*B部門入選作発表*
兼題『季語:山椒の芽』『漢字:頭』=全84投句(入選45句)
【特選】
一席
●蝌蚪の国覗く毬栗頭かな=ラスカル
◎紅、雪、ス○資、遊、ま、五、喋、朱△し=22点
(紅:昭和の子供たちですね。懐かしく読ませていただきました。 雪:近頃は坊主頭も少なくなりました。子供は好奇心の塊。 朱:「蝌蚪の国」とした事で少年の強い好奇心が伝わる佳句。 資:毬栗頭なんて昭和な光景がなつかしい。 遊:令和にはもう絶滅している風景でしょう。特選に頂きたかった。 ま:なつかしい景ですね、そんな子がいたような。 し:毬栗頭がちょっと昔っぽくてノスタルジックですね。)
二席
●風船に頭突きしてゐる反抗期=ラスカル
◎資、し○十、紅、雪、入△朱=15点
(資:お孫さんの可愛い光景でしょうか。 し:風船に頭突きが可愛すぎる〜。 十:今回、同じような句を自分でも作ったので納得。 紅:風船と反抗期の取り合わせが新鮮でした。 雪:何にでも八つ当たりしたくなる反抗期でしょうか。でも風船はいい!朱:なんとも幼い反抗期の可愛らしさが上手く詠めている一句。)
三席
●おぼろ夜や夫の頭に棲む他人=紅椿
◎葱、砂○虹、遊、し△清、水、ぼ、ま=14点
(葱:普通なんだけどサスペンス。ある時、女が般若に変わることもある恐怖、あな、恐ろしや!! 虹:ゆゆしき事実。 し:表現が独特で面白いです!! 遊:昼メロにもなりそうでありながら、気品がある。 清:何となく二重人格的な夫、朧夜の幻想か。 ぼ:おぼろ夜だから深刻ではない。ゆとりを感じさせ、おかしみあり。 ま:病気のせいか、否かいずれにしても、自分の知っている夫とは違う人がゐる。おぼろ夜が効いていますね。)
三席
●囀やマザー・グースの頭韻詩=しゃが
◎水○秀、清、茶、朱△ラ、ス、修=14点
(水:頭韻の心地良いリズムと囀りの明るい感じが呼応していて気持ちが良いです。 朱:音に注目した作品の面白さ。 秀:マザーグースをよく思いつかれました。 清:頭韻詩は音楽的な雰囲気を醸し出すから囀りの季語と良く合う。 茶:「頭韻詩」をもってきた点にいただきました。 ラ:「頭韻詩」が言葉としてこなれていませんが、取り合わせとしてはよいと思います。)
【入選】
●飛竜頭を煮る母九十六の春=まさこ
◎虹、遊○ラ、香、ス△し=13点
(虹:厳かなる長寿の美しさ。 ラ:96歳のお母様に敬意を表して。 遊:ひりょうずが読めたとき大好物なのでさぞかし美味しいだろうと唾が出ました。 香:すばらしいですね。お元気に台所に立っていらっしゃる。大したものです。 し:兼題の「頭」が素敵な句になりましたね。)
●一頭の初蝶一頭の牛の背に=十志夫
◎秀、香○葱、秋△遊、喋、朱=13点
(秀:上手い!平明で分かりやすく句の姿も美しい。 葱:上手すぎるのが玉に瑕。 遊:技巧と写生が見事なコラボ。 香:蝶々の数え方は、一頭なんですね。まるで毎年対馬にいるような。朱:大小の景色の対比。しかも双方が春らしい。)
●叩かれし頬の記憶や山椒の芽=葱男
◎村、ま○メ、雪△砂、茶=12点
(村:眼前の山椒と過去の記憶が鋭く繋がっている。 ま:覚えがあります!山椒の香りとともに思い出されるんでしょうね。 雪:経験はありませんが苦い思い出ですね。 茶:ひりりと苦い思い出ですね。)
●饅頭に城の焼き印花吹雪=ラスカル
○砂、村△十、虹、紅、資、五、修、喋、朱=12点
(村:城下の花祭の賑やかさが浮かぶ。 十:城の焼き印に対する季語の「花吹雪」がピタリ合っている。 紅:景が浮かびました。 朱:饅頭の焼き印は面白い注目…だけど花吹雪なのか?という事も思う。もう少し違う季語がありそうに思った。)
●サーファーの崩す春日の波頭=まさこ
◎朱○村、し△葱、雪、香=10点
(朱:清々しい若々しい印象。春の波の動き、そこにサーファーを持ってくるダイナミックさをとても新鮮に感じた。 し:カッコいいですね!!波頭が上手い。 葱:春の光が波にはじけて、サザンオールスターズの曲がバックに流れているようです。 村:勢いのある景が見える。 香:波が光ってますね。)
●擂鉢を支ふる役目山椒の芽=雪絵
◎十○ま△葱、紅、メ、秋=9点
(十:ほのぼのとした母娘の厨での様子が浮かびます。 ま:大きなすり鉢を支えているうちに、木の芽和えが美味しそうに出来上がりました。良い香りが〜。 葱:子供の頃から母の料理を横から見て手伝うのが好きでした。 紅:子供の頃を思い出しました。)
●おぼろ夜や指輪の裏の頭文字=紅椿
○十、メ△秀、葱、喋、茶=8点
(秀:季語が動くような。 十:いろいろなドラマを想像させる句。 葱:結婚したころのバニラの香りに包まれた永遠の時も、気がつけば「あれから40年!」 水:結婚指輪を見て何を思っているんでしょうか。しっとりと思い出に浸っている感じでしょうか。 茶:経年のため擦り切れた文字。でも、それは静かな喜びでもある。)
●山頭火分け入る山の青さかな=白馬
◎喋○紅△十、子、ま=8点
(紅:山頭火の「分け入つても」の句、好きなのです。後ろ姿が見えるようです。 十:山頭火の句をうまく取り入れて一句に仕上げている。 ま:山頭火の句を踏まえての青さですね。)
●大試験了へて空への頭突きかな=十志夫
○葱、水△紅、村、し、茶=8点
(葱:面白い! 若さって無謀だけど気持ちいいですね。 水:解放感のなせる業ですよね。 紅:きっとうまくいったのでしょうね。 村:さて上手くいったのか、そうではなさそう。 し:やりきった清々しい気持が良く出ています!! 茶:拳ではなく頭突き(笑)大試験にしっくりきました。)
●浦道を抜くる汐風山椒の芽=十五
◎ぼ○虹△水、ま=7点
(ぼ:出来過ぎの感あるも、いかにも ザ・ハイク! 虹:汐風と山椒の芽の取り合わせがいい。 水:島の春。 ま:風に乗って山椒の香りもして気持ち良い景が見えます。)
●クラス会禿頭会となる花見=十五
◎ラ、清△砂=7点
(ラ:あはは☆ 抜群の面白さで頂き! 還暦を越えてクラス会をやると大概こんなものだよね。)
●紙テープ濡れゐる埠頭水温む=葱男
◎メ△十、五、ス=6点
(十:祭のあとのような趣き。「濡れゐる」と「水温む」がやや即く感じ。)
●寿司桶の錦糸卵に山椒の芽=資料官
○砂、ぼ△ラ、遊=6点
(ラ:黄色と緑色の対比が美しく、印象鮮明。 遊:目にも脳にもおいしそう〜。 ぼ:色彩、香り、味、三拍子揃った和食の美。)
●大阿蘇の木の芽田楽囲む宿=資料官
○子, 修△香=5点
(香:元気な阿蘇山が見えます。)
●山椒の芽きらりと光る糸切り歯=秀子
○五△清、資、ぼ=5点
(清:ピリリとした山椒の芽にきらりと光る歯の組み合わせが良い。 ぼ:ピリッとした色気あり。)
●一品はすぐに出てきて芽山椒=紅椿
○ぼ△十、資=4点
(ぼ:いい酒ももちろん! 十:居酒屋あたりでのあるある俳句ですね。 資:とにかくまず一品!)
●九頭龍の口より出づる春の水=スライトリ・マッド
○清△秀、五=4点
(想像上の龍だが、口も九つあるから大量の春の水が出そうだ。 秀:この季語は動かない。どの季節でもいいような感じだけど、やはり、春の水。)
●手仕事の丸き小鉢に山椒の芽=虹魚
◎茶△子=4点
(茶:丸き小鉢が効いています。山椒の存在感ですね。)
●何も無し全て離して山椒の芽=白馬
◎子△入=4点
●乳頭の山湯に浸かり春を見る=喋九厘
○香△メ、ぼ=4点
(香:乳頭温泉、嬉しそうですね。 ぼ:いかにも気持よさそう。)
●水温む頭領の声柔らかく=白馬
△清、メ、雪、香=4点
(清:いつもはだみ声の頭領の声も水温む季節には柔らかく聞こえそうだ。)
●強面が赤子に破顔山椒の芽=秋波
○資△葱=3点
(葱:案外と人は見かけによらぬもの。)
●シシ神の頭ころがる花明り=遊歩
○秀△虹=3点
(秀:もののけ姫だったんですね。スマホ検索しないとわからない言葉は、どうかなと思うんですが、この句はとても詩的だったので、いただきました。)
●のどけしや頭上に遊ぶ鳶の笛=雪絵
○入△遊=3点
(遊:鳥好きな私には外せない一句。鳶の声をまた聞きたかったのです。)
●呑み交はす娘婿との木の芽和=十志夫
◎秋=3点
●春雨や「頭の体操」一つ解く=虹魚
○茶△入=3点
(茶:クイズを体操一つと置き換えた。頭がいいです。)
●芽山椒故郷の飯にどつさりと=五六二三斎
◎入=3点
●街頭の署名活動鳥雲に=雪絵
○ラ=2点
(ラ:「鳥雲に」という季語がよく利いています。)
●ご馳走は土饅頭なり花の昼=水音
△秀、ラ=2点
(秀:子供のおままごと。でも、キツネに騙されているような不思議な雰囲気も。 ラ:ぜひ、ご相伴したいです♪)
●山椒の芽揚羽の子等の舐め尽くす=資料官
○修=2点
●白隠の鬼味噌無邪気山椒の芽=しゃが
○子=2点
●春めきし赤頭巾ちやん食べられて=スライトリ・マッド
△子、朱=2点
(朱:面白いのだけれど「春めきし」が弱く感じる惜しい作品かと。思いきった攻める季語の方が面白いかも。)
●家移りの荷に祖父の文机木の芽和=スライトリ・マッド
△水、秋=2点
●一頭の紋白蝶の知る対馬=五六二三斎
△葱=1点
(葱:対島に固有種の蝶か?)
●頭垂る白木蓮のさやうなら=茶輪子
△朱=1点
(朱:下五の意外性と詩情の儚さ。)
●山椒の赤き芽やがて若葉色=修一
△秋=1点
●山椒の芽今宵の酒は生一本=ぼくる
△修=1点
●重箱の巻頭飾る芽山椒=葱男
△雪=1点
●先頭に勇姿を見たり帰る雁=メゴチ
△遊=1点
(遊:先頭はやはり勇気や統率力がいるんだなって、この句で知りました。)
●踏青やまだ見ぬ嶺を山頭火=清一
△砂=1点
●仏頭の眠る湖月おぼろ=秀子
△ス=1点
●冒頭は”ベサメ・ムーチョ”や芽立時=しゃが
△入=1点
●丸飯台鯛の頭はいつも父=香久夜
△朱=1点
(朱:鯛の季語に父の威厳を持ってきて成功した面白い一句)
●芽山椒ニュータウン奥迷ひ来て=入鈴
△ス=1点
●芽山椒や静かに交はす小盃=朱河
△虹=1点
【選外】
●おぼろ夜の理科室に在る頭蓋骨=玻璃
◎五、修○水△村=9点
(修:アイヌの人の人骨事件を思い出しました。 水:頭蓋骨は本物の人骨だったというニュースがありましたね。朧夜には何かが起こりそうです。 村:無気味さを教室の外にいて感じたか。)
●こころにも穴あいてゐる山椒の芽=玻璃
○喋、秋=4点
●誰にとも向けぬ怒りや山椒の芽=玻璃
△朱=1点
(朱:山椒のスパイシーな薫りと怒りの取り合わせの妙。)
※今月の玻璃さんの投句は、大森理恵さんの推敲句であると判断し、私の責任で選外とさせていただきました。
俳壇に於いて、師の推敲による弟子の句の著作権については意見が分かれるところです。
詳しくは編集後記をお読みください。
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