*B部門入選作発表*
兼題『季語:蝙蝠』『漢字:知』=全81投句(入選59句)
【特選】
一席
●蝙蝠が漆黒の風曳いて来る=ラスカル
◎メ、紅、し○清、十、村、ま△虹、葱、ぼ、秀、資=22点
(し:イメージが素敵だと思いました。 紅:兼題「蝙蝠」には苦労しましたが、こんな素敵な句を作られるなんて!「漆黒の風」に工夫が見られます。 清:漆黒の風曳いて来るの措辞が良い。 十:中7が秀逸。 村:心象句でしょうが季語が効いている。 ま:蝙蝠の雰囲気をうまく表現されていますね。 虹:群れなすコウモリの不気味さ。 葱:下五の修辞。 ぼ:なるほど、そう言われれば、そうだ。)
二席
●蝙蝠の眼下に空の深さかな=虹魚
◎香、玻○清、ぶ、久△メ=13点
(香:蝙蝠の眼になると、こうなるのですね。 清:眼下に空の深さとのことで逆さになっていることを暗に示している。 ぶ:俳句好きならこその自由を楽しませていただきました。 久:逆さであることの表現が素晴らしいです。)
三席
●かはほりや逆さに戻す砂時計=清一
○虹、十、雪、茶、喋△村、香=12点
(虹:逆さの醍醐味。 十:夕暮れという一日の終り。蝙蝠のぶら下がる姿とも呼応する。 雪:蝙蝠とくれば逆さのイメージ、砂時計の発想が面白いです。 村:取り合せにユーモアが。 茶:蝙蝠と逆さの共通性に「砂時計」をもってくるとは。発見ですね。 香:砂時計は逆さでOK。)
三席
●梅雨明けや知育玩具に歯形跡=秀子
◎砂○や、葱、茶△ラ、ぶ、紅=12点
(や:玩具を捨てて外へ飛び出す。 葱:「歯形跡」が発見。 茶:これからが楽しみ。取り合せにいただきました。 ラ:類句はありそうですが、「知育玩具」という言葉の発見に一票! ぶ:写生句の手本ですね。 紅:なんでも口に入れる幼子、こうして成長していくのですよね。)
【入選】
●蝙蝠や昭和に焦土ありし頃=十志夫
◎喋○ぶ△葱、秀、久、資、し、白=11点
(ぶ:遅れてきた世代ではありますが、昭和人間です。 葱:子供のころにはもっと町中に蝙蝠がたくさん飛んでいたような? 何を食ってんだろ? し:蝙蝠がという季語がとても合っていると思います。
白:8月になると思う戦争の爪痕。)
●蝙蝠やをんなの止まぬ立ち話=十五
◎久○裕、玻△や、子、水、ま=11点
(久:夕飯後で街灯下の風景でしょうね。 裕:蝙蝠も笑っているのか、呆れているのか・・・。 や:次から次へ話題が脱線。 水:夕暮れ時に空を見ると蝙蝠がさかんに飛び回っている。その時間にも立ち話とは。 ま:そうなんですいつまでも止まらない!ちょっと可笑しく、蝙蝠がきいています。)
●かはほりやお寺の自動鐘つき機=紅椿
◎ラ○喋、水△葱、ぼ、ま=10点
(ラ:そんな物があるとは! 現代ですね〜! 水:音も死に絶えたような夕暮れ時、人もいないのにお寺の鐘が鳴り、蝙蝠がバサバサと飛ぶ。わが家の近所の寺町の光景だ。葱:ご時世ですね。 ぼ:お寺も近代化。かはほりも住みにくくなるねえ。 ま:自動鐘つき機とかはほりの意外なおもしろさに魅かれました。)
●かはほりや缶蹴りの子らいつまでも=ぼくる
◎裕○や、久△ぶ、ま、玻=10点
(裕:や:木造家屋に隙間あちこち。 久:遅くまで遊んでいて初めて見たとき何が飛んでるんだろうかと思いましたね。 ぶ:本当にそうでしたねぇ〜。 ま:昔、日が暮れるまでやっていました、あの空にはかはほりが居たのかもしれません。)
●公園の錆びた汽罐車蚊喰鳥=資料官
◎や○秀、喋△清、砂、村=10点
(や:遊ぶ子少ない少子化の公園。 清:古びた交通公園の汽罐車それと蝙蝠の対比が面白い。 村:物をしっかり描写して季語で場所も想像出来る。)
●知恵の輪の丸と三角大暑かな=やんま
◎虹○秀、資△久、裕、水=10点
(虹:視点が少年のよう。 資:頭の方が熱くなる感じがする。 裕:知恵の輪で暑さが増幅します。)
●知らぬこと知らぬがままに合歓の花=雪絵
◎子、ま△砂、喋、香=9点
(ま:はっとしました。その通りですね。一読魅かれました。合歓の花も良いですね。 香:知らないままに生きてきました。)
●蝙蝠の舞ふ空がある無人駅=砂太
◎雪○資、し△茶=8点
(雪:中七の表現が好きです。人も生き物も住みにくい世の中になりました。 資:広い無人駅,早い時間に終列車が出て蝙蝠の天下。 し:取り合えあせがとても良いと思います。 茶:至る所に「空」は必ず…。その存在を席題に上手く繋げています。)
●無知の知を生きて白寿の生身魂=十志夫
◎資、秋△清、紅=8点
(資:上五の無知の知が見事。 清:知識より知恵を習得した白寿の老人。 紅:説得力がありますね、 尊敬します。)
●夕凪や疼き始める親知らず=紅椿
◎秀○雪、水△葱=8点
(水:夕凪の耐え難い暑さといったら。その上歯痛と来たら! 雪:夕凪が却って疼きを気づかせているような。旨い季語の使い方ですね。 葱:季語とのいい距離感。)
●かはほりの影の飛び交ふ残土かな=十志夫
◎白○ラ△裕、玻=7点
(白: 被災地の夕。しみじみと被災者の方々のご苦労を思う。 ラ:「残土」がとてもリアルです。 裕:思い出の場所に何か建つんですかね。)
●蝙蝠の歯の鋭さや火星喰ふ=水音
◎清○ラ、香=7点
(清:最接近した火星を喰ふとは今だからこそ言える佳句。 ラ:スケールの大きな発想に惹かれます。 香:火星も大接近でした。)
●認知症だつて恋する夕の虹=紅椿
◎ぼ○砂、メ=7点
(ぼ:いいね! 人生は恋だ。)
●未知に会ふをさなの瞳貝風鈴=水音
◎十○砂△雪、紅=7点
(十:幼な子にとっては全てが未知なるもの。貝風鈴の形も音もまた。 雪:おさな子の純粋さと好奇心、いつまでも持ち続けたいですが・・。 紅:キラキラした表情が見えてきますね。)
●夕暮れの空掻き回す蚊喰鳥=雪絵
○ぼ、十△虹、葱、秋=7点
(ぼ:情景描写がしっかりしています。 十:飛び交う蝙蝠はまさに「空をかき回す」がごとき。 虹:「掻き回す」が面白い。 葱:乱舞する様子が上手く表現されている。)
●風鈴や知らぬを知りて栞紐=秋波
◎ぶ○メ△=6点
(ぶ:巧すぎるとおもうけど、女性の作品だと思うので傑作だと思います!)
●島の夜の匂ひ深まる蚊喰鳥=まさこ
△や、葱、メ、水、秋=5点
(や: 淋しさ払う一人の旅路。 葱:人工灯の少ない島の夕べ。 水:暑さを煮詰めたような匂い?)
●散ることを知らぬ虚しさ水中花=清一
○紅、秋△秀=5点
(紅:まさに好みです! 五木さんの「細雪」を思わず歌ってしまいました。)
●岩清水酌みて吾ただ足るを知る=葱男
○子△白、秋=4点
(白: 喉に沁み入る喜び。)
●かはほりや彼の人酒に連れ逝かれ=玻璃
◎葱△茶=4点
(葱:小さい頃暗くなるまで缶蹴りしていました。 私の未来を暗示している。 茶:化身と見るか、死神とするか。黄昏時はしみじみとします。)
●蝙蝠の住処に幾夜耐えた子ら=香久夜
○し、白=4点
(し:タイムリーな句ですね。本当に奇跡でした。 白:全員救出されて良かったですね。)
●蝙蝠のミイラ貼り付く室外機=ラスカル
○葱、ぼ=4点
(葱:ぎょえ〜〜!! ぼ:写実的で、クールな句。)
●蝙蝠やランプぬらりと洋館に=茶輪子
△葱、ぼ、ラ、十=4点
(葱:「ぬらり」がなんとも夏の宵。 ぼ:ドラキュラも現れそう。 ラ:「ぬらり」というオノマトペが、蝙蝠にぴったり。 十:ぬらり、がいい。)
●西瓜割り頓知の亡父懐ひけり=十五
◎茶△久=4点
(茶:夏の風物詩と頓知、忘れずに残したいものです。)
●物知りの突如寡黙にはたた神=ぶせふ
○ま△清、砂=4点
(ま:ちょっと可笑しみもあり、寡黙がよいですね。 清:物知りも意外な場面で臆病だったりする。)
●旧道の暗きトンネル蚊喰鳥=資料官
○村△や=3点
(村:付きすぎだが無理ない現実感に共感。 や: 餓鬼大将ら肝試しする。)
●蝙蝠のよぎりし月のクルスかな=ぼくる
○裕△し=3点
(裕:ドラキュラですね。 し:月のクルスというのが印象的です。)
●蝙蝠や水辺に揺らぐ葦の影=秋波
◎村=3点
(村:しっかり描写され素直で俳句の型が決っている。)
●かはほりの舞や振り子のイレギュラー=茶輪子
○白=2点
(白: 言いえて妙。)
●蝙蝠と大南窟でにらみ合い=喋九厘
○香=2点
(喋:宝満山にある修験の窟。 香:地元でもあまり知らなかったな。)
●蝙蝠の独りの闇を抱きかかふ=しゃが
○虹=2点
(虹:火星の赤黒い光。吸血鬼の噛みついた痕。)
●蝙蝠は銀の湖飛ぶ午後七時=水音
△子、ぶ=2点
(ぶ:実景なんだろうけど、不思議な世界だと思いました。)
●蝙蝠やマングローブの香を残し=入鈴
△葱、茶=2点
(葱:もしかして、アジアの「コウモリ料理」? 茶:蝙蝠は超音波で、人は嗅覚で、見えない存在を探るのですね。)
●蝙蝠を咥へて猫の戻り来る=ラスカル
○秋=2点
●澄むほどに青く涼しき付知川=ぶせふ
○子=2点
●梅雨明けや採用通知待つ娘=裕
△葱、雪=2点
(葱:受かるといいですね。 雪:きっと良い知らせが来たことでしょう!)
●連れだつは先輩空に蚊喰鳥=砂太
○玻=2点
●蝮酒になること知らぬ蝮かな=裕
○紅=2点
(紅:楽しいお句ですね、大好きです。)
●マンモスの甦へる知恵書を曝す=しゃが
○水=2点
(水:曝書というは知的な作業。)
●青蜥蜴尾を忘れても知らぬ貌=清一
△ぶ=1点
(ぶ:面白い。青蜥蜴が呆けてる。)
●赤富士や目前よぎる蚊食鳥=裕
△喋=1点
●ありがとう休み知らずの扇風機=メゴチ
△紅=1点
(紅:本当に、クーラーと扇風機にはお礼を言いたいです。)
●カステラ冷やし蝙蝠のロゴを見る=久郎兎
△資=1点
(資:祖父が好きだった福砂屋。冷えたカステラ,幸せな風景。)
●かはほりと屋根裏部屋をシェアしたる=葱男
△ラ=1点
(ラ:やや散文的ですが、発想が面白い。)
●熊?や古道をたどる知の巨人=葱男
△白=1点
(白:熊楠博士の追悼。)
●暮れ方の坂をハミング蚊喰鳥=十五
△メ=1点
●蝙蝠の気儘な円弧外灯下=久郎兎
△し=1点
(し:気儘な円弧がいいですね。)
●蝙蝠の羽根や超音波探知機=香久夜
△十=1点
(十:こうもりに「超音波」はピタリくる。言葉の面白さ。)
●蝙蝠や奈落の底のオフィーリア=秋波
△雪=1点
(雪:イメージがぴったりはまった感じです。)
●蝙蝠や夕んべ哀しき京の辻=やんま
△葱=1点
(葱:「夕んべ」が上手い!)
●苔庭の一隅の涼足るを知る=久郎兎
△香=1点
(香:涼しげな一句。)
●この暑さいつからこんな知らぬ間に=淳一
△子=1点
●島々を見晴らす灯台蚊喰鳥=まさこ
△虹=1点
(虹:アングルがいい。)
●知恵あればここまで落ちず夕涼み=淳一
△村=1点
(村:季語からさほどの悲愴感なく。)
●転居して眺めし空の蚊喰鳥=雪絵
△裕=1点
(裕:転居するとあるあるという光景です。)
B部門入選作〈back number〉
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