*B部門入選作発表*
兼題『季語:踏青』『漢字:紐』=全90投句(入選60句)
【特選】
一席
●花は葉に馴染んできたる抱つこ紐=紅椿
◎や、ス、香、朱、ま○ラ△砂、入、茶、葱、秋、修=23点
(や:一心同体親子の絆。 朱:花は葉にと言う時間経過を孕む季語と抱っこ紐が馴染むと言う取合せが成功していると思い頂きました。 ま:香:時間経過を表す季語にぴったりの取り合わせですね。 ラ:お子様への深い愛情が伝わってきます。 茶:これは、したことがないと分からないかもしれませんがあるある!です。少しづづお母さんに慣れていく、自分と吾子と。季語とよく合っています。頑張って! 「葉桜」とせず、時間の推移をふまえた季語選択に。 葱:抱っこ紐、に郷愁をそそられます。 秋:そうしてだんだん母になる。 修:赤ちゃんの成長が見えてきます。)
二席
●行く春や色の褪せたる栞紐=ラスカル
◎虹○清、遊、や、メ、朱、久、五△資、ス、智、秋=21点
(虹:しみじみと。季語が活かされた。 清:家に閉じ籠もると読書する機会も増える。 遊:読書家の時間の充実。 や:青春時代ふいに胸つく。 朱:栞紐の色の変化に春の時間の移り変わりを見ているのですね。 資:大事に使ってきた栞紐。 秋:昔読んだ本を引っ張り出して読み返すのも一興。 智:春を惜しむ雰囲気が褪せた紐に良く表れている。)
三席
●春眠を前後に分かつ栞紐=十志夫
◎葱、し、喋○や、入、紅、ま、水△遊=20点
(葱:中七の修辞が抜群! し:ほ〜とてもユニークな着眼点だと思いました!! や:自分の居場所暫し探せり。 遊:にくい! 水:夜の読書をこのように表現できるなんてすごい。 ま:武将は誰でどんな歴史だったのでしょう、想像が膨らみます、今年はいけませんね。 中七の表現がお見事で素敵です。 紅:なるほど、言われてみれば・・。)
【入選】
●青き踏む金子みすゞを諳んじて=智雪
○虹、香、朱、ぼ、五、葱△資、裕、メ、雪、久=17点
(香:02の一編の詩を~というのがありますが、偶然でしょうか?推敲句だったら、どちらかに決めるべきでは?偶然だったらごめんなさい。 ぼ:みすずフアンとしては、迷わず1票。 葱:人気です、「金子みすゞ」。 朱:金子みすゞと具体的に出した所に良さがあると思います。 資:金子みすゞで決まり。 虹:金子の詩がいちばん似合う。)
●スニーカーの紐は海色夏隣=雪絵
○十、砂、ス、入、紅、智△子、ま、修、し、水=17点
(十:「海色の紐」とはマリーンブルーだろう。明るい一句に仕上げた。
紅:早く、このスニーカーを履いて、海に行けますように・・。 智:スニーカーと海色が素敵。 修:海色がいいです! ま:海色、夏色は私も好きで。もうすぐ夏の気分満載ですね。 し:気持ちは海にまっしぐらですね!!もう少し我慢ですね。 水:明るく未来が輝いている感じ。)
●知恵の輪の絡まるごとく蝌蚪の紐=ラスカル
◎資、秋○雪△清、白、虹、朱、ぼ、葱、し=15点
(資:お題の紐をそのまま季語に結び付けたことは見事。 秋:比喩が巧みです。 雪:子供のころに見たときは、紐状になってるなんて思いもしませんでしたね。 清:知恵の輪の絡まるとの表現が面白い。 白:人の手では解せない。 朱:まさにそういう表現もあるかなと思った一句。 ぼ:そうかあ、こういう比喩があったか! 葱:にゃるほど。 し:おたまじゃくしの集団はまさにこんな感じですね。)
●ポケットの岩波文庫青き踏む=智雪
◎久○資、虹△ス、雪、紅、始=11点
(資:岩波文庫だから良い。 虹:文庫本ならではの取り扱い。 紅:いつも行っている場所なんでしょうね。)
●青き踏む歩幅小さき老い二人=やんま
◎メ○修△裕、ぼ、久=9点
(ぼ:その一人はもうすぐ私です。 修:いつまでもお元気で!と言いたくなります。)
●ゴム紐の耳にくいこむ穀雨かな=裕
◎入○清、久△十、喋=9点
(清:穀雨のころにはマスクにも慣れたがゴム紐が気になる。 十:同様の句意の投句が幾つかあったが、明るさを感じさせる「穀雨」でこの句に。)
●踏青や未だ少年ののどぼとけ=朱河
◎雪、智△遊、砂、茶=9点
(雪:季語と「少年」「のどぼとけ」が見事にマッチ! 智:少年ののどぼとけで頂きました。遊:還暦になってものどぼとけのないオイラ。 茶:野原に親しんだ過去と今もそれを忘れぬ清々しさ。)
●靴紐の白きまま休校の春=秋波
◎ぼ◯子△清、虹、五=8点
(ぼ:コロナとは一言も言ってないのに。上手い。 清:いつまで休校が続くのか靴を履く機会がない。)
●城跡の朽ちし看板青き踏む=茶輪子
○裕、ま△十、や、修、水=8点
(裕:荒れ果てた城跡、でも生命の営みは続いているといういい景です。 十:跡地に古い看板だけが残る。時の流れを巧く表現している。43番句は「石垣」の存在感。比較すると面白い。 や:栄枯は巡り松に風吹く。 修:看板でリアル! 水:名護屋城を思い浮かべました。)
●踏青や足裏で明日を探しをり=十志夫
◎清○メ、水△葱=8点
(清:明日の見えないコロナ禍、足裏(あうら)で探す比喩が面白い佳句。 水:「足裏で明日を探す」でいただきました。 葱:うーん、上手い!)
●青き踏む三つ編みの子の後ろより=雪絵
◎白○葱△ラ、五=7点
(白:幼い頃の懐かしい日々。 葱:優しいおかあさんの慈愛の眼差し。 ラ:活発な女の子の姿が目に浮かびます。)
●制帽にペンの銅章青き踏む=葱男
◎ラ、裕△十=7点
(ラ:「ペンの銅章」がズームアップされて迫ってきます。 裕:高校三年生か青い山脈の世界ですね。さわやかな景です。 十:かの開成高校はペンと剣が帽章。新入生のよろこびに溢れている。)
●飛花落花紐解く源氏物語=清一
◎紅○雪△遊、葱=7点
(紅:現実を忘れさせてくれそう。雅で良い感じです。 遊:お見事! 雪:この季語に優るものはない感じです。 葱:まだ一度も読破していませんが、、。)
●帯紐をぴしゃりと名妓春の京=ぼくる
◎遊○砂△茶〜6点
(遊:名妓の姿勢と京の町並まで堪能しました。 茶:背筋が通ったひと仕草への着眼がいいと思いました。)
●野薊や武将刀の飾り紐=茶輪子
◎水○秋△十=6点
(水:とても端正な句だと思います。野薊がいい。 秋:取り合わせがいいと思います。 十:武将刀の細部を季語と巧く取り合わせている。)
●靴紐も軒先に垂る菜種梅雨=久郎兎
◎茶△や、始=5点
(茶:丁寧な家事仕事への眼差し、気づきを感じました。 や:晴耕雨読でせっせと歩く。)
●心の紐ゆるむ枕絵月おぼろ=ぼくる
◎子○白=5点
(白:緩んだ後はーーー。)
●天守閣なき石垣や青き踏む=資料官
○ぼ△十、智、葱=5点
(ぼ:人の世は変わる。だが、年年歳歳、草は青む。 十:「石垣」には存在感を感じた。36番句「城跡の朽ちし看板」は時代の流れを表現。比較すると面白い。 葱:それでも気持ち良かあー。)
●踏青やコンビナートの眠りたる=紅椿
○十、ラ△ま=5点
(十:「眠りたる」は夜景の表現?それともコロナの「工場封鎖」の景? 突っぱねた表現が時事句に普遍性を持たせた句と読んだ。 ラ:動と静の対比がくっきりと。 ま:今年の景ですね、早く動き出してほしい。)
●花水木祖母の遺せし紐鏡=秋波
○茶、修△智=5点
(茶:「紐鏡」という古風な道具を持ったきたところが効いていると思いました。 修:花水木のような方!)
●ピーターパン吊り紐握り春月へ=しゃが
◎十○茶=5点
(十:舞台の上を浮遊するピーターパンを「春月へ」飛ばした発想が見事。 茶:童心、メルヘンですね。和製ピーターパン!いただきました。)
●人はみな離ればなれに青き踏む=まさこ
◎五△入、香=5点
(香:今の状態をよく表現されてる。野歩きをしても他人を意識してる。)
●青き踏むつまり、の後をのみ込んで=秋波
◎砂△メ=4点
●赤い紐切れて漂う花筏=白馬
○喋△子、虹=4点
●おむすびころりんの穴あちこちに青き踏む=しゃが
○ス△ラ、喋=4点
(ラ:面白いです。物凄い字余りも愛嬌があります。)
●組紐の色柔らかし涅槃西風=裕
○し△雪、香=4点
(し:香:優しい雰囲気が出ています。)
●春怨やゴム紐ゆるむ防護服=清一
○香、始=4点
(香:防護服も、代用品で賄っているところが多いとか。春怨の季語を初めて調べましたが、女性の物思い?だけではないのですね。)
●紐育倫敦巴里や春の闇=資料官
○遊、始=4点
(遊:漢字の国から発生したコロナが世界を覆う)
●靴紐を固く結びて入学日=メゴチ
○智△裕=3点
(智:涅槃西風がとても良く効いているといると思います。色も見えるようです。 固くに新入の決意。)
●籠り居のほつれた紐を解く春=まさこ
○資△清=3点
(資:早くそうなって欲しい。 清:籠り居のストレスをどう解消しようかと模索。)
●酒場閉店しかして一人青き踏む=砂太
○白△ラ=3点
(ラ:「しかして」が理屈っぽいですが、そう言いたい気持ちはよく分かります。 白:行ってみたけど。静かに帰ろう。)
●細波に誘はれ一人青き踏む=砂太
◎修=3点
(修:誘うのが細波、がいいです。)
●踏青や顔半分を隠しつつ=虹魚
△ス、紅、ま=3点
(紅:帽子をかぶり、マスクをして・・。 ま:今年はそうですね、みな、もくもくと歩みます。)
●踏青や此処にはコロナ来ぬものと=ぼくる
◎始=3点
●紐育行きの尾灯や春の雷=十志夫
△資、入、ぼ=3点
(資:紐育NYの句の中で秀逸。 ぼ:今は行かない方がいいよと。)
●青き踏む一年生の声ふたつ=水音
△朱、喋=2点
(朱:二人居ると言わずに声が二つと言う点に俳味があって佳いなと思いました。)
●穴を出たヘビの心地の紐男=遊歩
△白、始=2点
(白: 何だか自由になった感じ。)
●電源を落とさぬままに青き踏む=五六二三斎
○喋=2点
●踏青や猫が西向きゃ西に虫=水音
○し=2点
(し:虫に敏感に反応する猫の動きがかわいい。)
●踏青や一人ひとりに花の冠=香久夜
○裕=2点
(裕:花はしろつめくさでしょうか?小さい頃を思い出します。)
●逃げ水や俺は女房の紐であり=遊歩
△紅、水=2点
(水:自虐ネタ? 紅:自覚しているのですね。きっと良く出来た奥様なのでしょう。)
●花冷えや謡の教本紐掛けす=香久夜
○子=2点
●紐引いて割れぬくす玉春の空=修一
△や、白=2点
(や:破顔一笑拍手喝采。 白:演芸会のくす玉でしょうか?これもアトラクション。)
●身につかぬ春袷にや紐あまた=入鈴
○秋=2点
(秋:ため息が聞こえそう。)
●青き踏む一編の詩を諳じて=朱河
△砂=1点
●青を踏む故郷の土手想ひつつ=白馬
△五=1点
●還暦の同行二人青き踏む=智雪
△十=1点
(十:還暦になって夫婦一緒(?)のご遍路。羨ましい。)
●切株の黒き点あり青き踏む=入鈴
△清=1点
(清:切り株の黒き点などの細かい発見と青き踏むの季語が効いている。)
●桜もちそつとピンクの紐を解く=資料官
△修=1点
(修:なんというなまめかしさ、遊び心!)
●深窓の佳人を連れて青き踏む=葱男
△修=1点
(修:洞庭湖の辺りかなんか!)
●踏青の楽しさにじむ靴の先=久郎兎
△香=1点
(香:きっと青草の汁もにじんでたんでしょうね。)
●紐育に歩道橋なし花水木=水音
△久=1点
●春深しコロナマスクの紐ゆるむ=やんま
△子=1点
●一筋の光る彼方へ青き踏む=五六二三斎
△メ=1点
●密を避け蜜蜂たちも青き踏む=喋九厘
△し=1点
(し:面白い!蜂もソーシャルディスタンスを本能的に守っているのかしら。)
B部門入選作〈back number〉
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