*B部門入選作発表*


兼題『季語:冬帽子』『漢字:三』=全87投句(入選62句)

【特選】

一席
●門番は三日限りの雪だるま=メゴチ


◎砂、ラ、水○雪、朱、し△ス、葱、入=18点
(ラ:なるほど!「三日限り」が巧い。 水:期間限定の門番ですね。 朱:確かに3日ほどで門番引退ですよね。 し:雪だるまの門番がかわいい。三日限りが上手い。私も雪が降ると雪だるまを作らずにはいられません。 葱:「三日」ぐらいがちょうどいいリアリティです。 入:失礼ながら、確かめてないのですが、類句があった様な、でも雪だるまに敬意を表します。)


二席
●写し取る子牛の鼻紋三日朝=スライトリ・マッド


◎十、ま、葱、入○香△喋、裕、し=17点
(十:牛の個認証は「鼻紋」なのか? それとも魚拓みたいな記念品? いずれにしても面白い句。  ま:和牛は子牛のうちに鼻紋をとる、と初めて知りました。三日からもうお仕事なのですね。 葱:正月三日からご苦労様です。生き物が相手の仕事に休みはありまsんね。 入:競りに出されるのでしょうか?三日というのが名残惜しい。 し:鼻紋の取り方検索してしまいました。ローラーで鼻にインクを塗って。。。人間の指紋のようなものなんですね。知りませんでした。)


二席
●昭和とは母の手編みの冬帽子=資料官


◎や、喋、秀○ま、水△清、葱、メ、紅=17点
(や:昭和生まれも老いたれば想い出多々あり。 秀:『昭和とは』なんて大見得切って、『冬帽子』で納めるなんて! ま:同感です!編んでもらってとても嬉しかった思い出が。 水:昭和とはこれですよね。 清一:私の母もそう言えばマフラーや帽子を編んで呉れた、懐かしい昭和。 葱:母のぬくもりは永遠です。 紅:ボンボンのついた毛糸の帽子、懐かしいです。)


【入選】

●冬帽子二さいと言うて指三本=紅椿
◎し○遊、砂、葱、雪、水△ま、喋、裕=16点
(し:兼題の三がこんなかわいい俳句になるとは! 遊:冬帽子の季題で老若男女の泣き笑いが楽しめました。 葱:このへんの漢字と平仮名のバランスにはいつも悩みますね。 雪:作者の子を見る表情が浮かんできます。 水:かわいらしい。 ま:そうそう、よくありますね、可愛い!)

●探梅や幟に三色団子の絵=ラスカル
◎修○裕、紅△十、や、茶、葱=11点
(修:楽しさが伝わってくる。甘酒もいい。 裕:これもやっぱり京都ですよね。 紅:とても美味しそう。花より団子ですね。 十:如何にもありそうな取り合わせですね。春麗らか。 や:緋毛氈の腰掛けに座り琴の音を聴く。 茶:花より団子、そこにあるから仕方なし。滑稽味がいいですね。 のどかな景色。)

●冬帽子ここにも一人山頭火=やんま
◎紅○子、裕、久△白、清=11点
(紅:冬帽子と山頭火の付き具合がいいと思いました。 裕:葱男さんかと… 白:山頭火さんも帽子を被っていたのでしょうか? 清一:冬帽子を被る現代の山頭火、ところで山頭火ハットが売れているようだ。)

●榾焚いて真っ赤な嘘を三つほど=やんま
◎白○砂、修△遊、メ、秋、し=11点
(白: 周りの人は皆嘘だと分かっている。滑稽味があります。 修:場を盛り上げるのに許されい。遊:こういう句をさらりと詠める様になれば嘘も上手になるんでしょうね。 し:榾明りは嘘をつかせます!赤も効いていますね。 秋:どんな?)

●寒月や三味の音消えし神楽坂=ぼくる
◎秋○資△十、子、遊、雪、五=10点
(秋:人通りの絶えた深夜坂の上に月がかかっている、とみれば端正な句ですが、今や三味線の音など聞けなくなってしまったという時代の流れを重ね合わせると、季語の寒月がさらに刺さる感じがして来ます。 資:再び宣言下の神楽坂。寒月が淋しく輝く。 十:これもコロナ禍の時事俳句の一つなのでしょうね。 遊:コロナ禍・・ああ、、政治家。 雪:ここにも休業の波が。 五:神楽坂にも人がいない。神楽坂は、昔、二六斎宗匠に案内して頂いた。)

●冬晴や三女気楽にものを言ふ=修一
◎や、智○秋△十、葱=10点
(や:難局突破にはこのパワーを借りるべし。 智:その通り!長女としては羨ましい限り。 十:どの家庭も、三女ってそんなもの。 (秋:末っ子かな。好きなことを言う子を親なら素直に面白がるのでしょうが、姉妹からすると羨ましかったりちょっぴり疎ましかったり複雑なもの。気楽な物言いが、立場や関係性の違いによって幾通りにも読めそうで面白いと思いました。 葱:うちの嫁ですわ^^;)

●おとんぼは鬼にはならず冬帽子=秋波
◎五○智、紅△葱、し=9点
(五:「おとんぼ」とは兵庫の「末っ子」の方言と知る。おとんぼの甘えん坊なのだろう。鬼になるのを嫌がって泣いているのだろうか? 紅:「おとんぼ」って「末っ子」なんですね。関西弁の鬼ごっごが聞こえてくるようです。 智:弟を連れて遊んでいた幼い頃が懐かしく。 葱:こどものころは年長さんと末っ子が一緒にオニごっごして遊んでいましたね、末っ子はまだ小さいのでオニの役はもらえませんでした、そんな素敵な時代です。 し:おとんぼとは末っ子のことなんですね。可愛がられている末っ子の様子がかわいい。)

●病室の子と共に編む冬帽子=まさこ
◎資、ぼ○入△や=9点
(資:誰の帽子を編んでいるのだろうか。何かドラマがあるのだろう。 ぼ:淡々と詠みながら、情があり、祈りまで感じさせる。 入:病室そのものが、つましくてきらきらして見えます。 や:母と子の宝の様な時が流れる。)

●冬晴や声明響く三千院=清一
◎裕○子△雪、香、久、水=9点 (裕:京都ならではの光景です。 香:静かな杉林の中に声明が響く、、清々しいですね。 水:冬晴れだからこそ澄んだ声がどこまでも響く)

●片恋や冬三日月を尖らせて=智雪
◎朱○清、五△香=8点
(朱:片想いの熱量を白く尖る三日月に例えているようで面白い一句。 清一:少年少女時代の片恋、そのときは三日月も尖って見える。 五:冬三日月が片恋のドラマを見つめている。)

●三十手先読む投了返り花=十志夫
◎香○白△茶、ラ、メ=8点
(香:将棋の世界、奥深いですね。 白: 囲碁だと思いますが、高段者ですね。下5が効いています。 茶:悪あがきしない投了との衝突でしょうか。潔さがいいですね。 ラ:かなりの達人ですね!)

●ウィスキー舐める男の冬帽子=裕
○五、修、し△砂=7点
(し:無口な山男かな。髭も欲しい。 五:少しアル中のおっさんのことかと思う。舐めるがその雰囲気を醸し出す。 修:きっとしぶい洒落た帽子なんだ。)

●きんかんなまなま見事に転ぶ三人目=水音
◎ス○遊△葱、資=7点
(遊:楽しい・・勉強にもなりました。 葱:「きんかんなまなま」、金沢の方言で張った氷の表面がつるつるしていることだそうです。 楽しい言葉ですね。 資:面白い方言の句。四人目にならな いように!)

●五十年ものの冬帽ロックだぜ=水音
○ス、茶、秀△葱=7点
(茶:「ロックだぜ!寒いけど根性だぜ!冬帽はかぶるけどよ」ムッシュかまやつみたいでSO COOL! 秀:俳句らしからぬ下5に参りました。 葱:ハハハ! 「ロックだぜ!」がめちゃ面白い!)

●三十年経て睦まじきおらが春=茶輪子
◎清○ぼ△始、朱=7点
(清一:夫婦仲睦まじく三十年、因みに私は五十年になるが未だ春が来ない。(笑) ぼ:葱さん御夫妻かな(笑) いいね! 朱:三十年とは一口に言って大変な年月。)

●三体の札の大小かまど猫=紅椿
○喋、秋、秀△裕=7点
(秋:昔は竈にも注連飾りを飾ったり新しいお札を貼ったりして新年を迎えたと聞きます。上五がわかりにくかったのですが、古民家の土間の景でしょうか。懐かしい味わいがします。 秀:昔のおばあちゃん家の景色。)

●定位置のもう主人なき冬帽子=智雪
◎メ△十、雪、ぼ、秀=7点
(十:被る人はもう泉下に。定位置が主の居場所なのか、帽子の置き場所なのか?やや分かりにくい。 雪:帽子だけは定位置のままにしているのであろう作者の思いが伝わります。 ぼ:亡夫の物と思われる、定位置に思いが。 秀:『主人』をあるじと読んで、いただきました。)

●裸木に三面記事のまとひつく=ラスカル
○十、葱△ス、ぼ、朱=7点
(十:新聞か週刊誌が絡まっているのだろう。俳諧味の一句。 葱:シュールでハッとする情景、「三面記事」が上手い! ぼ:シニカルで俳味あり。 朱:取合せがヒリヒリするほど寒々しい。)

●三日はやカレーのごとく眠りをり=十志夫
○ま、智、入△始=7点
(ま:三日のカレー、までは見かけるのですが、下五の着地が面白くて!よほど眠かったのですね!どろ〜んとしたカレーのように、お上手。 入:比喩が巧みで、雑煮でも筑前煮きでもなくおいしくなった三日目のカレーということ? 智:カレーのごとくの比喩に納得。)

●赤き耳ひとつはみ出す冬帽子=葱男
◎雪○や△五=6点
(雪:確かな観察力!うまく帽子を被れないおさなごでしょうか。 や:もう片方の耳が温かい。 五:子供の耳に焦点を当てて、そのあかぎれを上手く句にした。)

●三門の閉ぢたるままや寒鴉=紅椿
◎遊△資、智=5点
(遊:すざましいほどの漆黒の描写、コロナ禍の世相か。 資:冬ざれたお寺の門前。季語が効いている。 智:閉じた山門と鴉の取り合わせの妙。)

●云うことをきかぬ子犬と冬帽子=遊歩
△子、ラ、五、入=4点
(ラ:ちょっと困っている表情が目に浮かぶ。 五:子犬との散歩の風景。何気ない日常であるが、切り取りが上手い。 入:ほのぼの)

●お新香は三切れと決めて河豚雑炊=秋波
◎久△香=4点

●寒牡丹藁に語らふ三姉妹=雪絵
○茶△始、水=4点
(茶:「藁に」ということは、おままごとでしょうか。または風流に桟敷を仕立て茶会でも。いずれにせよ、おだやかな時間の経過が感ぜられました。 水:さぞかし賑やかな三姉妹。)

●三本の燐寸束ねて春の闇=秀子
○十、メ=4点
(十:ふと、寺山修司の「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」が浮かんできました。)

●すつぽりと冬帽子さてどこへ行く=秀子
◎始△修=4点
(修:駅前のベンチでたまにはワンカップなど、ちびちびどうですか。)

●冬帽子餌付けの鳥を待ち侘ぶる=しゃが
○始△十、資=4点
(十:白鳥だろうか。存外、庭にくる雀あたりかも。 資:コロナ禍で野鳥眺めて過ごす時間が増えたので実感あり。)

●冬帽子年のわからぬ人となり=秋波
○メ△智、入=4点
(智:心当たり有り! 入:ユーモア最高!)

●冬帽子バスそれぞれの窓にあり=入鈴
◎茶△智=4点
(茶:なんと言うことはない措辞ですが、構成、推敲に俳味が感ぜられました。 智:光景が浮かんで来ます。)

●三色の蕪のサラダや卓に咲く=水音
○ラ△子=3点
(ラ:美味しそう〜♪)

●しづかなり孫も子も来ぬ三が日=資料官
○ラ△修=3点
(ラ:今年ならではの句。 修:ちょっぴり物足りなさもありー)

●冬帽子哲学の道を前屈み=清一
○ぼ△水=3点
(ぼ:ソフト帽の老教授の姿が浮かぶ。 水:冬帽子の中はフル回転している脳。)

●やや嬉し年賀はがきの三等賞=資料官
△修、久、紅=3点
(修:ことしは切手二枚。むかしはもっとあったような気が。 紅:三等もなかなか当たりません、おめでとうございます。)

●リンゴ酢を三匙溶かすや寒の内=香久夜
◎子=3点

●あと三年あと三年とおでん酒=裕
△ま、紅=2点
(ま:あと三年、お仕事でしょうか、決め事でしょうか?そうやって頑張っていくのですよね。 紅:こんな人を知っています。(笑))

●縁談の写真を返す冬帽子
○ス=2点

●片想ひ決断迫る三学期=葱男
○喋=2点

●黒電話知らぬ若者冬帽子=メゴチ
○久=2点

●子へ持たすサラダを三種三日かな=まさこ
△ス、や=2点
(や:かくして今年も始動する。)

●三寒の膕(ひかがみ)光集めをり=秀子
○香=2点
(香:膕、初めて知りました)

●三年間共通テストで仕上げかな=白馬
○始=2点

●三匹の猫抱いている冬日向=やんま
○清=2点
(清一:三匹の猫と日向ぼこしている長閑な風景。)

●三鞭酒(シャンパン)やオールドバカラ冴ゆる影=しゃが
△ま、ぼ=2点
(ま:バカラのグラスで。おしゃれで重厚感があり魅かれました。 ぼ:おしゃれな句、飲みたくなった。)

●冬帽子目深に歩幅最大に=香久夜
○資=2点
(資:冬帽子に目深は定番の取り合わせだけど,コロナ禍での過ごし方を象徴しているようで面白い。)

●雪だるまの小さきが残る三角洲=ラスカル
○朱=2点
(「小さきが残る」よりも普通に「小さく残る」としてはどうかなと。「雪だるま小さく残る三角州」)

●懐妊を支ふる夫や冬帽子=茶輪子
△久=1点

●客めいて早起する子の三日かな=入鈴
△秋=1点
(秋:子どもあるある。)

●三寒の四温は遠く酔ひ早し=朱河
△喋=1点

●三寒の艱苦遠のく兆しかな=五六二三斎
△朱=1点
(朱:冬の艱苦の辛さが早く終わればと思います。)

●三すくみやがて弾ける初笑ひ=遊歩
△砂=1点

●三婆もいまは昔のこたつ猫=遊歩
△砂=1点

●そつくりな親子そろひの冬帽子=ぼくる
△ラ=1点
(ラ:まるで、双子のように。)

●躓きを素知らぬ顔の冬帽子=香久夜
△遊=1点
(遊:見られてたのか…)

●温め酒だんまりに酌む三人(ミタリ)かな=朱河
△秋=1点
(秋:今年は特にそうですね。)

●ハンフリー・ボガート大好き冬帽子=ぼくる
△秀=1点
(秀:どうしようかと迷いました。『大好き』なのが、ボガードなのか、『冬帽子』なのか?)

●冬空に三八豪雪よみがえり=始祖鳥
△清=1点
(清一:ふる里の北陸では昭和38年木造の校舎の屋根が潰れた。)

●冬帽子色にて分かる双子の名=スライトリ・マッド
△清=1点
(清一:映像が浮かぶ可愛らしい俳句。)

●冬帽に歩調を合わすレトリバー=しゃが
△茶=1点
(茶:句調もいいですね。「冬帽」の換喩が効いていると思います。)

●冬帽をかぶり直して下山せり=雪絵
△秀=1点
(秀:ちょっとした仕草で、句がいきいき。)


B部門入選作〈back number〉

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