*B部門入選作発表*
兼題『季語:囮籠』『漢字:筆』=全75投句(入選51句)
【特選】
一席
●便箋に残る筆圧秋の雨=十志夫
◎や、虹、雪△白、紅、裕、メ=13点
(や:思いの丈をここにぶつけし。 虹:この鋭き視点、さすが! 雪:便箋をよく使われる方の句でしょうか。何とも言えない小さな気づきですね。白:一生懸命書いた手紙。 紅:どんな内容だったか、想像が膨らみます。 裕:思いのたけを便箋にぶつけているのですか?)
二席
●筆順の分からぬ文字や木の実落つ=白馬
◎久、水○虹△清、ま、香、メ=12点
(水:木の実の転がる軌跡と筆順を考える脳内の軌跡絡み合う。 虹:どんな筆順でも形にはなる。 清:歳を取るほど筆順などは忘れて仕舞う記憶も木の実が落ちるように剥がれて行く。 ま:漢字かと思ったのですが、外国の文字でしょうか。いろいろの文字を見るようになりました。 香:筆順、気になりますよね。がっかりした感じが。)
三席
●セルロイドの頃の筆箱色鳥来=雪絵
◎清、砂○秀△十、葱、水=11点
(清:セルロイドの筆箱幼い頃を思い出す昭和の風景色鳥も教室の外で沢山鳴いていた秀句。 秀:懐かしい景色です。 十:懐かしい。象が乗っても壊れない♪ 葱:懐かしい! 水:素朴な昔の筆箱を思い出し色鳥が一層鮮やかに。)
【入選】
●囮かご一本道の途切れたる=紅椿
○雪△十、秀、ラ、ぼ、修、砂、ま、五=10点
(十:けものみちにはありがち。さてどうしたものか? 秀:一本道も途切れるような淋しいところに仕掛けるんですね。 ラ:一本道がクローズアップされて見えてくるような感じがします。 ぼ:仕掛けに行く途上か。臨場感あり。 ま: この後の不穏な感じが巧く表現されていると思います。)
●虫の声薄墨の筆震えたり=裕
◎子、メ○資△久、し=10点
(資:虫の声と震えに相通じるものがあり共感。 し:虫の声の後にくる情景にどきっとします。)
●柿たわわ絵筆の先の夕日色=紅椿
○十、子、し、メ△資、雪=10点
(十:柿から手元の筆に移りゆく視線の動きがいい。 し:色のイメージがふくらみます。 資:柿と夕陽の彩りの組み合わせが鮮やか。)
●深秋や頬へふうわり化粧筆=まさこ
◎裕○ラ、し、水=9点
(裕:深秋と頬へふうわりの対照が面白いです。 ラ:「山粧ふ」という季語と通じ合います。 し:なにか心待ちにしていることがありそうな。。。 水:深秋の無彩色へほんのり紅を掃く対比が綺麗。)
●機上より一筆書の秋の川=入鈴
◎修、五○清=8点
(修:とても大きな景、気持ちのいい句。 清:機上からから見ると正にこんな風に見えるだろう佳句。)
●指先の回す鉛筆いわし雲=裕
○清、修、砂△紅、雪=8点
(清:詠者は絵画の下書きをしているような一句鰯雲の下絵を今まさに描こうとしている。 修:ああ遠い少年時代! 紅:上五の「の」がいいです。)
●団栗や一筆箋にみすゞの詩=清一
◎ラ○ぼ△虹、五=7点
(ラ:金子みすゞの詩、大好きです! ぼ:いかにも心やさしい句。団栗でだめ押し。)
●筆が立つをとこは寡黙濁り酒=資料官
○白、ぼ△や、清、砂=7点
(白:武士のひとりごと。 ぼ:おお、かっこいい! 好みです。 や:文の力で何を申さん。 清:書道を究めている人で饒舌な人には会ったことがない。皆寡黙だ濁り酒が合う。)
●一筆の濃き新婚の賀状かな=砂太
○修、裕△白、茶=6点
(白:若さが漲る賀状。 裕:二人の門出の力強さですね。 修:寿ぐ以外なしです。 茶:「濃き」はそのような心象なのだと思い、いただきました。)
●囮籠壊れて残る納屋の棚=砂太
◎白○五△雪=6点
(白:昔々の思い出彷彿。)
●囮籠スマホの写真指でひらく=まさこ
◎十、葱=6点
(葱:みんな、まんまとスマホの虜になってしまいました(//∇//) 十:ガラケーの身には、実に不思議です。季語がピタリ決まっている。)
●囮鳴く遠き青空見上げつつ=ぼくる
◎秀○ラ△砂=6点
(秀:囮の鳥の健気さ、悲しみ。 ラ:若山牧水の短歌「白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ」を思い出しました。)
●秋霖や不一の文字の筆かすれ=十志夫
○香△茶、資、虹、裕=6点
(茶:「不一」でさらに「かすれ」。秋の長雨は微妙ですね。 資:筆かすれが良い。 裕:何か言い足りないのですね。)
●筆止めて頬杖となる秋燈=やんま
○十、紅、メ=6点
(十:心の動きの流れ方が巧み。まさに秋思。 紅:秋らしいお句。省略が効いていると思います。季語はもっと飛んだ方が良かったかな?と思いました。)
●松茸の香の残りたる一筆箋=ラスカル
◎ま△清、白、裕=6点
(ま:とにかく良い香り、そして、美味しかったでしょうね。 清:松茸の贈り物とは余程の相手だろうが、その香りを添えて一筆認められている。 白:食べずに傍に置いといた。裕:ちょっと贅沢な一筆箋ですね。)
●鉛筆の削れぬ子等や秋祭=裕
○砂、久△や=5点
(や:電動グッズ爺は苦手に。)
●囮籠置いて人影なき山河=秀子
◎淳○資=5点
(淳:情景が浮かびます。)
●木漏れ日や囮の鳥のよく唄ふ=やんま
○秀△紅、ま、淳=5点
(秀:「囮鳴く遠き青空見上げつつ」ととても似ていて迷ったのですが、「見上げる」と「唄う」の違いで。 紅:音も含めて、景がよく見えるお句です。 ま:よく唄うだけに切ないですね。)
●桃食ふや絶筆なんぞほど遠く=ぼくる
◎紅○葱=5点
(紅:創作意欲満々で、力強いですね。季語が効いていると思います。 葱:可笑しみがありますね、桃がいい。)
●代筆もはや八年目おけら鳴く=紅椿
◎茶○ま=5点
(茶:老齢の父母か介護の必要な近親かは分かりませんが、「代筆」と「おけら」の存在価値を思いました。 ま:八年は短くない年月です、いろいろ歴史があるのでしょうね。おけらが巧いですね。)
●秋寒し一筆箋に走り書き=資料官
○や、雪=4点
(や:言わねばならぬ事を一言。)
●達筆の席札嬉し秋の宴=メゴチ
○や△淳、香=4点
(や:心づくしの祝いの宴席。)
●花すすき赤んぼの髪筆となる=葱男
◎香△茶=4点
(香:花すすきのひらがな表記が、赤んぼの髪とよく合っていると思いました。 茶:下五の「となる」が、事情が不明瞭な気がしましたが、取り合せでいただきました。)
●筆擱けば闇を深むる虫音かな=清一
◎し△香=4点
(し:闇を深むる虫音に心打たれました。)
●筆先の白き短冊秋ともし=茶輪子
◎資△子=4点
(資:筆先の緊張感をうまく表現している)
●筆使ひ少し荒目に秋の雲=雪絵
○子、ま=4点
(ま:荒目に、は珍しい。そこに気持ちがうまく現れていますね。)
●筆箱に楓の一葉納めけり=虹魚
○淳△ラ、水=4点
(ラ:可愛い〜♪ 水:綺麗な紅葉はつい拾いたくなりますね。)
●筆不精詫びて届けり柿一枝=やんま
○茶△資、淳=4点
(茶:筆まめよりこちらの方が洒落てますね。 資:お詫びに一枝というのがなんとなく滑稽で面白い。)
●校正の赤鉛筆や紅葉散る=水音
○久△や=3点
(や:見直す数だけ誤字と脱字と。)
●しばらくはのたうちまはる囮かな=虹魚
○白△修=3点
(白:かわいそうな囮鮎。)
●自筆なる喪中の知らせ長き夜に=久郎兎
◎ぼ=3点
(ぼ:印刷物ではない、自筆に切々たる悲しみを感じます。)
●爽籟や木地のあらはな色鉛筆=ラスカル
○水△し=1点
(水:素朴な色鉛筆が爽やかな景。 し:木地のあらはながいいですね。)
●磔刑の如き小鳥や囮籠=修一
○香△十=3点
(十:磔刑の比喩が言い得ている。 香:残酷な景色。)
●蜻蛉来る散らばつてゐる色鉛筆=水音
△十、子、秀=3点
(十:大花野のような色鉛筆の様子が浮かんできます。 秀:「来る」にちょっと引っ掛かったんですが。)
●ふつつりと鳴き声の止み囮籠=秀子
○茶△五=3点
(茶:「ふつつりと」の擬音が物悲しく、命運を思わせます。)
●秋深し鉛筆転がる音のあり=白馬
△し、メ=2点
(し:この静けさがいいですね。)
●朝ぼらけしじまに囮の声高く=白馬
△修、虹=2点
●囮籠水谷豊のしたり顔=資料官
△葱、ぼ=2点
(葱:「傷だらけの天使」のころが良かった! ぼ:面白い。何となく共感。)
●囮とは知らずに入る囮籠=清一
○紅=2点
(紅:ちょっと切ない。人間にも通じますね。)
●囮皆われは囮と鳴いている=水音
○葱=2点
(葱:それなのに仲間が助けに来て捕まってしまうのが哀しい。)
●三筆や金風わたる比叡山=葱男
○五=2点
●筆舌に尽くし難きは北の秋=香久夜
△久、水=2点
(水:言葉もありません。)
●曼珠沙華 絵筆丸めて咲きにけり=十志夫
○裕=2点
(裕:絵筆丸めて咲きが面白いです。)
●寄り道の落ち葉にあるよ囮かご=久郎兎
○淳=2点
●筆塚の傍らに色変へぬ松=ラスカル
○虹=2点
(虹:迫力さえ感じる映像美。)
●秋草の庭に向かいて筆をとる=修一
△子=1点
●秋声や筆走らせる老詩人=しゃが
△秀=1点
(秀:「老詩人」で、思わずとってしまいました。)
●針金のちとも震へず囮かな=茶輪子
△ラ=1点
(ラ:全く動かない囮の、表現方法が巧みです。)
●鵯鳴いて鉛筆削りと良い勝負=入鈴
△葱=1点
(葱:鵯ってそんな声なんですか^^)
B部門入選作〈back number〉
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