*B部門入選作発表*


兼題『季語:セロリ』『漢字:守』=全73投句(入選56句)

【特選】

一席
●白黒のイタリア映画セロリ噛む=水音


◎十、ぼ、清○葱、秀、紅△ラ、雪=17点
(十:マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンあたりか。セロリが合っている。  ぼ:名画の数々、ほろ苦き哀感があった。確かにセロリと合う。 清:自転車泥棒などの伊の名画を観ながらセロリを噛むとより一層セロリが美味い佳句。 葱:シルバーナ・マンガーノ、、あたりですかね? 秀:どの映画でしょう。 紅:◎に迷いました。オシャレですね〜。 ラ:映画のタイトルを、色々と想像してしまいました。)


二席
●透き通る青き血管セロリ食む=雪絵


◎ま、玻○資△十、清、水=11点

(ま:血管の青とセロリの青さと香りとがすっきりと響きあっています。 玻: 静脈は弱々しいようでいて大変なミッションを抱えている。白い肌に透き通るように浮き上がる血管をセロリと例えているのがなんともいえない共感を誘った。うどやアスパラガスは、セロリに酷似しているように私には思えるのだがやはりここはセロリの透明感には及ばないのである。歯ごたえや見映えからしてもセロリの圧勝である。あのどこか摩訶不思議な味でも圧勝であろう。パクチー程の強烈さでは静脈が尻込みをする。また浄化作用としても強すぎるだろう。やはりセロリだ!!と楽しく鑑賞しました。セロリ食む。昔、それを詠ったことがある。セロリを食むと生き返るような気がするという句意だった。自身の弱々しい生命力を感じることも時にある。そんな時はやはりセロリである。 十:前半は類型的ですが、セロリがピタリと。 清:病身の詠者にセロリを噛む音が妙に響く。 水:セロリの筋はとても硬いですもんね。)


二席
●初恋の眼真つすぐセロリの香=十志夫


◎ス○久、入△ぼ、メ、玻、五=11点

(ぼ:正にストレートで気持のよい句。)


【入選】

●熱燗は人肌にして妻の留守=やんま
◎メ、淳○砂△清、資=10点
(淳:一人で何気兼ねすることもなく楽しそうですね。 清:熱燗でちょっぴり孤独を楽しんでいる光景。 資:のんびり命の洗濯。)

●セロリ噛む子にたしかむることありぬ=十五
◎雪、香○入△砂=9点
(雪:簡単な問題ではなさそうな気がしますね〜。 香:強気の子に、なかなか言い出せない迷いでしょうか。)

●セロリ食むキスしてはまたセロリ食む=葱男
○秀、子、玻、五△ラ=9点
(秀:セロリ噛んでキスしてセロリ噛んでキスして。小鳥さんみたい。 ラ:ごちそうさまです〜♪(笑))

●夫の留守今朝の落ち葉の赤きこと=まさこ
○ぼ、葱、ラ、水△紅=9点
(ぼ:どういうこと? 謎があって惹かれる句。 葱:夫が出張かなにかで今晩は泊まりなのだろう、晩御飯の用意も気にせずに済む一日、つかの間与えられた自由な時間に何をしようかと浮き立つ女心の昂ぶりが生き生きと感じられる。 ラ:「赤きこと」が、何やら意味深・・・。 水:景色が鮮やかでなんとすがすがしい朝だこと。 紅:とても共感できました。こちらも〇にしたかったです。)

●歯切れよきタンゴのリズムセロリ噛む=ぼくる
◎資○ス△メ、子、淳、玻=9点
(資:やはりセロリにはカタカナの句が似合うのかな。)

●子守唄めきて枯野に吹く風は=秀子
◎葱、ま○ぼ=8点
(葱:虚無感を日常とする無頼の輩か? なかなかかっこいい! ま:どんな風なのか不思議な感じで、想像してみました、聞いてみたい。 ぼ:おお、子連れ狼 拝一刀 が行く!)

●竹林の奥のざわめき神の留守=ラスカル
○虹、雪△や、ま、紅、五=8点
(虹:某自動車メーカーの騒ぎか。 や:その奥の秘またる世界を覗きたくも。 ま:何やら見えない不穏な感じと季語が合っていて魅かれました。 紅:竹林の奥には何がいるのでしょうね?季語が付かず離れずで、お上手です。)

●琴の音の遠くにありてセロリ噛む=まさこ
◎紅○清△資、子=7点
(紅:和と洋の組み合わせで、とても素敵です。私はセロリに苦しめられましたのに、こんなにお上手にお詠みになるとは! 清:娘が弾いている琴の音を聞きながらセロリをしみじみと噛んでいる風景。)

●立ち尽くす守衛の背に舞ふ枯葉=淳一
◎子○メ△虹、秋=7点

●ベネチアングラスいつぱいセロリ挿す=資料官
○雪、ス△虹、村、玻=7点
(村:軽いおしゃれ句。)

●守るべき矜持有り無しちゃんちゃんこ=やんま
◎入○ま△メ、茶=7点
(ま:矜持とちゃんちゃんこの取り合わせがとてもよいです。守るべきものとは。 茶:何となく鬼太郎のちゃんちゃんこを思い浮かべてしまいました。)

●耳掻の端に梵天木守柿=ラスカル
○秋△や、虹、ま、ス、茶=7点
(秋:机の上に耳掻と柿。たぶんさっきまで耳掻きをしていた?何気ない日常の一コマの切り取り方がうまいと思いました。 や:わが耳掻には鈴が。 ま:冬の午後の穏やかなひと時、梵天と季語がほんわかと響き合っています。 茶: ぽつんと残された木守柿と耳掻の梵天。霊験あらたかなるや。)

●愛おしきセロリとセロリのやうな人=十志夫
◎久○秀△ぼ=6点
(秀:セロリって、詩になりやすい感じぼ:なんだかおかしくて、つい採らされた。)

●神の留守漢方薬を吹き溢す=清一
◎や△秀、雪、水=6点
(や: 気の病には漢方薬が一番。 秀:ちょっと「原因→結果」のにおいはしますが。 水:漢方薬の効き目はいかに。)

●しぐるるや関守石に紐のなき=茶輪子
◎秋○十△葱=6点
(秋:晩秋の空気感や雨に濡れた落ち葉の匂いまで伝わってきそう。 十:「関守石」を調べ、句意をなるほどと理解できました。 葱:「関守石」というものを知りませんでした。)

●守護霊と対で酒酌む炭焼小屋=葱男
○虹、ラ△ぼ、子=6点
(虹:自問自答とはそんな感じ。 ぼ:いいな、こういう酒も。 ラ:守護霊と一緒なら、酔っ払っても大丈夫ですね。)

●走攻守揃ひし妻や雪合戦=葱男
◎村、水=6点
(村:自分よりはるかに運動神経抜群の妻やいかに? 水:展開の意外さが最後まで。脱帽です。)

●伝道の人に居留守や石蕗の花=紅椿
◯清△十、ま、秋、ス=6点
(清:宗教は強制されるものではない、そのことを石蕗の花に同化し凜と構えてい る詠者。 十:我が家でもときどき。「あるある」俳句。 清:宗教は強制されるものではない、そのことを石蕗の花に同化し凜と構えている詠者。 ま:ありますねこういうこと!少しの後ろめたさと石蕗の花がしっくりきます。 秋:悪いなと思いつつやっぱり私も居留守使ってしまうかな。)

●狛犬の雄雄しく見ゆる神の留守=雪絵
○資、香△秋=5点
(資:そういう見方もあるのだと再認識。 香:神の留守をうまく表現してますね。)

●寂然とかつ燦然と木守柿=ぼくる
○メ、香△茶=5点
(香:動詞を使わずに、深い意味を表現しておられる。 茶:漢語の並列はどうかなとは思いましたが、対比の内容がよいと思いました。)

●守君が先に逝くとは雪催=虹魚
◎秀△十、葱=5点
(秀:じんとしました。「守君」も、普通の名前で、それがよかった。 十:名前をどうとるかで評価が二分する。「守君」がいい感じ。 葱:守君という固有名詞が効いている。)

●乳母車セロリ一束のみの客=砂太
◎茶△や=4点
(茶:家計を守る母か、はたまた年金生活者か。一束のセロリがおいしく光ります。 や:この乳母車ひょっとして杖代わり?)

●木守や川向うより打球音=ラスカル
○や、村=4点
(や: 川のこちらには淋しい観戦者が。 村:作者の立ち位置と打球音の位置が目に浮かぶ。)

●夫留守の二泊三日の隙間風=雪絵
◎砂△清=4点
(清:夫の出張、「留守がいい」とのコマーシャルもあったがどこか淋しくもある。)

●年寄りのセロリー薄く細く切り=修一
○久△十、五=4点
(十:確かに少々筋が気になる。納得。)

●友達に食べて貰ひしセロリかな=紅椿
◎ラ△久=4点
(ラ:セロリが苦手なのですね。表現が巧みです。)

●囲炉裡火や酔へば「赤城の子守唄」=ぼくる
○紅△砂=3点
(紅:私も歌ってしまいました。選曲が抜群ですね。(笑))

●畝間からサラダが美味とセロリたち=喋九厘
◎五=3点

●木の葉髪守るべきか攻めるべきか=香久夜
△十、秀、入=3点
(十:歳とともに保守的になってくる。たまには攻めたいもの。 秀:どう読んでも、ポエムはないんですが、おもしろい。けど、人間の愚かさって、突き詰めれば、ポエムかな。)

●スープ煮るルクルーゼよりセロリの香=水音
○玻△資=3点

●セロリ噛む急逝の師を偲びつつ=五六二三斎
○淳△久=3点

●とこしえに遠ざかる星セロリ食む=秀子
◎虹=3点
(虹:宇宙はゆっくり膨張している。それはセロリを齧るほんの一瞬の間にも。)

●二十年経たる再会神の留守=紅椿
○入△水=3点
(水:神の留守?人には言えない関係か。)

●英彦山の秋の神事の火を守る=砂太
○や△香=3点
(や:何かにつけて感謝の念が。 香:守る人がいて続くんですね。)

●星の謎二センチ角のセロリかな=茶輪子
○秋△久=3点
(秋:星の謎とはどんな謎?刻んだセロリをどう使うのかも気になる。)

●頬杖の留守居の夕べ漱石忌=十五
○砂△雪=3点

●雪吊りの守り人ありて歴史あり=メゴチ
○水△香=3点
(水:金沢への挨拶句ですね。 香:毎年の風物詩となるほどに。)

●エコバックよりセロリの葉かほを出す=資料官
○五=2点

●枯蘆の着き場分け入る渡し守=久郎兎
○茶=2点
(茶:景の風情にいただきました。「着き場」を省略したりすれば、もっと良くなるような気も。)

●校章にセロリ遇らふ創立者=五六二三斎
○茶
(茶:創立者のお人柄や思想がうかがえますね。)

●木枯の吹く山揺れる子守唄=五六二三斎
○子=2点

●小坊主のセロリ嫌いや法善寺=やんま
△村、淳=2点
(村:住職の句?おもしろい。)

●しぐるるや式守伊之助うつちやらる=水音
△十、紅=2点
(十:その昔、ありましたね、そんなことが。季語がどうかな? 紅:軍配の差し違いでしょうか?この兼題で、式守伊之助が出てくるとは!)

●シンプルな人生セロリ齧りつつ=秀子
△砂、入=2点

●セロリ噛む藤田嗣治の猫を見て=清一
○村=2点
(村:不思議な取り合せ。)

●悩ましく襞を寄せたるセロリかな=虹魚
○十=2点
(十:襞を寄せる、が秀逸。写生が効いている。)

●待ちぼうけセロリの口にほろ苦く=秋波
○淳=2点

●おいしいよ苦手のセロリ隠しつつ=メゴチ
△淳=1点

●がぶりがぶりせるりを食めば波遥か=入鈴
△ス=1点

●カレー皿セロリ一本横たはる=久郎兎
△ラ=1点 (ラ:カレーとセロリ、意外と合うかも?(笑))

●凶と出づ思はず拝む神の留守=清一
△香=1点
(香:拝んでも神様はお留守。)

●セロリ食ふパリー遠しと思いつつ=砂太
△葱=1点
(葱:憧れの、永遠の都!)


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