*B部門入選作発表*
兼題『季語:書初め』『漢字:金』=全86投句(入選60句)
【特選】
一席
●しんにようのはらひはみだす筆始=十志夫
◎水、雪、喋、し○砂、ぶ、五△や、紅、ま、ス、裕=23点
(水:ひらがなにしたことで書く子と文字の伸びやかな様子が見えます。きっと盛大にはみだしているのでしょう。 雪:堂々とした勢いのある字が見えて来るようです。 し:ひらがな表記にしたのが効いていると思います。 ぶ:平仮名と漢字の絶妙な掛け合いですね。日本人冥利に尽きます。 や:この気合で今年も突破。 紅:元気な書初めですね。 ま:はみだすしんにょうが気持ち良く今年への希望のこもっているような。 裕:あるある ですね。)
二席
●書初や愉快に書けば愉快な字=水音
◎や、秀、葱、資○虹、雪△砂=17点
(や:そうか、書は心なり!であった。 秀:とても素直で愉快。 葱:あはは^0^ 虹:お正月らしい句。 雪:字にもその時の気持ちが表れるんでしょうね。)
二席
●金色に焦がすグラタン冬深し=秀子
◎入○十、紅、茶、修△や、水、ぼ、五、香、し=17点
(十:言われてみれば確かに金色ですね。 紅:「金色」でとても美味しそうになりました。季語もいいです。 茶:アツアツぐつぐつのグラタン!おいしそうです。 や:閉じこもる冬には熱いものが最高。 修:寒いときは当に金。 水:寒い夜に熱々で美味しそう。 ぼ:あつあつで、美味そう! 香:美味しそう。焦げたところが好きです。 し:黄金色のグラタン食べたい!)
【入選】
●金箔打つ木槌の音や雪催=ラスカル
◎香○雪、ぼ、入△清、葱、修=12点
(香:金沢の冬の景色が目に浮かびます。雪:息の詰まるような静寂を感じます。 ぼ:伝統の保持、凛と厳しい職人芸。 清:加賀の金箔が有名だ。雪国金沢に槌の音が響く。 葱:あまりにも「俳句的」な、、。 修:冬の金沢ですね。)
●墨磨れば森の香のして初硯=秀子
◎修、ぼ○葱、し△虹、ラ=12点
(修:ああそういえば森林浴のよう。 ぼ:森の香とは。何とも素敵な詩的飛躍。 葱:湿った匂いから木々の息遣いへ、嗅覚の連想がいいですね。 し:墨独特の香りありますね。森の香り素敵ですね。 虹:墨のナチュラルな匂い。 ラ:「森の香」が魅力的です。)
●ことさらに半紙の白し筆始め=雪絵
◎五○ま、香、久△子、資=11点
(ま:新たな気持ちで向かうとき白さが一際ひきたちますね。 香:年始めの特別感が伝わります。)
●楽器屋に並ぶ金管日脚伸ぶ=雪絵
○秀、ラ、村△十、水、ス、ぶ=10点
(秀:きらきら輝いています。 ラ:まるで、一足早く春を招いてくれるような♪ 村:句材と季語がマッチ。 十:上5、中7までは類句多いかも。「日脚伸ぶ」との取り合わせで戴いた。 水:光が金管楽器にあたって春の予感に。 ぶ:鋭い感性だなぁ〜。)
●冴ゆるかな触れあふ炭の金属音=まさこ
◎ス、秋○水、し=10点
(秋:赤く熾った炭の乾いた音。周囲は無言。その静けさがいい。 水:季語と炭の金属音とが増幅あって更に寒さが増している感じ。 し:私もこの音好きです。)
●どんど火の金色となる刹那かな=ラスカル
◎清○や、葱△紅、村、裕=10点
(清:どんど焼きは無病息災・五穀豊穣を祈願するもの。祈りの力が金色の炎となる。 や:そうそう火には金色になる一瞬がある。 葱:「火」に見入って、魅入られる、新年の敬虔な時間。 紅:金色になる一瞬を見逃さない俳句魂。 村:素直な情景描写。 裕:すごいお札が入っていたんでしょうか?)
●?梅や金色の香をこぼしをり=雪絵
◎ラ○十、裕△清、資=9点
(ラ:蝋梅なら、金の香に納得です♪ 十:香をこぼしけり、の措辞が秀逸です。 裕:春が近づいている感じです。 清:臘梅は梅と違い華やかさがないが厳かな花。金色の香も溢れそうだ。)
●寒明や焦げこそぎ取る金たわし=まさこ
◎十○ぶ△水、茶、秋=8点
(十:季語が活きている。 ぶ:女性だと思うが生活感が響いていると感心しました。 水:もう寒さは要らないとばかりに力を込めて鍋を磨く。春はもうすぐ。 茶:水仕事への腰もちょっとあげようかなという時季ですね。)
●金泥の余白で黙す早春の月=秋波
◎茶○久、裕△メ=8点
(茶:上五から中七への措辞の渡りがいいと思います。「月」への係り受けも妙です。 裕:綺麗な景ですね。)
●金箔の透けて春風生まれたる=水音
◎メ、ぶ△ス、久=8点
(ぶ:なんと詩的で繊細なお句でしょう〜!)
●墨とびに生れし星座や筆始=葱男
◎砂○秋△十、ぶ、入=8点
(十:墨の撥ねが★となったのでしょう。「墨はねて」とした方が分かりやすいかも。 ぶ:子供のころから習字をやっていたので外せませんでした^^)
●染め帯の金泥うすれ夕霧忌=葱男
◎紅△秀、ま、茶、修、砂=8点
(紅:和服好きにはたまらないお句です。季語の斡旋の見事な事! 秀:少し季語をずらした方がよかったかも。 ま:季語とよいしっとりと美しい景です。 茶:きらびやかな貴族の世界のはかない定め。「あはれなるかな」です。 修:小野小町の花の色はうつりにけりな、を思い出しました。)
●寒暁や位牌に金の楷書体=虹魚
◎ま○ス△清=6点
(ま:寒暁と金の楷書体がぴしと胸に飛び込んできました。 清:有名な人の位牌だろうか。背筋がしゃんとする寒暁の季語と合っている。)
●金色に光りて失せぬ冬の蝶=やんま
◎虹○秀△十=6点
(虹:冷たい蝶の軌跡が美しい。 秀:金色に光ってふっと消えるとは、なんと詩的! 十:逆光の中に消えていく冬蝶ですね。)
●金無垢の冬三日月を凶器とす=水音
◎村○メ△喋=6点
(村:三日月の形容の大胆さと下五の心理描写のすごさ。)
●金柑のいよよ明るき寒の空=修一
○紅、喋△秀=5点
(紅:青空の下で、たわわに実っている金柑。近所で見かける風景です、中七がお上手。 秀:金柑は秋の季語なんですよね。ある景色だけど、句としては、無理かもしれません。)
●金婚の愉快夫婦に梅二輪=喋九厘
○清、五△裕=5点
(清:金婚とは目出度いことだ。余程仲良しな夫婦であろう。 裕:長年寄り添った余裕が感じられます。)
●金継のかろき器や福寿草=茶輪子
○水、村△虹=5点
(水:金継の金と福寿草の金、さらに「かろき」で陽だまりのような暖かい感じがします。 村:物を大事にする生活感が。 虹:「かろき」が優し気。)
●古伊万里の金の接ぎ目や冴返る=十志夫
○香△秀、ま、雪=5点
(香:季語の「冴え返る」と、金接ぎが、ぴったり。 秀:季語と「金接ぎ」が響き合っています。 ま:季語に細い金継ぎが映えています。)
●墨の香を乗せて太々筆始め=ぼくる
○子、修△五=5点
(修:たっぷり墨を含んだ太い筆が見えます。)
●先ず空に一筆振つて筆始め=虹魚
◎子○入=5点
●一の字を書いて腕組み筆始め=やんま
○資△砂、村=4点
(村:滅多に筆を使わぬ様か。)
●還暦の覚悟を決めし初硯=裕
○清、秋=4点
(清:還暦とは生まれた時の干支に還ること。これを機会に詠者は心情を筆で表す。 秋:どんな思いなのでしょうか。私は淡々と過ごしてしまいましたが。)
●金色の折紙をまず鬼のツノ=入鈴
○喋△雪、し=4点
(雪:そういえば鬼の角は金色ですね。 し:貴重な金の折紙なのでまずツノですね。)
●金閣の鳳凰突く寒鴉=清一
○子△し、紅=4点
(し:金の鮮やかなイメージと黒の対比がいいですね。 紅:景がはっきり見えました。)
●信金の自転車魂春近し=茶輪子
◎久△喋=4点
●弁当と白金懐炉手渡さる=裕
○資△葱、入=4点
(葱:サラリーマンのペーソスと悲哀に滑稽味が滲みますね^^; 入:ありありと半世紀以上前の朝の景です。)
●若き友悼む手紙が筆始=秋波
○虹、ま=4点
(虹:哀しげだが、温かい。 ま:辛い年初めですね。込められたお気持ちの深さお察しします。)
●書初や最後の跳ねをしくじりぬ=虹魚
○や△香=3点
(や:せっかくここまで良く出来きたのになあ。 香:せっかく上手くいったのに、残念。)
●書初めや小さき願ひまた同じ=メゴチ
△修、秋、久=3点
(修:毎日ご飯が食べられますように、かな。)
●吉書始知らすAI墨香る=スライトリ・マッド
○茶△ラ=3点
(茶:Alexa!これ書いて!というのは無理でしょうね。 ラ:現代風俗を鋭く活写。)
●三歳児正坐厭わぬ吉書かな=十五
◎裕=3点
(裕:三歳児で既に才能が表れているということでしょうか?)
●父と子の金釘流や笹子鳴く=まさこ
△や、葱、資=3点
(や:私の短指は父親譲り、ま、字は何とか読める。 葱:正月の親子の交情があたたかく表現されています。)
●束の間の寒夕焼の金の色=砂太
○メ△喋=3点
●天金の書を開きたる淑気かな=ラスカル
○ぼ△清=3点
(ぼ:バイブルか、そういった類の書。作者の凛然たる佇まいが。 清:天金の書と言えば私は聖書ぐらいしか浮かばないが、このような気分にさせるのだろう。)
●アユタヤに金のブッダや初雀=葱男
○ぶ=2点
(ぶ:寒雀が効いていると思います。にがのだったらと思いました。)
●書き初めや光の大小並びたる=香久夜
○ス=2点
●家庭にも要資金繰りかまど猫=十五
△茶、ぶ=2点
(茶:寒さをじっと耐える感の取り合せがよいと思いました。 ぶ:確かに!しかし、かまど猫はこういう風に使えばいいと教わりました。)
●沙保里の春あまたの金に銀一つ=香久夜
○砂=2点
●初硯亡父の硯にほひ立ち=入鈴
○ラ=2点
(ラ:亡きお父様に対する、深い思いが伝わってきます。)
●お祝ひは八丈島の金目鯛=修一
△村=1点
(村:いかにも生きが良くておいしそう。)
●「おもてなし」とボランティアーの筆初め=裕
△ラ=1点
(ラ:ボランティアに使うのですね。なるほど!)
●書き初めの墨のまだまだ薄過ぎて=香久夜
△メ=1点
●書初の添へたる指の動き出す=十志夫
△ぼ=1点
(ぼ:おお微笑ましい。)
●書初の縦画長き手の震え=久郎兎
△メ=1点
●金の無い男ふらふら小正月=砂太
△子=1点
●寒稽古金を目指して鼻赤し=メゴチ
△子=1点
●寒の水かぶる金栗韋駄天へ=五六二三斎
△久=1点
●金運は無し多忙なり冬帽子=やんま
△秋=1点
●金字塔なりし兜太や冬銀河=清一
△香=1点
●金杯の浮かぶ夜空や淑気満つ=紅椿
△清=1点
(清:大相撲の優勝者の金杯であろうか。心情を表している。)
●大寒を手玉にとりて金目指す=メゴチ
△虹=1点
(虹:「手玉にとる」が愉快。)
●天神のゴールドラッシュ寒の内=五六二三斎
△入=1点
●年玉や信用金庫のポチ袋=資料官
△雪=1点
●床間にたなびく雲や筆始=茶輪子
△十=1点
(十:たなびいているのは墨絵の掛軸の雲でしょうか。正月の静謐が感じられます。)
●初刷やクリムトの金湧くやうに=秀子
△ぼ=1点
(ぼ:初刷りがクリムトとは、粋ですねえ。)
●フリーダカーロの眉一文字筆始め=しゃが
△葱=1点
(葱:子供の書いた元気で野太い「一」の字から「フリーダカーロ」への連想が面白い。)
●平成と太き二文字筆始=資料官
△五=1点
B部門入選作〈back number〉
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