*B部門入選作発表*


兼題『季語:天の川』『漢字:番』=全78投句(入選60句)

【特選】

一席
●天の川土偶の尻の丸々と=ラスカル


◎や○清、ぼ、雪、水△ま、虹、茶、紅、し=16点
(や:宇宙の中の人の営みが愛しい。 清:縄文土器の土偶はみな尻が丸く大きい。天の川の明かりに照らされた土偶が浮かぶ。 ぼ:大らかな縄文人が浮かびます。天の川が見守る。 ま:縄文時代の女性とさらにはるかかなたの天の川とが、尻の丸々とでなまなましく響き合います。 茶:着眼点が面白いと思いました。「丸々と」のイメージの着地は浮かびづらいですが。 紅:取り合わせの妙でしょうか。 し:取り合わせが不思議で面白いです。)


二席
●キャンプファイア消えて銀河の溢れけり=裕


◎虹、秀、雪○砂△葱、淳、水=14点
(虹:音の静まりまで描かれた秀句。 秀:この発想は面白いと思いました。 葱:学生のころに行った無人島でのキャンプを想い起こしました。 雪:こんな場所に遭遇したい気持ちですね。)


三席
●天の川五線の音符を追ふごとく=秋波


◎清、資、し○虹△久、メ=13点
(清:天の川は恰も夜空に描いた楽譜のようだ。天の川を漂う音符スケールの大きな佳句。 し:天の川の星が音符に見えるなんて素敵ですね。 虹:ロマンティック。中八は惜しいが4拍子であるならば。)


三席
●月落ちてゴビより銀河立上がる=ぼくる


◎砂、裕○や△ま、茶、葱、秋、し=13点
(や:広大で且つ乾燥した気層を通して見える銀河とは。きっと怖くなる。 ま:行ったことがないのですが、ゴビでは月が落ちてから、銀河が見えるのですね。壮大な景でしょう!  裕:壮大な世界ですね。 茶:「落ち」「立」の世界観が蕪村のようです。「銀河立」の景は広大な砂漠ならではですね。 葱:こちらは海ではなく砂漠に立ち上がる銀河、すごいだろうなあ〜〜! 秋:砂漠の向こうの圧倒的な天の川。見てみたい。 し:ゴビの銀河を見た人しか作れない句ですね。)


【入選】

●貼り紙と猫が店番運動会=紅椿
◎ラ、メ○や、裕△十、久=12点
(ラ:可愛い〜♪ 愛猫家としては外せません! や:人は出払っているがこの町に泥棒さんはいない。 裕:こういうお店が最近無いような…。 十:「孫の組体操を見に運動会に行っています」とでも書いてあるのでしょう。)

●秋霖やきしむ手足の蝶番=十志夫
◎紅○虹、裕、水△ラ、雪=11点
(紅:手足の関節を「蝶番」と表したところが手柄だと思います。季語も効いていますね。 虹:関節を蝶番に見立てた俳諧味。 裕:季節が変わるといろいろと不具合が出ますよね。 ラ:手足にも蝶番があるとは、びっくり〜!)

●漆黒の海突き抜けて天の川=しゃが
◎ぼ○淳、資△五=8点
(ぼ:シンプルで力強い句。勢いを買います。)

●番号で呼ばる受付秋暑し=やんま
◎久○茶、秋△子=8点
(茶:季語がしっくりきました。長い待ち時間の上に、さらに無機的に呼ばれるのはなんだかなですね。 秋:これも個人情報保護のため。何やら味気ない気もするのですが。)

●天の川幼馴染と橋の上=修一
○淳、し△ラ、ぼ、裕=7点
(し:何気ない光景に天の川の印象が強く残ります。 ラ:類句があるかもしれませんが、ほのぼのとした気分になります。 ぼ:オトナの恋がほの見える。 裕:都会ではなかなかない光景ですが。)

●使ひ切る人生のあり天の川=清一
◎香○茶△砂、紅=7点
(香:薬も最小限にして痛みに耐え、自分に厳しくされてたので、あれだけの活動ができたのだろう。 清:樹木希林を悼む。 茶:追悼句はいくつかありましたが、人物像をよく捉え表していらっしゃると思いました。 紅:最後まで自分らしく生きた方でしたね〜(合掌))

●トワ・エ・モワのジャケット古りし天の川=雪絵
○十、ラ、葱△ぼ=7点
(十:「貴方と私(トワ・エ・モワ)」を分かつ天の川。その曲は、「いまはもう秋♪」 あたりかな? ラ:トワ・エ・モワ、大好きでした♪ 葱:トワエモアは「あなたと私」という意味。天の川にイメージを重ねると本当にロマンチック! ぼ:この歌知らないのに聴きたくなった。)

●ひそやかに天の川へと糸電話=まさこ
◎五○清△や、し=7点
(清:天の川銀河に高等生物がいて通信している様子のパロディ化が面白い。 や:何を語りどんな返事が聞けるのか。 し:イメージがとてもメルヘンチック。)

●交番の屋根の鋭角小鳥くる=雪絵
○砂△ま、茶、五、資=6点
(ま: とんがり屋根の交番には小鳥が来そうですね。 茶:「交番」が効いていると思います。ただ季語は選択の余地もあるかと。)

●月の座に元番長の来てゐたり=ラスカル
○葱、秀、紅=6点
(葱:まんまと策にはまりました! 頭で作っているんだろうけど心和みます。 秀:番長との再会が月の座だとは、なんか、暗示的な気がする。 紅:番長さんも年を重ね、月をめでる人になったのですね。)

●番犬の声に躓く十七夜=白馬
◎水○メ△し=6点
(し:声に躓くというのがびっくりした感じが良くでていていいです。)

●老いらくの恋は秘むべし天の川=ぼくる
◎秋△久、淳=5点
(秋:隠しきれないのも恋。)

●鈴虫のBGMと留守番す=清一
○子、五△雪=5点
(雪:今年は虫の音あまり聞いてないような。)

●早も来て番の鴨の月に寝る=砂太
◎茶○ぼ=5点
(茶:「月に寝る」風情、兼題を「つがい」とお使いになられた点、水墨画のような古典的な句風に。 ぼ:下五が何とも いいね。鴨になりたい。(笑))

●ホテルのロビー銀漢の匂ひして=秀子
◎葱○久=5点
(葱:この感覚! 真似できない素敵な感性!)

●家々の蝶番飛ぶ月今宵=修一
○ま△ラ、秀=4点
(ま:不思議な句で、魅かれました。満月の夜にはおこりそう。 ラ:蝶番が飛ぶという発想が斬新。 秀:シュールな景色しか浮かばないんですが、そのシュールさが気に入った。)

●色変へぬ松や番犬注意書=紅椿
○五△虹、ラ=4点
(ラ:取り合わせが面白いです。)

●男と女分かつ番台ちちろ虫=十志夫
○雪、し=4点
(し:ちちろ虫におかし味があっていいですね。)

●銀漢や五輪記念の古銀貨=資料官
◎十△水=4点
(十:銀漢と銀貨という音の共鳴。また「五輪」と天空とが合うのは、1964年の空に自衛隊の航空機によって描かれた五輪マークの記憶のため。)

●銀漢やト音記号に螺旋形=ラスカル
○メ△清、秀=4点
(清:ト音記号が宇宙空間では螺旋形となって横たわっている表現が面白い。 秀:銀漢と螺旋形はよく響きあう。)

●番小屋の朽ちた扉や秋の昼=秋波
◎淳△や=4点
(や:やがて時期が来れば当番の人で賑わう。)

●分骨を終へて故郷の天の川=清一
○資△淳、秋=4点

●一陣の風に出番や猫じゃらし=やんま
◎子=3点

●木の実踏んでふんで銀河を近くする=砂太
◎ま=3点
(ま:踏んでふんで、と畳み掛けるリズムが気持ち良い。そうやって人生を重ねて、と私は解釈しました。)

●希林さん死んで番の秋の蝶=秀子
○香△砂=3点
(香:ロックンローラーとの関係には、すごく関心あります。)

●さわさわと瀬音星音天の川=茶輪子
△秀、香、メ=3点
(秀:リズムが心地よい。 香:星音が聞こえるようです。)

●離れ業決める番の蜻蛉かな=しゃが
△紅、香、五=3点
(紅:青空が見えてきました。確かに「離れ業」ですね。 香:番ということばをつかえばいいんだ。)

●陽だまりを浴び番ひ合ふ秋の蝶=五六二三斎
△子、秋、資=3点
(秋:猛暑、災害続きの日本列島。早くこんな穏やかな秋になって欲しい。)

●また逝けど未だ溢れぬ天の川=虹魚
○香△メ=3点
(香:希林さんも逝ってしまいました。)

●闇雲に暗証番号秋扇=水音
○紅△葱=3点
(紅:ATMでの一場面でしょうか。後ろに列ができると、益々あせる。よく分かります。 葱:面白い! 「秋扇」が笑えます!)

●天の川ナビは踏切予告する=秋波
△十、水=2点
(十:最近のナビの進歩ですね。遮断機の開閉までは教えてくれないのでしょうね?)

●天の川へその緒は綿に包まれ=まさこ
△清、資=2点
(清:語順が一見逆のような気もするが、これでへその緒が天の川に包まれているようだ。)

●一枚のトランプを待ち天の川=裕
○十=2点
(十:ポーカーの一齣。あのカードが来れば必ず勝てる・・・ハラハラドキドキ。その願いを遮るように天の川が横たわる。)

●この夏は赤き一番星のファン=香久夜
○秋=2点
(秋:よくわからないけど面白いと感じました。)

●背番号24付け来る野分=五六二三斎
○秀=2点
(秀:台風24号を、背番号で表したところが面白い。 )

●父母と孫の再会天の川=五六二三斎
△砂、裕=2点
(裕:織姫彦星が、父母と孫ということでしょうか。)

●番長は花屋のせがれ運動会=葱男
○ま=2点
(ま:皆、家族が、家がありますものね。花屋さんついでいたりして!)

●輪番の溝攫ひ来し秋暑し=茶輪子
○久=2点

●秋暑しホームの端のゼロ番線=資料官
△清=1点
(清:ゼロ番線が奥にある京都駅を描いたような句である。確かにそこまで行くのが秋暑だ。)

●温かき番茶の香り天の川=修一
△虹=1点

●天の川エゴを宇宙の塵とせん=ぶせふ
△裕=1点
(裕:誰のエゴだろう。)

●天の川そのまた向こう黄泉の河=白馬
△香=1点
(香:奥が深いです。想像力がすごい。)

●天の川まだ青春を止めずゐる=やんま
△雪=1点

●天の川われらまさしく宇宙人=水音
△子=1点

●海猫のこゑ身に入む番屋ヤン衆部屋=葱男
△ぼ=1点
(ぼ:旅情たっぷり。)

●水平線の裏へ豊かに天の河=砂太
△葱=1点
(葱:大景が美しい!)

●番台の左に秋気溢れをり=虹魚
△十=1点
(十:面白い視点。但し「番台の左に秋気」だと作者は番台の上に居ることになるが・・・。)

●フルーツの香りのリップ天の川=紅椿
△や=1点
(や:人間だから仰ぐ天の川。)

●モンローをまねて5番や流れ星=雪絵
○子=1点


B部門入選作〈back number〉

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