*B部門入選作発表*
兼題『返り花』『漢字:聞』=全83投句(入選60句)
【特選】
一席
●忘れ花料理ノートの母の文字=葱男
◎茶、入○虹、ぼ、水、秋、し△朱、香、資=19点
(茶:クックパッドじゃない世代はいずれ忘れ去られるのでしょうか。句だけでも残しましょう。 ぼ:亡き母上ですね。情あり。 水:母の字はなぜか心の奥がキュンとする。忘れ花のようにほんのり暖かい。 秋:ノートを開くたび蘇るお母さん。季語ともよく合っていると思う。 し:忘れ花がとても効いていると思います。 朱:きっと御料理上手な字も綺麗なお母さんなんだろうなと思う一句です。)
二席
●つばめ帰る開聞岳の先は海=資料官
○葱、紅、香、ぼ△ま、智、遊、入=12点
(葱:今流行りのドローンの映像のよう。 紅:50年近く前に見た風景を思い出しました。
ぼ:特攻隊を連想させ、じんと来た。 ま:景がはっきりと見え、海を越えていく燕の厳しい旅も想像されます。 智:大きな景色の広がり。南へ帰る鳥に悲哀はありません。 遊:山口誓子の有名な句を思い出しました。)
三席
●聞き耳を立てれば冬に入るところ=雪絵
◎喋、し○メ△清、葱=10点
(し:冬に入るところが素晴しい表現だと思います。こういう句好きです。 清:立冬になっても冬に入るとは感じられない昨今。 葱:雰囲気ある。)
三席
●御用聞の「醤」の前垂れ一葉忌=十志夫
◎雪、遊△子、茶、紅、ぼ=10点
(雪:御用聞、懐かしい言葉です。酒屋さんが来てたような・・。 遊:時代劇を見ているようでもあり、タイムスリップして立ち会っているような臨場感。 茶:「たけくらべ」「にごりえ」の世界観、この兼題で「御用聞」とは。 紅:とても懐かしい。季語もいいですね。 ぼ:古典的で、文学的。)
三席
●奈良はとこしへ相聞の山眠る=十志夫
◎子、葱、紅△智=10点
(葱:相聞の山がなんとも歴史を感じる。 紅:格調の高いお句で、万葉の世界に誘われていきます。 智:相聞の山眠るが素晴らしい。。)
三席
●無伴奏チェロ聞きながら根深汁=裕
◎清、や、ラ△ス=10点
(清:バッハの無伴奏と根深汁との組み合わせがユニークで面白い。 や:情熱の様胸に滾れり。 ラ:洋と和のミスマッチが面白いです。。)
【入選】
●地下バーにひとりジャズ聞く木の葉髪=ぼくる
◎砂○清、修△智、資=9点
(清:淋し過ぎる感をジャズが慰める。 修:木の葉髪がよく効いています。 智:カウンターの男の背中。哀愁ですね。)
●汝逝きて十年の庭や帰り花=ぼくる
○葱、裕△ま、雪、砂、水、修=9点
(葱:庭に幻影を見るよう。 裕:寂しいような、ほっこりするような。 ま:よく手入れをされていた庭の花々なのでしょう。その方への深いお気持ちを感じます。 修:私にとっての俳句は何だろう?と思いました。)
●冬ざれや間欠泉の律儀なる=紅椿
◎虹、水○ラ△清=9点
(虹:寒気のピシッとしたところを巧みに表現! 水:観光客が少なくなってもサービス精神旺盛で、律儀に噴き上げる。 ラ:真面目な性格の間欠泉なのでしょう。俳諧味あり。 清:別府辺りだろうか、間欠泉が季節を選ばず働く。)
●老いの春心のままに返り花=やんま
◎香、秋○修=8点
(秋:自分もこんな風になれたらと思う。句としてのリズムもいい。 修:矩をこえずの境地?)
●帰り花色は光でできている=水音
○十、メ、五△し、ぼ=8点
(十:理が先行しているようにも思うが、
納得させられてしまう力のある句。
し:確かに!なるほどと思いました。 ぼ:なるほど、帰り花は特に。)
●聞香のごと冬の珈琲フェア=智雪
◎ま○裕△十、ラ、し=8点
(ま:香しい気持ちの良さが伝わってきて、その場にいるようです。 裕:珈琲の香いいですよね。 十:珈琲香が会場一面にただよっている様子が読み取れる。 ラ:オシャレな句。冬という寒い季節ならではのフェアですね。 し:コービーの香りも奥が深いですね。。。)
●いつまでも娘は娘かへり花=虹魚
○智、香△喋、水、秋=7点
(智:本当にそう。)
●バルトーク聞きし半夜の神渡=朱河
○ま、智、し△茶=7点
(ま:神渡しの吹き荒れる中、それに負けないバルトークを聞いていると、さらに共鳴するように神渡しが吹いているのかもしれませんね。 智:夜中のバルトークの響きは正に神渡。 し:バルトークを聞きながら読みました。神渡がいいですね。 茶:風と共に来ぬ神の音色ですね。)
●返り花生まれ変われる夢を見て=始祖鳥
○子、資△雪、水=6点
●返り花つぼみのままに果てにけり=紅椿
◎ぼ△朱、五、香=6点
(ぼ:捉えどころが、何ともいい。 朱:寒い中やはり蕾のままに終わってしまうさみしいも花ありますね。)
●狩人の聞き耳たてる闇路かな=しゃが
◎裕△遊、虹、久=6点
(裕:ピーンと張りつめた空気がいい。 遊:緊張感は身に迫る。)
●枯葉踏むセピアの歌が聞きたくて=葱男
○や、砂△虹、香=6点
(や: ♪蔦の絡まるちゃぺるで♪)
●聞かぬふりして聞きもらす木の葉髪=資料官
◎久○喋△五=6点
●小春日や間口五尺のコロッケ屋=紅椿
○朱、ラ△葱、や=6点
(朱:小さな小さなコロッケ屋…小春日和と合ってますね。 ラ:「間口五尺」がリアル。小さな店なのですね。 葱:美味そう! や:新聞紙のままお八つ代わりに。)
●先駆けと思ふ一輪返り花=五六二三斎
◎智○入△修=6点
(智:終わりは始まり。先駆けがいい。 修:そうかも知れない!)
●日遅れの新聞読める冬日向=清一
○茶、秋△朱、入=6点
(茶:電子メディアじゃこうはいかない、紙ならではの時間の流れ。 秋:どこか長閑な日常。景がしっかり浮かびます。 朱:二三日前の新聞をようやく読める時間、とかありますよね。冬日向の季語が活きていると思います。)
●吹き寄する牛乳の膜帰り花=水音
○ま、雪、遊=6点
(ま:離れているようで、うすく帰り花と膜が響き合っているところにひかれました。 雪:この繊細な感覚に惹かれました。 遊:理由はよくわからないんだけどすごくいいと思ったw)
●陽水を聞く一合半の寝酒かな=朱河
○十△清、ラ、し、ス=6点
(十:陽水と一合半の寝酒という意外な取り合わせの妙。 清:井上陽水と日本酒は良く合う。 ラ:「陽水を聞く」に一票! し:陽水が合っていますね。)
●うとうとと冬を聞きをり硝子越し=まさこ
◎メ△虹、ぼ=5点
(ぼ:中七がいい。)
●鬼を決めるじやんけんの声返り花=ラスカル
○や、雪△久=5点
(や:隠れん坊もう誰も見つからぬ。 雪:今は外で遊ぶ子の声、あまり聞かなくなりました。)
●死は一度なりと呟く返り花=清一
◎資○五=5点
●外国人に道を聞かるるちゃんちゃんこ=水音
◎朱△裕=4点
(朱:いかにも普段着の散歩中に外国人に道を聞かれるという面白い切り取り方ですね。こういう軽やかな句も好きです。 裕:ちゃんちゃんこだから聞かれたのはおっさんか?)
●返り花いつもながらの愚痴を聞き=始祖鳥
○久△清、や=4点
(清:妻の愚痴を聞き流す夫、定番だ。 や:生返事してやり過ごす日々。)
●帰り花告別式の帰り道=メゴチ
○紅△喋、裕=4点
(紅:多くを語ってはいませんが、伝わるものがあります。 裕:告別式の沈んだ気分を和らげる?)
●返り花父母亡き家に別るる日=資料官
○水△ま、茶=4点
(水:心もとない感じ、何やら不安な気持ちが言い表されている。 ま:亡きご両親と花々とともにお別れですね、心に響きます。 茶:もう返り咲くことのない人との惜別を「家に」とした点に。)
●返り花もと来た道は藪の中=始祖鳥
◎修△五=4点
(修:返り花にしてみればそうかも知れません。)
●銘柄の蘊蓄を聞く燗の酒=雪絵
○砂△十、葱=4点
(十:それもまた酒のたのしみのひとつ。俳諧味あり。 葱:あるある、ですね(^^))
●しぐれ虹相聞の歌残しけり=清一
◎五=3点
●達磨忌や聞く耳見る目持たぬまま=秋波
○朱△メ=3点
(朱:達磨忌の句は珍しいけれど措辞も面白いと思いました。)
●後の世の在るを確かに返り花=虹魚
△砂、メ、入=3点
●梟の泣き言を聞く真暗がり=やんま
○虹△紅=3点
(紅:あの鳴き声は泣き言だったのですね。)
●訃を聞けば笑顔よぎりぬ返り花=十志夫
○資△ス=3点
●真向ひに真白き富士や帰り花=ぼくる
◎十=3点
(十:何一つ難しいことは言っていないが、堂々とした格調高い写生句。)
●淡き色かをりも聞かず帰り花=修一
△メ、裕=2点
(裕:ぽつんとある景が見える。)
●銀杏の葉落とすであろう風を聞く=香久夜
○遊=2点
(遊:風雅であり悟っている人か。)
●返り花夫婦の会話の成り立ちて=香久夜
○喋=2点
●風音に子の声を聞く冬の星=まさこ
△や、修=2点
(や:現実の声?気の迷いかも。 修:反応する身体の不思議。)
●寒雀やや姦しき多聞天=やんま
△雪、紅=2点
(雪:何となくそう思えてきます。 紅:兼題「聞」から「多聞天」はお見事ですね。)
●しらしらと飛ぶ綿虫の声聞かな=砂太
△葱、秋=2点
(葱:しらしらがいいですね。 秋:上五、面白い表現です。)
●でこぼこの恋の願掛け帰り花=しゃが
○子=2点
●図書館のはんこの期限返り花=茶輪子
○久=2点
●朴落葉光を風の音と聞く=遊歩
○清=2点
(清:朴落葉の様子を光と音の微妙な関係で捉える。)
●枚聞の神社の朱印落葉焚=スライトリ・マッド
△遊、喋=2点
(遊:季語が凄く効いてるんだろうな。)
●雪催ひ聞屋の勘のいや騒ぐ=葱男
○茶=2点
(茶:「ブンや」なぞついぞ聞かなくなりました。その分余計にざわざわします。)
● 忘れ物見つからぬまま帰り花=五六二三斎
○入=2点
●雨音の聞こえる旅の夜長かな=裕
△子=1点
●開聞岳ふもとアートのごと大根やぐら=スライトリ・マッド
△ラ=1点
(ラ:その「大根やぐら」を見てみたいです!)
●開聞の砂蒸し温泉ホロリ冬=喋九厘
△砂=1点
●開聞の麓トコトコ冬列車=喋九厘
△資=1点
(資:日向ぼっこしながら乗る列車も気持ちが良い。「聞」ならばやはり開聞岳。)
●操り人形意のままならず返り花=まさこ
△十=1点
(十:穿った見方をすれば、現代の社会状況と考えることもできる。)
●遮断機の無き踏切や返り花=ラスカル
△十=1点
(十:ユニークな切り取り。)
●新聞をとらぬ家々寒牡丹=茶輪子
△久=1点
●新聞を読まぬ人増え十二月=裕
△子=1点
●物故者の増えゆく名簿返り花=智雪
△十=1点
(十:全くもってその通り。季語も合っている。)
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