*B部門入選作発表*


兼題『季語:雷』『漢字:目』=全81投句(入64選句)

【特選】

一席
●西日さす片目のままの大達磨=ラスカル


◎白、雪、紅、ス○メ△智、裕、し=16点
(白:両目はなかなか入りません。 紅:願を掛けたこの人は今どうされているのでしょうか?季語で不安がよぎります。 雪:西日によって増々大きな片目が強調されている感じがします。 し:片目のままの大達磨にいろいろ想像させる物語があります。)


二席
●運針の粗き糸目や半夏雨=雪絵


◎智、香○紅、ス△ラ、遊、白、メ、朱=15点
(智:粗い糸目と半夏雨が良くあってる。 香:蒸し暑く、針仕事も粗くなるのでしょうか。 紅:類句はありそうですが、季語がとてもいいです。ラ:小学生の時、家庭科の宿題で「雑巾を縫う」があったことを思い出しました。 遊:俳句の王道! 白:まだ未熟のお針。 朱:少し既視感はありますが半夏雨の心象が伝わる句。)


三席
●いたづらつ子の上目づかひや夏帽子=雪絵


◎メ○遊、砂、裕、ぼ△十、ラ=13点
(遊:目に浮かぶようなハックルベリーフィンw 十:景鮮明です。 ぼ:活き活きと映像が浮かぶ。裕:いたずらをとがめられた不満げな餓鬼の表情が浮かびます。 ラ:可愛い♪ 子供の表情が目に浮かんできます。)


三席
●賽の目のぴんぞろ赤き桜桃忌=朱河


◎し○遊、葱、香△十、清、砂、ス=13点
(し:取り合わせが面白いです。桜桃忌が効いています。 遊:すごく説得力がある。 葱:頭で詠んだアイデアの句だと思いますが、サクランボの形だけではなく、博打と太宰の生き方がうまくシンクロしている。 香:サイコロの赤玉から桜桃を連想するとは! 十:一読、波多野爽波の代表作〈骰子の一の目赤し春の山〉が浮かぶが、ゾロ目の赤丸の桜桃への展開が面白い。 清:六月十三日の太宰の忌日、この日賽の目が一のぞろ目と出た。)


【入選】

●コロナ禍の目と目がぶつかり合ふ溽暑=十志夫
◎砂、裕○清、葱△修、ぼ=12点
(清:猛暑の日互いに目だけで相手を見つめ合う。 裕:時事句ですが、ピリピリ感が伝わってきます。葱:ほんと、マスク警察やらツイッターでの匿名での誹謗中傷やら。酷い世の中になってきたもんです。たとえ考え方が違っていても、相手の立場を想像し理解するのが知性でしよ。 修:マスクをしている私の目力も鋭くなっている? ぼ:分かる分かる!マスクの上の目だけが。)

●妻と夫ちがふ常識出目金魚=水音
◎葱○ま、五△秀、十、砂、紅、久=12点
(葱:出目金で笑いました! 面白すぎる! ま:価値観は同じかと思っていたらさにあらず。。出目金が良いですね。 秀:妻と夫の常識が違うのは当たり前すぎて面白くはないんだけど、「出目金魚」で俄然面白い。 十:我が家でも起こる度々の出来事です。 紅:季語への飛び方に驚きました。)

●まな板の柾目くつきり五月晴=紅椿
○ラ、久、水△や、子、智、雪、五、ぼ=12点
(ラ:「柾目くつきり」が清々しい。日頃から清潔に扱われている証拠ですね。 水:久々の晴間に外干しの清潔な俎板。 ぼ: すっきりした、気持のよい句。 や:旬の食材食欲そそる。)

●炎天に目玉ひんむく仁王像=ラスカル
○子、清、し△智、紅、五=9点
(清:仁王像の目玉は普段でも目立つが炎天では一層引き立つ。 し:目玉ひんむくが上手い!季語ともぴったりです。 紅:絵が浮かびます。 智:東大寺の南大門が浮かびます。)

●人類の目覚めの予感梅雨の月=ぼくる
◎子、清○修=8点
(清:コロナ後の世界は人類が新世界を創る好機である、ふと現れる梅雨の月の様に季語が効いている佳句。 修:そう言われれば普通の月ではない感じ。)

●目高飼ふ夢の中まで泳がせて=やんま
◎秀○砂、雪△清=8点
(秀:「夢の中まで」がいいですね。 清:幼い頃を思い出す句、目高が夢の中にまで出て来る。)

●紫陽花や母の繰り言三廻り目=秋波
○雪、紅△十、資、喋=7点
(紅:とても分かります! 十:よくある日常ですね。)

●些細なることに目くじら栗の花=白馬
◎水○資、秋=7点
(水:栗の花の匂いと形状は心を不安定にする。 資:花の白さもさながらあの強烈な匂いがそうさせたのか。 秋:取り合せがいい。)

●遠雷やかつて捕鯨の町に立ち=雪絵
○智、朱△五、水=6点
(智:遠雷と捕鯨が合っている感じ‥ 朱:昔は捕鯨で栄え今は寂れた港とそこで聞く遠雷の取合せは映像の喚起力がある句だなと思いました。 水:和歌山から太平洋を望む気分。)

●心根の定まらぬ夜遠き雷=秋波
◎資○ま△秀=6点
(資:遠き雷が深く突き刺さるように効いている。 ま:身に沁みます、定まらぬことたくさんありますね。 秀:どうしようかと、決心がつかない夜。)

●梅雨晴の木陰の猫の薄目かな=紅椿
◎久○裕△メ=6点
(裕:猫は自由奔放でいいですね。)

●雷蔵の名画モノクロ梅雨深し=ぼくる
◎十○白△始=6点
(十:アンニュイな雷蔵の表情と季語が響きあっています。 白:キラリと光る剣の思い出。)

●宇治橋は果てなく長く日雷=秀子 
◎修△始、朱=5点
(修:歴史や物語が渦巻いてへたり込んでしまいそう。 朱:宇治橋は長いのですね、日雷で詠む事によって景色の広さを感じます。)    

●うつうつと牡牛の白目風死んで=秀子
◎秋○朱=5点
(秋:じりじりした炎昼の空気が伝わります。 朱:牡牛の大きな目の表情から風死すと不穏な気配を詠む面白い句だと思いました。)    

●遠雷や湖底に縄文土器眠り=清一
○秀、水△雪=5点
(秀:空と湖の底で響き合っている。 水:福井の三方五湖の情景が浮かぶ。)

●カーナビ喋る今日は雷記念日と=スライトリ・マッド
◎始○喋=5点

●雷鳴に膝に乗りけり大き犬=修一
◎ま△や、ス=5点
(ま:もうとにかく可愛くて、可笑しくて何度も笑ってしまいました。さぞ、重かったでしょうね。犬種はなんでしょうか? や:鋭い聴覚心おののく。)

●革ジャンの背に一閃の日雷=朱河
◎五○や=5点
(や:父の叱咤の今は懐かし。)

●目尾(しゃかのお)は難読の駅梅雨じめり=五六二三斎
○秀△白、喋、香=5点
(秀:「目尾」よく探し出しましたね。 香:福岡県だったんですね。 白:とても読めないです。)

●はたた神わが胸中の地図燃やす=水音
○資、始△清=5点
(清:コロナ禍で地図の場所への旅行計画が実現出来なかった嘆きか。)

●目の奥を見つめられたるソーダ水=ラスカル
○白△遊、久、ぼ=5点
(白:あの日の懐かしさ。 遊:ユーミンの名曲が聞こえてくるようです。 ぼ:いいね、プラトニックラブも。)

●青と金の目の色の犬南風吹く=スライトリ・マッド
○修△葱、し=4点
(修:青と金は創造の象徴か。 し:シベリアンハスキーですか?友人が青と金の目の色のハスキー飼っています。すごくカッコいいです!!! 葱:ハスキーかな? 季語には一考の余地ありかも。)

●遠雷や父の植物図鑑重し=まさこ
◎や△始=4点
(や:父の歳越え父の背を追う。)

●軽雷や傘の花一つ煉瓦道=久郎兎
○ラ、メ=4点
(ラ:「軽雷」という季語はこのように使うのだなぁ〜と、勉強になりました!)

●絶筆の馬の目濡つ梅雨の雷=しゃが
○十、子=4点
(十:神田日勝の作品展でしょうか? 絶筆となった絵の中の馬の目が泣いているようだ、という把握に感心。)

●月の目にベッドの上の丸裸=遊歩
◎喋△し=4点
(し:ひょっとすると色っぽい句になりそうですが、丸裸というのでおかし味がありますね。)

●手相見に眼覗かれ遠き雷=やんま
○十△ラ、白=4点
(十:見透かされるような感じが「遠雷」で巧く表現されている。 ラ:「眼覗かれ」が、とてもリアル。 白:手だけ見て下さいね。)

●蟇蛙と目の合う畑仕事かな=裕
○や、し=4点
(や:ジャンケンで勝って農夫と為るが哀れぞ。 し:じ〜〜っと見つめる蟇蛙と淡々と作業する農夫の情景が見えて面白い。)

●目のヨーガ荒梅雨の音聴きながら=まさこ
△秀、葱、秋、修=4点
(秀:景がよく見えます。 秋:目玉だけを動かしている無言の室内と外の雨音の対比が面白い。 葱:オシャレな日常のルーティンですなね、優雅な生活! 修:同感です。目と足と歯と人と会うことと…)

●遠雷やドライフラワーに埃=秀子 
◎遊=3点
(遊:なんというか、驚きました。)     

●遠雷や幕引きだけの旅に発つ=裕
◎ぼ=3点
(ぼ:ぬぬぬ、何があったのだ? ドラマ性たっぷり。)

●遠雷や列車遅延のアナウンス=資料官
○智△水=3点
(智:馴染みの光景です。 水:遠雷と遅延には関係があるのかはわからないけど、少し不穏な感じ。)

●雷門自粛の路地のあつぱつぱ=十志夫
○秋△ス=3点
(秋:そうだったんですね。思わず笑ってしまいました。)

●大雪渓第三の目の開かるる=葱男
○香△修=3点
(香:大雪渓のできた歴史まで? 修:山に一人いるようです。)

●大地炎ゆキリン伏し目に口籠る=しゃが
◎ラ=3点
(清:ラ:「口籠る」が、コロナ渦を象徴しているような感じがします。)

●父の忌や日差し目映ゆき梅雨晴間=資料官
○始△砂=3点

●薔薇の名はプレイガールや目映かり=水音
○五△し=3点
(し:すごい名前の薔薇ですね。画像観てみたら納得でした。)

●山小屋の裸電球はたた神=紅椿
○ぼ△水=3点
(ぼ:緊張感が伝わってくる。 水:山で雷に合うととても怖い。山小屋でも電球が点滅したりすると怖い。)

●遠雷に心によぎる幼き日=始祖鳥
△葱、喋=2点
(葱:「遠雷や」でいいと思います。幼い頃、雷が鳴ると訳もなく蚊帳に入って興奮したものです、楽しかった!)

●遠雷になぜか和らぐ夕餉かな=始祖鳥
○ま=2点
(ま:和んだのですね、ふとしたことをきっかけに。実体験でしょう説得力があります。)

●遠雷や洗濯物は畳み終え=香久夜
○久=2点

●ででむしにかからぬやうに蛇目傘=智雪
○喋=2点

●手拭の藍の目に沁む野良仕事=葱男
△遊、香=2点
(遊:やぁ、同士!w 香:汗が絶え間なく、、)

●はたた神屋根に開きたる大きな目=修一
○ス=2点

●日雷応援歌無きデイゲーム=まさこ
△雪、裕=2点

●本日の感染者数日雷=香久夜
△紅、秋=2点
(紅:季語が効いています。 秋:毎日聞く言葉ですが、字数が12音とは考えてませんでした。)

●いかづちに夜半の目覚め一人床=久郎兎
△清=1点
(清:雷に目覚め妻が生きていた頃を思い出す。)

●雷落ちて死んだふりする2才の子=白馬
△秋=1点
(秋:可愛い!)

●神雷に伏す場を探す山の道=秋波
△朱=1点
(朱:神雷はカミナリと読ませるのですよね?山道で出逢う雷はまさに神鳴りなんだろうなと思いました。)

●雷のあと鳥肌の立つ冷気=五六二三斎
△子=1点

●シャワー浴ぶ少し長目のゆふぐれに=香久夜
△や=1点
(や:さてこれからが今日の本番。)

●ストーンズのライブは佳境日雷=智雪
△水=1点
(水:熱狂と呼応するよう。)

●逃げまどふ小さき影や日雷=十志夫
△裕=1点

●一目だけ逝く梔子の花の錆び=五六二三斎
△資=1点
(資:たまたまくちなしの花を見てきたのですが、本当に錆びていた。)

●目白啼く閉店中のレストラン=清一
△ま=1点
(ま:お店は休みでも,目白は今年もかわらず鳴いているのですね。)

●雷遠し男やもめの昼の酒=ぼくる
△資=1点
(資:ただでさえ切ないけど、遠雷がさらに輪をかけて。)

●雷鳴にピノキオ涙こぼしけり=修一
△久=1点

●雷鳴の響き会議の終了す=裕
△香=1点
(香:会議終了のきっかけが欲しい時もあります。)

●雷鳴や福祉バス待つ母の影=資料官
△メ=1点

●雷鳴や仏間逃げ込む大型犬=スライトリ・マッド
△子=1点


B部門入選作〈back number〉

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