*B部門入選作発表*


兼題『季語:夏隣』『漢字:秘』=全86投句(入選56句)

【特選】

一席
●樹に寄れば水が匂ひて夏隣=秀子


◎資、ス、紅、メ○葱、朱、雪△ラ、水、喋、修=22点
(紅:すごく詩的で、感性が素晴らしいと思いました。 葱:このところ毎朝実感しています。 ラ:感覚的だけれど説得力あり。 朱:「て」が付く時は「匂いて」。「水の」の方が良いかも、とても良い句なので惜しいと思います。 水:感覚が繊細。 修:きっとそうだ。)


二席
●物干しの袖は大の字夏隣り=久郎兎


◎ラ、葱、入○資、紅△朱、し、水、香、雪、ぼ=19点
(ラ:なるほど〜! 葱:着目したところがいい、大きな夏が近いですね! 入:七ぶ袖の登場ですか? 紅:冬にお世話になったGジャンを干している景が浮かびました。 資:老夫婦の物干しざお。 朱:初夏と洗濯物の取合せはよくあるのでひと工夫いりますよね。「り」は無しで。 し:大の字に気持ち良さそうに揺れるシャツ。青空も想像できていいですね。 水:大の字に夏隣りの感じがあらわれてますね。 ぼ:夏に向けての勢いあり。)


三席
●蝿生る夫黙秘権行使中=智雪


◎朱、水○し、ぼ、遊△葱、ま、十、メ=16点
(朱:季語が上手く、面白い攻めの一句。 水:季語により妻のイライラ度が見える。し:面白い。蝿生るに託した思いを知りたい。笑  遊:旦那への共感、奥様への感謝。 ぼ:妻でなく夫だから面白い。微笑ましい夫婦。 葱:おもしろすぎる! 早く仲直りしてください。 ま:興味津々です。季語がまたこれですから! 十:夫がつかうのは黙秘権。妻がつかうのは拒否権かも。)


【入選】

●夏隣り書き込み多き農日誌=紅椿
◎ま○雪、秀、久、砂△水、入、裕=14点
(ま:どなたの書かれた農日誌でしょう。どんなドラマがあったのかとそうぞうが膨らみます。 秀:これからが、農作業の本番ですよね。 水:忙しくなる時期なのでしょう。 入:農作業というのは秋ではなく、今季ですか?無知で恥ずかしいです。)

●流鏑馬の射手の体幹夏近し=秋波
◎智○葱、ス、裕△雪、遊、久=12点
(智:射手の体幹と言う措辞が素晴らしい。 裕:馬にまたがり直立する美しい姿が浮かんだ。 葱:よくふりおとされませんね、ロデオ大会で優勝できますよ^^; 遊:こんな体になってみたい!)

●白黒の「私の秘密」昭和の日=資料官
◎清○香、智△葱、喋、十、修=11点
(清一:懐かしいこんな番組あったね。句の構成が巧い。 智:白黒と昭和が呼応している。 葱:私の中のノスタルジア部門に触れました。 香:昭和の代表ですね。 十:高橋圭三さんの名調子「事実は小説より奇なりと申しまして・・・」懐かしいなぁ。 修:テレビの珍しかった時代です。)

●検索に秘密と入れてみる朧=五六二三斎
◎し○遊、十△子、ラ、ま=10点
(し:どんなことが出てくるか興味津々。 遊:誘惑されました、やってみますw ラ:検索結果が気になる!(笑) 十:意外な検索行為だが、実際にありそうな話。 ま:そうなんですよね、そっと調べてみたくなります。)

●霾るや秘密箱より住所録=雪絵
◎久○清、秀△葱、入=9点
(清一:黄砂の降っている様なすっきりしない住所録。 秀:ちょっとインディジョーンズの場面を思い出しました。 葱:季語が効いている、そこには苦い過去も降り積もっている。 入:埃の地層深くから出てくる感じがよく出てます。)

●でこ広きおかつぱ頭夏隣=雪絵
◎喋○五、紅△修=9点
(五:散髪でおかっぱ頭をスッキリして夏を待つ。距離感がちょうど良い。 紅:女の子の顔のアップが迫ってくる感じ。季語と合っています。修:げんきな女の子、図書館でこないだ絵本で見ました。)

●子供には子供の秘密麦青む=秀子
○智、白、修、砂=8点
(智:上五中七と季語が良く合っています。 白:可愛い秘密がいっぱい。 修:しかし青麦のように伸びてゆく。)

●夏隣り新二年生のゆううつ=香久夜
◎十○水、始△葱=8点
(十:様々な行事が中止になって恵まれなかった一年間。今年も恐らく不安に感じているだろう。破調が不安感を助長する。 水:一ヵ月経って、一年生の時ほど構ってもらえなくなった? 葱:おそらく、コロナの影響で十分に新一年生を愉しめなかった子供たちがたくさんいると思います。おかしいよ、世の中!!)

●水浴びの鳩きらきらと夏隣=ラスカル
◎修△入、ス、秀、メ、砂=8点
(修:平凡な鳩が主役なのでより現実感あり。 入:特にこの季節キジバトの羽の模様が際立って。 秀:水浴びの鳩がきらきらと輝いています。)

●家族分のシーツの干され夏隣=秋波
◎遊○ス△ラ、砂=7点
(遊:これ以上壮大な風景はないっていうくらい目に浮かびました。 ラ:何枚なのだろうかと、想像が膨らむ。)

●夏近し小便小僧の放物線=資料官
○し、秋、ぼ△葱=7点
(し:放物線に着目した点がユニーク。関係ありませんが、ベルギーのオリジナルの小便小僧はとっても筋肉質。 秋:初夏の陽光を浴びた小便小僧。水の描く放物線も清々しく、小僧の顔も何だか得意げに見えて来るのが面白い。 ぼ:ははは、いかにも夏近し。 葱:気持ち良い〜、歳を取るともう美しい放物線は描けません^^;)

●貝殻のやうな秘めごと波朧=朱河
◎ぼ○五△雪=6点
(ぼ:詩的で情緒たっぷり。 五:波朧という季語が新鮮。海の中の秘めごとに詩情が溢れている。)

●人生の秘境これより明日草=五六二三斎
○喋、修△子、遊=6点
(修:そうこなくっちゃあ、いけねーよと言いたくなります。 遊:明日草が分かればきっともっとよかったです…)

●秘密基地あそこに今も夏の夢=喋九厘
◎白、砂=6点
(白:子供時代に作った思い出の場所。)

●秘め事の海市となれる齢かな=紅椿
◎香○資△清=6点
(香:奥深いです。海市が蜃気楼というところからの勉強です。 資:なるほど海に浮かぶ街。 清一:高齢者の嘆きでしょうか。)

●ゆく春や父の秘蔵のブランデー=まさこ
○ラ、入△し、秋=6点
(ラ:秘蔵のブランデー、飲んでみたい! し:そういえばうちにもなかなか減らない父のブランデーあります〜。 入:戸棚の奥から?押入れ深く?引き出しの奥に携帯用ボトル?想像するだに深い味わいがあります。 秋:父親が大事にしているブランデーをちょこっと相伴。さらっとした詠み口で、私も久しぶりに飲みたくなりました。)

●川の面を弾みゆく石夏隣=ラスカル
○メ△秀、十、砂=5点
(秀:気持ちよく石は水を切っていきます。 十:句意鮮明。川辺での懐かしい如何にも夏らしい景。)

●橋梁を渡れば余花の秘境駅=資料官
○裕△智、ぼ、紅=5点
(裕:こういう旅をしてみたい。 智:美しい景色です。 ぼ:旅心をそそられる。 紅:是非行ってみたいです。)

●古墳群秘めて竹やぶ夏隣=入鈴
◎裕○始=5点
(裕:古墳の上に青々と成長した竹が鬱蒼と茂っている、古墳を守っているかのように。)

●庫裏に座す太鼓磨いて夏隣り=久郎兎
◎秋△五、資=5点
(秋:祭りに向けて準備を始めたところでしょうか。またこの時期が来たという期待感を季語がうまく表していると思います。 五:太鼓を磨いて待つ夏。今年も祭は中止だろうと分かるので寂しい雰囲気が漂う。「磨ひて」はイ音便なので、「磨いて」が正解では? 資:出番があるのか不安な春の終わり。)

●自転車が自転車を抜く夏隣り=水音
◎雪△五、智=5点
(雪:青春真っ盛り!懐かしい景でもありますね。 五:自転車のリフレインが新鮮である。拙句「立ち漕ぎの少女三人夏の朝」丘ふみ第三号B部門を思い出した。 智:上五中七面白いですね。)

●夏隣いちごミルクの空明ける=葱男
◎五△資、紅=5点
(五:いちごミルクの空という措辞が素晴らしい。早起きの作者と言えば? 資:現在まさに愛飲中。ピンクがかった白い空。 紅:中七が素敵です。)

●半世紀秘めたる恋や山菫=ぼくる
◎始△葱、白=5点
(葱:いいですねえ〜、いつまでたっても純情な少年、50年間、相手にされず^^;。 白:50年前。今65才。)

●目借り時秘露のリャマの目の円ら=智雪
◎秀○香=5点
(秀:秘露がペルーと読むんですね。やられた〜〜って感じです。)

●風渡る能登千枚田夏隣り=メゴチ
○子、ま=4点
(ま:一度見てみたい風景、夏隣りがとてもあっていると思います。)

●スーパーに「秘伝」の溢れ春うらら=秋波
○ま、水△香=4点
(ま:本当にそうですね、あれもこれも! 水:なるほど そこに着目とは。)

●夏隣亀一列に甲羅干し=清一
○朱、入=4点
(朱:少し既視感はある句ですが季語とうまくマッチしていると思います。 入:一ブロック隣の、県立公園の池の亀も全く同じです。)

●盤上に秘策を練りて飛花落花=白馬
○清△朱、遊=4点
(清一:一手で変わる勝負事、飛花落花の季語が効いている。 朱:桜下の囲碁将棋はよくある取り合わせですが「秘策を練る」時間軸が良いかなと。 遊:私が囲碁将棋出来たら特選でしたw)

●秘境とは己の内部若葉窓=遊歩
○十△入、白=4点
(十:己の心の中に秘境がある、とはユニークで思い切った比喩。 入:内なる自己と窓外の若葉の対比が新鮮です。 白:自分と若葉しか知らない。)

●新しいシャツを下ろそう夏隣=智雪
○メ△ス=3点

●朧夜や革装丁の神秘学=しゃが
△白、メ、久=3点
(白:神秘学という学問に魅せられて。)

●ガキ共の秘密結社や蛇の衣=ぼくる
△喋、紅、始=3点
(紅:「コナン」の少年探偵団が浮かびました。)

●座るたび鳴るベビーチェア夏隣=まさこ
○ラ△し=3点
(ラ:赤ん坊の笑う声が聞こえる。 し:ブーピーなるベビーチェア、夏隣がなんとなく合っている。)

●秘色色の小皿にひとつ桜餅=スライトリ・マッド
△ま、資、修=3点
(ま:秘色初めて知りました、美しいですね。 資:桜餅のピンクが映える。 修:立派なお茶室が見えてきます。どんな味だろう。)

●秘密よと囁かれたる春の夢=ラスカル
◎子=3点

●阿と吽は離れて睨む夏隣=朱河
△智、裕=2点
(智:なるほど!確かに。)

●犬抱いて少女軽やか夏隣り=砂太
△裕、清=2点
(清一:絵画の中の犬を抱く少女を見つめているように感じた。)

●拘りを秘めてピンクのチューリップ=香久夜
○秋=2点
(秋:膨らんだ蕾に思わせぶりなものを感じたのでしょうか。ピンクのチューリップの花言葉は愛の芽生えとか。)

●口紅とカード一枚夏隣=秀子
○喋=2点

●塩を吹く壜の梅干夏隣=まさこ
△香、十=2点
(香:昔ながらの塩っ辛い梅干しですね。 十:季語とうまく合っている。)

●夏近し化粧に慣れし娘かな=裕
△秋、始=2点
(秋:入学?就職?して新しい生活にも少し慣れて来た頃。景の切り取り方が巧み。)

●夏隣湧き水に溶く花蜜糖=葱男
△朱、ス=2点
(朱:透明感のある一句。)

●庭の花シャワーを浴びて夏隣り=白馬
○子=2点

●秘め事を炙り出したる匂鳥=清一
○白=2点
(白:ホーホケキョを聴いて思い出してしまった。)

●秘やかに試すネイルや新樹光=茶輪子
○久=2点

●アルパカの群れる秘境や春の雲=しゃが
△ぼ=1点
(ぼ:雄大な景が浮かぶ。)

●淡海に羽ばたく鳥や夏近し=清一
△秀=1点
(秀:景が目に浮かびます)

●樹々わたる鳥の勝鬨夏隣=ぼくる
△葱=1点
(葱:「勝鬨」が瑞々しい表現でいかにも鳥たちのエネルギーを感じる。)

●汐干貝壱岐に秘伝の麦仕込み=葱男
△五=1点
(五:壱岐が出て来たので、触手が動いた。壱岐に行ったのは、2009年の実習挨拶が最後だった。無法投区にその時の拙文があります。)

●児童公園青葉の中の秘密基地=砂太
△清=1点
(清一:昭和の子どもらの風景に見えた。)

●水彩画の水のきらめく夏隣り=水音
△久=1点

●春日傘銀河のはての秘湯まで=水音
△清=1点
(清一:こんな秘湯に行くまでが大変だ。) 

●晩春の秘境を巡るレトロバス=喋九厘
△子=1点


B部門入選作〈back number〉

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