい雁音との取り合せに成功していると思います。  朱:「空似の人」が良いですね。秋の澄んだ空の高さと空虚な日常の一瞬を説明的でなく上手く取り合わせた一句だと思いました。)

●木通の実ことりと空を離れたる=智雪
◎雪、茶○ラ、ス△十、し=12点
(雪:木通を?いだ瞬間でしょうか。「空を離れる」という表現に惹かれました。「ことり」もまたいい。 茶:メルヘンというか幻想的というか。禅味さえ感じられます。 ラ:「空を離れたる」というレトリックが巧み。 十:「空を離れたる」の措辞が秀逸。 し:ことりと空を離れたるというのが詩的ですね。)

●空つぽの折箱たたむ十三夜=ラスカル
◎子○清、紅△ま、ス、喋、五=11点
(清:月見も終わりまた使う折り箱を畳む。 紅:賑わいの後の寂しさのようなものを感じます。 ま: 折り箱入りのお弁当、懐かしい。たたんで持ち帰るのでしょうか。何気ない作法でいっそう月が美しく感じられます。)

●虚空より地に突き刺さる曼珠沙華=葱男
◎紅、水、ぼ△清=10点
(紅:葉のない、曼珠沙華ならではのお句。確かに突き刺さっているように見えます。 水:地から生えているものとばかり思っていました。 ぼ:深遠にして、鮮やか。 清:天界の花の彼岸花、自ずから悪行を避ける。)

●群とんぼ空にとどまる無音かな=十志夫
◎遊○メ△葱、村、虹、清、ぼ=10点
(遊:音のないことを強調してトンボの生態が浮き上がっていて見事だと思った。 葱:羽音は風に消えるのでしょうか? 村:よく見る景を素直に。 清:いつの間にか空に集まる赤とんぼの様子。 ぼ:自然への畏敬を感じる。)  

●尼寺の空を明るく柿花火=まさこ
◎し○資、雪△始=8点
(し:柿花火、とても素敵な表現ですね! 資:柿花火のある美しい風景。 雪:初めて知った季語です。でもすぐ想像できました。)

●空手着の空気裂く音そぞろ寒=雪絵
○十、村△紅、メ、し=7点
(十:息遣いや掛け声までが聞こえてくるよう。 村:中七の描写に実感あり。 紅:真剣さが伝わってきます。 し:間近でみると聞こえるんでしょうね。空気裂くというのがすごい!)

●層をなす空に海あり鰯雲=遊歩
○メ、香△子、智、十=7点
(香:秋になった日、一日で雲が変わりました。 智:漣波のような鰯雲が上手く表現されていると思いました。 十:細かい目線からの写生句。「海あり」と「鰯雲」との関連性が眼目なのでしょうが、やや付き過ぎかも。「秋の雲」くらいがいいのでは。)

●天空の裏側へ消ゆ鬼やんま=やんま
◎久○虹、水=7点
(虹:天にはもう一つの世界があるらしい。 水:確かに、たしかに。ふっといなくなりますもんね。)

●ひとーつふたーつ紅白の玉秋空へ=ぼくる
○清、修△十、朱、ス=7点
(清:運動会の玉入れと秋空の様子が良く描けている。 修:臨場感あり。秋空へのへがいいです! 十:句が横書きだと「音引き」が分かりにくいが、リズムがあって素直な句。 朱:懐かしい運動会の情景が一瞬で蘇る一句。玉入れと言う競技の素朴な優しさがとても上手く表現された句だと思います。)

●足結ぶ紐のはつ恋運動会=茶輪子
○ま△葱、十、遊、喋、ぼ=7点
(ま:そんな初恋は思い出深いですね。 葱:実話ですか?? 十:胸キュンの思い出。 遊:胸が酸っぱくなったw ぼ:おお、可愛いや!)

●ゆく秋の空からつぽの宝箱=まさこ
◎喋、清△智=7点
(清:冬隣の空が澄み渡っている様子を上手く表現。 智:雲一つない青く高い空なのでしょうか‥実りの季節、行事も済んで、後は冬支度ですね。)

●運動会沁みる帽子のゴムの味=香久夜
○や、虹△秋、茶=6点
(や:歯を食いしばり全力健闘。 虹:どこまでも懐かしいしょっぱさ。  秋:汗吸ってしょっぱいんですよね。覚えがあります。  茶:沁みるのは思い出か汗か。象徴的なアイテムのそのまた部分への焦点にいただきました。)

●ゴール切る子のコマ送り運動会=智雪
◎十○紅△や=6点
(十:ビデオを家族みんなで見ているのでしょうね。「コマ送り」がほほえましい。紅:1等だったのですね。ビデオに撮って、家でみんなで鑑賞しているのでしょうか。会話が聞こえるようです。 や:我が子我が孫なんで可愛い。)

●サーカスのありし空き地や虫すだく=雪絵
○や、久△メ、水=6点
(や:華やぎあれば侘しさもあり。)

●空高し覚えられない英単語=水音
◎五△村、修、秋=6点
(村:現下の入試問題と関わりなく学生の永遠の悩みかも。 修:分かる分かる!カンボジアの地名が覚えられないです。 秋:上をみればキリがない。)

●綱引の父の雄叫び運動会=まさこ
◎裕○ぼ△清=6点
(裕:今年自分がこうでした。 ぼ:父権回復のチャンスだ。 清:綱引きになると元気になる親父いるいる。)

●人の子の真面目に転ぶ運動会=砂太
○智、村△葱、修=6点
(智:真面目に転ぶが微笑ましい。老女も真面目に転びます。 葱:あれは恥ずかしい、ごまかしようもなく、神妙な顔に。 村:我が子は上手にそれを避けたか? 修:運動会の微笑ましいところ。これが仕事だとね?)

●運動会沁みる帽子のゴムの味=香久夜
○や、虹△秋=5点
(や:歯を食いしばり全力健闘。 虹:どこまでも懐かしいしょっぱさ。 秋:汗吸ってしょっぱいんですよね。覚えがあります。)

●運動会見下ろしてゐる天守閣=ぼくる
○五△ラ、紅、雪=5点
(ラ:下五の展開に意外性あり。 紅:逆転の発想が面白いです。)

●君ゆきし遥けき空や初紅葉=ぼくる
◎修○喋=5点
(修:初紅葉が二人をつなぐ心のようで、身にしみます。)

●空海の即身成仏蓮は実に=清一
○子、朱△香=5点
(朱:季語の成功した一句ではないでしょうか。)

●五輪音頭ブルマ姿の運動会=資料官
○久、喋△香=5点
(香:昔の写真、みんなブルマでした。)

●爺ちゃんの背筋が伸びて運動会=やんま
○ラ△葱、ま、雪=5点
(ラ:若い頃は、陸上部の選手だったのかも♪ 葱:じいちゃんの張り切りようが見えます。 ま:本人よりもお爺ちゃんが緊張しているかもしれませんね、微笑ましい景がありありとみえます。)

●空へ空へと登る階段銀河澄む=清一
◎始△村、ま=5点
(村:田中裕明の階段のなしへの対句のような。 ま:この外階段はどこでしょう、マンションか。。夜の空気がとても気持ち良いです。)

●チョコレートコスモス友情は絵空事=朱河
◎ラ○ス=5点
(ラ:単なるコスモスではなく「チョコレートコスモス」なので、「絵空事」に説得力が感じられます。)

●赤とんぼ群れて虚空の隙間縫ふ=清一
○裕、し=4点
(裕:横浜ではなかなか見られません。 し:虚空の隙間縫ふというのがかっこいい!)

●秋雨や空車ランプの温かき=秋波
◎メ△葱=4点
(探しているときに、ホッとする色。)

●言ふこともなくなってゆく秋の空=遊歩
○葱△子、久=4点
(葱:見とれていて、声も亡くなる。)

●ゼッケンを縫ひ付ける母運動会=葱男
○修△資、始=4点
(修:ああ深き母の情。 資:昔懐かしい風景。)

●日の目見る古書の全集秋の空=スライトリ・マッド
○ま△ぼ、五=4点
(ま:フリマか虫干しか、いずれにしても秋空のもとに出されてよかった。 ぼ:何だかほっとする。)

●運動会吾子見失うファインダー=香久夜
△虹、裕、雪=3点
(裕:子供が幼少の頃を思い出します。)

●空席の端より埋まり菊の花=紅椿
○朱△十=3点
(朱:これは葬儀の場面と私は勝手に想像しました。省略の効いた上手い一句だと思います。 十:端が好きなのは人間の性(さが)。)

●ぐつしよりとてるてる坊主運動会=雪絵
◎資=3点
(資:てるてる坊主に願いを託す気持ちがよく伝わってくる。)

●セカイノオワリ空蝉を棄てにゆく=朱河
◎葱=3点
(葱:ポエムですね!)

●天国と地獄流るる運動会=スライトリ・マッド
○遊△や=3点
(遊:本当にそうでした・・でも句にされると異次元の世界まで見える。 や:違和感も無く赤勝て白勝て。)

●フライング気にせぬ子らや運動会=裕
○始△水=3点
(水:おおらかな子どもたちですね。)

●杜鵑草そこだけ低い空の下=智雪
△十、久、修=3点
(十:「そこだけ低い」に納得。「空の下」は兼題だが説明的になったかも。 修:いつの間にか小人になっている!)

●空き部屋に蒼き月夜のただよへり=十志夫
△虹、し=2点
(し:月夜のただようという表現に惹かれました。)

●雨戸繰りて後の秋思ぞ雲の空=砂太
○秋=2点
(秋:何やら不安な気配。)

●裏方を嘆く我が子の川中島=久郎兎
○香=2点
(香:小さい子が上に乗るらしいですよ。)

●大声で孫に手をふり運動会=修一
○始=2点

●シウマイ弁当頬張る運動会=資料官
△ラ、十=2点
(ラ:神奈川県名物ですね。同じ県民として一票! 十:「おにぎり」や「海苔巻き」とせずに「シウマイ弁当」というところがリアルです。)

●城巡る空堀遺構鵙高音=十五
△や、水=2点
(や:人を見下し高見の見物。)

●てるてる坊主逆さに吊るす運動会=しゃが
△メ、秋=2点
(秋:こんな子もいる。)

●ドン・キホーテの尽きぬ空想無月の夜=しゃが
○子=2点

●野分あとかなしきまでに高き高き空=スライトリ・マッド
△葱、紅=2点
(葱:「高き高き」のリフレインに深い悲しみがある。 紅:下五の字余りは故意なのか、ミスなのか分かりませんが、台風一過の空はいつも何事もなかったように青く高いです。)

●秋風や横目でにらむ猫の顔=始祖鳥
△久=1点

●憧れて見て居る秋の虹の空=砂太
△子=1点

●雨混じる運動会に救急車=五六二三斎
△村=1点
(村:炎天下ではよくあるがさて転倒重傷か、と。)

●運動会睦まじくある国旗かな=虹魚
△裕=1点
(裕:世界もこうであってほしいものです。)

●競技終へダンスの笑顔運動会=修一
△裕=1点
(裕:フォークダンスが楽しかったことを思い出しました。)

●この人の鼻の高さや秋の空=やんま
△遊=1点
(遊:ユニークだけど、愛憎ドラマもそこはかとなく漂っている。)

● 弧を描くゴールポストへ空高し=五六二三斎
△香=1点
(香:ラグビー興奮しました。少しルールがわかってきました。)

●鷹渡る日本シリーズ果てし空=水音
△五=1点

●溜めつくり掛け声一気綱を引く=秋波
△茶=1点
(茶:よくできた標語のような調子。調子がいいです。)

●鉄棒に傘ぶら下がり運動会=紅椿
△十=1点
(十:午前中の雨が上がったのでしょうね。景が見える。「ぶら下がり」は「ぶら下がる」(連体形)として「運動会」に繋げたほうがいいかも。)

●晩秋の雲どんみりと天つ空=十五
△茶=1点
(茶:「どんより」ではなく「どんみり」!にいただきました。)


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