*B部門入選作発表*


兼題『季語:笹鳴』『漢字:曲』=全87投句(入選56句)

【特選】

一席
●笹鳴やミルクこぼしたやうな空=紅椿


◎秀、ス、雪、ラ○や、修△子、資=18点
(秀:ミルクこぼした」という比喩がとても好き。舌を打つような笹鳴きにも似合っていると思いました。 雪:笹鳴きと「ミルク」がとてもよく呼応してます。 ラ:中七下五のフレーズが魅力的。 や:重き冬空徐々に解凍。 修:笹鳴と妙に響きあう比喩。空と大地に生かされてる感じ。 資:少し明るい曇り空。)


二席
●笹鳴きや石の声聞く穴太積=智雪


◎香、秋○メ、ま、水△子、裕、朱=15点
(香:坂本の穴太積みで雰囲気が決まります。声聞くが、笹鳴きと呼応してますね。 秋:穴太衆の仕事をTVで紹介されていたのを見たことがあります。後継者が減って技を受け継ぐ大切さと難しさをつくづくと感じます。取合せがいい。職人の地道な作業と春を待つ鶯の素朴な声がよく合っていると思います。 ま:中七がとても佳い表現で魅かれました。 裕:笹鳴きと石の声と両方聞こえるのですね。 朱:大きな石積みの景色に笹鳴きの奥行き感が効果的だと思いました。)


三席
●曲線は風の意のまま枯尾花=雪絵


◎し○清、五、香、資△葱、入、紅=14点
(し: 枯尾花の曲線に着目したのが素晴らしい。 清一:枯尾花の曲線が風の吹くままに揺れる。 香:すすきの動きを曲線と表したのが他にはないところだった。 資:中七が良いですね。 葱:上手すぎるのが難か? 紅:景が浮かびます。中七がお上手。)


三席
●笹鳴や母なき母の家に寝て=秀子


◎紅、資○智、ぼ、秋△ま、水=14点
(紅:切ないですが、季語で救われます。お孫さんも一緒だったりして・・。 資:コロナ禍でようやく帰省した時の思いがけず嬉しいひと時。智:母なき母の家が切ない。 ぼ:笹鳴きは母呼ぶ声か。しみじみします。 秋:あるべき人がいない。その物寂しく、感慨にふける様子が季語とよく響きあっていると思います。 ま:なんとも切ないですね。寝て、が心情を深めています。)


【入選】

●曲学を退けぐいとおでん酒=清一
◎ぼ、修、水△十、茶=11点
(ぼ:これぞ男の生きる道! 修:こうありたい!学問とは? 水:少しの意地、丸い背中、小さな店のカウンターなどなど。 十:曲がったことを嫌う真理追求の頑固者の体。 茶:「おでん酒」に敵なし。しかし、それもまたへそ曲がり。)

●星冴ゆるロマ音階の狂詩曲=しゃが
◎清○子、秋、ラ△葱、ス=11点
(清一:ハンガリー狂詩曲などに見られるロマ民族の音階、星冴ゆるの季語が合う。 ラ:どんな曲なのか聴いてみたい。 葱:この手の誘惑には乗らない方なんですが、「ロマ音階」というハニートラップにはひっかかってしまいました。>_< 秋:哀調を帯びた音楽と季語がよく似合っています。)

●笹鳴やフルーツサンドの断面図=十志夫
  ◎喋○葱、紅△大、ス、ラ=10点
(葱:私はパフェよりサンドイッチの方をいただきました。 「笹鳴」と「フルーツ」の相性の良さを思い知らせれました。 また、断面図というのが匠。 紅:取り合わせの意外さ! 楽しい気分になりました。 ラ:色とりどりの断面図!)

●笹鳴やくせの付きたる庭箒=紅椿
○五、水△秀、や、十、茶、雪=9点 (水:金沢城や阪本を想像します。 秀:物でしっかりおさえています。ただ箒に掃きくせというのは、時々みかけます。 や:積もる落葉の季節を送る。 十:中7によって使い古した箒が伝わってくる。 茶:きちんと使われ役に立っているからこその「くせ」その視点に。)

●曲屋の厩に飛べる雪婆=清一
◎大、裕○朱△修=9点
(裕:曲家の厩に綿虫 なんか懐かしい気持ちになります。 朱:薄暗い厩にふわふわと飛ぶ綿虫の取合せは合ってると思います。 修:厩の、家のにおいがしてきます。)

●一切の曲線入れず冬青空=秀子
○砂、十、裕、し=8点
(十:まさに一点の曲線(雲)をも許さない冬の青空。 裕:「一切の曲線入れず」にまいりました。 (し:キリリと澄んだ冬の空気を感じました。)

●笹鳴くや昔この家に三姉妹=やんま
◎智○遊△秀、修、喋=8点
(智:三姉妹の姦しい様が見えてくる。 遊:我が家の事です^^ 秀:景はよく見えるけど、この形式は、時々目にするかな。 修:ああ無常の風よ、方丈記よ。)

●てのひらの片道切符笹子鳴く=朱河
○茶△砂、大、清、メ、五、し=8点
(茶:微視感の取り合せを感じました。 清一:戻る積もりもない片道切符笹子が鳴いている。 し:深い物語がありそうですね。)

●曲律の不意に山茶花あかりかな=紅椿
◎五、ま△秀、朱=8点
(ま:不意に浮かんでくるなんて素敵ですね。山茶花あかりがさらに良い雰囲気を醸し出しています。 秀:聴覚的なことを言ってたのが、視覚的なものに切り替わった素早さ。 朱:山茶花あかり、が良いですね。)

●ミサ曲の沁み込んでゐる聖樹かな=ラスカル
○遊、雪、朱△清、紅=8点
(遊:信仰の長い道のりの尊さも絶滅危惧ですね。 朱:沁み込んでゆく、の方が進行形の動きがあって良いような気もしました。 紅:教会の古い聖樹なのでしょう。 清一:聖樹ととミサ曲が一体の感じの句。)

●笹子鳴くスイッチバックの無人駅=資料官
◎入△大、智、五、ラ=7点
(智:深閑とした中に笹鳴きだけが響いている。 ラ:的確な情景描写。)

●ひと休みせよと百段笹子鳴く=大
○砂、入△葱、ぼ、香=7点
(葱:老成してますね^^; ぼ:臨場感あり。)

●一日に二便のバスや笹子鳴く=雪絵
△や、智、五、秋、水、朱=6点
(や:鄙には稀な美少女乗り込む。 智:寂しい里山の景色。 秋:どんな所なんでしょうか。笹子だけでなく色んな野鳥の声が聞こえてきそう。 朱:類想はあるような気もしますが季語と合っていると思います。)

●曲芸のごとく熱燗こぼさざる=葱男
◎遊○修△清=6点
(遊:酒飲みのしぐさが目に浮かびました。 修:見える見える、まさにうま酒。 清一:熱燗を曲芸の如く扱うとの表現が面白い。 )

●日光を折り曲げているかへり花=水音
○十、し△メ、ぼ=6点
(十:言われてみればそんな気がしてくる。 し: 日光を折り曲げているとは面白い発想ですね! ぼ:中七が非凡。)

●路地曲る処に居場所河豚提灯=やんま
○白△砂、遊、清、秋=6点
(白:ここは我が第二の住まい。 遊:季語が温かいですね〜。 清一:良いところに河豚料理店があるね羨ましいの一言。 秋:懐かしい昭和な感じ。)

●曲者は二度現るる神の留守=五六二三斎
○大、智△喋=5点
(智:油断大敵!二度が面白い)

●笹鳴やロルカの歌は空に消ゆ=しゃが
◎朱○秀=5点
(朱:ロルカ、調べました。確かにとても合ってるなと感じます。 秀:「鳴き声」と「歌」がややうるさいが、その歌が空に消えるって表現で、軽くなった。)

●天狼の流れてゆきぬ千曲川=智雪
○や△裕、し、水=5点
(や:大河の辺り口開け眺める。 裕:裕:昨年は氾濫しましたが、ゆったり流れる千曲川の描写がいいです。 し: 大きな景と時間の流れがいいなと思いました。 水:信州の大きな景が見えて好きです。)

●へそ曲がり一葉残し冬支度=喋九厘
◎茶○メ=5点
(茶:植物の意志、その共感、それを拾った点がいいと思いました。)

●曲り家の馬の睫毛に柿落葉=メゴチ
○十△入、喋、資=5点
(十:少し無理があるが馬の睫毛は長いので俳諧的な誇張として許される範囲。 資:遠野物語の風景ですかね。曲り家(屋)の句いくつかありましたが、この句にします)

●ラジオより陽水の曲冴ゆる月=ラスカル
○秀、清△香=5点
(秀:そうですよね。陽水の声って、冬の月に似合ってますよね。 清一:パンチの効いた陽水の昭和の歌、令和の今聴いても納得の歌詞と歌。)

●神渡しとやウィリアムテル序曲=智雪
○葱、紅=4点
(葱:心地よい句またがりです。颯爽たる序曲に乗って古代の神々が出現しそうです。 紅:「神」と「ウィリアムテル序曲」? 驚きました。)

●笹鳴やフルーツパフェの崩れさう=ラスカル
◎十△遊=4点
(十:36番句で「フルーツサンド」と取り合わせた自分としては、共感する句材。遊:おいしそう〜)

●するすると抜けゆく記憶笹鳴けり=まさこ
○資△大、修=4点
(資:わが身の老いを慰めるように聞こえてきた。 修:頭も骨もすかすかに。擬態語の迫力。)

●ただ元気曲がりなりにも豆ラガー=秋波
◎砂△葱=4点
(葱:かわいい! 思い切りぶちかませ!)

●檀家たった五軒の寺や笹子鳴く=ぼくる
○ラ△砂、雪=4点
(ラ:「たった五軒」と「笹子鳴く」が照応している。)

●冬耕や腰は曲ぐれどまつ直ぐに=茶輪子
○入△修、香=4点
(入り:冬耕の腰は曲れど真っ直に、ではいけませんか? 修:気合い!齢は気から?)

●剥げかかる遊具のペンキ笹子鳴く=水音
○雪△智、十=4点
(智:無人の公園に聞こえるのは遠くの笹鳴きだけ。 十:句材のとらえどころがいいが、季語は微妙。)

●初雪やお湯にのぼせる曲げわっぱ=大
○ス、喋=4点

●曲がり角出会い頭の冬の虹=メゴチ
△白、裕、資、ま=4点
(白:こんな光景、なんとなく分かります。 裕:この驚きの景いいですね。 資:うれしい出会いだが、すっと消えゆくところが少し寂しいかな。 ま:角の先に,虹があって良かった!こんな時期、虹に出会えたら嬉しいですね。)

●曲がり角の家あの犬いないね凩=スライトリ・マッド
◎葱△入=4点
(葱:夏井いつきがもてはやしている「破調の句」、あまり風潮としては良くないと思っているのですが、これは一句の中味があたたかくて詩情があります! こんな口語体なら大歓迎です。)

●着膨れの僧の説法鼻曲る=葱男
◎や=3点
(や:自慢の知識が知恵に熟成。)

●笹鳴に守屋浩の曲出づる=修一
○ぼ△紅=3点
(ぼ:ははは、「東京へい行っちっち」だ。遊び心横溢。 紅:「僕は泣いちっち」、今も歌えます。)

●笹鳴や祠の扉あけ放ち=秀子
○香△葱=3点
(香:山里の長閑さが伝わります。 葱:「あけ放ち」というからには作者が開けたということでしょうか? 結構大胆な性格してますね^^;)

●笹鳴や未来日記の字の踊る=スライトリ・マッド
◎メ=3点

●笹鳴けりどこ吹く風の鴉かな=始祖鳥
◎白=3点
(白:鶯と鴉の取り合わせが面白いです。)

●寒々と曲がりくねりし歩く道=始祖鳥
◎子=3点

●短日や曲りしっぽの猫走り=入鈴
○子△雪=3点

●曲玉のごと寝相そと毛布かけ=大
○ス△ま=3点
(ま:なんとも可愛い姿と優しいまなざしにホッとします。)

●幽谷の願かけ不動笹子鳴く=修一
○裕△し=3点
(裕:こういう場所に旅してみたいと感じる句です。 し: 幽谷の願かけ不動が神秘的。)

●オリオンや下りて来るらし曲づくり=秋波
△子、十=2点
(十:なるほど。そういうものらしい。)

●笹鳴や男ばかりの赤提灯=清一
○喋=2点

●笹鳴や悪だくみする主夫二人=水音
○茶=2点
(茶:どんな悪だくみでしょう。まあ笹鳴だから大したことではないでしょう。)

●朝ドラの名曲に酔ひ冬ぬくし=ぼくる
△葱=1点 (葱:「エール」良かったですね! 最近の朝ドラでは光ってました。 古関裕而の曲には時代とノスタルジアを感じます。)

●落葉スキーする分校の子ら笹鳴けり=スライトリ・マッド
△ぼ=1点
(ぼ:落葉スキーねえ。なるほど。)

●笹鳴やミームてふ語の閃きぬ=遊歩
△茶=1点
(茶:無意識下、見えない所での営み、その取り合せに。)

●笹鳴を聴きゐる老のながき昼=ぼくる
△秋=1点
(秋:鳥の声が聞こえると何となく聞き耳を立ててしまう。それが笹鳴きとわかるとなおさらですね。平穏な冬の日の静寂と日差しが感じられてよいと思いました。)

●千貫水で淹れしコーヒー笹子鳴く=修一
△ラ=1点
(ラ:「千貫水で」という具体性がよい。)

●登りきる十三曲冬紅葉=五六二三斎
△遊=1点
(遊:紅葉の美しさが極まりますね)

●爆音の冬の紅葉の七曲=まさこ
△ス=1点

●初霜や背筋の曲がりチェックする=香久夜
△や=1点
(や:寒さ募りてついつい猫背に。)

●人波の消えし参道笹鳴けり=裕
△メ=1点


B部門入選作〈back number〉

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