*B部門入選作発表*


兼題『数へ日』『漢字:胸』=全81投句(入選61句)

【特選】

一席
●寒菊や気胸と太く医者のペン=入鈴


◎資、砂、喋、茶○ス△十、智=16点
(資:寒菊と医者のペンで迫ってくる。 十:中7以降と季語との距離感がいい。 茶:ペン先の診断が胸に刺さります。お大事になさってください。)


二席
●たつぷりの闇胸に抱き冬布団=遊歩


◎香、白○や、虹、智△清、入=14点
(香:心地よい疲れと共に、闇の底へ落ちていく様子。 白:上5・中7が下5を引き出して秀逸。 や:あたたかそう。 智:そんな夜もある。 清:旅の途中の宿であろうか冬布団がずっしり重い。)


三席
●数へ日や紬の父の昼の酒=入鈴


○資、紅、喋、茶△智、砂、ぼ、秋、水=13点
(資:紬の父ならば何でも許せる、お好きなように。 紅:昭和のお父さんが浮かびました。 茶:忙しくする家人の横でゆったりできる人物像に。 智:うちの父もそうでした。 ぼ:父よあなたは強かった。 水:昭和の父ですね。)


【入選】

●胸中に解かれし家のありて暮=雪絵
◎智、入○砂、水△葱=11点
(智:私にも実感。 水:年の暮のせわしない中、私もその光景が浮かび上がってくることがあります。切ない感じ。 葱:我々の親が必死で働いて積み上げてきた資産や国土を、我々や子供の世代で外国資本に切り売りさせられている今の日本の政治にも思いがおよびます。)

●数へ日や自噴する湯の四百年=スライトリ・マッド
◎秋、始○水△虹、茶=10点
(秋:幾多の人の歴史を眺めて自若の温泉。数え日との時間の対比が見事です。 水:慌ただしい時と悠久の時の対比が心を落ち着かせる。 茶:変わらね年の瀬。「自噴」がいいですね。)

●数へ日や掃除の手順火の手順=香久夜
○雪、五、秋、茶△久、砂=10点
(雪:日の手順はおせち料理などのことでしょうか。お料理上手の方のようですね! 秋:段取りを間違えると妙に時間を食ってあっという間に1日が暮れてしまうのです。共感の句。 茶:大掃除、お節づくりは段取りが柱ですね。)

●病棟に数え日の音響きをり=まさこ
◎清、裕○五、修=10点
(清:病棟で年越したときの時間の流れは通常とは違うもの、非日常を詠んだ佳句。 裕:すごく重い句です。 修:ほんと忙しいのは市場だけじゃない。)

●数へ日や巫女は着付けの稽古中=紅椿
○子△虹、入、し、ス、ラ=9点
(し:お正月は若〜い巫女さんたくさんいますもんね。 ラ:おそらく、アルバイトの巫女さんでしょう(笑))

●胸焦がすことの久しき冬桜=雪絵
◎修○虹、香△葱、遊=9点
(修:胸焦がす、という言葉がなぜか新鮮! 虹:私は若きヘルパーにちょっと。 香:冬桜がいいですね。 葱:その分、思い出がかがやきを増してきます。 遊:この冬は桜が沢山咲いているのを見ました!)

●数へ日やがしがし磨く換気扇=ラスカル
○や、ぼ、し△葱、裕=8点
(や:結構汚れがしつこい。 ぼ:オノマトペ実感あり。 し:がしがしがいいです。 葱:これをやってしまわなければ大掃除も今年も終わらない、という必死さが楽しい。 裕:何年分の汚れだろう。)

●数へ日や回り続ける抽籤器=智雪
◎水○雪△葱、紅、し=8点
(水:数え日と言えばこれ。 雪:抽籤器が店頭などにあると年末を感じますね。ほとんど当たらないけど。 葱:なんとか商売頑張らないと! 商店街も必死です。 紅:年末のあるあるですね。 し:あちらこちらでやってますね。ハズレましたが。)

●地下鉄の運休数へ日の渋谷=資料官
◎紅○十、砂△五=8点
(紅:田舎に住んでいる者にとって、東京(渋谷)の人込みは恐怖です。まして、地下鉄が運休となると・・。 十:時事俳句をそれを感じさせずに巧く一句に仕上げている。)

●まだ胸に残すものあり古暦=虹魚
○智、入△資、香、秋、喋=8点
(智:月日の流れが早すぎて‥。 秋:ちょっと悔いが残るくらいがいいのかも。 香:日記やアルバムも、つい見入いってしまいます。) 

●マトリョーシカのごと数へ日の食器=紅椿
◎ラ○清△子、久、遊=8点
(ラ:「マトリョーシカのごと」という比喩が独創的。 清:マトリョーシカ状の様に食器が積み重ねてある年の瀬。 遊:料理じょうずの奥様だらうなぁ。)

●胸の奥冬三日月に射られゐし=智雪
◎虹、し○入=8点
(虹:心に沁みる一編のポエトリー。 し:かっこいい表現だなぁと思いました。)

●数へ日や大地のめぐみ大鍋に=茶輪子
◎遊○虹△ま、裕=7点
(遊:大胆でおいしそう。 虹:からだと心が温まる。 裕:おいしそう。 ま:大地のめぐみ、がよいですね。)

●数へ日や付録とめおくゴムバンド=十志夫 
◎や○久△メ、茶=7点
(や:付録で雑誌を買うこと多々あり。)

●百歳の胸にメダルやクリスマス=十志夫 
◎雪○始△ぼ、ラ=7点
(雪:きっと金メダルでしょうね。 ぼ:はい、おめでとさん。 ラ:百歳の方に敬意を表して一票。)

●数え日の煙ひとすじ燻製屋=まさこ
◎五○香、遊、ぼ=6点
(香:稼ぎ時ですね。遊:旨そうな燻製だと思う。 ぼ:情景も匂いも確り伝わって来る。)

●数へ日やまだ人間をやつてます=やんま
◎ぼ○ま△清=6点
(ぼ:ははは、そりゃどうもご苦労さん! ま:一年の終わりにちょっと明るく、自虐的に本心がちらついているのが魅力的です。 清:まだ人間として存在していると云うことだろう。)

●年の湯やしみじみ薄きおらが胸=ぼくる
◎葱△白、秋、修=6点
(葱:なんとも愛とペーソスに満ちた、これぞ俳句の骨頂というものぞ。 秋:一茶のような…。 白:一茶的ですね。 修:これも俳句の効用。)

●オリオンや胸板厚き男達=秋波
○葱△十、水、裕=5点
(葱:「姫野のジャッカル」に興奮して涙したラグビーワールドカップでした。 十:はっきり言っていないが、多分ラガーマンでしょう。寒オリオンとも合っている。 裕:冬のきりりとした強さを感じる。)

●数へ日や東寺黒猫眼のひかり=清一
○子、遊△香=5点
(遊:にらみの迫力。 香:年末の慌ただしさをよそに、パトロール?)

●寒雀膨らむ胸を天窓に=清一
◎ス△遊、入=5点
(遊:天窓がいいと思う!)

●胸中に寂寥のあり木の葉雨=やんま
○清○ス=5点
(清:友達でも亡くなったのであろう、寂寥感が胸を締め付ける。)

●胸張ってノーと言えない寒さかな=白馬
○十、ま△雪=5点
(十:不条理な俳句だが、「寒さかな」に違和感がない。 ま:ご本人にとっては寒さですね。よくわかります。はたから見ると、温かさかもしれませんが。 雪:複雑な心境ですね。)

●数え日のすき間つかの間ミルクティー=秋波
○資△紅、し=4点
(資:中七のリズムが良い。 紅:中七がとてもいいと思いました。 し:ほっとしますね。)

●数え日やアナタの胸に休みたい=ぼくる
○し、喋=4点
(し:素直な気持ち(笑)こうはなかなか詠めません。)

●数へ日の返却期日迫る図書=智雪
△葱、紅、ぼ、水=4点
(葱:年末、焦り始める心境がうまく表現されていると思いました。 ぼ:この焦り、分かる、分かる。 紅:焦りが伝わってきます。 水:年末はなかなか読めませんね。)

●数へ日や行先のない旅に出る=裕
◎子△清=4点
(清:ひとり身の旅風の吹くまま気の向くままに行く。)

●数へ日や忘却したきこと数多=白馬
○メ、始=4点

●数へ日や名刺入れの蓋浮き上がり=ラスカル
◎久△十=4点
(十:改めて今年名刺交換をした人の数に驚いている。いわば勲章である。)

●大胸筋伸ばすポーズや大白鳥=スライトリ・マッド
○紅△雪、修=4点
(紅:白鳥と大胸筋の取り合わせが面白いです。 修:リアル!)

●凱旋すポインセチアを胸に抱き=十志夫
○ラ△五=3点
(ラ:ポインセチアの句として、類句は一切無いでしょう。)

●数え日も去りゆくときの過ぎし夢=始祖鳥
○メ△喋=3点

●数え日や風に向かって呼ぶ「寅さん」=しゃが
○修△清=3点
(修:無性に人恋しいとき。 清:瘋癲の寅さんがいないと何となく淋しい。)

●数へ日や十年連記の手帳果つ=やんま
◎ま=3点
(ま:十年も続けてこられたのですね、一歴史ですね、感慨深いですね。)

●数へ日や天下泰平にして明日=喋九厘
◎十=3点
(十:齢とともに何も起こらないことが一番いいと思える。明日はどうなるか・・・の境涯俳句。)

●山茶花や胸の内など気にしない=裕
△メ、修、始=3点
(修:ひたすら咲きかつ散る山茶花にピッタリ。)

●秘めてなほ胸の奥底大晦日=喋九厘
◎メ=3点

●胸叩き肩ぶつけ合ふラガーマン=葱男
△や、香、ス=3点
(や:ラガーマンの熱気ぷんぷん。 香:あの勇気にゾクゾクします!)

●世の中は数へ日われは旅の空=ぼくる
○ラ△子=3点
(ラ:作者の心の余裕が感じられます。)

●数え日を数え尽くして何もなし=始祖鳥
○白=2点
(白:下5の感慨。)

●数へ日に喪中葉書を横へ置き=久郎兎
○裕=2点
(裕:光景が浮かびます。)

●数へ日の新聞チラシ薄くなり=メゴチ
○久=2点

●数へ日の点滴の管細く見ゆ=水音
△資、メ=2点
(資:数へ日の点滴はつらいが、細いという字がさらにその心境を表しているように感じた。)

●数へ日の日々の空白愛でてをり=入鈴
△子、砂=2点

●数へ日の程良き疲れ続きをり=五六二三斎
△や、ま=2点
(や:まだまだ元気でご活躍中。 ま:程よき疲れ、よくわかります、この感じ。)

●数へ日や指したる用のなき吾も=虹魚
△雪、秋=2点
(雪:年も迫ると気ぜわしい気持ちになりますね。 秋:特別用がなくても感じてしまう気ぜわしさが伝わります。「指したる」は「然したる」の間違いと解釈しましたが、よかったでしょうか。)

●昔日の胸囲測定忘年会=久郎兎
○裕=2点
(裕:どんな忘年会?)

●冬晴れや胸にブルーリボンのバッジ=まさこ
△ス、ラ=2点
(ラ:ブルーリボンの句、初見です!)

●胸を打つ鐘を打ちけり去年今年=茶輪子
○葱=2点
(葱:万感胸に迫り、一瞬ときを超える。)

●冬林檎しゅわしゅわ胸の落ち着かぬ=水音
△智、茶=2点
(智:しゅわしゅわがそんな感じ。 茶: 「しゅわしゅわ」感は林檎だけに恋心でしょうか。想像が膨らみます。)

●数え日やどうもお世話になりました=遊歩
△喋=1点

●数へ日の京都タワーの大浴場=清一
△や=1点
(や:関東なら富士の絵、さて京都の壁絵は?)

●数へ日のゴミ出し日取り丸を付け=久郎兎
△始=1点

●数へ日や終わりに晴れを願いつつ=香久夜
△久=1点

●数へ日やびっしりと出る蕁麻疹=水音
△ま=1点
(ま:お疲れが出たからでしょう!つらそう、お気の毒で。)

●キャッツのメモリー胸に迫りぬ冬銀河=しゃが
△資=1点
(資:冬銀河が見える舞台、上五の字余りが気にならない。)

●胸像のあちらこちらに国寒し=白馬
△葱=1点
(葱:北朝鮮か中国をイメージしましたが、安部さんも胸像立てたいとおもってるんちゃう? 安部狂三か!)

●年の内ラムネ明礬湯をはしご=スライトリ・マッド
△五=1点


B部門入選作〈back number〉

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